第7話 初依頼と懐かしの味
・文章の修正を行いました。(2019/7/20)
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朝日で目が覚めた俺は、宿のおばちゃんに言ってタオルと桶を借りた。
さすがに2日間風呂に入っていないのはキツイ……
水魔法で桶に水を張りタオルで体を拭いた。
「そういや、今日からの宿賃すらないのか……
服もどうするんだよ……」
また無一文に戻った俺は、斬られた服を見ながら呟いた。
「まずは依頼をこなしながら金策しないとだな……とりあえずギルドに向かうか」
今日やることを決めた俺は、足早にギルドへ向かうことにした。
「冒険者はみんなギルドにいるのか?」
ギルドまでの途中、冒険者らしい人を片っ端から鑑定していたが、全体的に冒険者が少ない気がする。
この街には、Dランクまでが多い様で、8割はDランク以下だ。
Cランクはたまに見かけるが、Bランク以上はまったく見かけなかった。
ちなみに、Dランクの人のスキルはLv.1〜Lv.3程度で、Cランクの人はLv.4以上のスキルを1つは持っていた。
AランクのカインがLv.7の剣術スキルを持っていたので、Aランクになるには、あれぐらいのスキルレベルを持てる実力が必要なのだろう。
そんなことを考えているとギルドに着いたので、扉を開けて中に入った。
「え……?」
ギルドに入った俺は、目の前の光景に驚いた。
早朝にも関わらず、昨日見た冒険者の数を軽く超える人達が、我先にと依頼ボードに詰めかけていた。
目当ての依頼書を取れた人は、受付に向かっているので受付カウンターにも人集りが出来ている。
「まさにバーゲンセールのおばちゃん状態だな……」
あそこに入る勇気がない俺は、とりあえず、誰もいない買取カウンターに向かった。
昨日カインさんから返してもらった魔石を売れば、銀貨1枚にはなる。
「すいませーん! 買取お願いしまーす!」
誰もいない買取の窓口に向かって声をかけたが、誰も出てきてくれない。
こんな忙しい時に声をかけた俺が悪いのだが……
仕方ないのでギルド内に置かれている椅子に座って、落ち着くのを待つことにした。
「お待たせしましたー買取ですね!」
それから1時間ほどした頃には、全体的に落ち着いてきたようで、買取カウンターで待っていた俺に気づいたギルド職員が声をかけてくれた。
「これだけだけど、お願いします」
そう言って冒険者カードと魔石を5個渡して、銀貨1枚を受け取った。
俺は誰もいなくなった依頼ボードに向かった。
「全然残ってないな····」
当たり前だが依頼はほとんどない、だが目当ての依頼は残っていた。
それは【エレメンタルの討伐】だ。
昨日、エルさんに色々聞いた時に、俺向きの依頼があることに気づいた。
この依頼は、Eランクで報酬がいいのに誰も受けようとしない、それには理由がある。
エレメンタルと言う魔物は、物理耐性があり、剣等では倒すのに時間がかかる。
その上、3〜5匹集まって行動するので、1体を倒しているうちに他のエレメンタルに襲われてしまう。
魔法が使えない冒険者にしてみれば、出会いたくない魔物という訳だ。、
ちなみに、魔法も属性で耐性があるので、魔法が使えても運悪く耐性のあるエレメンタルに出会うと逃げるしかなくなる。
そんな依頼を、普通の冒険者が受けるはずもないという事だ。
ちなみに属性耐性は【火←水←土←風←火】となっている。
光と闇はお互いに相殺し合うので強い方が勝つそうだ。
依頼表を手にした俺は、意気揚々と受付に向かった。
「おはよう!」
受付カウンターにはエルさんがいたので声をかける。
「あ、ジンさん、おはようございます! 今日から依頼ですか?」
朝からひと仕事終えたエルさんは、疲れているようだが、笑顔で対応してくれた。
「朝のギルドはいつもこんな感じ? あ、これ受けるんでお願いします」
朝の冒険者の勢いは、鬼気迫るものがあった。
質問をしなからエルさんに依頼表を渡す。
「そうなんです……ギルド職員は、みんな朝から大変なんですよ……ジンさん、これ受けるんですか?
Eランクの依頼なので、Fランクのジンさんでも受けることは可能ですが……」
依頼表をみて少し固まったエルさんが聞いてきた。
エルさんが言う通り、自分のランクのひとつ上の依頼であれば受けることができる。
「まさに俺向けの依頼だよなー、初依頼だからワクワクするよ!」
ニコニコと笑いながら答える俺をエルさんが不安な表情で見ている。
「でも、あそこには……ジンさんなら大丈夫だとは思いますが……あまり無理はしないでくださいね?
エレメンタルは、西門から出て道沿いに進んだ所にある、洞窟に生息しています。
洞窟の入口でも十分にエレメンタルはいてると思いますので、あまり奥に行き過ぎないで下さいね!」
少し煮え切らない感じでエルさんが依頼の内容を説明してくれた。
ちなみに俺が入ってきたカインさんが居る門は東門になる。
「ありがと!」
俺はエルさんにお礼を言って洞窟へ向かうことにした。
※ ※ ※ ※
西門から出た俺は、15分ほど歩いて洞窟に到着した。
途中キラースネークやホーンラビットを見かけたが、依頼優先のためスルーした。
ちなみに街から出る時は、身分証の提示は必要ないらしい。
洞窟に入る前に中の様子を見てみるとかなり暗かった。
「松明とかの準備してくればよかったな……」
こんな当たり前のミスをするなんて、初依頼でちょっと浮かれていたのかもしれない。
気を引き締め直した俺は洞窟に足を踏み入れた。
「ん? なんかいるな……」
入ってすぐに、洞窟の奥で、何かが浮いているのが見えた。
洞窟の中は真っ暗だが、奥でぼんやりと発光している。
辺りを警戒しながら、姿が明確に見えるところまで近づいてみると……
そこには、綺麗にカットされたクリスタルが浮かんでいた。そのクリスタルの内部には球体があり、それが発光しているようだ。
これが、俺が探している魔物、エレメンタルだ。
4体のエレメンタルが浮遊している。
色は全部赤……つまり火属性のエレメンタルだ。
同じ属性同士が集まる習性でもあるのだろうか。
こっちに気づいていないうちに、鑑定してみると……
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【エレメンタル(火)】Lv.8/ランクD
【スキル】火魔法Lv.2
【補足】甘味、酸味、塩味、苦味、旨味
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「なんだこの補足……こんなゴツゴツしたやつのどこを食べるんだ?
とりあえず、倒すかーー」
俺は、1体のエレメンタルの上に、水の玉を作り、そのまま落とした。
エレメンタルに当たった瞬間、水の玉は、水風船が割れたように弾け飛んだ。
浮遊していたエレメンタルは、地面に落ちて動かなくなった。
「弱いな……」
残り3体のエレメンタルも、同じように倒していき、全てのエレメンタルを回収した。
「そういや、まだ飯食ってないな。
エレメンタルを使って料理してみるか……」
朝から何も食べてなかった俺は、一度洞窟から出て飯にすることにした。
洞窟から出た俺はホーンラビットの肉を取り出し、串焼きの準備をした。
エレメンタルを取り出して、近くにあった岩に、おもいっきりぶつけてみたが、岩の方が割れて、エレメンタルには傷一つ付いていなかった。
「コイツ本当に食えるのかよ……そうだ! アイテムボックスなら、どうにかできるかもしれない」
ホーンラビットの角と同じように、粉末状にしてみると、問題なくアイテム覧に【エレメンタルの粉】が表示された。
「よし、これなら食べれるか?」
粉末状のエレメンタルをひと舐めしてみるーー。
「……っ!?」
それは、懐かしい味だった。
日本人のソウル調味料と言ってもいいかもしれない。
「これは『醤油』だ!」
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