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部室の掃除と協力者

今週分の投稿です。

楽しんでいただけると幸いです。


友人のTさんがニーニャとレフィアの表情差分を新たに描いてくれましたので、本編更新後直ぐにキャラクター紹介ページの方も更新いたします。

凄く可愛いイラストなので、是非見ていただけると幸いです。


イラスト以外のキャラ紹介の更新についてはもう少ししたら行う予定です。

また、更新しましたら、活動報告などに記載いたします。

宜しくお願いします。

ミルストリア魔道学院、ミルストリア王国にある唯一の学院であり、王族も数十年はそこに通い、様々なことを学ぶことになる。

ミルストリア魔道学院は50階層からからなる学院で、1階層あたり200名以上のエルフが授業を受けることができる広さである。

学院生が座学を受ける教室は25階層から50階層、1階層から23階層までは演習などに使用される特別教室。24階層は教員室として使用されている。

ミルストリア王国一の敷地面積と高さを誇る学院であるが、外見は一般家庭と同じで、ただの大きな木にしか見えない。


そんな学院に通っていたニーニャが明人たちの学校を見て一言目に発した言葉が――

「面白みのない建物ね」

「うーん、なんていうか無機質な感じはするよね」

「そうかな? 私が初めて学校を見たときなんて、広いし、高いし、コンクリートで覆われているしって、テンション上がったけどなぁ」

「私も、他には無い感じの建物なので、少し興味がありますね」

ニーニャの言葉に応えるように、明人、瑞波、レフィアの順にそれぞれの学校の外見に対する思いを簡単に語った。


「まっ、それはそれとして、とりあえず部室に向かおうか」

そう言いながら明人は部室に向かって歩き始め、ニーニャたちもそれについて行く。


「そういえば、ニーニャちゃんって部活動ってわかるの?」

「? ああ、私の通っていた学校にも、学校の敷地を借りて、有志を集めて体を動かしたり、研究をしたりすることってあったのよ。それと同じようなモノって明人からは聞いてるわ」

「そうそう、それであってるよ。明人、しっかり説明してるじゃん」

ニーニャの回答に相槌を打ってから、瑞波は明人に向かって軽く肘で突くようなリアクションをとった。


「そりゃ、やるべきことはしっかりやるよ……そういえば、ニーニャに僕らの部活動の名前って教えてたっけ?」

瑞波のリアクションに対して応えたのち、明人は少し考えてニーニャに尋ねると――

「え? 明人たちの部活動って異世界物語部じゃないの?」

と応えが返ってきた。


「やっぱり説明してなかったみたいだね」

「まっ、部活名や部活内容は部室を見て貰えば大体わかるとして。ニーニャちゃんはなんで異世界創造部だと思ったの?」

「明人が春休みの課題で、異世界物語の設定を考えるって言ってたから。そうだと思ってたんだけど」

「あー、なるほどねー。それだったら勘違いしても仕方なよね」

ニーニャの回答を聞いた瑞波が、頷きながら応える。


「でもね、正解は!」

そういうと、瑞波が少し先に見えるネームプレートに名前が書かれていない教室の前まで駆け出し、教室のドアの鍵を解除した。


ニーニャが扉の前に着くと――

「正解は!」

ガララララ――


瑞波が再度言葉を発して、スライドドアを開けた先に見えたものは、複数の本でいっぱいの本棚が左右の壁に4個ずつ設置され、真ん中には長机が2個とパイプ椅子が6個、一番奥には黒いソファが置かれており、長机と床には何かしらの紙が積み上げられていた。

「うん、この部屋、いい部屋じゃない! 私のこの部屋好きよ!」


目をキラキラさせたニーニャの姿と教室の中を見て、レフィアはため息を一つついた。

「はぁ、これは、ニーニャ様が創作活動をしていた時と同じような感じの部屋ですね。私が片付けようとすると、『この配置がベストなの!』とおっしゃって片付けさせて貰えなかった覚えがあります」

「そんなことあったかしら、あははは」

ニーニャがレフィアから目線をそらし、乾いた笑い声をあげる。


「えっと……正解は!」

瑞波が三度目の言葉を紡ぎ、ニーニャとレフィアがその言葉の続きを待つと――

「文芸部へようこそ、ニーニャ、レフィアさん」

すでに教室の中に入っていた明人がそう言った。


「明人、あきと、あきと、あきと! それは無しでしょ! せっかくあそこまで溜めたんだから、私に言わせてくれるっていのが流れってもんでしょ!」

「いや、まぁ、もっとサクッと言ってくれそうならそうしてたんだけどね」

「溜めたかったの、なんか溜めた方がカッコいい感じするじゃん! だから溜めたかったのに! むーっ!」

頬を膨らませながら、瑞波が明人の行動に抗議する。


「むーーーーっ!」

頬を膨らませた瑞波が明人のことを睨み続けて1分ほど経つ。

「うん、さすがに僕が空気を読めてなかったよ。ごめん」

「よし、許す!」

明人が素直に謝ると、膨らませていた頬から空気を抜き、瑞波はニッと笑った。

「あっ、許すけど、今日はこき使うから覚悟しといてね!」

「はいはい。おまかせあれ」


やりとりを終えると、瑞波が部室の扉の方に向き直り――

「あらためて、ようこそ文芸部へ。ここが私たちの部室だよ。ささ、入って入って」

その言葉を聞いたニーニャが部室に入るやいなや、本棚の前を陣取り、本の背表紙をじっくり見ている。

「はぁぁ、ねぇ、ねぇ! ここの本って読んでもいいの?」

「読むのは自由だけど、汚したりしたらダメだよ」

「当然よ! 本を汚すなんて言語道断よ!」

本棚から視線をそらさずにフンスと鼻息を鳴らす。


「この本ってこの学校の本なの?」

「違うよ。ここにある本は全部森山先生の私物だよ」

「えっ、これ全部緑の私物なの!?」

明人が応えるとニーニャが驚きの声を上げ、明人の方に視線を移す。


「そうだよ。だから森山先生に許可さえ取れば、持ち帰ることも出来るよっと」

と言いながら明人は立て付けの悪いロッカーの扉を開け、中からモップと箒を取り出す。


パン――

瑞波が手を一つ叩き――

「さて、じゃあお掃除始めますか! 不要なモノの選定は私と明人でやるから、ニーニャちゃんは箒がけとかモップがけとかやってくれる? レフィアさんには本棚にある重い荷物とかを下ろして貰ったりしたいかな」

と掃除開始の号令を出す。


「わかったわ!」

「承知しました」

明人はまずニーニャにモップを渡し使い方を説明し、部室の一番奥にある窓を全開にした。


「あきとー、机の上に積んである紙と床には積んである紙の整理をお願い」

「わかった」

そう言い、床にはある紙束を机の上に持ち上げ、整理を始める。


レフィアは本棚の上にあるダンボールを一つずつ瑞波に渡し、本棚の上に溜まっている埃を雑巾拭き、床には落としていく。

瑞波は受け取ったダンボールの中身を確認し、不要なものを別のダンボールに移す。

しばらくは各人に割り当てられた作業をこなしていたが、瑞波の作業が思ったよりも早く進んだため、瑞波が書類整理の仕事を引き継ぎ、明人は部室前に置かれたダンボールの山を一つずつゴミ捨て場に持っていく作業に取り掛かった。


「ねぇ、ニーニャちゃん、レフィアちゃん、ちょっと聞きたいことがあるんだけど」

明人が居なくなった部室で、黙々と作業をしていた2人に書類に目を落としながら瑞波が尋ねる。


「どうしたの、瑞波?」

「あのね、あんまりこういう事を聞くのはどうかと思うんだけど……」

瑞波のその言葉を聞いた時、ニーニャはバイブルである異世界の恋愛小説の1シーンを思い出していた。


「これは、もしかして、明人のことをどう思ってるの? とか聞いてくるあのイベントじゃないの! やっぱり瑞波は明人のことを!」とニーニャは内心1人でテンションを上げつつ、そのテンションが表に出ないよう平静を装い――

「うん」

と静かに応えると。


「もしかして、ニーニャちゃんって異世界の存在のエルフだったりするの!?」

「なんとも思ってないわよ!」

「「え??」」

瑞波の質問に対して、的外れな回答を即答し、2人の時間は数秒間止まった。

止まっていた数秒間の時間の間、レフィアの頰には冷や汗が垂れていた。


数秒後――

「ええぇぇぇぇぇぇぇぇぇ! なっ、なっ、なっ、なんでわかったのよ! あっ……」

瑞波とニーニャのやりとりを見ていたレフィアは右手を額に当て、内心「あちゃー」と思いながらため息を一つこぼした。


「やっぱり、やっぱりそうなんだ! って、あってなに?」

「…………」

「えっと、瑞波様、どうしてそのように思われたんですか?」

此の期に及んで、ニーニャは沈黙で隠し通せると思い、沈黙するが、隠し通すことができないと悟ったレフィアは、どうしてニーニャがエルフだと思ったのかを質問することにした。


「ちょっと、レフィア!」

「ニーニャ様、先ほどの沈黙は肯定と同じですよ」

ニーニャはモップを片手に頭を抱えた。


「それで、瑞波様はなぜ、ニーニャ様がエルフだと?」

「んー、最初に変わった子だなと思ったのは、握手をしらなかったことかな。あとは、今日の髪型」

「髪型ですか?」

「うん、今日の髪型って耳が隠れないでしょ。で、今朝見た時に人と違う、ファンタジー物のエルフとして描かれるキャラクター達と同じような耳の形をしていたから、もしかしてと思ったんだよね」

「なるほど、それだけの情報であれば、何かしらの言い訳ができましたが……」

「あうぅぅ」

「なんかごめん」

瑞波は両手を合わし、片目をつぶりながら謝る。


「いいえ、どちらかといえば、動揺してしまったニーニャ様に問題があるので……とりあえず、明人様が戻られたら事情を説明させていただきますね」

「ねぇ、レフィア、私怒られるかしら」

ニーニャが声を震わせながらレフィアに確認すると――

「いえ、止められなかった私に問題がありますので、怒られるとしても私の方かと……」

「レフィアは悪くないじゃない! 怒られるとしたら私よ!」

「いえ、そんなことは……」


パン――

「はい、2人ともそこまで!」

瑞波が2人のネガティブトークを強制終了させる。

「明人はそれくらいで怒るような人間じゃないよ、もし怒ったら私が明人に説教してやるわよ!」

そういうと瑞波はニッと笑った。


「いや、瑞波の説教とかほんと、勘弁して欲しいんだけど……何があったの?」

「明人!」

「明人様!」


「えっと、明人、どこから話を聞いてたの?」

ニーニャが明人に尋ねると――

「いや、僕を説教するってところからかな……何があったの?」


「私から説明させていただきます。明人様。」

レフィアが前に出て、一呼吸おいてから、現状を説明し始めた。

「実は、瑞波様にニーニャ様がエルフだとバレてしまいまして」

「えっ、瑞波気づいちゃったの?」

「えっへっへー、すごいでしょ!」

瑞波が胸を張って笑っている中、レフィアとニーニャは重い空気を纏いながら静かに明人の方を見ている。


「なんだ、気づいたんだったら、話す手間が省けたね」

「「へ?」」

明人の一言にレフィアとニーニャは気の抜けた声を出す。


「いや、元々瑞波には話す予定だったからね」

「しかし、他人には正体を知られぬようにと春奈様も……」

「極力ニーニャとレフィアさんの正体を知る人は増やしたくないとは思っています。それは、ニーニャとレフィアさんに害が及ぶかもしれないからです。ただ、害を減らすために、協力者は必要です。となると、信頼できる人を協力者にするのが一番なので、信頼できる瑞波には話すつもりだったんですよ」


そこで、明人は一呼吸おき、説明を続けた。

「今日のお昼のタイミングでニーニャとレフィアさんから許可を取って話そうと思っていたんです。まぁ、その前に瑞波が気づいたのは予想外でしたけど」

と一通りの説明をすると――

「よかったぁー」

「はい、本当によかったです」

レフィアは胸をなでおろし、ニーニャは床にへたり込んだ。


「ねっ、明人はそれくらいで怒らないって言ったでしょ!」

「いや、ニーニャやレフィアさんに害を及ぼしそうな人に話してたら怒ってたよ。ってことで、瑞波がもしも害を及ぼす人に話した時は、全力で怒るからね」

「ちょっと、明人、私がそんな人間だと思ってるの!? 酷いわ、私はこんなに明人のことを信頼してるのにぃ」

瑞波が演技じみた動きをしながら、演技じみた言葉を明人に投げかけるが、明人はそれを適当に流した。


「はいはい、ニーニャ、レフィアさん、不安にさせてごめんなさい」

「大丈夫よ! 怒られるって勝手に思ってただけだから」

「ええ、私たちも気をつけなければならないことに気づかされましたので」

明人が2人に謝ると、ニーニャは笑いながら片手をパタパタと左右に振り、レフィアも今回のことを反省し、次に生かそうと心に決めていた。


キーンコーンカーンコーン キーンコーンカーンコーン


「お昼の鐘もなったし、休憩して、お弁当を食べよっか」

「うん!」

「はい」

「えっと、そのお弁当って私のぶんもある?」

明人の提案に、ニーニャとレフィアが肯定し、瑞波が恐る恐る聞くと――

「瑞波の分も作ってきてるよ」

「やった! じゃあみんな、手を洗いに行こっか」

そう言って、瑞波が先導して明人たちは手洗い場に向かった。

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