第47話 異空間の制限と2層攻略
1時間ほど遅くなりましたが、本日の更新です
予約掲載の日程がズレてました·····orz
「暗くなってきたな·····」
広場に向かって走っていたが、途中で日が暮れてきた
暗い中、あの素早い猿を相手にするのは骨が折れる
「リオ、ゲートを開いてくれ、このまま広場に向かうのは危険だから一度、異空間で休んで明日の朝から向かおう」
「わかったわ!」
リオがゲートを開くために手を突き出す
小さなゲートが開いたあと、リオが『んー、んー』言っているが変化がない
「どうした?」
「これ以上大きくならないの」
「これじゃ腕しか入らないな·····どうして大きくならないんだ?」
「何か、強い力で押さえつけられてる感じがする·····」
「このダンジョンを創った奴の仕業なのかもな、ゲートを通れないんじゃ仕方ないな·····」
俺は地面に手をついて、魔力を込める
地面が盛り上がり、土のドームが出来上がった
土魔法で創った土のかまくらだ、2人で横になる分には十分な広さだ
「これの周りにバリアを張っといてくれるか?」
リオにバリアを張ってもらい、魔物が出現しても襲われないようにした
念のために、交代で見張りをして1晩過ごした
「魔物は出なかったね」
「そうだな、今回はたまたま出なかっただけかもしれないから、次からも念のために見張りはしておこう」
ダンジョンで一夜を明かした俺達は、広場に向かって移動を始めた
「そろそろ見えてきてもいい頃なんだが·····」
かなり進んできたはずなのに、一向に広場が見えてこない
マップを見ても広場なんて見当たらない、それどころか、木ばっかりで現在地もろくに分からない
「ちょっと確認してみるか」
俺は魔力強化で垂直に跳んで周りを見渡して地面に降りた
「広場あった?」
「あぁ、広場はあったんだが·····場所が移動してた、多分一晩でダンジョンの地形が変わったんだと思う」
「でも、昨日見張りしてたけど、そんな感じしなかったよ?」
「俺もだ·····」
見張りの間は、地形が動くような音も振動も感じなかった
「とりあえず、広場の場所が分かったから移動するぞ」
数十分、走ったところで、マップに広場が表示された
表示されている広場には、起伏があるのか、ドーナツ状に模様がついている
マップを常に確認しながら、広場に向かったが、広場が移動することはなかった
ダンジョンが動くのは夜なのかもしれない
森の境目が見えてきた
「森を抜けるぞ!」
森を抜けて、広場に足を踏み入れる
そこは、500m程の円形の広場で、真ん中に湖があった
マップでドーナツの様な模様が見えていたのは、湖だったらしい
「キレイな湖ね!冷たくて気持ちいいー」
リオが湖に手を入れてはしゃいでいる
俺は周辺を確認したが、祭壇や扉などは見当たらなかった
「ここはハズレだったのか?」
「あ!ジンくん!これ見て!」
俺が1人で考えていると、リオに呼ばれた
「どうした?遊んでないで、祭壇をどうやって見つけるか、考えてくれ·····」
俺が愚痴をこぼしながら、リオの近くまできた
「多分あそこから行くんじゃないかな?」
リオが湖の中を指さしているので、中を覗いてみる
太陽の光が反射していて見えにくいが、透き通る様なキレイな湖の底に横穴が空いていた
穴の入口は1層の遺跡で見たような石造りの門が着いていた
「確かに怪しいな·····だが、あそこまで潜っていくのか?どこまで続いているか分からないぞ?」
「んー空間制御で体の周りにバリアを創って、空気を溜めた状態で歩いていくとか?」
「それは難しいな、前にも話したと思うが、人間は酸素を吸って二酸化炭素を吐いているんだ、バリアの中が二酸化炭素だけになると、呼吸困難になるぞ?この世界も同じ原理なはずだ」
「じゃあ、異空間に水を全部入れちゃうとか?」
「水をすくって入れるのか?かなり時間かかりそうだな·····っ!そうだ!これなら入れれるんじゃないか?」
そう言って、俺は湖に手を突っ込んだ
すると、湖が青く光り始めた
「お!行けそうだ」
「もしかして、アイテムボックスに入れてるの?」
「そうだ!アイテムボックスは俺が触れれる物なら無限に収納できるからな、そうと決まれば·····」
俺は湖にズボズボと入っていって、どんどんアイテムボックスに収納していく
みるみる湖がひやがって行き、数分で横穴を歩いて入れるぐらいになった
「これぐらいで大丈夫そうだな、進んでみるか」
「ほんと、ジンくんはなんでもありだね·····」
リオがブツブツいいながら、後ろをついてくる
横穴は結構長く、暗くて出口が見えない
俺は光魔法で横穴を照らしながら進んだ
しばらく進むと、横穴に階段があったので登ると
「ここで正解みたいだ」
目の前には1層で見た、でかい門があった
「1層と同じなら、ミアズマモンキーが大量に沸くはずだ」
「ジンくんの『炎流』があれば大丈夫だね!」
「炎流?」
「そ、カッコイイでしょ?昨日、1層で使った、炎の竜巻が火が流れてるみたいだったから」
リオがドヤ顔で言ってきた
名前はなんでもいいので、そのまま使うことにする
「まぁ、前回と同じような場所で戦うなら、炎流を避けられることはないと思うが、広すぎると逃げ場が出来てしまうからあまり使えないぞ?」
「そうなの?じゃあその時はどうするの?」
「臨機応変に対応するしかないだろうな」
そう言って、扉に近づいた俺は、扉を思いっきり押して開いて、中に入る
「ちょっと!また勝手に!」
リオが文句をいいながら着いてきた
中は、塔の内側のようになっていた、そんなに広くはないが、高さがある
所々に松明が刺さっていて火がついているが、灯りを取るための窓はない
松明の灯りだけでは薄暗いので、光魔法で光球をいくつか創り、そこらじゅうに浮かべた
周りを見渡して、祭壇を探してみると、1番上にあった
「ここも、真ん中に行ったら出てくるんだろうな·····」
俺はそう言いながらも真ん中に向かって歩く
真ん中を通らずに祭壇に行く方法があったとしても、俺はセオリーを守る派だ
ちょうど真ん中に着いた時、『バンッ!』と音を立てて扉が閉まった
リオが俺の近くに走ってきた
「まだ闘う準備が出来てないってばー!」
「ここは俺に任せとけ、ちょっと秘策を思いついた」
そうこう言っていると、瘴気が集まり始めた
今回もかなり多いようだ
「リオ!俺にしっかり捕まってろよ!」
そう言って、魔力強化<風>でホバリングしながら、リオを背負った
瘴気を確認すると、ミアズマモンキーがどんどん出来上がっている
「そろそろだな」
俺は湖の水をアイテムボックスから全て出した
すると、『ゴォオオオオ!!』とものすごい音を立てて水が渦を作りながら溜まっていく
俺は水の上をホバリングながら、ミアズマモンキーを確認する
ミアズマモンキーは水流に流され、柱などに激突してどんどん消えていく
「ふぅー上手くいったようだな」
俺は祭壇の前に着地しながら呟いた
「水をそんな使い方する!?」
リオが俺から降りながら言った
「魔力も温存できて、一気に倒せて一石二鳥だろ?」
「よくこんなこと思いつくよね·····」
リオが呆れたように言ってきた
「湖の底から上を見た高さと、ここに入って来て祭壇を見た高さが同じぐらいだったんだ、広さも、そんなに変わらなさそうだったしな」
実際、水を全て出すと、祭壇がある高さギリギリまで溜まった
扉は思った通り閉まったので、実行しただけだ
「それより、次の階層に行くぞ」
「待って!魔石回収しなきゃ!ジンくん、また水をアイテムボックスに収納してくれる?」
別に魔石なんていらないんだが、リオが集めたがっているので、水をアイテムボックスに収納した
「全部回収できたよ!」
リオが笑顔で帰ってきた
「じゃ、今度こそいくぞ!」
俺は祭壇にあった本に魔力を込める
すると、祭壇の近くの壁が光って消えた
俺達は通路を進み、階段を登ると見慣れた扉があった
「これで2層攻略完了だな」
「結構スムーズだね!」
「何層まであるか分からないが、3層目は今攻略中の階層だからな、気を抜かずに行くぞ」
近づくと、扉はゆっくりと開いた
俺達は扉を通って3層へ向かった




