侵略者との遭遇
奴らは西洋の鎧のようなものを着ておりその形状から体型は人間と酷似していることが推測できた。また頭には兜をかぶっていたため顔は見えなかったが大きさは人間と同じぐらいだとも推測できた。
鎧を着た奴らは剣を一振りさせ果敢に攻めていった自衛官の命を奪う。
それを見た他の自衛官は無理に突撃などせず89式5.56mm小銃で銃弾を浴びせながら徐々に距離を縮めていった。
銃弾は鎧を貫通し少しづつ倒していったがそれは一部に過ぎず他の奴らは銃弾を跳ね返しながらゆっくりと確実に進んでいく。
89式5.56mm小銃では奴らの鎧の大半を貫通出来ないため威力の強い銃を使う必要があるのだが武器不足により威力の強い銃を持ち合わせていない自衛官は効かないと分かっていても撃ち続けるしかなかった。
奴らが一歩また一歩と進むごとに鎧から金属の擦れるカチャカチャといった高音が銃声に紛れ辺りに響き渡り生存者たちに恐怖と絶望を芽生えさせる。
しかし自衛官は少しでも生存者たちが逃げる時間を稼ごうとしたのか一歩も引かず撃ち続けた。
軽装甲機動車の車体上面ハッチから5.56mm機関銃MINIMIを撃っていた自衛官は飛んできた矢に刺さり地面に落ちる。
ドラゴンに向けて110mm個人携帯対戦車弾を撃ってもいたがスピードが速く機動性に優れたドラゴンに当たるはずもなく横を通り抜けそのまま民家に着弾する。
僕は自衛官が命がけで作ってくれた時間を無駄にしてはいけないと思い目に入った民家に駆け込む。
横道が存在しないこの道では囲まれる可能性があってもこうするしか逃げる方法が無かった。
幸い鍵はかかってなくスムーズに隠れることが出来た。しかしここに長居するわけにもいかないので直ぐにこれからどうするか考える。
上空にはドラゴンが飛んでいるためヘリや戦闘機の支援は考えられない。また護衛してくれた自衛官も鎧の奴らを食い止めるのに手いっぱい。なので結局は自力でここから離れるほかなかった。
裏口が見えるのでそこから外に出て塀を乗り越え裏の民家に侵入しそこから道路に出て逃げることに決めた僕は取り敢えず玄関に一番近いリビングの冷蔵庫をあさり食料や飲料水を探した。
一心不乱に探していると突然背後から人の気配を感じる。慌てて振り返るとそこには公園で見かけた右足を怪我した女性が立っていた。
目が合うと女性は息もとぎれとぎれに焦ったような声で早口に言う。
「早く逃げないと奴らが来るよ!!ほらっ、早く!!」
女性の顔は怯えていて一目散にここから走り去りたいようだった。