第90話 ブレスと魔力回路
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「これぐらいの広さで大丈夫?」
「あぁ、助かる。危ないかもしれないから、離れててくれよ」
「うん、わかった!」
晩飯を食べ終えた俺達は、異空間を新たに作っていた。この異空間は俺がやってみたいことをするために、作ってもらった空間だ。
「ホントにブレスなんて作れるの?」
「やってみないと分からないが、理論上は出来るはずだ」
俺は今、ドラゴンのブレスを作ろうとしている。
何度も間近で見てきたので、魔素の量も動きも分かっている。後はそれを実際に出来るかどうかだ。
「やるぞ……」
俺は手のひらを前に突き出し、ブレスの核になる魔素の塊を作り出した。
全て魔素で作ると爆発してしまうので、魔力を練り合わせて安定させている。そこに魔素を送り込む、が……
「あぶないっ!」
リオの叫び声と同時に、魔素が爆発した。
「大丈夫?」
「あぁ、大丈夫だ……」
手を魔素で覆っていたので、怪我はない。服の袖はボロボロになったが……
初めから成功するとは思っていないので、これぐらいの失敗は想定内だ。
※ ※ ※ ※
「また、ダメか……」
俺はその後も、同じ失敗を繰り返していた。魔素を送り込むと、どうしても制御が出来なくなってしまう。制御さえ出来れば、あとは指向性を持たせるだけなのだが……
「魔素じゃないとダメなの?」
「ん? どういう意味だ?」
「魔素だけを送り込むから制御出来なくなるんじゃないかなって思って」
「制御出来るように、魔力も送り込むってことか……」
俺は手を突き出し、核を作り出す。核に魔素と魔力を均等に送り込んでいくと、少しずつ核に魔素が蓄えられて行く。
しばらく送り込むと、手のひらの前に、30cm程の黒い球体が完成した。この球体にはブレス並の魔素が蓄えられている。
俺は、球体を10cm程まで圧縮する。圧縮された魔素は暴れて今にも爆発しそうだ。制御が効かなくなる前に前方に向けてブレスを放った。
黒いブレスが一直線に伸びた。ブレスは徐々に細くなり、異空間に消えていった。
「やった! 出来たね!」
リオが自分のことの様に喜んでくれているがーー。
「いや、ダメだ……」
「なんで!? すごい威力だったよ?」
今のブレスは、まさにドラゴンのブレスそのものだった。だが、あのブレスは実戦で使えるレベルのものではない。
魔力を送り込めば制御できるが、魔素が薄れてしまう。ブレスに必要な魔素量にするには、更に倍の魔素が必要になり、燃費も悪い。
それに、魔素はただでさえ扱いが難しく、魔力のようにスムーズに動かすことができない。そのせいで、ブレスを放つまでに5分程かかってしまった。これだけ時間がかかると、戦いの最中には使えないだろう……
「今のだと、時間も燃費も悪すぎる。せめて時間だけでもどうにか出来れば……あれが使えるかもしれない!」
俺は、緋緋色金の存在を思い出した。緋緋色金は魔力伝導率の高い物質だ。魔力が含まれている魔素なら伝達速度もあがるかもしれない。
俺はアイテムボックスから緋緋色金を取り出した。
緋緋色金を両手で持ち、右手から左手に魔素を通してみると、魔素は緋緋色金に触れた瞬間には左手に届いた。
「これなら魔力並に魔素を使えるかもしれない!」
「それじゃ、それで武器を作るの?」
「いや、それだと結局、武器に魔素を送り込むのに時間が掛かってしまうだろ?」
「そうだね……じゃあどうやって使うの?」
どうやって使うか……俺は緋緋色金を手に入れた時に色々考えたが、武器に能力付与しても、武器が手元から無くなれば意味がない。
それなら……
「体に能力付与する」
「え!? 石を食べるの?」
リオが目を見開いて驚いている。石より硬いエレメンタル産の調味料を毎日食べているくせに……
「安心しろ、食べなくても能力付与する方法はある。先ずは緋緋色金を粉状にする」
俺はアイテムボックスに収納して、緋緋色金を少量だけ粉状にした。
緋緋色金の粉末を、手の上に取り出してみると、赤金色に輝いていた。
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【緋緋色金の粉末】<伝達強化>
魔力伝導率が高い合金。
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粉末にしても、効果に変化は無いようだ。
俺は右手の魔力が流れる『魔力回路』に緋緋色金を能力付与した。右手に乗った粉末は溶けるように消えた。
「能力付与できたの?」
「出来たみたいだ。魔力の流れ方が変わった……試してみるか」
右手と左手に魔素を流して、魔素の玉を作ってみる……
左手は今まで通りドロドロしたような魔素が流れる感覚があり、作るのに時間がかかる。
それに対して、右手は魔力と同じぐらいの速度で魔素が流れていき、あっという間に玉が出来上がった。
「ここまで違うとはな……」
「体は大丈夫なの?」
リオが心配してくれている。そりゃ体に異物を入れれば心配されて当たり前だろう。
「特に問題無さそうだ。逆に右手だけが魔力の通りが良すぎるぐらいだな」
俺は緋緋色金を体中に能力付与した。緋緋色金を半分程使った頃には、全身の魔力の流れが全く違うものになった。
「もう一度、ブレスを打ってみるか……」
俺は手を前に突き出した。
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