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ストレンジアルカディア  作者: 東夜 空
天を仰げ、地に伏せろ、汝らの屍を超えて我らは行かん
95/104

人が集まりゃ、群れを成す


「おお……ッ!!『残華』!!」


 ソウタの剣が振り下ろされ、炎が瞬く。

 相手は植物モンスター。植物モンスター相手に炎は弱点だろう。事実、本体に斬撃を喰らったモンスターは瞬く間に光となって消えた。

 いまのは、王国の剣士の大半が修めているというランドルフ流のアーツらしい。シンプルな振り下ろしの型なのだという。後隙が大きく、発動まで少し時間が掛かる分、威力は折り紙つきというアーツだ。

 だが、それだけ。炎を出す剣技などではない。炎の方は、剣から出ているらしい。いわゆる属性武器、魔法剣の部類らしい。厳密には、魔法剣とは異なるというが……説明されてもよく分らんかった。ソウタとレンも現物を見た方が、早いって説明をぶん投げたしな。


「ふぃ~~結構、様になってきたな」

「そうだな」


 結局、ロールは俺とソウタがアタッカーになった。理由はシンプル。ダメージを効率よく与えられるからである。まあ、時にはタンクぽいこともこなすが。それで、レンは遊撃。まさしくシーフってな感じで、足止めやら嫌がらせが主体になった。

 これが、上手くいった。俺とソウタがダメージリソースな関係上、俺とソウタの一方はヘイトを集めてしまう。しかし、片方は動けるため、片方が引き付け、もう一方が攻撃ってな感じになった。レンは俺たちの潤滑油みたいな感じだ。サポートと嫌がらせ、その両方を行い、戦闘を有利にしてくれている。


「この感じなら、もっと下に潜ってもいいだろ?」

「俺もそう思う。どうだソウタ?」

「ああ、俺も異論はないよ。これなら、なんとかなるんじゃないか?」


 よっしゃとレンが喜ぶ。

 レンの性格的に、ガンガン進みたいってところを我慢していたみたいだからな。ソウタがフォローに回っていたけど、そろそろ限界だったのではないだろうか?


「早く行こう!!」

「そんな急ぐなって……」


 そんなこんなで、外で買った地図を頼りにダンジョンを潜っていく。途中、何度かエンカウントしたが、慣れた植物モンスターだ。いまさら、俺たちの敵じゃない。

 それはそれとして、レンとソウタから面白い話を聞くことができた。


「ありゃ、深夜騎士団(ミッドナイト)の人たちか」

「ミッドナイト……?」


 すれ違うプレイヤーを見て、レンがそう零した。

 五、六人くらいのパーティーだ。相当な実力者のように見える。


「ああ、有名なクランだよ。フィーエルに拠点を構えてるんだ」

「ほぉん……」


 なんも知らん。

 そんなものがあるんだなぁ……


「有名クランはいいよなぁ。手厚い支援とか受けられるし……」

「へぇ、レンはクランに入りたいんだ」

「……それはちょっとな」


 おや、意外だ。

 性格上、入りたいと思っていたんだが……


「大きいギルドは支援も手厚い分、規律とかルールもめんどくさい。それに、ゴタゴタに巻き込まれることもある」

「レンは縛られるのは嫌いだからな。昔っから、ゲームでクランとかにゃ入ってないんだよ。入っても身内だけのヤツだったしな」

「ほぉん、なるほどねぇ」


 まあ、こういうゲームだ。楽しみ方も人それぞれだろう。

 かく言う俺も、縛られるのは嫌いなタイプだ。だから、グラーフから逃げ回っていたりするんだが……


「今の……深夜騎士団(ミッドナイト)以外のクランだと何が有名なんだ?」

「お、興味湧いてきたか……」


 そうだなぁ、とレンは喋り始める。


「やっぱ、有名どころは紅鎧(コウガイ)だな。本当はクリムゾンユナイトってクランなんだけど、クランメンバーは赤い鎧を着ているんだ。そこから、紅鎧って言われてる」

「あとは、帝国のツキノワも有名だぞ。表に出てくることはあまりないらしいが、帝国を裏で操っているクランらしい」


 変わり種でいうと……とソウタとレンは続けてくれる。

 魔法使いだけのクランや調薬、錬金術のクラン、PKクラン……覚えておいて損はないだろう。というか、いくつか聞いたことある名前もあった。やはり、生産系のクランは耳にしたことがあった。街でNPCたちも噂していたクランだった。


「これはクランじゃないんだけど……バトラーと『村』は有名だ」

「…………村?」


 バトラー……ってのはともかく、『村』ってなんだ、『村』って。


「バトラーは、闘技場を根城にしているプレイヤーたちだな」


 バトラーって執事のことじゃないんだ……


「それで『村』は、簡単に言えばプレイヤーがつくった街みたいなもんだ。共和国にあるんだが……まあ、そこが無法地帯なんだ」

「ほぉ……」


 なんだろう。裏カジノとかオークションでもやってんのかな?めちゃくちゃ面白そうな気配がする。


「PKのたまり場みたいなもんだから、レアアイテムなんかよく取引されているらしいんだ。俺とソウタも一度は行ってみたいって話してるんだけど、これがなぁ……」

「なんだよ?」

「さっき、無法地帯って言っただろ?あれな、『壬生浪』に近いレベルなんだ……」


 うっわ。まじかよ、誰が作ったんだよ。最低だよ。やめろよ、あんなん再現するの。

 もしかしなくても、狂人の集まりみたいだな。

 まあ、その分アイテムが集まってくるんだろう。それで、餌も大量に釣れると。


「よく出来ているな、まったく……」


 これを考えたのは、グラーフなみの性悪だろ。だけど、グラーフではない。

 アイツは戦闘が雑魚雑魚の雑魚だ。ヤツは自分が狙われないためにも、最低限の治安や規律は敷くタイプの女である。少なくても、力が全てという世界は作らない。


「ソウタ……」

「ん?」

「レンはともかく、お前は行くの止めとけ。レンは地べたはいずっても生きていくタイプだと思うが、お前はそうもいかないだろうから」

「お、おう……」


 それは誉め言葉なのか?とレンは訝しんでいたが、安心してくれ。誉め言葉ではあるよ。まあ、『壬生浪』の中ではな。


「おっ、着いたか」


 そんなこんなで話していると、どうやら着いたらしい。

 少し前から、周りの植生が変わり始めていた。

 いままでは、花畑のような様相だったが、緑が濃くなり、森や林という感じがする。


「ここからが森林エリアだ。さっきとは、モンスターが変わってくる。

 植物モンスターもいるが……この環境だからな。周りに紛れているから、十分に気を付けるように。それと、昆虫のモンスターもエンカウントし始める。だから、レンは索敵の際には気を付けろ」


 はーい、と俺とレンは頷いた。

 どうしてか、ソウタがリーダー的な役目に落ち着いた。こうして仕切ってくれると、引率の先生味を感じる。

 きっといい先生になるはずだ……知らんけど。


 次は森林エリア。

 聞いた話によると、植物モンスターと昆虫モンスター、そしてPKがひしめくエリアらしい。

 ここなら、ハクロの気を引く素材もあるだろう。ハクロもそう感じているのか、袖から顔をのぞかせている。


「さぁて、と。次のエリアも頑張るかぁ……!!」


 期待に胸を膨らませながら、俺たちは新たなエリアに足を踏み入れた。





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