第105話 彼の人の正体
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煙が無くなる頃には、守護者達の姿は消えて、そこには1人の子供が立っていた。
「あんたが彼の人か?」
「そうだよ。僕は君たちが来るのをずっと待ってたんだ」
彼の人の見た目は、10歳程の子供だった。性別の判断は付かない程、整った顔立ちをしている。
「守護者達が消えたが、どこに行ったんだ?」
「彼等は、僕の中に戻ったんだ。彼等はみんな、僕の一部だからね」
「あんたのスキルってことか?」
リオと同じ、空間制御のような、ユニークスキルを持っているのかもしれない。
鑑定してみると……
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【名前 / 性別】不明 / 不明
【年齢 / レベル】不明 / 不明
【スキル】不明
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「なんだこれ?」
鑑定結果は、全てが不明としか表示されなかった。
「鑑定かい?
鑑定スキルは、僕が作ったスキルだから、僕のことは鑑定出来ないよ?」
「スキルを作っただと? てめぇは一体何者なんだ!?」
「僕? 僕は君たちと同じ、『転移者』だよ」
「やっぱり俺達の他にも、転移者がいたんだな。
あんたの他にも転移者はいるのか?」
「今いる転移者は、君たちだけだよ。
今までも何人かこの世界に流れてきたけど、みんな死んじゃったからね……」
「あんたが殺したのか?」
「そんなわけないよ。あ、でも、間接的にはそうなるのかな?
でも、僕の指示じゃないから、この場合はどうなんだろ」
「間接的にって、どういう事だ?」
「転移者はみんな、魔物に殺されたんだ」
「それがどうなれば、間接的に殺したことになるんだ?」
転移者が魔物に殺される可能性は十分にあるだろう。俺もタイミングが悪ければ、あの森で死んでいたかもしれないし、洞窟でも、シャドウベアーに殺されかけた。
「説明すると長くなるんだけど……かなり前のことで記憶も曖昧だから、掻い摘んで話すね。
あれは確か、僕が転移してきて、100年ぐらい経った頃かな──」
「100年!? 転移して100年もこの世界にいたのか?
ってかなんで死なねぇんだ?」
彼の人が話し始めてすぐに、レンから質問が飛んだ。
「レン、気になるのは分かるが、質問は説明を聞いてからにしないか? 話が進まなくなる……」
「そうだな……わりぃ。続けてくれ」
「うん。後で質問は聞くからね。
えっと、転移して100年経った頃には、僕の周りには誰もいなくなっていたんだ。何年経っても死なない人間なんて、気味悪いから仕方ないんだけどね」
「始めは、一緒に暮らしていける、僕と同じように死なない生き物を作ることにしたんだ。
死なない生き物は、すぐに作ることは出来た。君達がダンジョンで倒してきた、瘴気の塊の生物は、僕が作った初期段階の物だね。
あんな真っ黒な生き物でも、寂しさを紛らわすぐらいにはなったよ」
「そこから試行錯誤して、作り上げたのが、みんながよく知る魔物だね。あそこまでの完成度に仕上げるのに50年はかかったかな……今は勝手に繁殖してるけどね。
転移者達はみんな、魔物に挑んで殺されて行ったんだ。だから、間接的にってことになるのかなってね」
間接的の意味は理解出来たが、他の疑問が増えてしまった。
「もう質問していいか?
まず、俺からの質問だが、なぜ死ねねぇんだ?」
「僕の持つ能力のせいだね。
僕は瘴気を操ることが出来るんだ。ジン、君のようにね」
「あんたも、瘴気を?
だが、俺の場合はあんたが作った、瘴気の魔物が原因だ。あんたはどうやって瘴気を扱えるようになったんだ?」
「僕が転移してきた時、この世界は、瘴気に満ちていたんだ。瘴気のせいで、人間は恨み、妬み、争っていた。
僕の体質なのか、転移者だからなのかはわからないけど、僕は瘴気に耐性があったみたいでね、瘴気を体内に取り込めたんだ。
それを知った時、僕はこの世界に来た理由はこれだと思った。
僕はこの世界を救うために、世界中を旅して、瘴気を体内に取り込んでまわったんだ。
気がついた時には、体内に巨大な瘴気の核が出来ていて、体の成長が止まってた」
彼の人と同じように、瘴気を体内に取り込めた俺にも、耐性があったのかもしれない。と言うことは、俺も成長が止まってしまったのだろうか?
「じゃあ、ジンくんもずっとこのままなの?」
「大丈夫だよ、ジンの場合は、早い段階で瘴気を体外に出す方法を教えることが出来たからね。
瘴気の核も小さいし、僕みたいに不老にはならないはずだよ」
俺は知らない間に、助けられていたらしい。
リオが隣で安心してるが、彼の人が作った魔物が原因で、瘴気の核が出来てしまったので、感謝していいものかわからない……
「不老のあんたが、何のためにダンジョンを作ったんだ?」
「それはね、僕を殺せる人を探すためだよ……
さっきも話したけど、魔物を作ることに成功した僕は、生きている目的が無くなったんだ。なんの為に生きてるのか、何がしたいのかが無くなった。
だから、僕は死ぬことにしたんだ。けど、瘴気が勝手に僕を守るんだ……普通の刃物でもこんな感じに、刺すことすら出来なくなっていたんだ」
彼の人は無から、短剣を取り出し、自分の心臓を一突きした。が、短剣の方が砕けて、彼の人には傷一つ付いていなかった。
「色々作って試して見たんだけど、どうやら瘴気のせいで、自分では死ねないらしくてね……仕方ないから自分を殺せる人を探すことにしたんだ」
彼の人は寂しそうな目で、俺達を見ながら言った──。
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