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女の子になりたい男の子がいてもいいじゃない。  作者: ぬながわ
一章 女の子っぽい男の子
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ジェンダー病、その概念.1

 ジェンダー病。それは、アフリカの小さな部族の中で偶然発見された、遺伝子の突然変異により生じる、性別が入れ替わってしまう奇病だ。ニュースで言われていたとおり、ヒトの命を奪うような病気ではない。が、この病気を発症するのは、男性だけである。そして、発症した全員が、肉体的――生殖器、乳房、声……筋肉、脂肪それら肉付きを含め、その全てが女体化し、はじめは戸惑い、男に戻りたいと口々に嘆き、生涯独り身でいることを決意していたのだが、早い人で数週間。遅い人でも、おおよそ半年ほど経過すると、女体と為った自身の肉体を受け入れ、更には男性と関係を持ち、子を成した例も報告されている。


 この病気が発見されるやいなや、世界中の研究機関が様々な仮説を発表したが、現在では「人類の種の保存、その本能による少子化を食い止めようとする」という説が最有力とされている。実際、ジェンダー病が発見された部族では、女子の出生が極端に少なくなった時代(……彼らには”年”という概念がないため、正確な時期まではわからない。)に、選ばれた男が神の手により女に生まれ変わり、子を成し、部族を絶滅から救った。という伝説があるという。部族内の現状を見ても、男女比が極端に偏っていた。



 ここまでが、マスコミによって報道され、一般的に認知されているジェンダー病の概要である



 それと、今現在でどこまで解明が進んでいるのかも、報道された範囲で話しておこうと思う。すでに遺伝子の突然変異によるもの。という事が周知されてきているわけだが、なにも発見されてすぐに「こうだ!」と判明したわけではないし、発見された時からこう呼ばれていた訳でもない。仮称として”トランス”または”トランス病”と呼ばれた。性別が入れ替わることからそう呼ばれていたそうだ。



 そして、この病気ははじめ、ふたつの仮説が唱えられれるようになった。


 ひとつは、ある特定の部族にのみで発生した遺伝子の突然変異によるもの。一般には「生物の進化」と呼ばれる。この仮説の根拠は、発症した患者の周囲に女子が少なく、人間の本能が主の保存ができなくなると判断し、性別を司る染色体を自ら変化させ、体つき、生殖器、思考その全てを女体化させてしまうというもの。変化した肉体を受け入れることに対して個人差が生じることについては、男であった記憶がある故に、脳の処理に時間がかかっているのではないか...。


 もうひとつが、感染症やウィルス等による外的要因によって発症する、病気のような症状だ。これは突然変異なのではなく、特定の地域に流行した伝染病のようなものだ。外的要因...蚊やノミ、その他の生物が媒介し、人間の染色体を変化させたのだ。というものだ。



 この2つの仮説に基づいて日本をはじめ、世界各国の研究機関がこの症例について研究を行った。


 そうして数年が経ち、研究者が導き出された結論は……



 『人間の、種の保存本能が自らの染色体を変化させ、女体化をさせた。』という、遺伝子の突然変異による人間の進化。という新たな仮説が、日本人研究者高畑宗一郎により唱えられるようになり、他の研究者はそれを否定する仮説をたてることができず、現在ではこれが定説となりつつある。

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