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源泉の破壊


森を抜けた馬車は荒れた大地を進む。リールが気にしていた急坂は下りだったので一気に駆け下りた。


あれだけの坂を下れるなんて


思ったが、大陸馬なら確かにあの坂は無理だ。だが、モンゴルに居る馬や日本固有種なら行けるだろう。もっとよく馬の脚を観察しておけばよかった。


塩湖跡のように動きにくいわけでもなく、ひび割れているわけでもなく、荒野と言えど馬車の移動に何の支障もなかった。


だが、生き物の気配はなく、植物すら無いその大地は文字通り死の大地であった。


「風景が一変しましたね」


ウェルウィッチアが馬車から外を見ながら言う。ウェラは人差し指で天を指しクルクルと回す。


「この辺りはむしろ魔気が少ないですわね……もっとこの辺りから感じる物だと思ったのだけど」


ウェラの台詞にリールは思ったことを口にした。


「魔気が溢れたのって、源泉から魔気が吸い出されすぎただけなんじゃない?」


リールの台詞にウェラは唇に指を当てながら


「なるほど、その線もありえますわね」



ウェラは何か思うことがあるらしい。そのまま指を離すと、フッと息を吹きかける。すると、指から光球がフワリと飛んでいき、そのままどこかへ飛んでいった。


「それは?」


リールが聞くと、それに答えたのはウェルウィッチアだった。


「探知魔法ですよ。探しものや周囲の情報を得たり……まぁ、色々便利なやつですね。ボクも使えますし、たぶんコーさんも使えるはずです」


「確かにわらわも使えるがの……同じ見た目でも目的や魔力によって得られる情報も範囲も全く異なるからの……ウェラの事であるし、この辺一帯の情報を得るのであろ?」


「ええ、そのつもりですわ。ただ、全てを見渡す必要はありませんの。情報を無作為に拾い集めたほうが良いですし、そんなに時間はかかりませんわ」


あ、これインデペンデンス・デイの考察で見た。無作為の人間の脳内にある情報を取り出して、同じものがあればそれが重要な建物。


似たようなもので、無作為に情報を取り出し、似通った情報があれば、それは同じことがおきていると言える。


「リールの言う通りかもしれませんわね。源泉から離れた場所は殆ど魔気が枯渇している状態ですわ。逆に近づけば魔気の濃度は上がっていく……しかし、そろそろ完全に枯渇しても良い頃なのだけど……」


大地の魔気が完全に吸い出されたのであれば、当然源泉も魔気を吸い上げれなくなる。だが、この大地は魔気を含んでいる。源泉に近づくにつれ魔気は濃くなっていく。


馬車列が止まった。しばらくしてサーが人数分のローブを持ってきた。


「これを。そろそろこれが無いと厳しい筈ですので」


布を被ると聞いていたが、着やすいようにローブになっていた。銀に輝くローブを身に纏う。ただの布でないのは理解していたが、ただの布に比べて幾分重い。



リールは興味本位で触れてみると、ひんやりと冷たく、まるで金属のようであった。色味からすると、銀やアルミといったところか。


銀ならあり得る。銀は魔法生物に対し、魔力干渉によって魔気破壊をおこし、魔法生物に多大なダメージを与える。魔力を分断する、と言えば分かりやすいだろうか。


ゆで卵を生卵のようにする技術、と言えばもっと分かりやすい。複雑に絡み合った蛋白を分離できる技術の事だが、つまり、複雑に絡み合った魔力を分断してしまう。魔力組織を維持できなくなるという事である。



だが、ウェラやコーはその光景を見てギョッとしていた。


「本当に……魔力干渉を受けない…の、ですわね」


以前、ウェラは「リールは魔力干渉を受けない」と言っていたが、目の当たりにするとやはり驚きを隠せないようだった。


コーが布面に触れると、バチッと音がして魔力干渉の発生が分かる。


「……もしかしたら…もしかして、かも……しれませんわね」


ウェラのその予想は当たることになる。



車列は停止し、皆は降りて顔を合わせる。


「ここから先は馬が耐えれないので、徒歩で近くまで行きます。途中に目標物がないので、離れないようにしてください」


サーに言われ、一同はまとまって移動を開始。









「すまない、我々はここの辺りでデータ取りを行う。天使様達は……どうされるので?」


「ちょっと源泉を見に。見れる距離まで近づけるかわかりませんけれども」


一歩、また一歩と近づくにつれ魔気が濃くなっていく。リールは地図と方位磁針を見て、歩いている方角が正しいことを確認し、どんどんと進んでいく。






「も、申し訳……ありません…わ…その……苦、し…い」


文字通り、無事なのはリールだけだった。遠くには源泉と思われる丘が見える。まるで背の低い火山のようだ。


「じゃあ、ここからやろう」


リールはあの源泉を破壊しよう、と言った。一同は驚いたが、それが一番いいかもしれない。と結論づけた。


「では、ボクがやってみますね」


ウェルウィッチアが名乗り出たのでそれに任せる事にした。先に見た風魔法は遠距離まで届くのを利用したいらしい。


「そう言えば、どうして風魔法は遠くまで届くの?」


リールが言うとウェルウィッチアは


「風の精霊はちょっとやんちゃなんです。風魔法は千里を駆ける、と言うほどです。強力な衝撃波は衰えずに遠くまで届くのと、ちょっと似ていますね」


ウェルウィッチアは杖を構え詠唱に入る。リールは念の為地面に伏せると、皆はそれに従うように地面に伏せた。


「風の精霊よ、我が名のもとに集いなさい。その鋭さは刃の如く。権限せり力は豪雷の如く。今一度、我がもとに力を示しなさい。―――顕現せよ、ピストル・ピート!」


杖の先から矢のような物が射出される。魔女会に属しているだけあって確かな威力の魔弾であった。風魔法なので正確には魔弾ではなく衝撃波の一種なのだが、その鋭さは矢と言うより弾丸のようであった。


「これだけ……の、濃い魔気に…あの…魔法……は、耐えれる…かしら」


ウェラが言う。仕方ない。結構な距離がある上に、魔気による拡散で威力が下がる。十分な火力がなければ源泉の破壊は厳しい。中途半端に破壊すれば霊脈から流れ込んでくる口が広がるので、最悪の場合もっと吹き出すようになってしまう。


リールは望遠鏡で様子を伺っていた。突き刺さってから既に数秒が経過している。


だめか……?


そう思った瞬間、地鳴りと共に源泉が魔力を吹き出し始めた。魔気が濃くなったが、それも一瞬だった。


魔気が衝撃波を伴って大規模な爆発をした。炎のように可視化された魔気がまるできのこ雲のように立ち上がる。そしてそのきのこ雲が周囲の魔気を吸い上げていき、一気に魔気が枯渇していく。湿り気を帯びていた土は乾き、魔気と共に空気が吸い上げられ風を伴った。



しばらくして、風はやみ、あたりに静けさが戻った。リールは立ち上がり3人を確認する。コーは問題なかったが、ウェラとウェルウィッチアのスカートは完全に捲れ上がってお尻、もといパンツが丸見えであった。


一瞬戸惑ったが、そこには触れず、ウェラに声をかけた


「大丈夫?」


「もう少し……時間が欲しいですわ」


ウェラを仰向けにし、続いてウェルウィッチアに声をかける。


「大丈夫?」


「はい、すぐに地面に伏せたので問題ありませんでした。有難うございます」


ウェルウィッチアに手を伸ばすと、それを取り立ち上がった。見ればコーも立っていた。ウェラに手を差し伸べ座らせると、ウェラは


「何か……飲み物は…?」


4人は最低限の物しか持ち合わせていなかったが、幸いにしてコーが僅かながら水を持っていたので、それを手渡した。ウェラは流し込むように水を飲み、むせながらもそれを飲み干した。


「げほっごほっ……はぁ、はぁ…もう、大丈夫ですわ」


あまり大丈夫そうに見えなかったので、しばらくそこに留まることにした。もう魔気は残っておらず、体には何の影響もなかった。


「ところで……リール…見ました?」


ウェラが聞くが、リールはそれだけで何に対して言っているのか理解できなかった。もしかして、爆発の近くに何かいたのだろうか?


「何を?」


一応聞いてみる事にした。


「パンツ」


思わずリールの視線が泳ぐ。正直に言わないと怒られるだろうし、言ったら言ったで怒られそうだし……


「えーと、うん。丸見えだった」


「こんな事ならもっと可愛いパンツを穿いておけば良かったですわ。そう思いませんこと?ウェルウィッチア」


突然話を振られてウェルウィッチアは首を傾げる。


「どうしてですか?」


「どうしてって、折角男の子に見せるのでしたら、やっぱり可愛いパンツの方がいいではありませんか。ウェルウィッチアはちゃんと可愛いパンツでした?」


「どうって……まさか、ボクのパンツも見たの!?」


「あ、うん。丸見えだったよ」






ウェルウィッチアのビンタが炸裂した。


おかしくない?なんで殴られたの?


「え?」


リールが理解できずに何度もまばたきをしていると、ウェラの関心がコーに向かった。


「リール、コーのパンツは見ましたの?」


「いや、捲れてなかったよ」


ここは正直に言わないほうが良かったかもしれない。ウェラは無言でコーの前垂れを捲り上げた。コーは抵抗こそしなかったものの、顔をそらした。


「あら、可愛い…と、言うよりは色っぽい、ですわね」


まぁ、グラマスなコーには似合ってるかな。


「いつまで見てるんですかぁ!」


ウェルウィッチアの2発目が炸裂した。理不尽すぎる!



「あらあら、いけませんわウェルウィッチア。男の子はパンツとおっぱいが好きなのだから見せませんと」


「イ・ヤ・で・す・!」


「あらあら。それだから男の子が無理やり、とか悪い方へ向かっていくのですわ。それに、リールは男の子とはいえまだ10歳。何を恥ずかしがる必要がありまして?」


ウェラって、結構いい性格してるよな。悪い意味で


「……でも…」


「まぁ、いいですけれど。人間は恥ずかしい所が見えないように、とパンツを開発したのに、そのパンツを見られるのが恥ずかしいだなんて変わってますわね」


「ドラゴンだって同じじゃないですか!」


それを聞いてウェラはコーを見る。


「恥ずかし、かった……ですの?」


「わりと……」


ウェラは少し小首をかしげ


「まったく、近頃の地表の生き物ときたら……ほら、二人に代わって、どうぞ」


ウェラは自らスカートを捲くり上げた。


「ちょ、っちょ、天使様!」


「見せたくない方は黙ってなさい。私は好意を持ってリールに見せているのだから」


やはり男心というものだろうか。それをどうしても注視してしまう。こうマジマジと見るとシワの一つすら覚えそうである。と、いうか、シワってあんまできないんだね。


「リールは、スカートの中。前と後ろ、どっちが好きですの?」


困る質問だ。


「どっちも好きだけど……」


濁したわけではない。本音だ。


「どちらか選びなさい?と、言えばどうかしら」


「選べないくらい好きなんだ」


「あらあら、好きものですわね。おませさんですこと」


ウェラはクスクスと笑っていた。リールはチラリと横目でウェルウィッチアを見ると、複雑そうな顔をしていた。


ウェラはスカートから手を離しリールの後ろに回った。


リールは直感的にヤバイ、と思ったが遅かった。ウェラはリールのズボンとパンツを同時にずり下ろしていた。


ウェルウィッチアは勢いよく顔をそらし、見えないように手で隠した。


「あらあら。そんな子供みたいな反応をして……天使、ウェラの名において―――」


ウェラが突然なにかの詠唱を始めたのでウェルウィッチアは慌てて前を向いた


「み、見ればいいんですよね、見れば!」


さっきまでは短パンによって下方向に押さえられていたので問題なかったが、それが開放され天を衝くばかりのソレを見てウェルウィッチアは顔を真赤に染め上げていた。


「ほら、不公平ですわよ」


「天使様の意地悪!」


「ふふっ、褒め言葉ですわ」


ウェルウィッチアは観念してスカートを捲り上げた。ちなみにリールはと言えば、両手を後ろで固定され隠すことが敵わない。


「もう……ボクは…お嫁に行けないかも……」


「パンツだけで大げさな。まったく……あら、人間は布を染める技術が進んでいると聞いたのだけど、本当のようですわね。パンツのような大事な布ですら染めれるだなんて。私も人間の街でこしらえようかしら。私、短いスカートが好きで、良く見えてしまうらしいの。参考にもなりますし、肌触りなどが気に入れば私の魔力よりも布のパンツの方が良いでしょうしね。リール的にも」


最後の一言いらないなぁ!


「あの……そろそろ…」


リールが言うと、ウェラは彼を開放した。


「あら、ごめんなさい。しまっていいですわよ」


リールはウェラから開放され次第、すぐに短パンを穿いた。それを見て、ウェルウィッチアもスカートから手を話した





「そろそろ……よろしいでしょうか…?」


PCは完全復活とは言えませんが、執筆を再開します。


が、世界の考察が甘いので、投稿頻度は落ちると思います

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