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梅雨にカエルに中間試験の結果

今週分の更新です。

楽しんでいただけると幸いです。


活動報告にも書かせていただきましたが、Twitterの方も始めましたので、

気になる方はご確認頂けますと幸いです。


よろしくお願いします。

6月頭__

ここ最近毎日のように雨が降り続けており、晴れ間を見ることの方が少ない。

テレビから流れる天気予報を聞いていると、例年より少し早い梅雨入りが発表され、テレビを見ていた春奈は少し陰鬱な気分になっていた。


「雨の日って、なんかやる気でないのよね」

「そうですね。洗濯物も部屋干しを余儀なくされますし、布団も湿気ますし……」

ニーニャ、レフィアが朝食の片付けをしている中、リビングでのんびりとお茶をすすっている春奈と明人が梅雨入りについて話し合っている。


「そうなのよねー。でも、作物を育てる上で、恵の雨ってありがたいのよね。その辺り複雑な気分だわ」

梅雨の時期に雨が降らないと、その時期の農作物だけでなく、夏場水不足などになり、田んぼなどに引く水を制限されたりするため、農作業を齧っている春奈からすると、梅雨に雨が降ることはとても重要なことであった。


「うーぬ、なんとも言えない気分だわ」

机に突っ伏した春奈が顔だけ上げ、明人にフォローしてよと言わんばかりの目を向ける。


「まっ、まぁ、洗濯物や布団は乾燥機がありますから、その辺りは大丈夫でしょう……ずずずっ」

とりあえず、作物を優先でいいと遠回しにフォローを入れ、明人はお茶をすする。


「明人、片付け終わったから、学校に向かいましょ」

キッチンの方から制服を着たニーニャとレフィアが、リビングに戻ってきたので、春奈に湯飲みの片付けを頼み、学校へと向かった。


ゲーコ、ゲーコ、ゲーコ__


駅までの道のりを歩いていると、時々カエルの声が聞こえてくる。

その鳴き声が聞こえてくるたびに、ニーニャとレフィアは肩をビクッと震えさせ、周りを見回すように首を降る。


「師匠とレフィアちゃん、どうしたんだろうなー?」

いつも通り、家を出てから合流した瑞波と健人も不審な目で2人を見ている。

「ねぇ、ねぇ、明人」

2人の不審な動きが気になった瑞波が明人の肩を軽く叩き、耳元に顔を近づける。

「ニーニャちゃんとレフィアちゃん、どうしちゃったのよ。昨日まであんなことなかったわよね。もしかしてあっちの世界のことで何かあったの?」

ニーニャとレフィアの事情を知っている瑞波は、ユグド関係で何かあったのだろうと推測したようだ。


「えっとね……ニーニャとレフィアさん、カエルの鳴き声が怖いらしいんだ……」

「へ? なんでカエルの鳴き声が? それにカエルの鳴き声だったらこの時期になると毎日聞こえるじゃない」

昨日時点ではカエルの声を聞いても、いつもと変わらない様子だったことから、今の状況を想像できていないようだ。


「まぁ、そういう反応になるよね……」

明人も困り顔をしながら、瑞波の耳元に顔を寄せ、小声で質問に回答する。


◼︎


昨日の夜__


明人は自室の机にて宿題に励んでいた。

その後ろで、ニーニャとレフィアが明人の部屋にあるテーブルを使い床に座ってそれぞれ宿題を進めている。


ゲーコ、ゲーコ、ゲーコ__


「ねぇ、明人、外から聞こえてくるこの不快な鳴き声は何なのよ」

「確かに、この鳴き声を聞くと、なぜか集中力が削がれてしまいます」

明人は慣れているが、ニーニャとレフィアには慣れない不協和音だったようで、宿題の集中力が削がれているようだ。


「あぁ、これはカエルの鳴き声だよ」

明人はニーニャの問いに軽い気持ちで応え、携帯電話でカエルを画像検索し、ニーニャとレフィアに見せる。

「これがカエルだよ」

その画像を見た2人の顔から急激に血の気が引き、レフィアはペンを落とし。

ニーニャに至っては、画像を見たまま声にならない声を発しながら口をパクパクしていた。

その後2人は打ち合わせをしたかのように同時にその場に倒れこんだ。


「ちょっ! 2人ともどうしたんだよ!?」

携帯電話を机にて置き、ニーニャのそばに近寄り、パクパクと動かしている口に耳を近づける。


「あくま……みどりのあくま……あくま……みどりのあくま……」

うわ言のようにそう呟き続けていたので、明人はニーニャの両肩を掴み上半身を起こした後、前後に軽く揺すり始める。


「おい、ニーニャ、正気に戻れ、ニーニャ、ニーニャ!!」

「はっ!! あれ、明人……」

呼びかけながら何度か揺すったところで正気を取り戻したようだ。


「あっ、あぁ、明人、明人、写真、あの写真はどこにあるの!?」

「そんなに取り乱さなくても大丈夫だよ」

明人はそう言ってニーニャの頭に手を置くが__

「ダメなのよ! 奴は、あの緑の悪魔は、絵を見たものに特殊な催眠術をかけ、自身の餌場まで誘導するの! このままじゃ私たち、あいつの餌になっちゃうわ!」

ニーニャは明人の手を払いのけ、その場に立ち上がった。


「ニーニャ、1つの質問するよ」

「明人、そんなことしてる場合じゃ……」

「ここは、ユグドかい?」

明人は優しく微笑みながらニーニャに問いかける。


「えっ? ち、違うわ」

「そう、ここはユグドじゃない、地球の日本だよ。それに、地球のことならニーニャよりも僕の方がよく知ってる」

「え、えぇ、そうよね」

「その僕が大丈夫だよだって言ってるんだから、大丈夫だよ!」

「いや、でも……」

「僕はこの年齢になるまで何度もカエルの写真や絵を見てきたし、カエルその物も見たことがある。でも、こうやって生きてるんだよ」

「そっ、それは……」

「ニーニャ、今まで僕がこういった説明をする時に、嘘を言ったことがあるか?」

ニーニャがあまりにしつこいため、さしもの明人も少ししかめっ面をしながらニーニャに質問する。


「なっ、無い」

「だろ! だから大丈夫だよ!」

そういって、ニーニャと同じく倒れていたレフィアを起こし、自分の宿題に戻った。

その日の就寝では、ニーニャとレフィアが2人で寝るのが怖いということで、明人の部屋の床にニーニャとレフィアは布団を敷き、寝ることとなった。


◼︎


「ってことがあったんだよ」

「緑の悪魔ねー。確かに異世界ファンタジー物でもカエルってなんか強敵なイメージあったりするわよね」

「たしかにね。でも、写真1つでここまでの反応をするなんて……」


ゲーコ、ゲーコ、ゲーコ__


カエルの鳴き声がまた聞こえ、ニーニャとレフィアがビクッと肩を震わせる。

その姿を見た明人と瑞波は__

「「どうにかしてカエルを克服させないと」」

とニーニャとレフィアのカエル克服作戦を考え始めたのであった。


そんな姿を見ながら、電車に乗り、学校近くの最寄り駅についた頃には、カエルの鳴き声も一切聞こえなくなったため、ニーニャとレフィアも少し落ち着いた様子であった。

「ふぅ、ここまでくれば大丈夫なのね。といっても、明人の言葉が真実なら、そこまで怖がる必要はなんだけれど……」

「そうですね。明人さんが大丈夫だとおっしゃっていますが、やはり体が反応してしまいます」

そんな風に話していたものの、少しでも早く建物の中に入りたいのか、ニーニャとレフィアはいつも以上の早足で学校へと向かう。


◼︎


学校についた頃には、ニーニャとレフィアも完全に落ち着きを取り戻し、いつもの2人に戻っていた。

「明人、今日の授業ってどんなことやるの? この間までは中間テストとかいう、今まで習ってきたことを覚えているかの確認があったじゃない?」

「あぁ、多分だけど、今日はテストが返却されるんじゃ無いかな。その後に各問題の間違え率の多かったところの解説なんかを担当の先生がしてくれると思うよ」

そう言いながら明人たちは教室へと向かう。


本日の教科は「日本史」「数学」「物理」「現代文」「英語」「世界史」である。

授業日程を確認すると、瑞波が少し暗い顔をした。


「どうしたんだよ、瑞波?」

「えっとね、私さ今回のテストで唯一物理に自信がないのよね。それが結構早い段階で返ってきそうだから、少し憂鬱で……」

瑞波が暗い顔をしながら"はぁ"とため息をつく。


「まぁ、試験なんていつ返されても一緒なんだから、返される前から気を落とさなくても。瑞波が自身ないなら、相当平均点低いと思うよ」

そうして、教室のドアを開けると、大抵はいつも通りだが、数名は瑞波同様暗い顔をしている人がちらほらいる。


「おはよー」

「おはようございます」

教室に入ったニーニャとレフィアはいつものように挨拶をして自分の席に座り、教科書類を机の中にしまう。

その後もニーニャとレフィアは明人、瑞波、健人と少し前に教室に来た秋音と会話をし、授業の時間まで時を過ごした。


キーンコーンカーンコーン、キーンコーンカーンコーン__


授業の始まるチャイムが鳴り、茶封筒を持った教員が教室へと入って来た。


「きりーつ、礼」

「「「よろしくお願いします」」」

「よし、じゃあ今日は中間テストを返してくぞ」

明人や瑞波の予想通り、本日の授業はテストの返却のようである。


1限目の教科である日本史ではニーニャが100点を叩き出し、次いで瑞波、秋音、レフィアが90点台の高得点を取得、明人は平均点丁度の73点で健人に至っては平均点を大きく下回る50点台であった。

その後の教科もニーニャは100点を叩き出し、全教科100点を取るのではと教室内でもニーニャがどこまで100点を取るのか、賭け事が始まっていた。


クラスの全員がニーニャが全教科で100点を取る方に賭けているため、賭けが成立しない状況になっていたが、明人とレフィアと瑞波がニーニャが全教科では100点を取れない方に賭けた。


「あれ、木崎さんはこう言うの嫌ってやらないと思ってたのに……」

「まぁ、お金じゃなくて、各人が持ってるお菓子で賭け事だったらいいんじゃないかな」

こうして、ニーニャ以外のクラス全員の予想が出揃った。


そして、運命の4限目__


緑がテスト用紙の入った袋を持って教室に入って来た。

「はい、それじゃあ、現代文の中間テスト返していくわよ」


あいうえお順で名前が呼ばれ、テストは他の人に点数が見えないように軽く折りたたまれながら返却され、留学生扱いのニーニャとレフィアは一番最後にテストを返却される。

「ニーニャさん」

「はい!」

ニーニャがテストを受け取り、自席に着くと__

「レフィアさん」

「はい」

そして、レフィアが自席に着くと、緑がコホンと1つ小さな咳払いをし__

「今回は全体的に点数が良くなかったですね。平均点も53点でしたので、期末テストではみなさん頑張ってくださいね。あと、今回は赤点だった生徒は補修授業をするので、それに強制参加となります」

緑はニーニャの方にちらりと視線を送り__

「それでは、今回のテストの復習としてみんながよく間違えていたところを解説します」

とテストの解説を始めた。


キーンコーンカーンコーン、キーンコーンカーンコーン__


概ねの解説が終わった頃に授業終了の鐘がなり、緑も教室から退室していった。

明人と健人やクラス全員がニーニャの席に近寄ると__

「明人、赤点って……何点以下だっけ?」

少し泣きそうな顔になりながらニーニャは明人に赤点について確認する。

「29点以下だね」

「終わった……」

明人の回答を聞き、ニーニャは小さく呟きや、そして机に上半身を預けた。


脱力したニーニャの手から明人がテストを回収し、点数を確認すると__

「なるほど、13点は逃れようもなく赤点だな」

「「「ちくしょー!!!!」」」

明人の赤点宣告を聞いたクラスのほとんどが一様に悔しさの雄叫びをあげた。


最終的な結果として、ニーニャは現代文以外の試験はオール100点であり、唯一現代文のみ赤点となった。

明人、瑞波、レフィア、秋音は全教科で平均点以上を取得していた。

健人に関しては赤点教科が3教科あった。


こうして、中間テスト返却は幕を閉じた。

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