第61話 濃霧の森と亡霊
洞窟を1時間程進んだところで、デカい扉と祭壇が見えてきた
「2層は簡単だったね!そんなに遠くなかったし」
「まぁマップがあるから早いだけだけどな、マップ無しで攻略しようと思ったら、序盤で詰んでるだろうからな」
「そうだね·····やっぱりジンくんのスキルは全部ズルいよね·····」
「リオの空間制御も大概だと思うぞ?」
俺達は雑談しながら、扉を開けて中に入った
扉の中は、円形の部屋になっていて、奥には小さな階段があった
祭壇はその奥にあるようだ
「ここも似たような部屋だな」
俺とリオは部屋の真ん中に歩いていく
『バタンッ!』
部屋の真ん中に来ると、扉か閉まった
瘴気が天井付近に集まってミアズマバットの形になっていく
「今回も数で来るみたいだな、また炎流で片付けるか」
「待って、私も戦っていい?」
「ん?いいぞ?それじゃ、半分は任せたぞ」
「うんっ!」
俺は両手に血刀を構えて、風属性を能力付与する
リオを見ると特大の雷球を1つ作り出していた
10m程の雷球がバチバチと音を立てている
「デカすぎじゃないか?」
「大丈夫だよ!行くよ!よいっしょ!」
そう言って、雷球を天井に向けて飛ばした
ミアズマバット達がドーナツ状に雷球を避ける、が·····
『ッズガーン!!バリバリバリ·····』
雷球が天井にぶつかると同時に、光と音を轟かせた
ミアズマバットは密接していたこともあり、次から次に感電していく
雷球の近くにいた奴らは霧になって消えていき、離れていた奴らは麻痺して上からボトボトと落ちてきた
「半分は倒せたよ!あとはお願いねー」
「コウモリの雨だな·····よっ!はっ!」
俺は落ちてくるミアズマバットに、風の斬撃を飛ばして空中で霧にしていく
リオは地面に落ちたミアズマバットにトドメを刺しながら、魔石を集めている
数分ほどでミアズマバットを全て倒し終わった
「これで最後かなー」
「俺が拾った分もそっちに入れておくか?」
リオが落ちている魔石を拾い終わってこちらに向かってきたので、俺も倒しながら集めた魔石をリオに渡す
「拾ってくれてたんだ!今回は少ないなぁって思ってたんだよね!」
そう言って、異空間にホイホイと魔石を入れていく
あの異空間にどれほどの魔石が溜まっているんだろうか·····
「それじゃ、そろそろ3層に向かうか」
リオが全ての魔石を異空間に入れたのを確認して声をかける
祭壇にある本に魔力を込めると、祭壇の奥の壁が白く光ってゲートに変わった
「次はどんな所だろうねー」
「川、海ってきたから、水関係かもな」
そんなことを話しながら、俺達はゲートをくぐった
◆第3層·····濃霧の森
「ちょっと寒いね·····」
「そうだな、森のようだが、霧がかなり出てるな」
周りはかなり濃い霧に囲まれていた
見える範囲で見渡したが、どうやら森の中のようだ
足元は土や石がゴロゴロしていて、草が生えていて、周りには葉の無い木々が生えていた
「50mぐらい先は見えそうにないな·····マップで場所は分かるが、あまり離れないようにしろよ」
「わかった!」
リオが俺の後ろにいることを確認しながら、探索を始めた
「この階層の魔物はなんなんだろね·····」
「大体その環境に合った魔物が出てきてるよな、先に確かめておくか?」
俺が瘴気の吸収を抑えると、少し先の方に、瘴気が集まり始めた
白い霧の中で、黒い物が集まり、形を変えていく
「人?」
「シルエットだけだと人っぽいが·····あれはマントか?」
瘴気はフード付きのマントのような形になっている
フード付きマントが浮いていて、フードの中の赤い目がこちらを睨んでいる
マントの両端からは手だけが出ている状態だ
「人じゃないってこと?」
「よく見てみろ、手のようなものはあるが、顔も体もないだろ」
「マントの魔物?」
「鑑定してみるか·····」
【ミアズマファントム】Lv.60 / Bランク
【スキル】-
【補足】瘴気の塊
「ファントム·····亡霊ってことか?」
「じゃあ、あれは幽霊なの!?」
リオが怖いのか、俺の後ろに隠れている
「幽霊って言っても、魔物だろ?倒せるなら怖くないだろ·····」
俺は血刀を作って、構える
「亡霊には光属性か?」
血刀に光属性を能力付与して、ミアズマファントムに突っ込んだ
縮地で距離をゼロにして、一気に真っ二つにした
「ん?斬った感触が無かったな」
俺は距離を一度取り、光血刀を2本にして、再度突っ込んで斬りつけた、が·····
「やっぱり感触がないな·····確実に斬ったはずなんだがな·····」
刀が当たる瞬間を確認したが、斬っているはずなのに、斬れない
霧になって避けている訳ではなく、そもそも物理攻撃が効かないのかもしれない
2度も斬られたミアズマファントムは何事も無かったかのように、浮きながらこちらを睨みつけている
すると、両手に黒い炎の球を作ったと思うと、こっちに投げつけてきた
感知スキルで確認すると、魔素であることがわかる
「魔素·····こいつ、魔法を使えるのか?」
俺は後ろに跳んで、黒い火球を回避した
黒い火球は、石の地面に着弾し、黒い炎が燃え広がった
石が燃えるというより、その場所が燃えているような感じだ
「今までの敵とは格が違うってことか?
物理が効かないなら、魔法ならどうだ?」
血刀を1本構えて、光属性を能力付与する、その上から風属性も能力付与して、振りかぶって斬撃を飛ばした
斬撃は普通の火球のような魔法よりも、直線速度は早く、斬ることに特価した魔法になるのが特徴だ
光属性と風属性の斬撃がファントムを斬り裂いた
ファントムは、霧になって消えていった
「魔法の斬撃なら倒せるのか·····元になってる魔物のファントムが物理攻撃が無効のスキルを持ってるのかもしれないな」
このダンジョンに出てくる魔物達は、元になってる魔物がいる
そもそも、こいつらから取れる魔石は、その元になった魔物の魔石を使っているようだ
つまり、魔物の魔石に瘴気を集めて、魔石の記憶から、スキルや実体を持たせているということになる
少しシロに近いが、実体が瘴気なので、魔物にしか見えない
「さっきの斬撃キレイだったね!2つも属性を能力付与出来るんだね」
「能力付与するだけなら、全属性同時に出来るぞ?その代わり、属性同士の相性が合わなくなって効果が半減するけどな」
「全属性大丈夫なんだ·····さすがジンくんだね·····」
「まぁ、武器が能力付与に耐えれることが前提だがな
ここの魔物の正体も分かったし、先に進むか」
俺達は、濃霧の森の探索を再開した
いつも閲覧ありがとうございます!
読みにくい文章でほんと、すみません
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