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01 海に行ったら、幼女になった

岸田きしだ 排出はいでと申します。

初投稿になります宜しくお願いいたします。突発的に私も書いてみたくなり、投稿しました。

書き貯めも無いので、順次書いたら投稿いたします。

感想などを頂けましたら、嬉しいです。


 頭が朦朧とする、体がダルイ、咽が渇く、腹が減った。

様々な要因で目が覚めた。

 辺りを見回すと、木々が生い茂り日光がうっすらと射し込んでいた。

頭が上手く働かない。カラカラな咽から新鮮な空気を肺に流し込み状況を把握しよう。

 

 服の腕の上腕部に取り付けた、携帯端末機を見ると夜が明けていたのだと確認できた。


 だが、身体に違和感を感じる。服もやけにブカブカしている。

変には思ったが、まずは状況確認だ。

 

 敵はいない、いたならどんな状態であれ、オレの身体は動く。したがって今現在は安全なはずだ。

 

 ここはどこだ?、自分自身に問いかける。

答えは直ぐに出た。立ち入り禁止区域の海だ。森なのに海だ。いわゆる青木ヶ原、つまりは

富士の樹『海』だ。


 オレは誰だ?、そんなのは決まっている記憶喪失じゃないんだ。『赤原あかはら 要平ようへい』、性別は男性、

年齢36歳、職業は傭兵。


 何のためにいる?、依頼された『BLWバイオ・ロジカル・ウェッポン』の駆除だ。


 BLWとは生体兵器だ。生物に遺伝子組み換え用のウィルスを打ち込み、有用な兵器として

利用されている。

 というのは、表向きの情報で、実はよくわかっていない。その便宜上『ウィルス』

とよばれているものを、体内に入れると、急激な変化が起きて種類によっては巨大化など元の生物

の性能を強化する役割をもつ事だけがわかっている。


 遺伝子組み換えなどでは、説明できない急激な変化、巨大化などの質量保存の法則を無視して

みえるなどの現象を引き起こすこれらは、いまだ詳細は掴めていない。

変異した生物を調べても、駄目だそうだ。解明するにはウィルスそのものを手に入れる必要が

あるが、それをもっているのは死の商人といわれている『ネメシス』という名で呼ばれている組織

のみである。


 ではなぜBLWを駆除することになったか?古い馴染みの戦友に依頼されたからだ、アイツは今は傭兵を引退して会社を経営している。

あらゆる紛争や揉め事を解決する、何でも屋として。俗にいうPMC(民間軍事会社)のようなものだ。

 

 そこに、青木ヶ原に狼をベースにしたBLW、ケルベロスが数匹発見された報告があり、政府から

駆除の依頼があった。ケルベロス自体は脅威度カテゴリCなのだが、数が多いことが予想されたので

オレに仕事がまわってきたんだった。


 それでどうなった?アクシデントがあり苦戦はしたが、無事当初の標的であるケルベロスは駆除した。

問題はその後で、まぁ言い訳になってしまうがBLWを倒した直後に今度は、死の商人である

『ネメシス』の幹部と、その直属の精鋭4人、および強力なBLWに襲撃され、遅れをとってしまい、

隙を作りなんとか撤退して今に至る。


 以前、頭がはっきりしないが、経緯を整理している内にその原因が見つかった。

というか、かなりマズイ。

 撤退する前に、奴らにウィルスを打ち込まれたのだ。しかもべつべつのウィルス3本も、

よく死ななかったものだ。運が良かったとしか言いようが無い。

 

 オレ自身のウィルス耐性と、仕事に入る前に打ったワクチンのおかげか、拒絶反応で即死は

免れてはいるが、状況によってはそっちの方がよかったかもしれない。

 オレに打ち込まれたウィルスは、間違いなく生物兵器に変異するウィルスだ。思考がなくなり、人を

襲うバケモノになるぐらいなら死んだ方がましだ。


 普通だったら、変異ウィルスでバケモノになる時間は越えているので、変異する可能性は

だいぶ減ったが、なんせ3本も打たれたのだ遅行性になっていたり、何が起きてもおかしくない。

 

 ウィルス感染をチェックするため採血用のアンプルを装備から取り出し、腕を出したところで、

大きな違和感を感じた。


 こんなに細かったか、オレの腕。いや、明らかにおかしいだろ。せいぜい子供の腕くらいしかない。

そういえば、服のサイズがおかしい。というか、オレのサイズがおかしい。 

 

 ボディチェックと、自分の持っている装備の大きさと比較、視点の位置、鏡で確認した自分の顔。

総合すると『子供』になっていた。


 おかしいな、意味がわからん。もう一度、確認する、やはりどう考えても自分の身体が子供サイズ

になっている。


 身長183センチ、体重87キロあったが、たぶん現在は、身長約120センチ程度、

とうことは体重も20キロくらいかもしれん。


 どこにいった、オレの筋肉。


 あと、もう一つ重大な変化が起きていた。

アレが無い。アレはアレだ。オレの『息子』がいない。いる場所にいない。

家出か?ウソだろ、いままで、36年間一緒だったのにいなくなるなんて。


 大事な息子を無くした、オレは女になっていた。

そう、判断せざるを得なかった。


 哀しみ、混乱、そして怒りが心を埋め尽くした。


「ふぁーーーーっちゅっっっ」


 FU○Kと言いたかったが、舌っ足らずな叫びになってしまった。あと、自分の声に対しても

違和感MAXだ。


 まて、まてオレは一流のプロだ、どんな時も冷静に対処してきたはずだ。感情のコントロールが

できない三流ではないのだぞ。どんな不測の事態も乗り越えてきた、まずは深呼吸して落ち着こう。

ほら、いつもどうり感情は制御でき・・・


「ふぁっちゅ、ふぁっちゅ、ふぁっちゅ、ふぁっーーーーーーーちゅッ」


 近くの木を叩く。


「くそ、くそ、ふぁっちゅ、がっでむ」


 近くの木を蹴る。


「しっと、しっと、ふぁっちゅ、ふぁちゅ、ふぁっちゅ、ふぁっちゅ、ふぁっちゅ、ふぁっちゅ

ふぁっちゅーーーーーー、ふぁっっっっちゅーーーーー」


 自分の膝に、手をバンバン叩きつける。


 全然制御できませんでした。


 一通り、怒りを発散させると、今度はうつになってきた。


「ちにたい、もうどうやって、いきればいいにょか」


 いかん、まずは落ち着いて、考えなければ。

最優先はここから離れなければ、携帯端末で座標を確認すると、幸いにも公道に近い。

歩きにくく、動きが制限されるので戦闘服はここに破棄してTシャツ1枚になる。

 靴のサイズが合わないので破棄、代わりにナイフを使い戦闘服を素材にして簡単なくつを作る。


 最低限必要な物をウエストポーチに入れて、ボディバックのように身につけて移動することにする。

武器は主力武器メインウェポンのアサルトライフルは戦闘中に使用不能となり破棄、

予備武器サブウェポンのハンドガンが1丁のみだ。

 ハンドガンは動作に問題がないことを確認したが、デザートイーグルのそれも50口径モデルなので

今のオレの状態では、グリップを保持できなく危険と判断するので、よっぽどでは無い限り使用は

避けたい。


 携帯端末機で暗号付きで、自分の知る限り、今回の件に最適な人物に救援のメールを送る。

現状そのまま、伝えてもオレ自身が現状を理解しているとはいいがたく、まずは安全の確保を

最優先にすることにした。


 メールでは待ち合わせの合流ポイントに子供がいるので、保護して欲しいということと、

簡単な食料、衣類の調達。そして、子供をその人物の自宅に送るまでは、あれこれ詮索しないこと、

その子供の言うこと最優先で指示に従うことを記載した。


 無茶な注文をしている自覚はあるが、緊急事態のために決めた暗号を利用したメールで送った。

電話は傍受の危険性と、今の自分の声が変わっているので使用はできず、メールを打ったらすぐに

電源をオフにして念のためここで破棄していく。もちろん、物理的に破壊してデータも消去ずみだ。


 まずは行動だ。色々問題はあるが、合流ポイントを目指して移動を開始した。



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