第52話 次のダンジョンと液化スキル
俺達の体が白く光り、視界が白くなっていく
視界が少しずつ、ハッキリしていく
「ここは·····」
俺達は北のダンジョンの、塔の入口に立っていた
ギルドに続く扉の前に人集りが出来ている
「帰ってきたか!中で何があったんだ!?」
俺達に気づいた、ファーガスが駆け寄ってきた
「ダンジョンを攻略してきたぞ、外で何か起こったか?」
「やはりそうか!まさかこんな短期間で、しかも2人で攻略してしまうとはな··········こっちでは、大きな地揺れがあってな·····ギルドの依頼ボードにこれが張り出されていたんだが·····」
ファーガスから1枚の依頼書を受け取って、内容を確認すると
依頼書には一文だけ書かれていた
『北のダンジョンを攻略した者よ、証と共に南のダンジョンへ向かわれよ』
「次は南に行けばいいのか·····」
「証って宝玉の事かな?」
「多分そうだろうな」
「おいおい、俺達を置いてかないでくれ、ダンジョンは何階層あったんだ?宝玉ってなんだ?」
「ダンジョンは5層までだ、宝玉はダンジョンを攻略すれば亀から貰えるぞ」
「5層か·····俺達は半分まで来ていたんだな·····亀?5層に亀がいるのか?」
「5層まで行ってからのお楽しみだ、それじゃ、俺達は南へ向かうか·····」
「そうだな!なんでも聞いてしまったら面白くなくなるからな!よし!俺達も攻略してやるぞ!」
「「「おぉー!!!」」」
ファーガスと数名の冒険者達がダンジョンに入って行った
「ダンジョンの攻略者ってファーガス達だったのか·····ってかギルドマスターが不在になっていいのか?」
俺達はファーガス達を見送って、冒険者ギルドに入った
ギルドには冒険者は誰一人いないが、職員達が忙しそうに騒いでいる
俺は1人捕まえて、話しかける
「冒険者なんて居ないのに、なんでみんな忙しそうなんだ?」
「これから忙しくなるからですよ!ダンジョンが攻略されれば、1度攻略を諦めた冒険者達が、必ず戻ってきますからね!」
「なるほどな、忙しくしてるところ悪いが、南のダンジョンの位置を知りたいんだ·····どこに行けばわかる?」
南と言うからには、南に行けばいいんだろうが、闇雲に行っても時間の無駄だ
ギルドなら何か情報があるかもしれない
「それなら、冒険者ギルド本部がある王都に行かれてはどうですか?あそこなら、ギルドの情報が全て集まるはずですから!では、私はこれで!」
職員は書類を抱えて『まったく!こんな忙しい時にマスターは!』とかブツブツ言って走っていった
「ギルド職員って大変そうだね·····」
「あぁ·····きっとブラック企業なんだろうな·····」
「王都に行く前に、イエンに寄るか·····イエンに着く頃にに日も暮れ始めるだろ」
俺は海岸に魔導船を浮かべながら、リオに話しかけた
「また、魚料理が食べられるのね!」
リオは相変わらず、食べ物に目がない
「そう言えば、シロは元気か?食い物は置いといたが、ダンジョンにいた間は異空間に行けなかったからな」
「そう言えば、そろそろなくなる頃かも」
「あの量が3日でなくなるとは思えないが、一度見に行ってみるか」
俺達はイエンに移動する前に異空間の、シロの様子を見に行くことにした
『ぐうぅぅぅぅぅ〜』
「なんの音だ?」
異空間に来ると、音が響いていた
音の方を見ると、シロが縮こまっている
『ガァル!?クゥーン!』
俺達に気づいたシロが駆け寄ってきた
「お前·····あの量を全部食べたのか?」
俺達がダンジョンに入る前に、山積みにしていた食料がキレイに無くなっていた
『グルゥゥゥゥ!!!』
俺の近くに来たシロが俺に威嚇してくる
「どうした?」
俺が1歩近づくとシロが後ずさる
「もしかして、ジンくんが瘴気を吸収したから匂いが違うんじゃない?」
「匂いで判断してるのか?完璧に犬だな·····これでどうだ?」
俺は体内の魔素操作してできるだけ外に漏れないようにすると、シロが首をかしげながら近づいてきた
俺の匂いを確認するように嗅いでいる
「大丈夫みたいだね」
「シロのために一々、魔素を操作しないといけないのか?面倒だな·····」
そう言って、体内から魔素を漏らす
俺にくっついていたシロが、すごい勢いで距離を取ってこちらを威嚇している
「シロ!腹減ってるんだろ?これを食わせてやる」
そう言ってアイテムボックスから俺特製のホーンラビットのステーキを取り出す
『グルゥオ!?』
シロが勢い良くステーキに突っ込んで貪りついている
「お前も食い物に目がないよな·····」
俺は呆れながら、シロの頭を撫でてやりながら、リオの方を見るとステーキを凝視していた
「リオにも後で食わせてやるよ·····」
異空間から出た俺達は、港町イエンに向かって魔導船を走らせている
リオは隣でステーキに夢中だ
「ほぅひへば」
「飲み込んでから喋ってくれるか?」
「そう言えば、私たちのステータスってダンジョン攻略してから上がったのかな?」
「結構倒したしなー、正直ここまで来たら、ステータスなんて関係ない気もするがな·····」
リオに言われて、鑑定してみる
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【名前 / 性別】ジン/男
【年齢 / レベル】17歳 / Lv.64
【スキル】料理:Lv.6 / 剣術:Lv.7 / 槍術:Lv.1 / 闘気:Lv.6 / 縮地:Lv.5 / 火魔法:Lv.Max / 水魔法:Lv.Max / 風魔法:Lv.Max / 土魔法:Lv.Max / 闇魔法:Lv.Max / 光魔法:Lv.5 / 身体強化:Lv.Max / 毒耐性:Lv.Max / 麻痺耐性:Lv.6<5.7> / 威圧:Lv. 8<6.5>/ 感知:Lv.Max / 液化:Lv.2<0.5> / 魔力強化:Lv.4 / 属性強化<土>:Lv.1 / 魔素操作:Lv.-
【ユニーク(隠蔽)】転移者 / 鑑定 / 能力付与 / 血液制御
【名前 / 性別】リオ / 女
【年齢 / レベル】16歳 / Lv.54
【スキル】火魔法:Lv.Max / 水魔法:Lv.Max / 風魔法:Lv.Max / 土魔法:Lv.Max / 闇魔法:Lv.Max / 光魔法:Lv.6 / 身体強化:Lv.Max / 毒耐性:Lv.Max / 麻痺耐性:Lv.6<5.7> / 威圧:Lv.8<6.5> / 感知:Lv.Max / 属性強化<土>:Lv.1
【ユニーク】空間制御[雷球][ゲート][異空間][バリア]
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鑑定の内容を、リオにも分かるように、紙に書き写して渡した
「スキル肉で手に入るスキルは成長が早いな」
「あれ?なんで、ロックドラゴンの属性強化が私のステータスに入ってるの?」
「ん?気づかなかったか?さっき食ってたステーキはロックドラゴンの肉だぞ?」
「へ?そなの?·····おいしかったけど·····」
リオが複雑そうな顔をしている
アイテムボックスを使えば、硬いスジを取り除くのなんて一瞬だ
「そう言えば、液化のスキルがそろそろ使えそうだな」
「液化って何だっけ?」
「あぁ、スライムから手に入れたスキルだ、ちょっとスキル肉に工夫しようと思っていて、忘れてた」
「工夫?」
「こいつを使おうと思ってな」
そう言って、アイテムボックスから魔石を取り出す
「これってオークの魔石だよね?」
「そうだ、オークを食べるのは抵抗があるが、魔石なら抵抗がないだろ?」
「魔石って食べれるの?そもそも、食べる必要あるの?」
「シロを作った時に思ったんだが、スキルは魔石が記憶してるんじゃないか?」
「んーわかんないけど、魔石を取り替えればスキルも変わるよね?」
「それなら、魔石を食べてもスキルを能力付与出来ると思うんだ」
「そうだとしても·····魔石って硬いよ?」
「そこで液化を使う、今まで液化のレベルが低すぎて、使えなかったんだが·····」
そう言って、魔石を1つ手に持つと、ドロドロ溶けていった
溶けた魔石を空き瓶に入れて鑑定してみると
【オークの魔石】
【スキル】剣術:Lv.0.4
「思った通りだ!」
「でも、これを飲むってこと?」
リオが嫌そうに瓶を見ている
さすがにこのまま飲むのは俺も嫌だ
「スキル肉を工夫するって言っただろ?これを使ってスキル肉を改良しようと思ってるんだ、味は保証してやる!」
「美味しくないと食べないよ?」
「もちろんだ!今よりも美味くしてやる!」
俺は魔導船を走らせながら、イエンに着くまで
スキル肉の改良レシピを考えることにした




