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第29話 護衛依頼の魔物の群れ


俺は、日が昇る前に目が覚めた

この世界に来てから、かなり生活リズムが改善された

隣を見るとリオが寝息をたてて、幸せそうに寝ている


「リオ、起きろ!そろそろ準備して東門に向かうぞ!」


リオを揺すって起こす


「んー·····わかった·····」


リオが眠たそうにノソノソとベットから出て準備を始めたので、俺も準備をする

まぁ準備と言っても、俺の場合、持っていくものはアイテムボックスに入っているから、顔を洗って服を着替える程度だ


「お待たせー!」


リオが準備できたようなので、東門に向かった




東門に着くと、馬車が3台あり、御者が3人と、全体の指揮を取って慌ただしくしてる人が1人、後は冒険者が7人いた


「おや!あなた方がBランクの冒険者さんですかな?」


慌ただしくしていた人が、俺たちに気づいて声をかけてきた

周りの冒険者達も気になるようで、チラチラとこちらを見ている


「あぁそうだ、依頼人で良かったか?」


「はい!今回の荷馬車護衛の依頼人のマルコと申します!本日は依頼を受けていただきありがとうございます!」


マルコさんは茶髪のショートヘアで全体的に細い人だ

常に笑顔で印象はいい感じの人だ


「あんたがジンか?」


マルコさんと話していると、横からガタイのいい冒険者が割り込んできた

俺の名前はたぶんギルドから聞いたのだろう


「あぁそうだ、こっちは仲間のリオだ」


ついでにリオを紹介しておく


「そうか!Bランクが護衛依頼を受けたって言うからどんな奴かと思っていたが、まだガキか!俺はCランクのガイだ!今回のリーダーを引き受けることになっている!道中よろしくな!冒険者はみんな向こうに固まっているから挨拶しといてくれ!ガハハハハ」


ガイは一方的に喋って大笑いしながら荷馬車の方に歩いていった

ちょっと偉そうな奴だが、基本無視でいいな

リーダーという事は護衛依頼の経験が豊富なのだろう

とりあえず、言われた通りに挨拶しに行くことにした



「俺はBランクのジンだ、メイン武器は特にない、護衛依頼は初めてだが、索敵は得意だ!よろしくな!」


「同じくBランクのリオよ、魔法メインだから基本後衛になるのかしら·····ジンくんとしかパーティを組んだことがないから、連携には期待しないでね」



俺達が6人の冒険者に自己紹介をすると、1人が喋り始めた


「俺達は6人でパーティを組んでいるんだ、全員Dランクで、俺はパーティのリーダーをしているロイだ、メイン武器は両手剣、こっちから順に、盾役のクリフ、片手剣のアーノルド、魔法使いのアイシャ、弓使いのケイト、槍使いのエリーだ!」


「「よろしくな!」」

「「「よろしくね!」」」



「では、そろそろ出発しましょうか!」


自己紹介が終わったところで、マルコが声を上げた

冒険者はそれぞれ馬車に割り振られた

馬車Aにはガイ、馬車Bには俺達、馬車Cには6人が乗っている




しばらく、馬車に揺られたが何も起こらない


「魔物が出てこなければ特にやることもないな·····魔力コントロールの修行でもして過ごすか·····」


リオの修行も兼ねて、暇な馬車の中は魔力を体の中で巡らせる修行をすることにした

巡らせるだけなら消費しないので突然の戦闘になっても問題ない

勿論、マップは常に確認しているので問題ない



1ヶ月弱の長旅だが、飯は自分たちで用意する

一応、日持ちのする干し肉は依頼人から日数分渡されているが、美味しくなかったので今後食べないだろう




その日は何事もなく、日が暮れてきたので近場で野営をすることになった

夜はそれぞれテントを張って、3人1組で交代しながら見張りをすることになった


初日は1番目を任された、メンバーは俺とリオとロイだ

ロイに色々質問攻めにあった


「イスタに来る前はどこに居たんだ?」

「カタクだな、隣町だから知ってるだろ?」



「カタクっていやーBランク最速記録を出した冒険者がいるって話だが、そいつはどんなやつなんだ?」

「俺がそうだ、リオは3番目だが、2番目は知らない奴だな」



「·····」

ロイがこっちを向いたまま固まってしまった



「·····荷物が少ないが何かいい方法があるのか?」

「内緒だ」


話題を変えてきたが、それは話せない



「2人パーティと言っていたがそう言う関係なのか?」

「っ!」

「そんな関係じゃないぞ、まぁ宿は同じ部屋だしテントも同じだがな」


隣で聞いていたリオが一瞬反応したが、スルーして話を進める



「ジンはメイン武器がないと言っていたが、魔法使いでもないのか?」

「魔法も使うが、今は片手剣を使うことが多いな」



「今は片手剣を持ってないのか?」

「あるぞ、魔法で作れるんだ」


そう言って、火の剣、土の剣、水の剣をみせたところで、ロイが現実逃避を始めたのでやめた



「3属性も魔法が使えるのか!剣を作るなんて初めて見たぞ!」

「まぁな·····」


現実に帰ってきたロイが興奮して目を輝かせ始めた

本当は全属性使えるが、態々話す必要も無いだろ



その後、魔法の使い方を教えてくれとか、剣の修行を付けてくれとか色々言われたが、護衛中は出来ないと断った




それから数日、移動しては飯を食べて見張りをしてを繰り返した

見張り中は、他のメンバーとの会話も似たようなものだったが、ガイとの見張りの時はずっと無言だったので、魔力コントロールの修行をして過ごした



移動中はマップに魔物は表示されているが、こっちに近づいてくる魔物は少なく、近づいてきても100m先で火魔法で始末している


「今回の旅は運がいい見たいですね!」


俺達が乗っている馬車の御者が話しかけてきた

この1週間とくにやることも無かったので、御者ともある程度仲良くなった


「そうなのか?」


「はい!1週間魔物被害ゼロは俺の経験では最高記録ですよ!大小ありますが、普通は毎日1戦ぐらいはありますからね!」


「いや、毎日魔物は近づいてきているぞ?俺が魔法で仕留めているからここまでは来ないが」


「えぇぇぇぇー!!!!」


御者の声が響いた

他の2台の馬車が停まってこっちのみんなこっちの様子を見に来た


「どうしたんだ!?」

「何があった!」

「魔物か!!」


みんな口々に騒いでいる


「いや、なんでもないんだが·····」


「なんでもないことないですよ!この1週間魔物に出会わないから運がいいって言ったら、ジンさんがなんて言ったと思います!?近づいてくる魔物は全部魔法で倒してるって言ったんですよ!?」


御者が興奮しながら、みんなに話す


「本当なのか?」


ガイが聞いてきた


「あぁ、本当だが?そんなことしない方がよかったか?」


みんなの仕事が減るようなことはしない方が良かったのかもしれないな·····

俺だけが獲物を横取りしているようなもんだし·····


「都合のいいことを言って報酬をかっさらう気じゃねぇか!?そうやってBランクに上がったんじゃねぇだろうな!本当なら証拠を出してみやがれ!」


すごい言いがかりだ·····


「証拠か·····この旅の途中で丸焦げの魔物を見なかったか?俺は火魔法しか使ってないから、もし俺が倒した魔物がいたらそいつらは丸焦げなはずだ」


「あぁ!いたぞ!」

「何回か丸焦げの魔物を見かけたぞ!」

「気味が悪くて報告はしなかったが、俺も見たぞ!」


御者3人が証言してくれた


「その丸焦げの魔物を見て、そんな嘘を並べてるんじゃねぇだろうな?」


『そう言う捉え方もあるよな·····ん?』


どう証明するか考えていると、マップに魔物の反応があった


「魔物がこっちに向かっている·····」


「何言ってやがる!苦し紛れに混乱させて逃げる気か?」


俺の独り言にガイが突っかかってくる


「ここから南東、俺達の進行方向だ、距離は1km程先だが、魔物の群れが来るぞ、数は数えきれないが規模的に100はいると思うぞ」


ガイは無視して、みんなに話しかけるが·····


「そんな距離の魔物が見えるわけないじゃないか!」

「ホラ吹きだったのか!?」

「最速でBランクになれたのはそう言うこと!?」

「そんな·····」

「化けの皮が剥がれたな!ギルドに突き出してやる!」


みんなが騒いでいる

そうこうしていると、群れが500mまで近づいてきた



『ドドドドドドドドド·····』



「え?な、なに?」

「揺れてるよね!?」

「地震か?」


地響きがここまで伝わってきている

逃げるにしても戦うにしても早くした方がいいだろう



「距離が500mを切った、そろそろ逃げるか戦うか決めろ!戦わないやつは馬車に隠れてろ!馬車はできるだけ1箇所に集めろ!守り抜いてやる!」


護衛以来である以上、馬車と依頼人は守るが冒険者は自分のことぐらい自分たちでどうにかするだろ


冒険者達は動こうとしない、どうすればいいか分からず思考が停止しているようだ



「リオ!サポートたのむぞ!俺は一気に突っ込む!」


「ちょっと待って!」


俺が突っ込もうとすると、リオが止めた

リオが俺に向かって手のひらを向けると、俺の体を薄い膜の様なものが覆った


「ジンが言ってた『ばりあ』って言うのを創ってみたの!」



俺が剣術修行してる間にバリアを創り出したらしい、俺の事をサポート出来るようにとか言っていたがこんなものまで創れるとは·····



「ありがとな!サポートは頼んだぞ!」


「うん!」


リオの頭を撫でると、少し頬を赤らめて笑顔で返事をした

俺はリオたちを背に、一気に魔物の群れに突っ込んだ

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