表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ストレンジアルカディア  作者: 東夜 空
天を仰げ、地に伏せろ、汝らの屍を超えて我らは行かん
104/104

白は黒に染まる


 『黒雷』・・・それには覚えがある。

 『兜王蟲』と戦った時に出した覚えがある。ただ、頭を悩ましているのはどうやって出したか・・・検討もつかないところなんだよなぁ。全くもって覚えがない。

 あの時は無我夢中だったから、気がついたら出ていたみたいな感じなんだよな。


 まあ、姉御はそこらへん検討が付いているようだしな。姉御の話を聞いてみるか。


「で、姉御。俺にはその黒雷を出した感覚がなくてですね・・・気がついたら、出ていたみたいな感じなんですが」

「よいよい。ライガとて、その黒い『纏雷』は顕現させておらん。故に妾も推測しかできておらん」


 煙管の灰を落として、姉御は続ける。


「まず、『迅雷流』における『纏雷』は紫電に始まり、赤雷を経て、白雷に至る。ライガとて、そうじゃった。つまり、汝の発現した黒雷は『迅雷流』の異例とも言える。じゃが、検討はついておるよ」


 異例ねぇ。

 はてさて、まったく俺には検討がつかんぞ。


「え!?ついてるの!」

「むしろ、ハクは気づいておらんのか」


 はぁ、と姉御はため息をこぼす。

 隣からうっ、という声が漏れているが無視だ、無視。


「とりあえず、汝よ。『纏雷』をやってみせよ」

「はい」


 言われるがまま、『纏雷』を起動させる。

 起動させた『纏雷』は変わらず紫電のままだ。これを黒くしないといけないのだが・・・墨でも、混ぜるか?


「そのままじゃ。大人しくせい」


 俺の周りを黒い霧が取り囲む。

 この感じは覚えがある・・・呪詛だ。そうか、呪詛が関係しているのか・・・!


 呪詛は、俺の紫電に同調し、混ざっていく。

 紫から黒へ。その全てを染めあげるように。

 そして───


「完成じゃ」


 紫電が黒雷へと変わった。

 なるほど。呪詛がピースだったのか。そりゃあ、いくら『纏雷』だけで頑張っても無理だったわけだ。

 詳しい違いは後ほど調べるとして、だ。


「ありがとうございました、姉御」


 礼は言っておかないとな。


「よい、よい。褒美じゃと言ったろう。それにこれは、汝の力じゃ。ハクも関与しておらんようだしの」


 え、そうなのか?

 てっきり、呪詛と言ったらハクロが関わっているかと思ったんだが。


「カカ、妾もそう思ってたんじゃが・・・ハクの反応を見る限り、違いそうじゃ。それに、汝の刀・・・アレがあれば黒雷は生み出せるようだしの」


 そうか。

 呪刀には、呪詛操作のスキルがある。つまり、あれで黒雷にしていたのか。

 なるほどな。

 無我夢中の割に器用なことしていたんだな、俺。


「まあ、その黒い『纏雷』の詳細は汝自信で調べることじゃな。妾もそこまでは知らんからのぉ」

「勿論です。それに新たに賜りました呪印のこともあります。一度、ハクロと共に調べてみることにします」

「そうか、そうか。なら、妾はハクから経過は聞こうかの。面白そうじゃしの」


 愉快、愉快と姉御は笑う。

 それはさておき、少し忙しくなりそうだ。黒い『纏雷』に関しては突き止めないといけないと考えていたところだったし、新たに呪印の問題も出てきた。元々持っていた『再生』スキルとの兼ね合いも調べないといけないしな。それに、『不滅』だ。テキストには不穏なことが書かれているが、残機が増えると思えばいいスキルかもしれない。


「まあ、励め」

「分かりました。姉御からの助言をいただきましたので、一層ー──」

「と、言いたいところじゃが・・・」

「へ?」


 姉御がカンッと煙管に溜まった灰を落とす。

 そして、続ける。


「一つ、頼まれてくれんか」


 そう言い終わるやいなや、姉御は誰かの名前を呼ぶ。


「シュオウ」

「お呼びですか、母上」


 青年が姉御の部屋に入ってくる。

 細身、長身に、深紅の髪の青年だ。特筆するところがあるとするなら、その眼だろう。俺は見慣れてしまったが、蛇を思わせる縦長の瞳孔している。

 「母上」という言葉といい、間違いないコイツがヤトの子供の一人なのだろう。


「まあ、頼みごとがあるのは妾じゃないんじゃ。此奴はシュオウ、妾の息子じゃ」

「初めまして。僕がシュオウ。一応この国の宰相をやらせてもらっているよ」


 宰相っていうと・・・この国のナンバー2ってことか。おいおい、いきなり大物だな。姉御の様子を見る限り、姉御がいちいちエバーテイルの政治を仕切っているとは思えないし、このシュオウが実質政治をしているんだろいう。

 あん?そうか。コイツがハクロの兄貴ってことになるのか。全然、似てねぇな。少しは見習った方がいいんじゃないか。


「君がカガチか。ハクがお世話になっているようだからね。挨拶したかったんだけど、中々時間が取れなくてね。僕以外の兄弟も同じ気持ちだと思うよ」

「いや、こちらこそ。エバーテイルにはお世話になってるんで」

「そうか。そう言ってくれるというかありがたいよ。また、機会があれば他の兄弟との場を設けよう」


 さて、挨拶はこのくらいでいいか。

 本題に入ろう。コイツが俺にお願いしたいことってのはなんだ?

 ある程度、強くなったが・・・だが、それでも足りない。正直、俺を戦闘で使うよりも、ジンカを使った方が役に立つ。それに、あの爺さんは隠居したと言っているが、誘えばのるタイプだろう。なら、戦闘力目当てじゃないかもしれない。

 他には・・・なんだ?


「さて、それで頼みたいことなんだが・・・ハクロにも関係することだ」

「へ?僕にも?」

「そうだ。ホクロクは覚えているか?」


 ホクロクっていうと、アレか。やたらと、敵対視してくる奴らか。

 一回、その息子だかとランの店で会ったな。


「一応、覚えているぞ」

「なら、話が早い。そのホクロクのバカ息子のことなんだが、君と決闘がしたいと五月蠅くてね。ちょっとボコしてくれないかい?」


 おいおい、笑顔でえげつないこと言うな。この人。

 人の皮被った悪魔じゃないのか・・・


「まあ、いいけど。姉御には色々世話になりましたから、その御恩に報いると思えば」

「そっか。ありがとう。一週間後くらいでいいかい?」


 あー、多分何もなかったはず。


「いいぞ」

「助かるよ。それじゃ、当日はお願いね」

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ