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第51話 巨大な亀と魔素操作


「おーい、そっち、なんかあったかー?」


「なにもなーい!」


俺達はロックドラゴンがいた、円形のフィールドを片っ端から探索している


「一通り見たが、やっぱり、先に進む道は無いな·····」


「1回、ダンジョンから出てみる?」


「そうだな·····ここが最終層なら、外で何かしらの変化が、起きているかもしれないしな」


俺は外に出るために、大きな扉に向かった


「ここの祭壇から外に出れるはずだ·····ん?」


祭壇に置いてある、本を手に取ると、下にもう1冊の本が出てきた


「これって·····ロックドラゴンは、倒さなくても良かったんじゃ·····」


「そうかもな·····まぁ、倒せたんだからいいじゃないか」


本の1ページ目を開いて確認してから、魔力を込める

目の前の扉が、白く光り始め、ゲートになった


「ジンくん·····体は大丈夫?先に進める?」


リオが心配して聞いてきた


「大丈夫だ、丸1日休んで、魔力も8割方回復したし、体の痛みも感じなくなった」


「すごい回復速度だね·····」


「あぁ·····自分でも驚いてる」


瘴気を体に取り込んでから、体の調子がかなりいい

体の中に異物があるような感覚はまだあるが、特に悪影響がある感じはしない


「5層にはロックドラゴンより強い魔物がいるのかな·····」


「さぁ?どうだろうな、行ってみないとわかないが、強い敵なら戦ってみたいな」


「また、そんなこと言ってる·····無茶はだめだよ?」


「わかってるって」


俺達は不安と期待を、それぞれ抱きながら扉の先へ向かった



扉の先は·····真っ黒(・・・)の世界だった

光はないのに、リオがはっきり見える

地面と空の境目がないのに、足は地面についてる


「ここって·····」


「異空間と同じだな」


リオが初めに創り出した、異空間そのものだった


『ドンッ·····ドンッ·····』

辺りを見渡していると、遠くの方から地響きが聞こえてきた

マップで確認すると、魔物のマーカーが表示されている


「魔物が近づいてきているな·····」


「じゃあ、あれは足音ってこと?」


「ロックドラゴンよりデカいかもしれないな·····」


魔物の方を見ると、甲羅(・・)のようなものが動いているのが見える


『ドンッ!!·····ドンッ!!!』

魔物が近くまで来て止まった


「デカいな·····」


遠くの方から見てる時は、亀だったが

ここまで近いと、山にしか見えない

甲羅は青いダイヤモンドのように透き通っている


『人の子よ·····』

「ん?リオ、今なんか言ったか?」


「うんうん、言ってないけど·····なんか聞こえたよね?」


『人の子よ·····我が話しておる·····』


「もしかして·····この亀か?」


俺は上を見上げると、亀と目が合った


『我は、彼の人によって創られ·····ここで人間を待ち続けてきた·····』


「彼の人って誰だ?」


『お主は·····見た目は人間のようだが·····体内に瘴気が流れておるな·····』


「俺は人間で間違いないが、人の話聞いてるか?」


『よくその体で平然としていられるものだ·····お主·····本当に人間か?』


「人間だって言ってるだろ·····人の質問に答えてから質問して来いよ!」


何度も無視をされて、さすがにイラついてしまった


『む?失礼した·····どうも話すのが久々でな·····彼の人とは、このダンジョンを作られたお方だ·····我はこのダンジョンの守り手として彼の人に創られたのだ·····』


「守り手ってことは、何かを守ってるのか?」


『うむ·····宝玉だ·····守り手とは言え、ここに来た者に渡すように言われておるだけだがな·····』


亀がそう言うと、緑に輝く宝玉がゆっくりと、俺の前に落ちてきた

俺は手に取ってみる


「キレイだね·····」


リオが宝玉を見てうっとりしている


「この宝玉は何に使うものなんだ?」


『彼の人が待たれる場所に、向かうために必要なものだ·····願いを叶えたいのであれば、その宝玉は大切にすることだ·····』


「なるほどな·····その、彼の人ってのが、願いを叶えてくれるわけか·····」


『1つ聞かせてくれんか?』


「なんだ?」


『お主は本当に、その体でなんともないのか?·····』


「ん?あぁ、なんともないな·····強いて言うなら体の中に異物があるような感覚があるぐらいだ」


『その異物は·····いや、今はその話ではないな·····瘴気は本来、人間には毒でしかないが、どういう訳か、お主の体は瘴気を吸収しようとしておる·····』


「このまま瘴気を吸収しても大丈夫なのか?」


『今は大丈夫のようだが、このまま吸収していくと、どうなるかわからん·····』


そう言われると、不安になってくる


「吸収しても、大丈夫な様にする方法はないのか?」


『·····あるには、あるが·····人間にそんなことが可能かわからんが·····』


「なんだ?教えてくれ!」


『ここに来る前に、ロックドラゴンを倒しただろ?あやつが使う技に硬質化というものがある·····あれは、体の魔素を操作して、体を強化する技だが·····あやつと同じように魔素を操作できれば大丈夫なはずだ』


「あれか·····」


ロックドラゴンのスキルに属性強化<土>があったが、多分あれのことだろう


「でも、俺の体にあるのは魔素じゃなくて瘴気だろ?」


『そこから説明が必要か·····魔素とは自然にできるものでは無い·····そもそも、魔素は空気中にある、人間で言う魔力と、負の感情等から生まれる悪い空気、つまり瘴気が合わさった物だ·····お主の体の中では、瘴気が入り込み、魔力と合わさって魔素となっておる·····』


「え?じゃあ、俺は魔物と同じってことか?」


『だから、その様な体で大丈夫なのか聞いているのだ·····』


俺はアイテムボックスからロックドラゴンの肉を取り出して火で炙る


『何をしてるんだ?』


いい具合に焼けた肉を1口食べる

亀が質問をしてきて、こちらを見ているが答えてる暇はない

噛みごたえのある肉だ·····俺は無理やり飲み込む


「これで使えるはずだ·····」


俺は属性強化<土>を発動させる

手の表面に土でできた篭手が出来上がった


『それは、単に魔力を使って土属性を強化しただけだろう?魔素を操作するというのとは少し違うな·····』


「これじゃないってことか?もっと詳しく、俺の体の状況を教えてくれ!」


『仕方ないな·····お主が言っておった異物(・・)だが、それは瘴気が溜まっている核のことだ·····その核から瘴気が漏れて、お主の魔力と一緒に身体中を巡っておる感じだな·····』


「つまり、その核から瘴気を出して魔力と組み合わせて、魔素にして操作すればいいってことだよな?」


『口で言えばそうだが、簡単ではないぞ?·····人間にそんなことができるとは思えん』

「あ、できた!」


体から黒い湯気のようなものが出てきて、右手を覆った

ロックドラゴンが最後に見せた、技に似ている

そう言えば、倒した時に黒い湯気が俺の体から出ていたが、あれが魔素だったのかもしれない

多分これでできているはずだが·····確認してもらうために亀に右手を見せる


『··········お主、本当に人間か?』


「それしか言えないのか?俺はれっきとした人間だ」


転移者だが、人間に変わりない·····はずだ


「それで、これで出来ているんだよな?」


『うむ·····間違いなく魔素を操作できておるな·····そこまで操作できておれば問題あるまい·····』


硬質化を解くと、黒い霧になって消えていった


「ありがとな!お陰で助かった!そう言えば次のダンジョンへの道が開かれるとか言うのはどうなってるんだ?」


俺は、ダンジョン攻略の依頼書の表記を、思い出しながら聞いた


『それなら、外に出ればわかるはずだ·····祭壇を出してやろう·····』


俺の目の前に祭壇が現れた

俺は、祭壇の本を手に取った


「そうか!それじゃ外にでるか·····色々助かったよ!ありがとな!」


そう言って、魔力を込めると体が白く光り始めた

俺は、リオを急いで抱き寄せた


俺達が消えたあと·····


『お主なら、彼の人の願いを叶えてくれるやもしれんな·····』


亀の声が真っ黒な異空間に小さく響いた

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