第83話 3層の試練と魔素の属性変換
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次の日の早朝……
「なんだこれ!」
「夜の間に地形が変わったのか?」
「そのようですね……」
「これって遺跡だよね……」
俺達が魔導船から出てくると、目の前には遺跡ができていた。
遺跡の周りには、木が隙間を埋めるように立っていて、早く入れと言わんばかりに、遺跡の入口が強調されている。
「この中に、祭壇があるみてぇだな」
「多分、次の層に続いている祭壇で間違いないだろうな……」
「ってかこれ、守護者がわざとやってきてるよな?」
「だろうな……とにかく、遺跡に入ってみるか」
マップには遺跡の中に祭壇が表示されていた。
俺達が遺跡に入ると……
「いきなり扉か……」
「早く来いってことなんじゃねぇか?」
入っていきなり、目の前に大きな扉が現れた。
扉を開けた先は、円形の部屋になっていて、奥に祭壇が見える。
「このまま試練を受けるつもりですか?」
「この階層の魔物はまだ確認してねぇしな」
俺が部屋に入ろうとすると、2人に止められたので、1度遺跡から出て、魔物を確認することにした。
「それじゃ、魔物を出すぞ」
俺が瘴気の吸収を抑えると、遺跡の前に瘴気が集まり始めた。瘴気は徐々に形を作っていき、魔物が作られた。
「この階層の魔物は蜘蛛みてぇだな」
「相変わらずデカいですね……」
3層の魔物は、1mを超える巨大な蜘蛛の魔物だった。
「ここのダンジョンにはこんなのしかいないの!?」
リオが魔物を見て叫んだ。蜘蛛も苦手らしい。
この魔物はミアズマスパイダーと言うらしい。
「魔物の確認も済んだし、試練に向かうぞ!」
そう言って、火球を蜘蛛にぶつけて消滅させた。
「容赦ねぇな。何急いでんだ?」
レンには、俺が急いでいる様に見えたらしい。
俺が、早く試練に向かいたいのは確かだ。その理由は……
「急いでるわけじゃないんだが、ちょっと試したいことがあってな」
「新技か?」
「まぁ、そんなところだ」
能力付与で魔法同士を合わせれるなら、色々試してみたい。どうせ試すなら魔物相手の方がいい。
試練の部屋は試すのに打って付けというわけだ。
「リオ、バリアを頼む」
「わかった!」
俺達は、祭壇の所まで移動して、バリアの中に入った。俺が瘴気の吸収を抑えると、部屋の至る所に瘴気が集まり始めた。
瞬く間に、地面には1m程の蜘蛛がワラワラと群がり始めた。
「バリアを張ったってことは、炎流見たいな広範囲の魔法なのか?」
「そうだ……だが、今回のは魔素を使ってみようと思ってな」
そう言って、部屋の真ん中にデカい水球を作り出した。5:5になるまで、魔素を込めていく。
水球は徐々に黒く染っていき、周りに霧が立ち込めてきた。
「なんか寒くない?」
バリアを通して冷気が伝わってくる。
「魔物の動きが遅くなってませんか?」
数体の蜘蛛は完全に動きを止めていた。その足には、霜が付着している。だが、絶命には至らない。
今の魔素濃度だと、これ以上の属性変換は出来そうにない。なので……
「これに風魔法を能力付与する」
水球の周りに、竜巻が発生すると、一気に部屋の温度が下がり始めた。
バリアの向こうはブリザードの様になっていて、蜘蛛の姿は全く見えなくなってしまった。
「ジンくん……寒すぎ……」
リオが震えながら言ってきた。マップで確認すると、魔物のマーカーは消えていた。
「もう終わったみたいだ」
俺は、魔法を解除した。徐々に部屋が見えてきた。
「すげぇな……部屋中が凍ってるな」
「まさか、今のは魔法で氷を作ったんですか?」
「氷を作ったというより、水の性質を変換したんだ。
魔素には属性の性質を変える力があるからな」
「なるほど……確か、寒い地域の魔物は氷を作り出せると聞きました。あれは、魔素の性質を使った魔法だということですか!」
ユダが興奮しながら、メモを書いている。
ちなみに、リオはブリザードが止むと、魔石の回収に向かった。そんなに、集めて何に使うつもりだ……
「リオの魔石回収が終わったら、4層に向かおう、それまで休憩だ」
「休憩ったって、起きてから何もしてねぇぞ」
「そうですね……それでは、僕が魔石を拾ってきますので、レン様は複合魔法の練習をしてください
リオさんを呼んできます!」
「そうだな、それじゃ、頼むわ!」
レンはリオが作ったバリアの中で複合魔法の練習を始めた。相変わらず、ユダのレン好きはブレない……
俺は座って待つことにした。
「ねぇ、さっきの魔法の名前考えたんだけど!」
俺と同じく、暇になったリオが隣に座りながら話しかけてきた。
「どんな名前だ?」
「んとね、『氷霧』なんて、どうかな?」
「『氷霧』か、いいと思うぞ」
部屋全体を凍らせた魔法の名前は、氷霧に決まった
俺達は、雑談をしながら、ユダが魔石を集めるのを待つことにした。
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