第95話 第2層と裏技
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ゲートの先は、通路だった。
左右はレンガ状の壁に囲まれていた。天井は無く、見上げると、空が見えた。
後ろを振り返ると、ゲートが消えてレンガの壁が現れた。前に進むしかなさそうだ……
「ジン、マップ見たか?」
「見たが、これは凄いな……」
「かなり大掛かりな迷路みてぇだな」
マップには広大な迷路が映し出されていた。迷路の全容はマップでも表示しきれない程に広いようだ。
◆東のダンジョン……第2層『迷路』
「マップに祭壇は表示されていないな、どうやって攻略する?」
「天井が空いてんだ。今まで通り、空から見ればいいんじゃねぇか?」
「それじゃ、僕が見てきますね!」
ユダが魔力強化<火>を発動させて、勢いよく跳躍した……が、凄い音を立てながら、ユダが上から落ちてきた。ユダは頭を抑えて蹲っている。
「大丈夫か? 何かにぶつかったみてぇだが……」
「はい……壁があります」
「壁か……」
俺は上に向けて、火球を放った。火球は見えない壁に当たって消滅した。
「バリアみたいだな」
「ジンくんの高威力の火球でも壊れないなんて……」
俺の火球が当たった所は、黒い焦げ跡が残っている。全力では無いが、魔力コントロールが不十分な、今の状態の火球で壊れないとなると、それなりに頑丈そうだ。
「そうなると、壁も越えれねぇか……」
「迷路を攻略するしかないな。マップを見ながら最短ルートを探すか」
「そうだな。ユダ、歩けそうか?」
「はい、大丈夫です。役に立てず、すみません。先導をお願いします……」
ユダの落ち込みようが半端ない。俺とレンでマップを確認しながら先導することにした。
※ ※ ※ ※
「かなり進んだはずだが……」
「スタート地点もわからなくなっちまったな」
迷路はかなり複雑で、マップで見えていても、1度進んだ道かも分からなくなってしまった。
「ねぇ! あれって……」
リオが上を指さしている。指さす方を見ると、空に黒い焦げ跡が付いていた。
「あれは、ジンさんが付けた焦げ跡見たいですね……」
どうやら、スタート地点に戻ってきた様だ。
「おかしくねぇか?
スタート地点は左右と後ろが壁に囲まれていたはずだろ?」
俺達が進んできた道は、前にも後ろにも壁がない。
「そうだな……壁が消えたのか?」
「ジン! マップを見てみろ!」
レンがマップを見ながら叫んだ。俺もマップを確認してみると……
「迷路が変化しているのか……」
マップでは、迷路の壁が動いていた。行き止まりだった場所に道が出来て、一本道が行き止まりになったりしている。
しばらく見ていると、迷路の変化が止まった。
「こんな迷路、攻略出来るわけねぇだろ!
迷路が動くとか反則すぎるだろ……」
「そうだな……今は変化が止まっているが、またいつ動き始めるか分からない。
ゆっくり攻略してる暇は無さそうだ」
「急ぐしかねぇな!」
※ ※ ※ ※
俺達は、迷路が変化する前に祭壇を見つけるために、マップで確認しながら、迷路の中を走り回っていたが、突然、迷路が変化が始まった。
迷路の壁が次々に変化していくーー。
「レン! 止まれ!」
「レン様!」
「なっ!?」
俺の目の前に壁が出現した。レンとユダは壁の向こう側だ。
「ジン! 聞こえるか?」
「あぁ! こっちは大丈夫だ!」
「無事みたいだな!
まずは合流しねぇとな……」
「それでは、マップで合流地点を決めて移動ーー」
「ちょっと離れれてくれ!」
俺は目の前に現れた壁を、おもいっきり蹴飛ばした。壁は簡単に崩れて、合流することが出来た。
「ジンさん……めちゃくちゃですね……」
「合流出来ただろ?」
「ジンくんのめちゃくちゃ具合は今に始まったことじゃないからねー。あの時だってさ……」
リオがフォローなのか分からないが、ユダに説明を始めた。
「レン、そろそろ終わらせてもいいか?」
「そうだな……このままじゃ時間がかかっちまいそうだ」
「そうと決まれば行くか!」
レンが正規の攻略を諦めたので、俺は通路を歩き始めた。
「あれ? ジンくん、もう行くの?」
「迷路の変化は終わったんですか?」
「もぅ、変化なんて関係ないからな」
「ジンくん? そっち壁だよ?」
「問題ない、このまま進むぞ」
俺は壁を蹴飛ばして、文字通り真っ直ぐ進んだ。
「攻略辞めちゃったんだ」
「そう言うことだ」
※ ※ ※ ※
「迷路が動かなくなった見てぇだな」
「そういや、動かなくなったな」
「ジンくんが壁壊しちゃうから、守護者が諦めちゃったんじゃない?」
「壁ぐらい誰でも壊せるだろ?
お、あったぞ!」
雑談しながら、進んでいると、マップに祭壇のマーカーが表示された。
俺達は祭壇に向かったーー。
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