第17話 チョウカとハナビ
今から週一以上更新します
「箱庭戦争 隣の芝生は悔しいくらいに青い」も頑張って書きます
「よぉ、待ってたぜ。お前達のお陰で学年主任になつちまった。俺は、事務仕事が死ぬほど嫌いなのにな!」
新しく主任になったのは、剣術師範だったバーゼルだ。
大陸戦にシロウが必要だと最後まで言ったかららしく、『あいつは人を見る目がある』と前の主任が強く推したのだ。
当人は嫌だったようで、主任の挨拶時に「いつまで保つか分からねーから、主任とは呼ぶな」と言った時は、日頃の適当さが知られている事もあり、大きな笑いを取った。
「お前らの4人目だがな、候補が2人いる」
バーゼルにしては珍しく声を抑えている
「2人というのは、私達が選ぶのでしょうか?」
キファは4人目が師範達に決められると思っていたから少し驚いた。
「俺達は悩んだ末に決めたんだがな、横槍が入った。全く面倒な事ばかりだ。お前達に決めさせる」
「バーゼル師範!」
声がすると主任室の横の扉が勢い良く開いた。
扉から入ってきたのは2人。2人とも灰色の髪にスラッとしたスタイル、よく似ている様に見える。
「師範、私がハナビと同格というのは、納得いきません」
声を荒げている人をシロウは見た事がある。確か対抗戦の2学年の代表者の人だ。でももう1人と外観が似ているので、黙っている方がそうなのかもしれない。
「チョウカ騒ぐな。同格というのは違うぞ、俺達はハナビを選んだ。それを承諾しないお前達の長が出した条件で、2人が並んでいるだけだ」
「では何故、ハナビを選んだのです。私が対抗戦で負けたからですか?」
「うるせぇ、俺はそれを説明する気はねぇし、決めるのはシロウ達に任せた」
バーゼルは話は終わりだと椅子ごと後ろを向いてしまった。
「取り乱してすまない。私は2学年のチョウカと言う。君達のパーティーに入れて欲しい」
チョウカはシロウ達に向き直る
「ハナビさんは如何でしょうか?」
一歩前に出るとキファが尋ねた。
「私は・・」
ハナビはそれだけ言うと黙ってしまう。
「私の方が強いぞ、私は2学年の代表者だ。君達と違い負けてしまったがな。やる気のないハナビよりも私を連れて行け」
「ハナビさんは私達のパーティーに入る気持ちはないのでしょうか」
「私は・・・」
キファが重ねて聞いたが、やはり黙ってしまう。
外見は似ている2人だが性格はかなり違いそうだ。
「バーゼル師範、決めるのに良い案はないでしょうか?」
「何故迷う、やる気があるか無いかも判らないハナビよりも私にするべきではないか」
「チョウカさんの言われる通りではあります。でもバーゼル師範は一度はハナビさんを選んだと言われました。私達はバーゼル師範を信頼しています」
キファはチョウカと目を合わせしっかりと言った。
「で、決め方だがな。5人でダイユウのダンジョンに行け。そこでどちらが自分達に適しているのかを見極めて来い」
後ろを向いていたバーゼルが言った。
評価を何卒宜しくお願いします