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文化祭準備の準備

今週分の更新です。

楽しんでいただけると幸いです。

宜しくお願いします。

とある日のホームルーム。

「多数決の結果、我々7組の出し物は、『謎解き+ちょっぴりRPG』に決定です!」

「ちくしょおおおおおおお!」

「うおっしゃああああああ!」

クラス委員長の発言を金切りに、クラス中で悲痛の声と歓喜の声が入り乱れ、クラス内の熱が少し上昇した。


2学期の開始から幾日が経ち、文化祭準備期間が始まる1日前のホームルーム。クラスの出し物を決める会議をすること4回目。ようやく7組の文化祭の出し物が決定した。

「やっと、出し物は決まったようね。ところで、この『謎解き+ちょっぴりRPG』って何? この案いつ出たの?」

窓際に座っていた緑が立ち上がり、黒板を叩きながらクラス全体を見渡し確認する。


「その案は先生の出張中に出た案ですね。内容については、発案者の森川くんから説明してもらいます」

そう言ってクラス委員が明人を指名し、教壇に手招きする。


「えー、では先生に説明するついでに、みんなも再度確認ということで。この出し物には2つのフェーズがあります。第1フェーズはアイテム回収フェーズ。これは教室内に作るいくつかの謎出題ポイントにて謎を解いてもらい、謎が解けた人に様々なアイテムを付与します。こちらのアイテムは出題の謎の難易度によって取得できるアイテムの強さなどが変動します」

そういうと、明人は黒板に書かれていた出し物候補軍を全て消し、箇条書きで第1フェーズの内容を書き連ねる。

「次に、第2フェーズですが、第2フェーズは、第1フェーズで取得したアイテムを駆使して『魔王』との戦闘を行います。その戦闘にて『魔王』を討伐できたらゲームクリア。クリアの証として缶バッジを贈呈します。負けた場合は、残念ながらゲームオーバーとなり缶バッジの贈呈はありません」

第1フェーズの箇条書きの横に、第2フェーズの内容とゲームクリア条件を書き足す。


「と、こんな感じの内容になります」

黒板に箇条書きを書き終えると、明人は緑が立っている方に向き直る。

「ふむふむ、なかなか面白そうじゃない。じゃあ、これからの準備期間でやらなきゃならないことも箇条書きで書き出してくれる?」

「わかりました」

緑からの支持を受け、明人は再び黒板に向き直る。


「準備期間にやるべきことですが――」

そういうと明人は黒板にやるべきことを箇条書きし始める。

明人が書き出した内容は『謎出題数の決定』『謎の作成』『取得アイテムの作成』『クリア報酬の缶バッジ作成』『魔王のステータス決め』『プレイヤーのステータス決め』『魔王との戦闘方法決め』『教室のレイアウト決め』『世界観の設定決め』と書き、明人はクラス全員の方に向き直り。

「こんな感じになると思います」

黒板に書き出された内容を確認しながら緑は頷き――

「うん、じゃあ書き出された準備を全員で分担してやりましょう。途中でやるべきことが増える可能性もあるから、そういったところも加味してみんな動いてね! 仕切りは森川くんお願いね」

「えっ!? 委員長じゃなく、僕が仕切るんですか? 」

「そりゃそうよ、当然じゃない」

明人の問いに緑がそう答えると、クラス全員同じタイミングで頷いた。


「えっと……わかりました」

「まっ、1人で仕切るのは大変でしょうから、誰か補佐を指名してもいいわよ」

困惑している明人に緑が提案すると――

「それなら、私が明人の補佐をやるわ。企画の半分は私が提案したものだから、私にも責任があるし」

とニーニャが手を挙げた。

ニーニャの行動に対して、異を唱えるものはおらず、むしろ面倒ごとを引き受けてくれて有難うと言わんばかりであった。


「じゃあ、仕切りの2人は決まりね。ほかの役割については一旦こっちで考えて明日の朝のホームルームで発表するわ。ってことで、みんな今日はお疲れ様。明日から本格的に文化祭準備が始まるから。妥当4組という志を掲げ、みんなで頑張りましょう! 解散!」

緑の言葉を聞き、部活へ行くもの、帰宅するものクラスのほとんどの人が教室から退室した。


「明人、感謝してもいいのよ!」

明人はそう言いながら側に来たニーニャの方をジトッとした目で見つめながら――

「なぁ、ニーニャ。1つ聞いていいか?」

「なによ?」

「書き直し分、終わったの? 締め切り5日後だよ」

「……」

ニーニャは無言で気まずそうに目をそらし、明人はジーッとニーニャへ視線を送り続ける。

無言の視線に耐えかねたニーニャは明人の方に向き直り、そのままその場に正座した。


「ねぇ、ニーニャ。描き直すって言ったの誰だったか覚えてる?」

「はい、私です」

「僕は全部を書き直す必要はないって言ったよね?」

「はい、おっしゃるとおりです」

「で、進捗は?」

「はい、あの、その、えっと……」

「進捗は?」

明人の言葉にいつも以上の圧を感じながらニーニャはボソボソと答える。

「3分の1くらいです」

「だよね。それで今回の補佐の仕事も引き受けて、締め切りまでに書き切れるの?」

「えっと……最初のうちは準備外で仕切りの手が取られることはないと思うから、そのうちに……」

頰を掻きながらニーニャ答えるニーニャを見た明人は、額に手を置き、ため息をつきながら首を左右に振る。


「ニーニャ、仕切りをやるって決まった以上、今から色々と話し合わないといけないんだよ」

明人の言葉を聞いたニーニャは目を見開いて。

「……まじ?」

「うん、まじ」

その後、その場で即座に土下座した。


「私の考えが甘かったです! ごめんなさい!」

「はぁ、分ったならいいよ。まぁ、最初のうちは僕1人でなんとかするよ。それに、事情を話せば手伝ってくれるであろう人員がそこに3名ほどいるしね」

頭を上げたニーニャが後ろを振り向くと、健人、レフィア、瑞波がやれやれと言った表情で立っていた。


「まっ、ニーニャちゃんの為ってことで私は協力してあげるわよ」

「はい、ニーニャ様のミスはメイドである私が請け負います」

「しゃーねーな、明人、焼肉で手を打ってやる」

三者三様の答えを聞いて、ニーニャは健人以外にお礼を言い、明人も健人以外に協力を依頼した。


「ちょっ、明人、俺も手伝うって」

「いや、焼肉とか無理だから、大丈夫」

「いやさ、ほら、方便ってあるじゃない?」


「で、レフィアさんにはこれをお願いします。瑞波はこっちの方をお願い」

健人の言葉を無視して、明人はレフィアと瑞波にいくつかの仕事を依頼し、ニーニャはそそくさと自席で小説を書きはじめる。


「……」

明人はレフィアと瑞波と3人で机をくっつけ、それぞれの作業に取り掛かる。

「そうだ、健人」

おもむろ明人が声を上げると、その声に飛びつくように健人が――

「えっ、なになに、俺にも手伝って欲しいって? 仕方ないな」

「いや、健人は部活行ったらいいよ。あと、涼に部活遅れること伝えておいてくれる?」

「……えっ、文化祭の準備の手伝いじゃなく?」

「いや、だからそっちは必要ないって」

「……あっ、うん」


そう応えて、健人はトボトボと力なく部室に向かったが、部室の扉にはまだ鍵がかかっていたので、そのまま涼のクラスにまで足を伸ばした。

「りょーう……」

涼のクラスの入り口から健人が力なく涼の名前を呼ぶと、クラスの中心付近で人が集まり話し合いをしている中から涼が顔を出し入り口に向かって歩いてくる。

「やっ、健人。悪いな、文化祭の準備で今日の部活遅れそうだ。みんなに伝えておいてくれるか?」

「あぁ、お前もか……」

「お前も? もしかして明人たちも文化祭準備で遅れるのか?」

「まぁな、出し物の提案者としてクラスの仕切り任されたんだ。レフィアちゃんと瑞波は手伝い」

「健人は?」

「……俺、いらないってよ」

健人がどんよりとした空気をまとっているのを見た涼は苦笑いをしたのち――

「そっか、明人たちも準備か……。じゃあ、原稿が終わっていたら、クラスのだしもの優先って形にしようか。あとはニーニャちゃんが書き終われば印刷に出せるし。その事をみんなに伝えてくれるか? 森山先生には僕から伝えておくから」


その伝言を預かった健人は再び7組の教室に戻り――

「明人、俺にも何か依頼してよ! 無償で働くからさ! 仲間はずれは寂しいよ!」

「えっ、部活は?」

「涼も文化祭の準備があるから、小説書けてたらクラスのだしもの優先にしようってさ。緑先生にも涼が伝えるって。こうなると、部室で俺1人ってなるんだよ。寂しいんだよ!」

「うーん、でも人手は足りてるんだよね」

明人が腕を組み悩んでいると、隣のレフィアから提案があった。

「明人さん、健人さんには私のお手伝いをしてもらってもいいですか? まだわからないこともありますし」


「わかりました。じゃあ、レフィアさんのお手伝いってことで!」

「よろしくお願いします。健人さん」

「天使かな?」


こうして明人たちはクラスのだしものの準備を始めることとなった。

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