04 空手少女、参上
人質全員、合わせて5人は壁に手をつけさせられた。
「オイ、お前。ここにある金をさっさとだしな」
管理職の男性に銃を突きつけ、結束バンドで手を前向きに拘束してゴリラが凄む。
「アニキの言うとおりにしないと、この女たちに新しい穴が増えることになるぜ」
ヘビが、女性局員の方に銃を向け結束バンドで次々と、手を拘束していく。
男性は手を前向きに拘束されているだけだが、女性は後ろ側で手を拘束され、尚且つ足も縛られた。
最後に女子高生の子が、拘束される番になったが、そのときだ。
「触らないでよ」
拘束しようとして、彼女の左腕を掴んでいたヘビが彼女の放った右肘をこめかみにくらって、たたらを踏む。
「てめぇ、死にてぇらしいな。あぁん」
「大の大人が、武器がなければ女1人も口説けないの。それでも男?」
「もういい、お前が悪いんだからな」
ヘビが彼女に銃を向ける、マズイ目が本気だ。
撃たれる、そう判断しソファーを蹴り、物音を立ててこちらに注意が向くよう仕掛ける。
「誰だ、そこにいやがるのは。ん......ガキか、何でこんなところにガキがいやがる」
銃口が彼女から、外れる。ギリギリ間に合ったみたいだ......えっ。
彼女が、意識の逸れたヘビに追撃しようとしている。ゴリラもいるのに無謀だぞ。
今度は彼女の気を引かないと、なんでもいい。
「高校生のおねぇちゃん、危ないよ。大人しくしてようよ」
「女の子?」
彼女の気を引くことには成功、しかし状況はコンディレッド非常に危険だな。
ヘビが近づいてきて、俺の右手を掴み歩きだす。
女子高生が、ヘビに何らかしらのアクションを起こそうとしたが、ヘビがオレへ銃口を向けてきたので諦めた。
「卑怯よ、武器なんて捨ててかかってきなさいよ」
「卑怯?なにいってんだ、現状理解しているのか。頭大丈夫か?」
「おもしれぇ」
「アニキ」
奥から、ゴリラが戻ってきた。手には束の現金、1つしかもってないので100万円だろう、それを手に声をかけてきた。
「男も拘束して、金も手に入れたが。やっぱり、こんな小さい所だとこんなもんかねぇ。
ちょっと遊んだらなくなっちまうぜ」
「じゃあ、ずらかりますか。アニキ」
「まてよ、少し遊んでいこうや。せっかく、めったに人の入らないここを選らんだんだ。
少しは遊ぶ時間はあるだろ?」
「はぁ、じゃあ女たちにストリップでもやらせますか?」
「いや、運動不足の解消がしてぇ。おい、そこの女」
「何?死んでも脱がないわよ、臆病者の上に変体なんて救いようがないわ」
「別に脱げなんていわねぇよ。お前の望みどうりに素手で遊んでやるよ、さっきの肘打ち見てたぜぇ。何かやっているんだろう」
現金とショットガンをバックにしまい、両手を広げ挑発する。
「私が勝ったら、みんなを解放しなさい」
「おお、いいぜ。勝てればな」
「アニキ、5分が限界ですよ」
「ああ、ちょこっと遊ぶだけだ。そんなにかからねぇよ」
オレはヘビに右腕を掴まれている状態だが、ヘビの意識は2人に向いている。
突然だが、オレも素手の格闘はそこそこ出来る。ここ最近はBLWなどのバケモノがメインだったので使う頻度は少なかったが、昔は近接戦闘では敵なしとも言われたことがある。
なので、ここでヘビを制圧するのも簡単なのだが、位置が悪い。
この場合は、掴まれている腕を、合気道でいう合気上げで崩してから『一教』で制圧できるが、反対側の銃を持つ手の引き金に指がかかっているので、オレ1人だったら角度的に当たらないが、他の人に当たる可能性があるので現状維持だ。
まったく銃を扱うのであれば、暴発しないようにしっかりトリガーオフしろよ、基本だろ。
などと愚痴っていると
「さぁ、ゴングが鳴ったぜ」
ゴリラが構える、腰を落とし両手は握らない。組み技系の格闘技だ。レスリングか柔道、あるいはサンボの可能性もある。とにかく組み技主体だ。
「来なさい」
女の子が構える、足を肩幅に、気持ち大きく前後に開いて拳を握る。こっちは、わかりやすい伝統系空手だ。どこの流派とか細かいことはわからないが。ちなみに、オレはフルコンタクト系を使う。
「シッ」
女の子...改め、空手少女の正拳突き、正確には『刻み突き』は思ったより、ずっと速く、相手の間合いのずっと外から正確にゴリラの顎を貫いた。