第60話 海底洞窟とホーミング
「かなり風景が変わったな」
「ほんとだね!あっちの方に岩場もあるよ」
2層は干潮によって、かなり様変わりしていた
俺達が居た砂地は他のところより盛りあがっていたようで、小高い丘のようになっている
上から辺りを見渡すと、水が残っている場所もあるが、最初に来た時が満潮だとすると、10mは干潮しているみたいだ
「また満潮になったら探索出来なくなるから、今のうちに地下への入口を探すか」
「そうね、どこから探してみる?」
「そうだな·····俺は近くの島から見ていくから、リオは向こうの岩場を頼む」
干潮したことで、小島が幾つか海面に出てきていた
海の上を移動することになるので、俺は魔導二輪で島の周りを探索することにした
リオには砂地を少し下に降りたところにある、岩場の探索を頼んだ
「ジンくん!これじゃないかな?」
しばらく、それぞれの探索を進めているとリオが声を上げた
リオに呼ばれて、近づいてみると、リオは岩場と海が隣接しているところにいた
「何か見つけたのか?」
「こっち側に回り込んで見て!」
リオに言われて、岩場の海に魔導二輪で回り込むと
そこには、大きな洞窟のような横穴が空いていた
洞窟は海が続いていて、徒歩では進めそうにない
マップで確認すると、ここから、地下洞窟が続いているのが分かる
「ここが、地下洞窟の入口で間違いなさそうだ!奥に行ってみるか!」
俺は、リオを魔導二輪の後に乗せて洞窟の奥に進んだ
洞窟内は地上の隙間から光が入っているのか、全体が青く輝いていた
「ここもキレイだねー!なんで洞窟なのに青く光ってるんだろー」
「んー記憶があやふやだが、確か水に吸収される色と、反射する色があって、青は反射されるから、海と空は青く見えるんだが·····あまり深く考えなくていいんじゃないか?」
俺が説明してると、リオの頭に『?』が浮かんでいたので、途中でやめた
「そうだね!キレイだからそれでいいや!」
リオが洞窟の中を見渡して、うっとりしてるので、俺はマップで、祭壇の場所を探すことにした
マップで見てみると、祭壇はすぐに見つけることが出来たが·····
「かなり深そうだな·····」
「どうしたの?」
「マップで祭壇の場所は分かったんだが、この洞窟は縦に伸びてるみたいだ」
洞窟に入ってマップを見ると、洞窟自体は殆ど一本道だが、先に進むほど、色が薄くなっていて、その先に祭壇のマーカーが表示されていた
「じゃあ、海の中を泳いで行くってこと?」
「そうだな·····途中で空気が溜まっているところがあればいいんだが·····まずは進めるところまで、このまま進んでみるか」
しばらく進むと、行き止まりに着いた
行き止まりは、地面がむき出しになっていたので、魔導二輪から降りて探索することにした
そこは、天井が高く、円形の空間だった
天井までの壁に、所々穴が空いて光が差し込んできている
「ここから潜るみたいだな」
「深そうだね·····」
行き止まりの真ん中に水溜まりがあり、そこからまだ先に進めるようだ
「先に俺が行ってみるから、リオは待っててくれ、行けそうならまた戻ってくる」
「あまり無理しないでね?」
「あぁ、わかってる」
俺は水の中に体を入れる
海水は、氷水のように冷たいので、あまり長くは浸かっていれそうにない
俺は水の中に手を入れて、魔力強化<水>を手に集中させて、回転をイメージすると、手元の水が回転して手が押される感じがあった
「こんな感じで行けそうだな·····じゃ、行ってくる」
そう言って、水の中に潜って、魔力強化<水>を足に集中すると、すごい勢いで進んでいけた
マップで確認しながら、息ができる場所がないか探しながら進んでいく
「んあ!?·····なんだこれ!」
俺はいきなり、空中に投げ出された
と言うより、いきなり水が無くなった
慌てて、魔力強化<風>で体を浮かせて、進んできた道を確認すると、水の壁が揺らめいていた
俺はその水に手を入れて、本当に水か確かめてみる
「水だ·····これは、空間制御のバリアみたいなものか?水だけを遮断してるのか·····」
俺は一度、リオがいる場所に戻ることにした
「ジンくん!どうだった?大丈夫そう?」
「あぁ、500m程進んだところからは泳がなくても大丈夫そうだ」
「500mも泳げるかな·····」
「俺に掴まれ、10秒ぐらいで着くはずだ」
俺はリオを抱えて、またさっきの空間に戻った
「えぇー!?落ちるー!」
「浮いてるから大丈夫だ、とりあえず、下に降りるぞ」
地面までは約10m程あり、勢いよくこの空間にたどり着くと、そのまま地面に落下してしまうだろう
正規ルートは水の壁を泳いで降りるのが正解のようだが、とりあえず、ゆっくり地面に着地した
「凄いね·····これも私と同じ能力みたいだよね?」
「リオのバリアと同じものだと思うぞ、ここのは、バリアで水だけを遮断してるみたいだが」
「でも、この範囲全部は私には出来そうにないかな·····」
ここの壁は1面、バリアに覆われていてリオが限界だと言う10mは優に超えている
リオが悔しそうに呟いている
「ダンジョンを作れるぐらいの能力者だからな、競う必要は無いだろ、今のままでも十分使いこなせているからな」
「ジンくんのお陰だけどねー!」
「ここからは、歩いて下に降りていくみたいだな
祭壇までは、そんなに遠くはないから、このまま進んでみるか」
「わかった!そう言えば、この階層の魔物ってなんだろね?」
「そうだな·····祭壇の部屋に入る前に確認しておくか」
俺は瘴気の吸収を止める
すると、ゴツゴツした洞窟の天井に瘴気が集まっていく·····
『『『キィーー』』』
「今回はコウモリか·····今まで1体ずつだったのに、今回は結構出てきたな、しかも、飛ぶ系か·····」
【ミアズマバット】Lv.55 / Bランク
【スキル】-
【補足】瘴気の塊
体長は1m程で、普通にデカい
数は20匹ぐらいいそうだ
『ドバババババン』
俺が血刀を構えた瞬間、後ろから1m程の火球が飛んでいき、コウモリ達を焼き尽くしていった
何匹かは反応して逃げていたが、逃げたコウモリに吸い込まれるように、火球が当たっていった
まるで、火球がコウモリを追いかけている様だった
「ジンくんがやるまでもないわね!」
リオがドヤ顔で後ろから歩いてきた
最近、出番が無かったので、戦いたかったのかもしれない
「今の火球はコントロールしたのか?逃げるコウモリを追いかけて行ってるように見えたんだが」
火球などの魔法は、打ってから離れれば離れる程に、操作ができなくなって行く
操作が出来ても少しの微調整程度で、あんなに急な方向転換はできない
「瘴気を追いかける様にイメージしたの!大きな亀が瘴気と魔力で魔素ができるって言ってたから、瘴気が判別出来れば、魔力は瘴気に引き寄せられるんじゃないかなって思って」
感知スキルと火魔法を合わせて使ったようだ
概念はホーミング誘導ミサイルのようなものだ
「魔法に関しては、ほんと、天才だな·····
ちなみに、それを俺に使えば追いかけて来るのか?」
「ジンくんからも瘴気は出てるし、瘴気じゃなくても魔力や魔素でも出来るよ?やってみる?」
「いや、今はいい·····」
殆ど直線にしか飛ばせなかった魔法を、操作できるようになれば、命中率が上がるので、魔力の無駄な消費も無くせるだろう
最大出力の火球が、どこまでも追いかけてくるのを想像したが、恐怖でしかない·····
「とりあえず、先に進むぞ·····」
俺達は海底洞窟を先に進んだ
1時間ほど足場の悪い洞窟を進んでいくと、目の前にデカい扉と祭壇が姿を見せた
いつも閲覧ありがとうございます!
読みにくい文章でほんと、すみません
『面白い』
『続きが気になる』
と、思っていただいた方·····
是非、最新話の下にある、評価ボタンから、評価をお願いします!
評価、ブクマして頂けると励みになるので、ポチッとしてもらえると嬉しいです!
毎日、更新頑張りますので、これからも、応援よろしくお願い致します。
ご意見、ご感想などもお待ちしてます。




