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15 はじめてのお茶会 Ⅳ

だいぶ落ち着いた。はあ、半ば失恋っぽい感じで出ていってしまったから王子達もさぞかし心配していることだろう。ごめんね。内心謝りながらも気持ちを落ち着かせ会場へと戻る__と、戻ると王子達やお兄様が勢ぞろいしている。ほかの令嬢達もそこを遠巻きに眺めながらきゃいきゃいしているよ。まあ確かにこう見ると美少年ぞろいだものね。ミシェル王子もアレン王子もお兄様も、あと…あれ、あの人は誰だろう?とりあえずそんな遠巻きに眺められている目立つ集団に入りづらいのでどうしたことかと思っていると、お兄様と目が合った。


「エミリア!」

「…お兄様。」


一気に視線が集まる。羨望と妬みの視線っぽい。うぇ。やめてくれ。有無を言わせない表情で王子やお兄様に招き入れられる。なになに。近くに行くとやっぱり見慣れない格好いい男の人がいた。黒髪に鋭い灰色の瞳の無表情な男の子。多分年上。


「…あの、」

「ロゼ=キングスレイ。クレアの兄だ。」

「ぁ…エミリア=シルヴェスターと申します。先程は…」


ああ、なるほど。変態的な視線で見つめたことに謝罪を求めに来たのか。妙に納得する。今後は妹さんをそのような視線で見たりしません〜っ

と、謝罪をしようとした時、ロゼ様が頭を下げた。


「先程は、妹がすまなかった。」

「…えっ」


いや〜元はと言えば変態的な目で見つめた私が悪いわけでありまして、謝るのはむしろこっちと言いますか〜と戸惑っていると、後ろから控えめに姿を現したのは、先程の美少女だった。


「さっきは…ごめんなさい…っ」


ぺこぺこと混乱したように頭を何度も投げる彼女は、…やっぱり可愛かった。はわぁまたお目にかかれるなんて。

話を聞くところによると、美少女…いや、クレアちゃんは単純に驚きと恥ずかしさで思わず逃げただけで本当は全く嫌とかではなかったらしい。…よかった、変態的な視線で怯えられたわけではなかったみたいで本当によかった。ほっと胸を撫で下ろしていると、クレアちゃんにぎゅっと私のドレスの服の裾を掴まれる。きゅん。


「あ、ぁの…こんなわたしが、今更…かもしれないんですけど」


凄く恥ずかしそうにもじもじとしながら精一杯話すクレアちゃん。あ〜可愛い。今度こそ変態的な視線で見つめちゃいそうだよ。いや、ダメよエミリア=シルヴェスター。もっと自我を保つのよ!


「おともだち…に、なってっ…ください、ませんか?」

「!!!」

「…だめ、ですか。…ですよね…」


ぎゅぅっ!!嬉しさのあまり思わず抱きつく。クレアちゃんの小さな肩がピクっと震えた。あーもう可愛い…可愛いわクレアちゃん…。


「うれしいですっ!!友達になりましょう!」

「ぁ…わ…はぅ…」


ぷしゅーっと湯気をあげて倒れてしまったクレアちゃんに気づき慌てて休憩室にお姫様抱っこでクレアちゃんを運んだ私は、一躍有名人となり、そのあとこってりとお兄様とお母様に怒られたのは言うまでもない。


「エミリア。」

「…はい、お母様。」

「王家のお茶会で何をしていたのか報告してくださる?」

「友達ができました!」

「そうじゃありません。」

「…はい、涙の大ダッシュを決めたあとクレア様に抱きつき、倒れたクレア様を運びました」

「…はぁ…頭が痛くなってきたわ…」

「…ごめんなさい」


☆☆☆☆☆


「おかえりなさいませ、お嬢様。」


ようやくお兄さまの注意という名の説教が終わりお母様からも解放されたあと、自室に倒れ込んだ私にコゼットが笑顔で紅茶を入れてくれた。ふぅ、コゼットの優しさが身に染みるわ。


「…ありがとう、コゼット…」

「いえいえ、私の務めですから」


コゼットの淹れたお茶を飲みながら、今日一日を思い返す。…さんざん怒られらけど、悪くなかったなあ。お茶会、また行きたいなあ。まあ暫く禁止令出されたけども。それに。


「…ふふ」


目が覚めたクレアちゃんと今度遊ぶ予定も立てたし!!楽しみで仕方ないわ!!それにしても可愛かったなあ。逃げられた時はショックだったけど。そんなことを回想しながらニヤニヤ笑う私を見て、コゼットも楽しそうに微笑んでいた。

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