試合
「では、カガチとセイカの決闘を始める」
修練場と呼ばれた場所は闘技場に似た場所だった。地面は踏み固められた土。地面に足が取られるということはなさそうだ。
客席までは約五十メートルぐらい。
武器は木刀。相手も同じだ。この国の様式からしてあるんじゃないかとは思ったが、思った通りだった。しかし、使い慣れているとはいえ、スキルのレベル的には『短剣』より低い。
『刀』スキルを取得したのは、先程なので仕方ないと言えば仕方ないのだ。とはいえ、レベルが実力に直結するという訳では無い。
レベルとは一つの物差しだ。その武器、スキルをどの程度使ったかという物差し。故に、武器スキルのレベルが高いからと言って、その武器を上手く使えるとは限らない。ま、レベルによってアーツが解放されたりするから、なんとも言えんが。あくまで、技量だけに目をつけたときの話だ。
「つまり……」
大切なのはスキルよりも、ステータス差ということ。
オッサンの言う通りになら、奴に近接戦闘というのは有利だ。力が強いという鬼人。鬼人というのがどのような種族なのかは知らない。もしかしたら、他にも特徴があるのかもしれない。しかし力が強いというだけで、近接戦闘は強い。それは確かなのだ。
セイカという男の技量は知らない。だが、この場に出てくるくらいだ。決して、下手ではないだろう。
「両者……中央に」
……そろそろ始まるようだな。
審判が促すように、セイカという男と向き合う。
「……」
「……」
互いに無言。張り詰める空気。
「では!始め!!」
それを破る審判の声と銅鑼の音。
「いくぞ?」
セイカが構える。それだけで空気が変わった。重く、息苦しくさえ感じられるものへと。
だが、ライガのそれには敵わない。
笑みを浮かべて、セイカに言う。
「ああ、来いよ」
返答は斬撃で返ってきた。
いいね、そういうのは好きだ。
「……ぐッ」
重く速い斬撃。それに加え、息をつく間もない連撃。こいつは確かに強い。けれども、まだなんとかなる。斬撃は目で捉えられるし、防御も間に合う。
修練場に、木刀と木刀のぶつかる高く、乾いた音が木霊する。
打つ手はある。
連撃の間に少しだが、隙ができるのだ。だから……上手く流し、反撃へと繋げれ、ば……!!
「オラッ!」
攻守交替だ。間隙のない攻撃といきたいところだが……それが出来るほど、俺とこいつのステータスは近い訳ではないらしい。
連撃。それを、セイカという男は余裕を持って対応してくる。そして、攻撃の合間を縫って、横に大きく木刀が振るわれる。
「ふっ!」
「……重っ!」
当然、素直にそれを食らう訳ではない。何とか木刀を滑り込ませて、ガードした。
しかし、簡単に防げるようなものじゃなかったらしい。受けた衝撃で宙に浮かされ、吹き飛ばされる。
「……チッ、まさか元に戻されるとは……」
軽く砂煙をあげて着地。
状況は一進一退の攻防、手に汗握る熱戦……とはいかない。
こんな戦闘は小手調べにすぎず、俺は兎も角、セイカは本気を出していない。セイカの本気の片鱗、それは最後の一撃に表れている。
さて、どうしようかなと考えていると、セイカが突然口を開いた。
「……すまん」
「あ?」
「ここまで出来る者とは思わず、手加減をしていた」
何言ってるんだ、コイツ。
なに?煽られてる?
お前程度、実力を出さなくて十分だと?
ああ……知っているとも。そんあこと、わざわざ言われなくても分かっている。
「その非礼を詫びよう」
「へぇ……」
「今度は本気でいかせてもらう」
セイカが、再び構える。その身体を赤く揺らめくオーラに包まれていく。
本気……その言葉に偽りはないようだ。
「しかし、しかしだ」
「?」
「舐められる、侮られると言うのはなかなかに気分が悪いもんだ」
「えっ?いや……それは…」
分かってる、分かってるとも。こんなものはただの八つ当たりに過ぎない。全て弱い自分が悪いのだから。ステータスも、スキルも、技量も、頭も……全て、何もかもが足りない。足りなすぎる。
そして、今の俺は酷く機嫌が悪い。悪すぎる。
ライガにボコされ、あらぬ冤罪をかけられた。はてには、力を示せと見世物にさせられる始末だ。ああ、イライラする。ライガ、そしてホクロクとかいうジジイ、あとハクロ……絶対にやり返すからな。
「だからさ、俺の八つ当たり受け止めてくれ」
「はい?」
瞬間、疾駆を開始する。彼我の距離を一瞬にして詰める。
まずは、何を言っているのかわからないという間抜け顔に突き……ッ!!
「……なっ!?」
次いで驚き、よろめいた所に足を掛けて転ばす。
「うわっ!?」
「ふっ!」
そのまま、転んでいるセイカを目掛けて木刀を振るう!
「ぐっ……!?」
「ちっ」
振るわれた木刀は、咄嗟に差し込まれたセイカの木刀に阻まれてしまう。
「卑怯だぞ!」
「卑怯もクソもあってたまるか!」
一対一のタイマンの時点で正々堂々だし、なんならまだ目潰しも使ってない。ここが『壬生浪』だったらタイマンなんてないし、不意打ち、漁夫の利、肉壁なんでもゴザレだ。よって、俺は卑怯じゃない。QED、以上。
いや、そんな|現実逃避≪言い訳≫をしている場合ではなく。
クソっ……決めれなかったのは痛い。こんなモノは所詮、初見殺しにすぎない。次は決まらないだろう。そもそもこの戦法、初手の顔面への突きの対応によるからなぁ……戦法としては、下の下もいいところなんだよ。
「さて…どうするか…」
「なんだ、来ないのか!ならば、こちらから行くぞ!」
あ?なんぞ?間抜け面晒していたくせに。
セイカの行動はシンプルだった。奇を衒うようなことはなく、シンプルに詰めてくる。だが、そのスピードはより早く、振るわれる木刀から伝わる力は強い。
「…っと、あぶね」
やっぱり、速い。それに、重い。下手に受けたら木刀を折られて、そのままノックアウトしそうだ。
打ち合うよりは、流す方がよさそうだな。
「まだだ!」
さっきよりも速い連撃。先刻よりも、些か荒いがその分一撃一撃を下手して受けられない。
しかし、速いと言ってもライガ程じゃない。避けることは出来る。木刀も捌ける。けれど、反撃の糸口が掴めない。
防戦一方……ステータス差が馬鹿にならない。観客席のジジイの顔が喜色に染まっている。クソが……
「……やっぱ、ステータス差はキツイ」
「?」
「それを埋める手はある」
ステータス差。それを埋める方法は確かにある。だが、それについては不安しかない。だってなぁ、あのライガ戦の後に勝手にあったからなぁ。
でもまあ、使わないと勝てない。ならば、使わないという選択ない。
「よしっ。一か八か、使ってみるしかねぇな」
「……何を言っている?」
俺の言葉に、セイカは訝しむように攻撃の手を止めた。
俺の様子に、何か不気味なものを感じたのか。奴は距離をとった。
「驚くなよ?何せ……俺もこれは使ったことはないからな……!」
「?」
「ふっ……!」
「…………は?」
───紫電が迸る。
**
「ほう……」
修練場。その客席。周りとは一段高くなった場所。
そこで鎬を削るカガチとセイカを見ていたヤトは、思わず声を漏らした。
「どうしたの、母さん?」
その声に反応したのは一人。いや、一匹というべきか。
彼女の隣。彼女が側に侍らしている二匹の大蛇とは異なる白蛇。彼女の息子たるハクロは、何処か嬉しそうなヤトの声に問い掛けた。
「……なに、少し昔を思い出してな」
ヤトの脳裏に浮かぶのは、何百年も前のこと。しかしその年月に反して、脳裏に浮かんだ男のイメージは鮮明で、昨日のことのようだ。
「お前もあれは知っているだろう」
「……う、うん」
彼女達の視線の先。そこにはカガチがいた。しかし、その姿はハクロの記憶に残るものとは少し異なっている。
紫電を身に纏う姿。
それは――ハクロが数時間前に見た男の姿と酷似していた。
「あれは───」
「そうじゃ。あれはライガと同じものじゃ。名を『纏雷』。迅雷流の唯一の受け継がれる技であり、迅雷流の真髄よ」
**
「なんだ、それは!?」
「さあな?」
いつの間にか取得していた『迅雷流』というスキル。そのスキルは、いやその流派は、おそらくライガと同じものである。
その流派に型という型はなく、技と呼べるものは一つしかない。
迅雷流におけるたった一つの技、それが『纏雷』だ。言葉の通り雷を纏うスキルであり、身体強化系のスキルである。
俺の貧弱なステータスを押し上げる唯一の技。これで勝てなかったら、それはそれ。使わないで負けるよりも、よっぽどいい。
「じゃあ、そろそろ終いにするか」
「…………」
セイカの顔が険しいものに変わる。
侮られた、とでも思っているのか。だが、もう幕引きだ。
俺が倒れるのか、お前が倒れるのか……それはどうか分からない。だが、終わりは確実に近い。
まあ、負けてやるつもりはない。一応のプランもある。
「実際、お前は強いよ。だけど……もう俺の勝ちだ」
「……これでも同じことが言えるのか?」
勝率は半々。博打もいいところではある。
セイカの身体から湧き上がる赤いオーラが増す。
しかし、そうじゃないのだ。俺が欲しかったのはパワーよりもスピード。俺はただ、アイツに一撃さえ与えられればいいのだから。
まあ、博打みたいなもんだが、このまま殺られるよりはいい。
どちらにせよ、そろそろ決まることだけは確かだ。拮抗して長引くことは無い。
チラリとHPを見れば、少しずつだが削れ続けている。これが『纏雷』のデメリットだ。纏雷の強さによって、スリップダメージが発生してしまう。今は最弱にしてあるから、この程度で済んでいるが……こいつと渡り合うためには、超えるためにはこの程度では駄目だ。必然的に纏雷を強くしなければならない。
「言えるとも」
「………」
「まあ、ゆるりとしてけ」
思いついたのは、杜撰だが、恐らく最も勝率が高い作戦。しかし、失敗すれば、反動も大きい。いや、その時点で負けは決まったものだろう。
「行くぞ」
返答を待たず、『纏雷』を最大にする。MPがみるみる減り、反動としてHPも同じようなスピードで削れていく。
与えられた時間は十秒と言ったところ。その間に決めてやる。
「………くっ」
恐らく、速さでは上回っている。だが、力では敵わないだろう。だから、それを生かす。
「ふっ……」
スピードを活かしたヒットアンドアウェイ。一撃、一撃は敵わないが、それでも手数で、隙をついて攻めていく。
しかしその連撃の最中で、俺が力では劣っていることに気づいたのだろう。セイカは防御ではなく、反撃を選択した。俺を完璧に捉えた一撃。回避は出来ず、受け止めるしかない。
そこは流石、とセイカを褒めるべきだ。セイカは経験と直感で、俺を捉えたのだから。
「……くそっ。これで──」
先ほどと変わらず、力のこもった一薙。力で負ける俺がそれを抑えられるはずが無い。また、吹き飛ばされるだろう。それで時間稼ぎでもするつもりなのか。もしくは追いかけて、攻勢に移るつもりなのか。それはセイカのみが知ることだろうし……俺が知ることもない。
なぜなら──
「何度も同じ手を食らうかよ」
「何ッ!?」
吹き飛ぶ。今度は俺ではない。俺の木刀が、だ。
必中の一撃は、俺の身体に当たることはない。代わりに俺が防御のために刺しこんだ木刀が宙を舞う。吹き飛ばされる直前に木刀を手放した俺は吹き飛ばされることはない。
その代償として、俺は地面スレスレの前傾姿勢を強いられる。判断を間違えば地面と激突して、死ぬかもしれない。
だが――生憎と俺の脳は不満と怒りを燃料にフルスロットルだ。こんなの、ライガの刀を避けることに比べれば容易い。
「オオオオォォォォォ!!」
歯を食いしばって、こけるのを防ぐ。地面にたたきつけようとしてくる運動エネルギーと慣性。
足りねえ、足りねえ。この程度の無茶、幕末の京都に比べれば……!!
一歩、脚を動かす。もう止まれやしない。止まる必要などどこにもない。
二歩、セイカの間抜けた顔を視界に写る。鳩が豆鉄砲を食ったような顔。無理もない。人間、想像としていなかった感触、現実を目の当たりにすれば、思考に空白が生まれるというもの。
だが、その空白は大きな隙だぜ。とりあえず、いきなり空から人が殺意マシマシで落ちてきても、冷静に迎撃出来なきゃあな。
何が起こっているか分からないというセイカの懐に入った。セイカの腹に掌底をあてる。
「喰らいな。なんちゃって、スタンガンだ」
「ガァァァ!?」
そして、ゼロ距離で放電を開始。やったのは、ライガがやったのと同じ事。アイツのはもっと威力があったが、俺の残ったMPじゃ、これが限界だ。
倒しきることは出来ない。だが、それは重要じゃない。重要なのは、セイカの耐性を抜けるかどうかだ。
「……悪いな。俺の勝ちだ」
ガクンとセイカが倒れる。
炎が燃焼という状態異常を引き起こすように、氷が凍結という状態異常を引き起こすように、雷は気絶を誘発する。利用したのは雷属性の持つ特性だ……気絶するっていうのは、身に染みて解っているからな。
これで耐えられたら、もう何も出来なかった。というか、HPがもう殆ど残ってねぇしな……白旗を振るしか手はなかったなぁ。
「……んっ」
目線で審判に催促する。
ほら、俺の勝ちでいいんだろ?
「しょ、勝者、カガチ!」
……歓声はない。
誰も俺の勝利を望んでいなかったのか。それとも、目の前の光景が信じられないのか。
どっちでもいいな。俺としては、ジジイの悔しそうな顔が見られただけで満足だ。
ファンサとして、手を振ってあげるか。
……おおっ、随分と鋭い眼差しだこと。
「これで判決は決まった!!カガチは無罪とする。汝らもそれでいいな?」
ヤトが、この茶番の終わりを宣言した。
それにジジイは、苦々しく言葉を絞り出す。
「………滅相もありませぬ」
余程、俺の無罪が気に入らないのかしかめっ面を奴らは隠そうともしない。なんか、面倒になりそうだ。
「カガチ」
ん?何?まだなんかあるのか?
「この後、妾の元へ……そうじゃな、ヒョウベエ。カガチを連れてくるように」
「は、はいっ」
へぇ、あのオッサンの名前、ヒョウベエって言うのか覚えておこう。というか、まだ、何かあるのか?そろそろ疲れてきたんだが…
「お、おい!」
「ん?」
やめろよ、オッサン。そんな興奮すんなって。
「なんだ?嬉しくないのか?名誉な事なんだぞ、ヤト様にご謁見させて頂けるのはな」
「いや、だって、先ず、ヤト様がどういった人物か知らないし……」
そもそも、ここが何処かさえ知らないのだ。そんなことを知っているはずがないだろう。
「ああ、知らないのか。ヤト様はな、お前らが言う七帝の内の一人だ」
爆弾発言であるが、俺の驚き自体は少ない。むしろ、やっぱりという感じだ。
存在感というか、雰囲気というか。その辺がなんかライガと似ていたから七帝かそれに準ずる者かとは思っていたが、予感的中らしい。ということは、あの蛇は……ハクロは七帝の息子に当たるのか。
ん?そういや……ライガの時って、遭遇しましたーなんて言うインフォが来てたような……
いや、普通にあったわ。
履歴を少し遡るとそれは簡単に見つけられた。やはりというか、単に見逃していただけらしい。
「ヤト様はな。その昔、迫害されていた我らの祖先を助け、この地にヤト様の血族と鬼人族の国、エバーテイルを建てられたのだ。我らはその時の恩を忘れず、今もあの方に忠誠を誓っているのだ。ヤト様は偉大なお方でな、万人に分け隔てなく接してくださる。それにヤト様がいなけりゃ、この国は成り立っていない」
ふーん。ヤト様の血族と鬼人族の国、ね。ハクロみたいなのが、あと数人はいるのだろうか?もしかしたら、数十人かもしれないが……いや、人じゃなくて匹か?蛇だし。
「なあ、あのジジィ達はなんなんだ?」
「ジジィ?」
「あのしかめっ面していた奴らだ」
「ああ、ホクロク殿か。彼等はハクロ様のお目付け役だ。だから、今回のハクロ様の失踪に頭を悩ませていたんだよ。お前のせいにすれば、幾分かは罰が軽くなるかもしれないからな」
それに……と彼は続ける。
「何よりも……アイツらは人を嫌っていてな。過去に俺たちの先祖を迫害したのは、先祖様達を恐れたからだっていうのを信じてるさ」
「へぇー」
成程。全ての原因はハクロだと。やっぱり、一発殴るか。
「そんなにも、お目付け役って権力あるのか?」
「まあな。単純に血族の方と親しくなれるという利点もあるし、何よりも呪印を承れるかもしれない」
「呪印?」
「詳しくは知らないが、強力な物らしい。俺たちに伝わる話によると血族の方が認めた、たった一人の者にしか与えられないものらしくてな……付与するには噛む必要があるんだとか……」
オッサンが、呆けた顔をする。
なんだなんだ……?
まるで、今更そんなことを聞かなくても……?みたいな顔をされても、初耳だぞ。
「呪印に関しては、お前の方が知っているだろ。なんたって、その呪印を賜ってるんだからさ」
「は?」
何を言って――
「ほら、お前の左手。痣があるだろ。それが呪印だ。ヤト様がおっしゃっていただろう。『片割れ』だとか、『契約者』って。アレは全て呪印保有者を指す言葉だ」
ちょっと、待ってくれ。話が理解できない。何やら大層なモノを押し付けられたようだが……まずは本当にソレがあるかだ。
左手を見る。左手……そこに見覚えのない痣があった。確か左手は……あの蛇に噛まれたところだ。そうか、あのときか。あの時に……!
「………」
「……喜べよ。大層な栄誉だ」
おい、目を合わせろよ。知ってるぞ、間違いなく面倒ごとに発展するタイプのヤツだろ。
「…消し方は?」
「賜ること自体、大変な名誉だ。消したいと思った人がいるとでも?」
クソがッ。あのクソ蛇め……!!
あー、でも待て待て……すぐに判断を下すのは軽率だろう。まだ呪印というモノの詳細を知らないのだ。呪印がどのようなモノなのかを知ってからで遅くない。
まあ、それとは別に、あの白蛇は殴る。絶対、殴る。
「……ま、まあ。多分、大丈夫だろ。お前の力は知れ渡ってる」
「??」
「……お前、セイカに勝っただろ?前に言ったが、アイツは結構強いんだよ。ソイツに試合で、それもヤト様の御前で勝ったんだ。そうそう馬鹿な真似は出来んだろ」
「……本当に?」
「……バカが出ない限りは」
それって、そんなバカがいるってことだよな?なあ?
「……ほら、ついたぞ」
あっ、逃げやがった。まさに脱兎の如く、一瞬で逃げるとは……アイツめ。
「ふむ。そこにいるんじゃろ?入れ」




