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10 ろくさいになりました

さて、今日は誕生日だ。…とはいえ、まだ6歳。お茶会も開く予定がなく、強いていえば最近では高頻度で訪問してくるミシェルとアレンが遊びに来てくれる予定になっているだけ。そんな大げさなことはする予定もない、が。


「………おとうさま、はなしてください」

「私の可愛い可愛いエミリアに似合うと思うんだよ!」

「にあいません。にあいませんからはなしてください」


現在親バカ親父との攻防戦を繰り広げていた。うげ。お父様、そんな期待に満ちた顔をしないでください。そんなふりっふりのついた大げさなドレス着たくないです。しかもピンクって。ピンクって。

私はあまり女の子らしすぎるのを好まない。なので普段は落ち着いた色合いのシンプルだけどセンスのいいドレスを着ていた。それでも元が悪くないから満足していたのだが、お父様はフリフリに着飾ったのが見てみたいらしい。まあ、このくらいの年齢の令嬢はそういうお姫様!って感じのドレスを着ている人が多いらしいんだけど。…別に私だって、そういうドレスが嫌いな訳では無い。むしろ可愛いから好きだ。けど、自分が着るんじゃないのだ。自分が着るんじゃなくて…。そうだ。


「おとうさま、ではそのどれすいただきます。」

「え、エミリア!!」

「ふくもきられないのはさびしいでしょうからね。」


嬉しそうにキラキラとした目で見る中年お父様ににっこりと微笑んでみる。…うーん、ちょっと罪悪感。まあいいか。

お父様にドレスをもらい一段落したあと、王子二人が訪ねてきた。


「ふふ、みしぇるおうじ、あれんおうじ、ようこそいらっしゃいました」

「エミリア、誕生日おめでとう」

「おめでとうございます、エミリア。」


素直じゃなさそうなミシェル王子とニコニコ笑顔なアレン王子は相変わらず美形兄弟だ。ミシェル王子は相変わらずで高頻度で訪ねてきてはデリカシーのない発言をしてくるのでギャーギャー口喧嘩が耐えない。まあ、面白いんだけどさ。アレン王子は最初こそおどおどしていたが慣れてくると段々可愛らしく優しい弟みたいに思えてくるようになった。…何故か時々寒気がするけども。

そんなうつくしい兄弟に笑顔でさあさあ、と誘導するのは、着替え部屋。


「お、おい…エミリア?これってなんだ?」

「さあ、みしぇるおうじ、あれんおうじ。」

「エミリア…なんか笑顔が歪んでいますが…」

「おきがえのおじかんです」

「「!?!?!?!?」」


私の指示によりメイドたちが王子達にごめんなさいごめんなさいと謝りながら着替えさせてくる。うむうむ。苦しゅうない。満足!!と頷いているとデイヴが呆れた表情で私を見てくる。一応王子とはいえ、私の立場であれば王子も本気で怒りはしないだろうと判断したのがデイヴも止めはしないがだいぶグレーゾーンなことをしたという自覚もあるため「てへっ」と可愛こぶって笑ってみた。ぽかっと殴られる。


「あうっ…ぼうりょくはんたいです」

「教育的指導です」

「ぜったいにあうとおもったんです」

「男の尊厳というものがあるんです」

「おとこのそんげん?」


そこまでいったところで、背後からの殺気。バッと振り向くとそきには、


「はわっ…」


超絶美少女二人がたっていた。お父様チョイスのフリフリのドレスはとっても可愛らしく、まだ幼い二人にとても似合っている。想像通りだ。いや想像以上だ。


「「え〜み〜り〜あ〜?????」」

「ご、ごめんなさい」


ニコニコニコニコ。怒った二人にとっても怒られたけど、怒った顔も綺麗なのでとりあえずミシェル王子に抱きついた。ちゃんとウィッグまでつけてくれたらしく綺麗なロングの髪に水色のドレスを着た美少女の完成だ。あーかわいい。いやごめんなさい反省はしてます後悔はしてません。可愛い〜〜。


「ちょっ、抱きつくなっ」

ばひゅんって真っ赤になるミシェル王子。いやむしろミシェル姫?

「みしぇる…かわいい。」


耳元で囁いてみるとさらにミシェル王子は真っ赤になった。やだもうピュアなの?ピュアだね?いや6歳なんだけどさ!ぎゅむぎゅむしていると笑顔のもう1人の美少女に無理やり引き離される。ああああアレン王子…いやアレン姫も可愛い!!元々可愛い容姿だっただけありさらにプリティー度合いを上げたアレン姫は天使を通り越して悪魔だった。今度は全力でアレン王子を愛でるために抱きついた。大好きなお兄ちゃん独り占めしちゃってごめんね〜でもアレン姫もかわいいよ〜〜愛でさせて…


「エミリアどういうつもりですか、っと…ぅ…」

「えへっ…あれんもとってもかわいい。すてき。」


デレデレと抱きつく私に「〜〜っ…」とやりにくそうに目をそらすアレン王子。その頬はほんのり染まっている。…ああ、こんな天使のような男の子がいていいのか…っ!

いい加減にしてくださいとデイヴに引き離されるまでの数分間、私は交互に可愛い二人を愛で続けた。


「…で、どういうつもりですか?エミリア?」


落ち着いてしばらく。再び元の服に着替えた二人はたいそうご立腹な表情で私を見ている。私は当然正座。はい、正座。あまりに高頻度で訪問してくるからだいぶ忘れかけていたけれど、そういえば二人は王子だった。私、国外追放!?いやあああああ美少女二人愛でられたけどまだアリスちゃんを見てないいい!!せめて追放する前にアリスちゃんを見せてぇぇえええ!!


「…はぁ、お前なあ…」

「せめてありすちゃんをみせてから…ついほう…してください…」

「………まったく。」


私がせめてアリスちゃんを見せてからと懇願していると、呆れたようにアレン王子が私の目の前で跪く。…うぅっ、とうとう断罪が…っ!と目をぎゅっと瞑り断罪の宣告を待っていると、手を取られる感覚。そしてなにかが手の甲にくっつく。


「あれっ…おま…」

「…ほへ?」


焦るミシェル王子の声に目を開ける。何があった?んん?なんかついたような。


「…これで許してあげましょう」


何をされたのかわからないけどとりあえず許されたらしい。はっ、もしや気でも奪い取られた!?…まあいっか。二人の女装が見れたし。なんか真っ赤になって慌てるミシェル王子を「おーよしよし」と宥めてあげると、「ばかかっ」と罵られた。解せない。


☆★☆

「そういえばプレゼントなのですが…」

「ほうせき、にどれす…」

「まあ、これなら男っぽいお前でも見れるもんじゃねーかなって!」

「あ、ごめんなさい、いらないです」

「「!?」」

「おにいさまに、おにいさまやかぞくいがいからこうかなものはもらわないようにと。それにわたし、そんなにどれすもいりませんから」

「………セシルめ…」

「?どうしましたか?」

「いえいえ、なんでもないですよ。ふふっ。…それにしても、エミリアに断られてしまうとプレゼントがなくなってしまいますね…」

「だいじょうぶです。ふたりがたんじょうびにきてくれただけで、とってもうれしいので」

「だが、エミリア…」

「きてくれてありがとうございます、とってもしあわせなたんじょうびです」

「……まったく、エミリアには敵いませんね。」

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