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第37話 リオvsレンと3位決定戦


リオとレンが舞台に上がった

俺は日陰で椅子に座り見守る


「ジン様、こちらをどうぞ·····」


「ん、ありがと」


闘技場のスタッフが飲み物を持ってきてくれた

有難くいただく

そろそろ、試合が始まるようだ



「はじめ!」


レフェリーの開始の合図と共に、リオから湯気が出始めた

闘気を発動させたらしい、初めから飛ばしていくようだ

縮地を併用しレンの前まで距離を詰める

レンが反応して回避するために、後ろに跳ぶ


『ドンッ』


レンが勢いよく、後方の()にぶつかった

リオが土魔法で作った壁だ

ぶつかると同時に四方に壁が創り出される


「いっけぇ!」


リオが火魔法で直径3m程の火球を創り出し、壁の上から放り込むと、闘技場に巨大な火柱が上がった


火柱が渦を巻き始め、そのまま細くなり消えていく


「リオちゃん·····俺じゃないと死んでるよ?」


中からレンが出てきた

風魔法で竜巻を起こして火を外に追いやったらしい


「レンだからやったんだけど?無傷とか·····ジンくん並みなのね·····」


リオが呆れながら呟いた·····俺並み?


「次は俺の番だ、な·····!?」

「いいえ·····レンに順番は来ないよ?」


レンの言葉を遮るように土魔法で作った槍が飛んでいく

レンは剣を抜いて弾きながら回避して行くが、闘気の腕力と風魔法での微調整で確実にレンを追撃していく

レンが舞台の端に追いやられる、レンの左右に土魔法の壁が現れた


「また、火球か?」


レンが火球を対処しようと上を見上げる

すると、上にも土魔法で壁が作られる

トンネル状になった土壁の中にレンが閉じ込められた形だ


「これで、終わりよ!」


リオがトンネルに向けて手のひらを向ける、風速20m以上はある強風が狭いトンネルに送り込まれる

ただでさえ立っていられない程の強風をトンネルの中で受ければ場外に吹き飛ばされるのは必至だ

が·····トンネルの中からレンが普通に歩いて出てきた

体からは湯気が上っている


「このスキルいいね·····今までよりも身体能力が上がったみたいだ·····それに縮地はこうだよね?」


レンがリオの前に現れる


「!?」


リオの反応が遅れて、吹き飛ばされる

舞台の端に転がって止まった

リオが立とうとした時、レンの剣が首筋に突きつけられる


「魔力も、もうないわ·····私の負けよ·····」


「勝者、レン!」


リオのギブアップにより、レフェリーの声が響いた

観客席が騒いでいる

どうやら、この大会でリオにファンが出来たらしい

泣き崩れながら、叫んでいる人が何人か見える·····


「負けちゃった·····」


リオが俺のところへ戻ってきた

派手に吹き飛ばされていたが、外傷は無いようだ

レンが手加減してくれたのだろう


「レンが相手であれだけ戦えれば十分だろ、いい作戦だったと思うぞ?」


「そう、かな?」


俺が褒めると、リオが頬を染めて照れている


「明日は3位決定戦だな」


「えー只今情報が入りました!明日予定してた3位決定戦ですが·····ユダ選手が明日戦えない状況であると、ドクターストップがかかりましたので、リオ選手の不戦勝となります!なお、明日は決勝戦から始めさせていただきます!」


場内がさらに騒がしくなった

『ドクターストップか·····少しやりすぎたかもしれないな·····』


「ってことは、リオもAランク確定だな」


「ジンくんのおかげだよ!」


リオが笑顔で答える

レンはユダの所に向かったようだ


「俺達もユダの体調を見に行くか·····」


罪悪感を覚えながら医務室に向かった




「ジンさん、本当に来たんですね·····」


「俺が言った通りだろ?」


レンが笑っている


「俺が来るとまずかったか?」


「いえ·····レン様が『ジンなら絶対に見舞いにくるはずだ!』なんて言うもんですから·····」


ユダの俺を睨むような目つきは今はない

どこか寂しそうな目でこちらをみている·····


「俺がやりすぎたせいで·····」

「いえ、僕が未熟だっただけです!この怪我は相手の力量を測れなかった僕の責任ですから、ジンさんは気にしないでください!次は負けませんから!」


俺の言葉を遮ってユダが言った


「そう言ってくれると有難いが、体はどんな感じだ?」


「肋が折れちゃってます、痛みは我慢できるんですけど医者がやめろの一点張りで·····」


この世界に、回復魔法なんてない

回復薬はあるが、外傷と痛みをマシにするぐらいで、骨を一瞬で繋げれるほどの回復薬なんてない

しかも、無駄に高いので冒険者は痛みを我慢して自然治癒に任せているぐらいだ


「僕はレン様について行ければそれでいいので、ジンさんは気にしないでくださいね」


「ジン、ユダもこう言ってるから気にするな!それより明日は俺と勝負だ!手加減なんかすんじゃねぇぞ?」


「あぁ、もちろんだ!どっちが勝っても文句なしだからな!」


俺はレンと握手をして、医務室を後にした

レンはステータスを隠蔽していて、確認できなかった

俺も同じように全て隠蔽しているので、お互い様だ




「はぁー疲れたー!」


宿に戻るなり、リオがベットにダイブしながら叫んだ


「ジンくん·····ごめんね?」


枕に顔を埋めながら、目線をこちらに向けて言ってきたが、謝られるようなことは何も無いが·····


「何がだ?」


「私が勝っていれば、ジンくんの優勝が確定して、魔導船も手に入ってたのに·····それに、闘気と縮地までレンに覚えさせちゃった·····」


「あぁ、そういう事か、気にしなくていいぞ?どの道、闘気と縮地は俺との戦いで覚えていただろうから、ちょっと早まったぐらいだ、それに魔導船は俺が勝てばいいだけだろ?」


「ありがと·····応援してるからね!」


「あぁ、任せとけ!」


その日は体力回復に専念して、早めに寝た



次の日·····闘技場に着いた俺達は舞台の袖にいた

アナウンスで盛大に会場を盛り上げている

そろそろ、舞台に上がる頃だ


「それじゃ行ってくる」


そう言って袖から舞台に歩いていく

俺に気づいた観客達から声援が聞こえてくる


「ジンくんなら勝てるよ!」


舞台に上がる時に、リオが叫んだ


「あぁ、勝ってくる!」


リオに笑顔で手を振りながら、返事をした

反対側からレンが舞台に上がってくるのが見えた


ついに武術大会決勝戦がはじまる·····


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