五日目
『蒼炎式火薬』
空気中の『蒼炎』を結晶化させ、特殊な処理を施した火薬。青白い光を放ち、爆発音が耳鳴りの様な甲高い音であることが特徴。
またその爆発はすさまじく、例えるならば『SFのレーザー光線』さながらである。弾は必要なく、必要なのは相手を殺そうという殺意、イメージである。
だが、彼ら『私立禊高校』の生徒が撃つ時は、彼らのイメージに引っ張られてか“焔硝のごとき爆発”をするようである。
結局、僕は彼らと行動を共にしている。あのいじめっ子たちと。
昨日もまた空き家に間借りして寝ることになった。でもやっぱり僕は寝むれなくて、彼らから距離を置いて一人起きていた。
……怖かった。彼らなら、何時か本当に力任せに僕を囮に使う気がして。あるいは咄嗟のイライラから、あの銃の様なもので撃たれるんじゃないかと思うと怖くて仕方なかった。
そんな夜がまた過ぎて、朝が来た。
そもそも、外にはあんな怪物が居るのになんでこの人たちはいびきをかきながら寝れるのか……。僕には理解できそうになかった。
僕一人だけがふらふらと立ち上がった。その様子に安西くんが言う。
「おい……大丈夫か?」
特に調子が狂うのは安西くんのこの優しげな態度だ。
「うん……大丈夫。大丈夫だから」
口ではそう答えつつも、心底落ち着かなかった。滝根くんの悪意の視線は度々感じたのも大きい気がする。
そして期待に応えるように滝根くんが意地悪に笑い言う。
「ところでさ……腹、減ってこねぇ?」
「あ? ……まぁな」
大路くんがそれに気の無い返事で答える。彼もかなりイラだっているみたいだ。なぜ分かるかって……よく見てきたから……嫌なくらい……。
そして、滝根くんは僕に肩を組みながら言った。
「そろそろ飯が欲しいよな」
そして僕の顔を覗き込む。
なに? なにが言いたい……?
「つまりなんだよ?」
大路くんがと安西くんが怪訝そうな目で見る前で滝根くんはとんでもない発言をした。
「非常時なら、“豚”は殺して食えるよな?」
僕はその“豚”が“誰”なのか、咄嗟に分かって逃げ出そうとした。それを滝根くんが無理やり引っ張り転ばせる。更に起き上がろうとしたところに滝根くんは馬乗りになり、体重をかけてくる。咄嗟に叫ぼうとした僕を滝根くんは力強く殴った。頭の中に鈍い音が響いて、鈍い痛みと同時にうめき声が口から洩れる。
「“豚”にしちゃ軽いけどまぁ“豚”みたいな性格だし問題ないだろ。ぶーぶー鳴いてるしな。おい、あんまり騒ぐなよ。それこそ怪物に食われるぞ」
「おい! お前いい加減にしろ!」
突如それを止めたのは安西くんだった。
「そいつには俺は恩がある。何度も言ってるだろうが。そもそも人は食いもんじゃねぇし、食ったらそれこそあの怪物どもと変わんねぇ」
滝根くんと安西くんは無言でにらみ合った。
しばらくの沈黙の後、滝根くんが僕の上から退きながら言った。
「そう睨むなって。だったら獅子と“非常食”で飯探してきてくれよ」
「……ああ、良いぜ。いわれなくても見つけてきてやるよ。それから、こいつは人間だ」
安西くんが僕を起こしながら言う。
「ただし銃は置いていけよ。俺らはここで待つんだからな」
「は?」
大路くんが突如無茶なことを言う。安西くんはそれに噛みついたが、嫌々ながら、という具合に銃を渡した。
そして一人足早にその場から離れていく。それを大路くんはどこか嬉しげに、滝根くんはどこか憎々しげに見ていた。
「お前も行くんだろうが!」
そういって大路くんが僕を押し飛ばす。
僕は仕方なく、先行する安西くんの数歩後を付いていくことになった。
僕らは丸腰で、怪物たちがどこからくるか分からない場所をただ歩き続けた。僕がついて来ていると分かると安西くんは歩く速度を落としてくれたが、僕は正直追いつきたくなくて、余計に速度を落とした。
安西くんはそれにやきもきした様子を見せたけど、すぐに何か悔しそうな顔をしてまた歩きはじめていた。
……確かに、僕はいじめられてきた。でも、安西くんの言葉が確かなら、僕が一度怪物たちの前で彼を突き飛ばしたことをきっかけに信頼しているなら……あるいは……?
「待て、隠れろ」
安西くんが唐突にそう言って隠れる。僕も仕方なく同じ物陰に隠れて詳細を聞く。
「なに? また怪物?」
「いや、姿は見えてない。だけど物音が聞こえる。きっと……あの建物だな」
安西くんが顎で指した建物をそっと僕も覗いてみる。大きな建物だ。僕らが最初に通された体育館のような建物によく似ている。扉はやはり鉄製だが、なにか植物のツタの様なものが絡まっていて完全には閉まっておらず、屈んでなら入れる微かな隙間を作っていた。
僕も耳を澄ませると、かすかに何かが動く音がする。
それは軋みを上げて呼吸をするような……古い木造建築の床を踏んだ時にする音と似たような音が、生き物がする呼吸のリズムに似ている。……それはまさしく生き物の感覚。
まだ姿は見えていないけれど、きっと安西くんの見解は正しい。あの建物の中に、きっと居る。……何かが。
「どうするの?」
「あ? そんなもんお前……」
安西くんは僕ににやりと笑った。今まで見てきた、いじめっ子の嫌な笑いじゃなく、もっと……違う、そんな笑い顔で僕を見た。
「俺が行くしかねぇだろ!」
「え!?」
そういって安西くんは物陰を飛び出して、その建物へ一直線に走った。
なにを考えてそんな行動に出たのか分からないけれど、丸腰じゃ危険だしそんなの迂回するなりすればよかったのに……。
安西くんは滑り込むように扉の隙間から中に潜り込んだ。そして……
「おい! 姫貝、来てみろ!」
僕は恐る恐るあたりを見回してから物陰を出た。そして屈みながら扉の隙間を通り、中へと潜り込んだ。中はかすかに灯りが灯されている。そして床一面の蔦と……
「はは、見ろ! これは良いじゃねぇか! すごくいいぞ!」
安西くんはそれをみて笑っていた。逆に僕は、その光景に眉をひそめた。
相沢、幸徳井、二人して床にごろ寝しながら会話
相沢「……なぁ、ヨシュア」
幸徳井「なんだい? 剣」
相沢「俺ら暇だな」
幸徳井「作者が後書きのネタ切れたって唸ってたからね」
そこへ瀬折が来
瀬折「初セリフですね! 私頑張ります!」
……ト書きを食う勢いで瀬折が
瀬折「噛まないように頑張りますね!」
……ト書きが先に進まないが瀬
瀬折「二人に話しかければいいんですね! 話しましょうお二人さん! さあ! さあ!」
……ト書き含め全員ドン引きである
瀬折「え? え? あれ? 私何か……あれ?」
相沢「い、いやほら、彼女は本編でセリフ無かったから」
瀬折「うっ……」
瀬折にダイレクトアタック
幸徳井「あはは、ついつい力んじゃったんですね。ト書きで作者が何言いたかったのかも分かんなくなりましたが」
瀬折「はぅ……」
更に瀬折にダイレクトアタック
しかし作者は思う
作者「あざとく可愛く見せようとしても……わざとっぽくて圧倒的に可愛さが足りな」
瀬折どこからともなくスタ○ドのごとく世紀末覇者セオリを召喚し作者をオラオララッシュし始める
相沢「そんな仕組みなの!?」