第98話 第3層の試練
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俺が瘴気の吸収を止めると、部屋中の瘴気が濃くなっていく。瘴気が銅像に集まり始めた。
「え? 動いた!?」
「そういう事だったのか……」
壁一面に配置された銅像が、壁から剥がれるようにして、動き始めたーー。
鑑定してみると……
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【デモン】Lv.80 / Sランク
【スキル】火魔法:Lv.10
【補足】不明
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「デモンって言うらしい、Sランクだ!」
「Sランクがこんなに!?」
「リオ、バリアを頼む!」
俺達は中央に集まって、ドーム状のバリアを張った。
「全部と戦ってたらきりがないからな、一瞬で終わらせるぞ!」
俺は真上に黒い水球を浮かべた。水球を回転させながら、風魔法で作った竜巻で水球を覆う。バリアの外で吹雪が舞い始めた。
『氷霧』が全てを凍らせるーー。
「まだ倒せないの?」
「おかしい……動きは止まっているのに、マーカーが消えない」
俺が『氷霧』を抑えると、そこには、大量のデモンが凍りついていた。
「これで倒せてないの?」
「マーカーが消えてないからな。氷が溶ければ動き出すんじゃないか?」
「もしかすると、この魔物もゴーレムの一種なのかも知れませんね……」
「誰かに作られたってことか?」
「そうです。色んな魔物を知ってるつもりですが、この様な魔物は見たことがありません。
本にも載っていない魔物は、ゴーレムの様に作られた可能性が高いかと」
「ユダが言うならそうかもしれねぇな。俺に会う前は王城の本の虫だったぐれぇだからな」
「お城に寄贈されている書物の、保管と管理をする仕事を任されていただけです。確かに仕事の合間に読み漁ってはいましたが……」
本の虫が何故、転移者のレンと旅をすることになったのか、少し気になったが、今は置いておくとにした。
「ゴーレムと同じなら、魔石を壊せばいいってことか?」
俺は血刀を構えて、魔素を込める。
刃が黒く染っていくーー。
凍っているデモンの魔石の位置を確認し、魔素血刀で真っ二つにした。
魔石を斬られたデモンは、黒い霧になって消えた。
「1体ずつ倒していくのは骨が折れそうですね……」
ユダが言う通り、俺が凍らせたデモンはまだまだ大量にいる。全てを倒すのは時間がかかりそうだ。
「それもそうだな。ん?……何の音だ?」
俺達が話していると、階段の方から音が聞こえてきたーー。
「また!?」
階段を上ってきたのは、大量のデモンだった。
階段の途中に配置されていたデモンが集まってきたらしい。デモンは羽を広げて部屋中を自由自在に飛び回っている。
「また凍らせるか!」
全員がバリアに入ったことを確認し、黒い水球を作り出した。
水球を回転させ始めると同時に、デモン達が一斉に黒い火球を作り始めた。
「攻撃してくるみたいだよ!?」
「いや、違うみてぇだ……あいつら、自分の体を燃やして、凍るのを防いでやがる」
レンが言うように、デモン達は自分で作った黒い火球を体にぶつけて、身体中を黒い炎に覆わせていた。
魔石が無事ならいくらでも修復できる、ゴーレムだからこその対応策だ。
「そんなに燃えたいなら、もっと燃やしてやるよ」
俺は、氷霧を消して炎流に切り替えた。
部屋の真ん中で赤黒い炎が暴れ狂う。
炎流はデモンを包み込んでいく。炎流が通った後に、デモンの姿はなかったーー。
地面に魔石が次々と落ちて、魔石の山を作り始めた。
しばらくすると、マップからデモンのマーカーが全て消えた。
「終わったみてぇだな。
すげぇ威力だったが、炎流に魔素を加えたのか?」
「そうだ。
思っていた以上の威力に自分でも驚いている……」
俺は『炎流』を消した後、小さい『氷霧』を作って部屋中の温度を下げた。
部屋が元に戻ると、リオが、ユダを連れて魔石集めに向かった。
俺とレンは待ってる間に、それぞれの課題に向き合うことした。
「魔力回路の調子はどうだ?」
「だいぶ操作が慣れてきたな……」
俺は魔力測定器の水晶を真っ赤に光らせながら答えた。
「そっちはどうなんだ? 新技の改良は進んでるのか?」
「どうやって囲むか考えてるんだが、中々いい方法が思いつかねぇんだ……」
「土魔法を使って閉じ込めたらどうだ?
属性強化を使えば、水圧にも耐えれるはずだ」
「属性強化ってなんだ?」
「教えてなかったか?
例えば、土魔法に使うとこんな感じだ。血刀でも斬るのに手こずる硬さだぞ」
俺はレンに、土の剣に属性強化を使って渡した。
「かなり硬ぇな……属性強化かーー」
レンは自分の世界に入り込んだのか、ブツブツ言いながら、属性強化の練習を始めた。
※ ※ ※ ※
「そろそろ、次の階層に向かうか!」
「そうするか! ジンのおかげで捗ったぜ!」
レンは何かを掴んだのか、いつもより上機嫌だ。
「大量、大量!」
リオも魔石を集めて機嫌がいい。
「次の階層は、ドラゴンがいる階層でしたよね……?」
ユダが不安げに聞いてきた。
「他のダンジョンは、4層はドラゴンだったからな。それがどうかしたか?」
「いえ……西のダンジョンがフロストドラゴンでしたので、ここでは、何が出てくるのかと思いまして……」
「SSランクのドラゴンが出てくるのは、ほぼ確定だろうな。次の階層の雰囲気を見れば、ある程度検討が着くんじゃないか?」
「そうですね。先に進みましょうか」
俺が、祭壇の本に魔力を込めると、目の前にゲートが出現した。
俺達はゲートを通って、4層へ向かったーー。
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