エルフが綴った外伝小説_冬の一大イベント(後)
今週2話目の投稿です。
タイトル通り外伝の後編になります。
楽しんでいただけますと、幸いです。
よろしくお願いします。
スタートの合図と同時に広場に集まっていたほとんどの参加者たちはダッシュで学園の門をくぐり抜け、イベント提携をしているお店へと向かって行った。
サリエナも他の参加者同様に走り出そうとしていたので――
「ちょっと、待ってくれサリエナ」
そう言いながら、ファーを掴んで引き止めた。
「ぐぇっ!!」
「あぁ、わるい、少し力が強かったか?」
「そういう問題じゃない! 彼女の首を絞める彼氏がどこにいるのよ!」
さらに追い討ちをかけるようにサリエナから怒りの言葉が発せられそうだったので、俺はサリエナの前に左手を突き出し、言葉を止め――
「いや、さっきの司会者の説明で気になることがあるんだよ」
「なによ、気になることって」
「さっき、司会者はプレゼントを見せから回収して、子供達に配るって言っていたけど、どうやって配るんだ?」
「回収したプレゼントに渡すべき相手の住所と名前が書いてあるんじゃないの?」
「もしそうだとしたら、一個ずつプレゼントを回収して、子供に家に行って、またプレゼントを回収に戻ってって……そんなこと繰り返してたらイベント中に終わらないぞ……」
「うーん、なるほどね……何かあるのかな」
イベント実行委員会もイベント中に配り終える想定でイベント時間を設定しているはずなのに、このままでは確実にオーバーしてしまうということに気づいたサリエナも難しい顔して考えている。
「サリエナ、3精霊って本当に一個ずつ徒歩でプレゼントを子供達に配っているのか?」
「えーっと、確かに話に聞く限りでは、トナカイが引くソリに乗って、プレゼントが大量に入った袋を持って空からプレゼントを配って行くって……」
「「それだ!」」
3精霊の真似をするということは、ただプレゼントを配るだけでなく、プレゼントを配る方法も真似をしなければならなかったのだ。
「となると、ソリと袋の在り処がどこかだな……」
「3精霊はプレゼントを配る前に必ず、世界樹の下に集まるわ。だから、世界樹に行ってみましょう!」
そう言ってサリエナは世界樹の方に向かって走り出した。
俺もそのあとを追って走り出した。
世界樹の下にたどり着くと、そこには立て札と袋とソリが置かれていた。
立て札には『おめでとうございます。こちらにたどり着かれたチームには、プレゼント袋と3精霊のソリを一つづつ進呈いたします』と書かれていた。
暫くすると、世界樹に付けられたオーナメントが落ちてきて、3精霊のソリと袋へと変化した。
「ソリと袋ゲットだぜ!」
「リゼットが気づいてくれてなかったら大変だったわね」
「いやいや、サリエナも直ぐにソリと袋のありかに気づいてくれてよかったよ」
そう言いながら周りを見渡すと、俺たちのチーム以外にもすでにソリと袋を手に入れているチームがいた。
ただ、どのチームもソリの使い方がわからず困っているようだ。
実際、俺もこのソリをどうやって使えばいいのか皆目見当がつかない。
「サリエナ、このソリの使い方ってわかったりするか?」
「そうね、多分こうじゃないかしら。まず、リゼットがソリに座る。そして、その隣に私も座る」
「なるほどなるほど、それで?」
「お似合いのカップル! なんちゃって!」
「……」
真剣にイベントに参加している最中にこの冗談は無いと思い、軽くサリエナの頭に向けてチョップを撃ちこんだ。
ゴスッ――
「いったー……何よ! リゼットは嬉しく無いの!?」
「サリエナ、正直、嬉しかったけど、空気読もうか」
そうこうしている間に何チームかのソリが飛び去って行った。
「ほんとこれどうやって飛ばすんだよ!」
「リゼット、足元に落ちてる手綱を持って魔力を流して!」
足元を見ると、ソリに繋がった手綱らしきものが落ちていた。
「なるほどな!」
落ちている手綱を拾い上げ、全力で魔力を流すと、ソリについたライトが光り、空に飛ばなかった。
「「……」」
「えっと、その、あの、ねっ、きれいねー」
期待を裏切られた時の気まずさに心が折れそうになる。
「ちょっと、その手綱かして! 私がやるわ!」
サリエナが俺の持ってる手綱を奪い取り、魔力を流すとソリが徐々に空に浮き始めた。
俺は唖然としながら遠ざかっていく地上を見つめていると、背中を指で突かれた。
突いてきたのは当然一緒にソリに乗っているサリエナであり、そちらに視線を向けると――
「どやぁ!」
言葉と共に見事なドヤ顔を見せつけてきた。
「くっ、悔しく無い、悔しくなんてないからな!」
「ふっふーん、リゼット、これが私の実力よ!」
そんな会話をしているうちにソリが一定の高さまで浮きあがり、近くに複数の精霊が集まり始めた。
複数の精霊が一定数集まり、光の集合体になったのち、その光が妖精の姿を形どった――
「初めまして。ワタシハこのソリのナビゲートをさせて頂きます。ナビコと申します。どのようなプレゼントをお探しでしょうか」
「うわぁ! リゼットリゼットリゼット! これってこれってこれってええええええ!」
あまりの出来事にサリエナが同じ言葉を何度も繰り返すロボットのようになっていた。
かくいう俺も、目の前の現象に対して、ただただ口をポカンと開けることしかできなかった。
「妖精霊……まさか生きているうちに見れるなんて」
相性の良い精霊が一つに集まり、妖精や動物など、形あるものを模り、会話ができる精霊集合体が妖精霊と呼ばれている。
限定された条件下でのみ発生する現象であるため、生きているうちに会えるなんてことはまず無い。
「もしかしなくても、このソリに掛けられている精霊術そのものが妖精霊を発生させるものなんじゃ……」
「すっごおおおい! うわー、本当に本当に生きているうちに見られるなんて!」
「あのー、それでどのようなプレゼントを……」
俺とサリエナが一向にナビコに返答しなかったため再度ナビコから質問が投げかけられたのと同時に――
『おおっと、これは素晴らしい、すでにプレゼントを200個配り終えたチームがいると言う情報が入りました! 配ったチームはトリア魔道学園のザレア、ドロワチーム!』
と司会者からアナウンスがあった。
「ザレア! くそっ、これはやばいな。そうだな、配る地域が近く、それほど手間のかからないプレゼントがいい!」
俺がそう言うとナビコが直ぐに検索を始め、適切なプレゼントが置かれている店をピックアップしてくれた。
「よし、サリエナ! ピックアップされたお店に出発だ! 急がないとザレアたちに負けちまう!」
「……」
「サリエナ?」
「うーん……うーん……」
「どうした、お腹でも痛いのか」
ゴスッ――
サリエナのチョップが俺の脳天に直撃した。
「乙女にそう言うこと聞くのどうかと思うよ!」
「ってーな。じゃあどうしたんだよ。早く行かないと1位になれないぞ!」
「いやね、単純にプレゼントを配るだけでいいのかなって思ってね」
「いやいや、これってそういうイベントだろ」
「そうなんだけど、でもね、今のリゼットの言葉を聞いて、効率よくプレゼントを配るだけで本当にいいのか、3精霊がただプレゼントを配っているだけなのかって考えたら……何か違う気がして……」
こうやって考え始めるととことん考えてしまうのがサリエナである。
「そうなったらテコでも動かないもんな、お前は。はぁ……しゃーないか、とことんまで考えるぞ!」
こうなった以上一緒に最後まで考えるのが先に進む一番の近道であることを俺は知っている。
「流石はリゼット! それじゃあ一緒に考えて! そして優勝よ!」
笑っているサリエナを見て、再度一つため息をつき――
「それに、もう優勝する必要はないしな」
俺はそう小さく呟いた。
「で、プレゼントを配ることについて、何が違うってんだ」
「さっき、リゼットは効率よくプレゼントを配ろうとしたよね」
「ああ、そうしないとより多くのプレゼントを配れないからな」
「でもね、プレゼントをただ配るだけなら、3精霊がわざわざ配る必要がないと思うの」
わざわざ3精霊がプレゼントを配るのか。確かに不思議な話である。
ただ単純にプレゼントを配るだけなら風の精霊を利用してプレゼントを欲しがっている子供のいる家にプレゼントを贈ればいい。
「うーん、プレゼントの見返りに何かを求めることもないもんな」
「うん……うん?」
「どうしたんだよ、サリエナ?」
「見返り、見返り……それよ! そう、そうよ、見返りよ! リゼット! 見返りを貰うために3精霊は自分たちでプレゼントを配っているのよ」
「はぁ? でも3精霊は何も見返りを求めていないんだろ?」
「うん、それは見返りじゃなく、貰えて当然のものなんだもん」
そう言うとサリエナはナビコを呼び、小声でナビコに話しかける。
「わかりました、その条件に合ったプレゼントをお探しします」
そう言うとナビコは再度プレゼントを検索を始めた。
リゴーンリゴーンリゴーン――
『さて、皆様、イベントはお楽しみいただけていますでしょうか! そんな楽しい時間ももう少しで終わりです! 次の鐘が鳴った時点でこのイベントは終了となります。皆様最後まで頑張ってください!』
「次の鐘って、後60分しかないぞ!」
「そうね、でも、この条件のプレゼントが残っているなら……」
「検索完了。その条件に合ったプレゼントを確保しているお店は此方になります」
そう言うとナビコがソリの手綱と融合し、ソリを目的地へと誘導してくれた。
20分程して、目的の店に着いたようだった。
「此方が条件に合ったプレゼントを確保しているお店になります」
案内された先は裏通りの奥にある、面持ちはお化け屋敷と言われても不思議ではないくらい寂れ、看板の字は掠れに掠れなんと書かれているかわからない。そんなボロいお店であった。
「サリエナ……本当にここなのか?」
「わかんない! でも、ナビコちゃんが言うんだから間違いなでしょ! ってことで入るわよ!」
そう言ってサリエナは古びた扉を勢いよく開け――
「こんにちわ! プレゼントをいただきに来たわ!」
堂々とした立ち振る舞いで、プレゼントを奪う強盗が如く物言いをしながら店に入って言った。
その後に続くように俺も店に入る。
その瞬間俺はあまりに美しい光景に息を飲んだ。
内装は至って普通。壁は一面漆の塗られた木材でできており、いくつかのテーブルと棚が配置されている。
その上には商品である精霊石が多数飾られている。
そして、店の中にはある光源がその精霊石を照らし、壁に精霊石の光のアートが描き出されているのだ。
そのアートがあまりに神秘的で、先に入ったサリエナも呆然と立ち尽くしている。
「んっふっふー、いかがですかお客さん。光源は世界樹の枝なので、ここに置かれている精霊石は世界樹の魔力も多少なりと蓄えているんですよー」
そう言って店の奥から店員が顔を出して来た。
「って……ルルティエナ!?」
「あれー、サリエナと……リゼット、その格好は捕まるんじゃない?」
「えっ、なんで、あなたが何でここにいるのよ!」
「なんでって、ここ私のお店だし?」
「「……はぁ!?」」
驚きのあまり、2人して変な声が出てしまった。
「ルルティエナって学生じゃなかったの?」
「学生だよー。学園終わってからこのお店を開けてるんだー。割とコアなファンが居てくれてるから、そんな感じの経営でもなんとか家賃を確保できてるんだー」
「ルルティエナ、お前ってただの変態じゃなかったんだな……」
「うん、その言葉そっくりそのまま返すよ、リゼット」
その言葉と同時に、世界樹の光で照らされて妖艶に光る黒髪が揺れ、少し垂れた目から鋭い眼差しでフンドシを見つめられた。
「で、2人はどうしてこのお店にー?」
「そうだ、プレゼント! ルルティエナここにイベントで渡す用のプレゼントがあるわよね」
「そういえば、何かのイベントに協力してくれって言われて、渡されたものがあったなー」
そう言うと店の奥に戻り――
ゴン、ガン、ギン、ギュイーン、カンカンカン――
異様な音が響き渡ったのち、一つの箱を手にしてお店に戻って来た。
「これのことだねー。確か店主の出したお題をクリアできたら渡すって聞いてるから。私がお題を考えないとだねー。何にしようかなー」
ルルティエナは自分のお店にイベント参加者が来るとは思っていなかったらしく、お題を考えていなかったようだ。
「うん、決めた。それじゃあお題を出すねー」
「「ゴクリ」」
よく知る人物であるからこそ、ルルティエナであるからこそ、何かの良からぬことをお題にするのではないかと一抹の不安を覚える。
「お題です! サリエナ、今日のキューティクルチェックをさせてもらう。その結果、私が良いと思えばプレゼントを渡すし、よくないと思ったら、もう一度整えてから出直して来るように!」
「やっぱりそういうお題かよ!」
ルルティエナのお題に対して俺は間髪入れず、ツッコミの言葉を発した。
対して、当の本人であるサリエナは――
「なんだ、いつものことじゃない」
とルルティエナの方に歩み寄った。
ルルティエナはツインテールを左の手のひらで掬い、右の手のひらで挟み、緩やかに滑らせる。
「うむ、うむ、うむ」
続いて、ツインテールを左の指先に絡ませるように巻きつけそして匂いを嗅ぐ。
「ふむ、ふむ、ふむ」
壁に精霊石の光が反射して神秘的だからか、何かいやらしいような雰囲気を感じてしまうリゼットであったが、そこにいやらしさを感じてしまっては何か大切なものを失うと考え、その気持ちを理性で押さえつけた。
そんなこんなで、サリエナの髪がルルティエナに弄ばれ始めてからかれこれ15分ほどたち、ルルティエナは髪から手を離し、少し思案し始めた。
「うん、これは文句なしの合格ですな! いやー、やっぱりサリエナの髪は最高だわー。今度テイスティングもさせてね!」
ルルティエナはよだれを垂らしながら、親指を立てる。
「今度一緒にお風呂に行った時ならね」
「ひゃっほーう! ってことでプレゼントをどうぞ」
「ありがとね、ルルティエナ」
そういってサリエナがルルティエナからプレゼントを受け取った。
俺としてはそんなことよりも――
「髪のテイスティング……おっけーなんだ……」
此方の方が衝撃的であり、呆然としていた。
「さて、リゼット! このプレゼントを街のみんなに届けるわよ!」
サリエナのその一言で俺は我に返ったが――
「みんなにってプレゼントは一つだろ。どうすんだよ」
「ふっふーん、このプレゼントはみんなに届けることができるのよ!」
そう言ってサリエナはソリに乗り込み、続いて俺もソリに乗り込み、さらにはルルティエナもソリに乗り込んでいた。
「面白そうだし私も連れてってー」
「まっ、これも何かの縁だしな」
「そうよ、せっかくだから一緒に観ましょ!」
サリエナがソリの手綱を握り魔力を送り始める。
「リゼット、リゼットも一緒に手綱を握って魔力を送ってくれない」
「わかった!」
「ナビコちゃん、自動案内で世界樹の上までお願い!」
「承知しました」
俺とサリエナが同時に魔力を送ると空飛ぶ光るソリが出来上がり、ナビコの自動案内で世界樹の真上までソリを移動させた。
『さあ! イベント時間もあと5分となりました!』
「なんとか間に合ったわ。ルルティエナ、プレゼントの箱を開けてくれない?」
「はいはーい」
「えっ、プレゼントなのに開けるのかよ!」
俺は驚きの、サリエナに抗議すると、サリエナは笑顔で――
「このプレゼントは使って初めてみんなを笑顔にできるプレゼントなの」
と言った。
「開けたよー!」
箱の中には一つの真っ白な精霊石が収められていた。
「なるほどね。ルルティエナ、その精霊石に俺に貸してくれ」
「はいよー」
俺はルルティエナから渡された精霊石を右手に、手綱を左手に持ち、魔力を送る。
ソリと同時に魔力を送るため、魔力を消費が半端無いが、それでも精霊石に魔力を送り続ける。
「リゼット、私も一緒に!」
そういってサリエナは精霊石を握る俺の右手を包むように左手を差し出し、魔力を送ってくれた。
『残り1分です!』
「サリエナ!」
「わかった! 冬王に仕えし冬の精霊よ、水の精霊と手を取り、この地に奇跡を呼びたまえ! リゼット」
「おうよ! 水王に仕えし水の精霊よ冬の精霊と手を取り、この地に奇跡を呼びたまえ! サリエナ、せーので精霊石を解放するぞ!」
「了解!」
そして、2人は一呼吸置き――
「「せーの!」」
握っていた手を開き、精霊石の力を解き放った。
その瞬間、精霊石から空に一筋の白い光が吸い込まれ――
空から白い綿のようなモノが地上に降り注いだ。
それはこの地に数百年ぶりに訪れた奇跡。
雪の精霊による白雪の祝福であった。
リゴーンリゴーンリゴーン――
イベント終了の鐘が鳴り響く中、しばし待ちは静寂に包まれた。
街を歩く人、イベントに参加していた人、店を出店してる人、全ての人が一様に空を見上げ、そして次の瞬間。
街全体が喝采に溢れかえった。
『はっ、こ、これにて、イベント終了です! ななななんと、今年は白雪の祝福を目にすることにできるとは! こんな時に司会なんてやってられっか』
そんなこんなで司会者は司会を放棄した。
「なぁ、このタイミングで聞くのもあれなんだけどさ」
「どうしたのよ、リゼット」
「このプレゼントってもしかして、イベント主催者が準備したプレゼントじゃないんじゃないか……」
「……えっ、うそ、まじで!?」
「あぁ、じゃなきゃ、あんなにはしゃがないだろ……」
自分たちの仕事を放り出して白雪の祝福に大はしゃぎする主催者を見て、ふとそう思ったのであった。
「でもま、この祝福の前にはどうでもいいことか」
「それもそうよねー」
「そうだよー、リゼット。サリエナの髪を触りながら白雪の祝福が見れる日なんて、この後数千年、いや、数億年は無いかしれないんだよ。そんな無粋なことは言わないでよー」
そんなこんなで冬の一大イベントは大いに盛り上がり、幕を閉じた。
■
後日談――
結局のところ、白雪の祝福を起こすために使用した精霊石はイベント主催者が用意したものではなかったようで、結局のイベント優勝者はザレア、ドロワチームとなった。
そして、奇跡を起こした1人である俺は、イベントの後見事に風邪をひいて寝込んでいた。
そりゃ、フンドシ一丁であんな寒い中に長時間いたら風邪もひくよ。
そんな感じで布団の中で寝込んでいると――
「こらー、少しは食べないと元気で無いぞ!」
サリエナの声が聞こえてきた。
「サリエナ、鍵を渡しているとはいえ、チャイムくらいならせよ」
「いいじゃない、別に、ほら、おかゆ作ってきたわよ」
「台所も勝手に使いやがって……」
ブツブツ言いながらもサリエナの作ったおかゆは美味しく、久々にお腹にものを入れたので、鈍っていた胃が活発に動き出す。
「そういえば、リゼットが叶えたかった願いってなんだったの?」
薬を飲んで頭がボーッとしているタイミングでサリエナからそんなことを聞かれるものだから――
「んぁ? そりゃ、サリエナと一緒に空を飛んで見たいって思ってたんだよ。俺とサリエナの出会いは空からの落下だっただろ。だからさ、せっかくだから一緒に……空を……くぅ」
そこまで言って俺の意識は限界を迎えた。
眠ってしまった俺は顔を真っ赤にして慌てふためくサリエナの姿を見ることはできなかったのであった。
初の後書きです。
次回投稿が年始になる可能性もありますのでご挨拶を。
本年はありがとうございました。
来年もニーニャたちの普通の生活が続いていきますので、よろしければ行く末など見届けて頂けたらなと思います。
今後ともよろしくお願い致します。




