部活動
2週間ぶりの更新です。
忙しかったのも一旦は落ち着いたと思われますが、年末につれて、また忙しくなることも……あるかも……。
楽しんで頂けると幸いです。
よろしくお願いします。
部室の扉を開けると、そこにはダンボールを1つずつ開封し、中の本を取り出す緑の姿があった。
「あの本どこにいれたっけ」
ガサゴソ――
そんなことを呟きながらダンボールの中身を床の上に積み上げては次のダンボールを開けて行くが。中々目的の本が見つからないのであろう、既に4つあったダンボールのうち、3つ目を開けようとしてる。
「えーと……先生、こんなこと言うのはなんですが、床に置かずにせめて机の上に置いてくださいよ」
明人が呆れ気味に声を放つと明人の後ろからニーニャが部室を覗き込む。
「うわっ、これは中々すごいわね」
「ほんと、足の踏み場がないじゃない」
ニーニャに続いて部屋を覗き込んだ瑞波も呆れていた。
「あれ、もうそんな時間なのね。探し物してる時ってどうしてこう時間の進みが早いのかしら」
そういってその場に立ち上がり、部室の入り口に向き直った緑が両手を広げ――
「ニーニャさん、レフィアさん! ようこそ、文芸部へ!」
とニーニャとレフィアを歓迎する声を上げる。
「これからよろしくお願いします! 緑先生」
「これからよろしくお願い致します。森山先生」
そういって2人は軽くお辞儀をした。
「あれ、みんなまだ部室に入ってなかったんだ」
声の聞こえた方を振り向くと、涼と健人が文芸部へ向かってくる。
「それがさ、これ、入れる状況じゃないんだよね」
明人の言葉に疑問符を浮かべながら部室を覗き込んだ涼と健人は――
「これは確かに……」
「本の中に立つ緑先生ってスッゲー知的だよな」
「とりあえず、微妙にある足場をたどって部室に入ろうか。廊下で広がってたら他の人にも迷惑だからね」
「まー、それしかないよね……」
なんとかして部室に入ろうと言う涼の意見に廊下で待っていた4人も頷き、床に置いてある本と本の間にできている床スペースを慎重に歩く。
最後に部室に入って来た涼が扉を閉め――
「さて、それじゃあ本日の部活を始めよう……と言いたいところだけど、この状態じゃできないよね」
頰をかきながら苦笑いを浮かべている。
「とりあえず春休みの宿題を先生に提出して、確認してもらってる間にみんなで本を片付けるのでどうかな」
と明人が提案すると――
「あっ、そっか、今回は春休みの宿題があるからそれでいいね」
「ん? ちょっと待った、春休みの宿題ってなんだよ明人」
明人の提案を聞いた涼はそれだと言わんばかりの顔をしながら同意し、健人は宿題ってなんのことと言わんばかりの顔で隣にいる明人の方を見ていた。
「えっ、ちょっと待ってよ兄さん、私春休みに入ったタイミングで教えたじゃない」
自分の宿題を鞄の中から取り出しながら瑞波は信じられないと言わんばかりにつっこむが、健人は首をかしげる一方だ。
「小説の設定を考える宿題が出てただろ。僕は異世界小説の設定を考えて来たけど、瑞波や涼もそれぞれ自分が考える設定を書いてきてると思うぞ」
明人の回答に瑞波と涼は首を縦に振る。
「マジかよ……」
「そうね、私もたまたま春休みに書いていた設定があったからそれを持ってきたわ」
「ちょっ……新入部員のニーニャちゃんまで……」
「申し訳ありません。私は何も用意できておりません」
「はぁ、レフィアちゃん、よかったー。持ってきてないの俺1人じゃなかったー」
健人はそう言って緑の方を見ると、呆れ顔の緑と視線が合った。
「こ、これは、緑先生の視線を独り占め!?」
「はぁ」
健人の言葉を聞き、緑はため息を1つついたのちレフィアの方に向き直った。
「レフィアさん、謝る必要はないわよ。そもそも今日が初めての部活なんだから、用意できてないのが普通よ。そう言う意味ではニーニャさんが凄いだけよ」
「まぁ、それほどでもあるわよ!」
緑の言葉を聞いたレフィアはホッと胸をなでおろし、ニーニャは胸を張ってドヤっている。
「一方で、木崎君。あなたは宿題の存在を知っていたはずよ。春休み前にちゃんと連絡したし、木崎さんからも宿題があること聞いてるはずなのよね?」
「えーっと……覚えがないと言うことは宿題の存在を知らなかったってことでは?」
「今ならまだ間に合うわよ」
そう言って目を細めて緑が健人のほうを見る。
「すいませんでした! 完全に忘れていたようです!!」
「はい、まぁ忘れていたのは仕方ないです。でも、宿題はちゃんと出してもらいますよ」
「了解です!」
「それじゃあ、明日、最大で明後日まで待ちます。それで宿題を出せなかった時は何か罰ゲームを考えましょうか」
緑が不敵な笑みを浮かべている。
その笑みを見た健人が――
「ハァハァ。この不敵な笑み、最高じゃねーか」
隣にいた明人が聞き取りれるくらいの声でぼそりと呟いた後――
「了解しました! 必ずや!」
と大きな声で回答し、敬礼ポーズをとった。
この時の呟きに一抹の不安を覚えた明人ではあったが、さすがの健人も緑からの好感度が下がることをしないだろうと考え、その不安を無視することにした。
「それじゃあ、提出できる人は宿題を提出してもらえるかしら。あと、申し訳ないけど、床に散らばってる本の整理お願いね」
「わかりました。それじゃあ森山先生は宿題の確認お願いします」
その言葉を聞いた緑は椅子を窓際の本が散らばっていない場所に持っていき、腰かけ、宿題の確認を始めた。
床に散らばった本をどのように整理するかを各員で案を出し合った結果、明人、健人、涼が床に散らばっている本を集め、テーブルの上に置き、置かれた本を瑞波、ニーニャ、レフィアで作品名毎に仕分けするという案で整理することが決まった。
「それにしても、ここにあるモノだけでも多種多様な本があるわね。バトルにファンタジーに恋愛にミステリーにSF。まぁ後ろの2つはよくわからないけど」
「先生はジャンル問わずに色んな作品を読んでるからね。読んでる量も凄いらしいよ。秋音情報では給料のほとんどを本に費やしてるとか」
「きゅう…りょう? あぁ、賃金のことね。そんなに本を買って緑先生の部屋に置き切れるのかしら」
「これも秋音情報なんだけど、どこかの倉庫を借りてるって話だよ」
「秋音……どんな情報網を持ってるよのよ……」
「だよね……時々友人である私ですら怖くなる時があるんだよね……」
そんな話をしながら本の仕分けのためせわしなく手を動かしていた。
ニーニャの隣ではレフィアが黙々と手を動かして、仕分けしていたが時々手が止まっては仕分けの山とは別の山を作っていた。
その作業状況を見たニーニャが――
「レフィア、その別で作ってる山ってなんなの?」
「え? ……えーっと、なんのことでしょうか」
レフィアはすっと他の本の山で別積みした本の山を隠すが――
「レフィア、そんなんじゃ全然本を隠せてないわよ」
ニーニャが後ろに回り込み、レフィアが隠した別積みの本を覗き込む。
「なるほどねー、レフィアも好きよね」
「……やはり、どうしても気になってしまうのです」
「いいじゃない、興味のある本はキープして、整理が終わった後に読ませてもらいましょうよ!」
「いいんでしょうか……」
レフィアが不安そうにニーニャに確認をすると――
「片付けが終われば自由に本を読んでいいんですよ。レフィアさん。っしょっと」
机に本を置く明人がニーニャの代わりに答えた。
「ほら、明人も大丈夫って言ってるから大丈夫よ」
「それに、レフィアさんだけでなく、瑞波やニーニャだって別積みしてる本がありますから。レフィアさんからは見辛い場所に作ってますけど」
「ちょっ、明人!」
その言葉を聞いたレフィアはそっと体をスライドさせると、本と本の間にタイトルのそろっていない別積みの山が見えた。
「なるほど、ありがとうございます。明人さん。これで心置きなく本をキープできます!」
そうして、本をキープしつつせっせと片付けを進め2時間ほど経った頃、床に置いてあった全ての本の整理が終わった。
「終わったー! これでゆっくり森山先生が持ってきた本が読めるな」
「俺はちょっと机でうな垂れるよ。疲れた……」
明人が伸びをしているなか、健人は机にうなだれていた。
「そうだ、明人、新入部員の2人を紹介してくれないか?」
涼がそう言うと、明人も紹介していないことを思い出し――
「ニーニャ、レフィアさんちょっといいかな?」
「ちょっと待って、明人。今いいところなのよ」
「すみません、明人さん、今いいところなので、後にしていただけますか」
ニーニャとレフィアはそろって本に集中していただけますか。
「えっと、軽く紹介すると、こっちの短髪の女性がレフィアさんで、長髪の女の子がニーニャって言うんだ。詳しく聞きたいことがあったら、また本を読み終わったあたりにでも聞いてくれたら、答えると思うよ」
「了解。僕も本を読んでる時は集中したいタイプだからよくわかるよ」
明人の説明を聞いた涼も自分にも経験があるような口ぶりでニーニャとレフィアの行動を肯定する。
■
「ん〜、はぁ」
片付けが終わり各々本を読み始めて1時間後。
「宿題の確認が終わりました。各人へのコメントを用紙に書いているので、その用紙を挟んで宿題を返します」
そう言って各々自分の宿題を緑から受け取り、コメントを確認する。
「うん、みんなしっかり宿題に取り組んでてよかったわ。それでね、私の書いたコメントを参考にいろいろ修正をして欲しいの」
緑の書いたコメントを読みつつ、みんな緑の話に相槌を打つ。
「それで、今週から来週にかけての部活動は今回の修正を進めていくって形で進めるわね。新入部員の募集もあるから新しいことをしようとするとみんな大変でしょうから」
緑の書いたコメントを読みつつ、みんな緑の話に相槌を打つ。
「それじゃあ、そう言うことで、今日はここまでにしましょうか。みんな、本の整理ありがとう」
そう言うと明人、ニーニャ、瑞波、涼は緑の書いたコメントを読みながら、緑の話に相槌を打ちつつ、かばんを持って部室を出ようとした。
パンッ――
明人が扉に手をかけたタイミングで柏手の音が部室に鳴り響いた。
「はい、みんな、歩きコメント読みは厳禁よ! そのまま廊下や学校の敷地外にでると事故とか起こるかもしれないから、ちゃんと家に帰ってからコメントを読んでください。わかりましたか!」
「「「「はっ、はい」」」」
緑のその言葉に肯定の返答を行い、全員宿題とコメントを鞄にしまい、帰路についたのであった。




