表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
50/109

第50話 ロックドラゴンと魔力切れ


4層に着いた俺達は辺りを見渡していた


「石しかないね·····」


「そうだな·····石ばっかりだ·····」


4層は岩山だった

足元は大小様々形の、石や岩が転がっている

周りも見渡す限り、岩ばかりだ

今俺達が立っている場所は斜面になっていて、左右には大きな岩が並んでいる

真っ直ぐ上に登ってこいと言わんばかりの地形だ

マップで確認しても左右の岩の奥は表示されていない

真っ直ぐ一本道のマップになっている


「登れってことだよな·····行くぞ」


俺はリオに声をかけて、岩山を登り始めた



しばらく歩くと、見慣れたデカい扉が見えてきた

扉の横には帰還用の祭壇がある


「今回はただ歩いてきただけだな·····」


ここまで1時間ほど歩いただけだ

魔物すら、出てきていない


「あれ?ハァ·····4層は·····これだけ?ハァ·····」


リオも拍子抜けらしい

慣れない岩山で息は切らしているが·····

ちなみに俺はずっと元気だ

ここに来てから、体がすごく軽い

まるで、自分の体じゃないみたいな感覚だ


「中に入ってみるか·····」


俺は扉に手をかけて強く押した

ゆっくりと扉が開いて行く、その先は·····


「広いねー!」


マップで確認すると、綺麗な円形の場所だ

広さは、直径100mはありそうだ

相変わらず、ゴツゴツした岩が、そこら中に転がっている


「祭壇が無いな·····4層でダンジョンが終わりか?」


マップに祭壇が表示されていない

俺達は3日も掛からずにここまで来たが

各層が、かなり広いダンジョンだ

そもそも、150年かけてやっと、3層まで攻略できたレベルだ

チート級の能力がなければ、3日でここまで、来れるはずがないだろう


俺達は真ん中へ歩いていく


「きゃっ!」

「っ!?地震か!?」


地面が揺れ始めた

リオが俺にしがみついてくる

揺れは治まるどころか、どんどん増していく


「なんだ!?岩が·····」


近くにあった岩がグラグラと揺れるように動き始めた

岩はゆっくりと浮かんでいく·····

下から巨大な眼が出てきて、俺たちを睨みつける


「こ、これって·····ロックドラゴン!?」


リオが真横で叫んだ


「知ってる魔物か?」


「知ってるも何も、危険な魔物として有名だよ!?早く逃げよ!」


リオが振り返って固まっている

リオの視線の先を見ると、扉がゆっくりと閉まっていくところだった

そう言えば、ドラゴンは災害級とか言ってたな·····


「こいつを倒すのが、4層の攻略ってことか·····」


鑑定してみると


【ロックドラゴン】Lv.80 / Sランク

【スキル】属性強化<土>:Lv.1

【補足】不明


レベルはかなり高い·····

そして、初のSランクだ

スキルは初めて見るが、土属性の強化みたいだ

補足に初めて不明と表示された·····食べれないってことか?


「こいつは瘴気じゃないのか·····どうやって戦えばいいんだ·····」


土煙が晴れていくと、ロックドラゴンの身体が見えてきた

4足歩行らしく、前足を地面に着いている

身体中が、ゴツゴツした岩に覆われる

大きさは尻尾を入れると40m位はありそうだ

ロックドラゴンは俺の事を見下して微動打にしない

俺の事を敵とみなしていないようだ


「リオ、扉の所まで離れてろ」


「え?戦うの!?」


「あぁ、やってみないと分からないからな!」


俺は、強敵と戦えることを、嬉しく感じていた

不思議と恐怖は無く、どうすれば倒せるのかを考え続けている

俺は血刀を初っ端から5本作って、両手に1本ずつ構えて3本は浮かべる


「どう考えても、土だよな·····」


そう言って、全ての血刀に、相性がいい風属性を能力付与(エンチャント)する

血刀の周りに風が渦巻いている

ここまでやっても、ロックドラゴンは動く気配がない

まるで、こちらからの初撃を待っているかのようだ


「まずは足から行ってみるか·····」


俺はロックドラゴンの前足に向かって、縮地で移動して指先を斬る


『ギャォオオオオ!!!』

「え?」


ロックドラゴンの指先が見た目のわりに、殆ど抵抗もなく斬れた

感覚的にはステーキ肉をナイフでカットするぐらいの硬さだ


「なんだ、柔らかいじゃないか·····」


俺はそのまま、血刀を5本使い、前足を重点的に攻撃していく

ロックドラゴンも前足をジタバタさせて、俺を蹴飛ばそうとしてくる

縮地で避けながら、前足の裏に回り込み、人間で言うアキレス腱がある場所を深く斬った


『ギュォオオオオ!!!』


ロックドラゴンが叫びながら肘を着くように体制を崩した

俺は血刀を1本に纏めて、5m程の長い刀に変形させた

地面を蹴り、思いっきり跳び上がる

ロックドラゴンの首を真下に捉える


「ここだぁ!」


落下のスピードに乗せて、ロックドラゴンの首筋目がけて、血刀を振り下ろす


5cm程めり込んだところで、血刀が止まった·····

よく見ると、首の周りだけ少し色が変わっている

属性強化で自分の体の岩を強化している様だ


「まだだ!」


俺はそんなことを気にせずに、闘気と魔力強化<火>を発動させる

身体能力を強化して力任せに血刀を押し込む


「うぉおおおりゃぁああ!」


魔力をゴリゴリと消費して、血刀がロックドラゴンの首を斬り進んでいく

半分程斬ったところで、魔力が切れて身体中の力が抜ける


「っな!またかっ!」


すると·····空気中の瘴気が体に纏わりついてきた

瘴気が体に吸収されていき、無くなった魔力の穴を埋めるように、身体中を流れる


「なんだこれ·····力が溢れるようだ·····」


闘気の影響なのか、体から黒い湯気が上がっている

血刀の周りには黒い風が渦巻いている

少し力を込めるだけで、さっきまでの硬さが嘘のように、ロックドラゴンの首が斬られていく


『ズドォーン!!!』

切断された首が地面に落ちた

俺はすぐ近くに着地をする

スキルを解除して、後ろを振り返るとリオがこっちに向かって走ってくるのが見えた


「ふぅー!」


息を吐くと一気に身体中から力が抜けていく

体に巡っていた瘴気は、いつの間にか無くなっていた

俺はその場に座り込んだ


「ジンくん!凄いよ!さっきの黒いのは何?」


「あれは瘴気だな·····」


「瘴気って·····大丈夫なの?」


リオは3層でサソリの瘴気で俺が倒れたのを思い出しているようだ


「あぁ、問題ない·····身体中が痛いが·····」


身体中が筋肉痛のような痛みに襲われているが、その他に問題は無さそうだ


「そう·····あまり無茶はしないでね·····私も戦えるから」


リオが俺に抱きついてきた

また、心配をさせてしまったらしい


「あぁ、悪かった·····次からはリオを頼らせてもらうよ···」


リオの頭を優しく撫でながら言った


「と、とりあえず!ジンくんの体が動くようになるまでは、ここにいましょ!」


リオが顔を赤くしながら、俺から離れた

抱きついていたのが恥ずかしかったらしい


「そうだな·····少し休憩だ

それに、ここが本当に最終層なのか確かめないといけないしな」


最終層なら次のダンジョンへの道が開けるはずだが、今のところ特にそれっぽいものは、起きていない


「もし、最終層ならこれが攻略完了の証になるかもな」


そう言って、俺は近くに転がっていた、ロックドラゴンの体と頭をアイテムボックスに収納した

解体してみると、意外と柔らかい身の部分が多かった

また今度、調理してみよう·····


「かなり辺りが見やすくなったな·····何かないか探索してみるか·····」


ロックドラゴンを収納すると、見通しがよくなった

俺は、体に鞭を打って、この広い場所に何かないか探すことにした


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ