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三日目

『ゾンビ・クリーチャー』

人とも動物とも言えない大型の『ゾンビ』だが『ゾンビ』と分類していいものか迷う物もいくつか存在する。

その多くはある程度の凶悪で捻じ曲がった知性を持ち、時には一見無駄だと思われる行動も好んでとる刹那主義的思考が働くこともある。

また、ベースになった『ゾンビ』が人のそれか動物のそれかでも大きく結果は分かれるだろう。

 その後の僕らは、ものけの空となった広間で椿矢さんの警護の下就寝。翌朝何事も無く目覚め、その後少しばかりの朝食をもらうことになった。

 その際、ドクター……ミクトラさんも合流したが、その際の剣の警戒っぷりったらなかった。なんとか誤解を解くまで、剣はミクトラさんから距離を取り、逆にミクトラさんは笑いながら誰からも離れた場所に腰を下ろした。ある程度は僕から説明したが……確かに知性ある『ゾンビ』だなんて聞いたことが……いや、『ゾンビ』そのものを現実に相対したことは無かったから、本当は知性が有るのかもしれない。

 そんな僕らを見ながら、椿矢さんが例の肉風味のチップスを配りながら言う。


「すみません。あとはもう……なんとかどこかで食料を見つけないと……」


 僕は適当にお礼を言い、剣は黙ってその様子を見ていた。ミクトラさんと椿矢さんは落ち込んだ様子で何やら話し合っていた。そして剣は思い立ったように口を開いた。


「なぁ……色々説明してくれないか? この喰いもんの事とか、昨日見せた『蒼炎』ってやつこの事とか」


 椿矢さんは真顔で静かに頷いて答える。


「解りました。食べ終わったら、見せたい場所があります」


 僕らは食事を済ませて、椿矢さんの先導の元、入るなと言われていたあの暗い通路へを案内された。


「どうぞ。もう何も身の危険もありませんから」


 そう言って椿矢さんはどんどん進んでいく。

 そして、途中で左の部屋へ入っていく。扉の取っ手を捻るとそこからは灯りが漏れ、部屋の中は明るいことがわかる。僕らも続いて部屋へと入る。


 部屋の中は何か枯れた植物の蔓が所狭しと張り巡らされていた。部屋の壁には人一人余裕で呑み込める大きさのウツボカヅラの様な袋状の巨大植物が大量に釣り下がっていた。

 僕は椿矢さんに聞いた。


「この部屋は?」

「食料の供給場所です。この植物、名前はクーキィーちゃん。植物名はウツボテイショクカズラだったかです」


 ミクトラさんが言葉を足す。


「違ぇ。オオウツボショクスイカズラだ。海水を真水に近い物に濾過し、それとは別に酸を溜めこんで動植物を消化する。消化した食いもんは養分として吸収。その後、新しい餌を釣るための肉団子チップスとして葉の後ろに生成する。……安心しろ。今回は魚肉だ」


 途中から不安そうになった僕らにミクトラさんが笑いながら最後に付け加える。


「このクーキィーちゃんのおかげで、あと数か月は食に困らない予定だったんですが……」


 そういって、椿矢さんがひときわ大きな袋に近づき、その袋を破く。中からピンクの液体があふれ出し、更に中からやや溶けかけたゾンビが力なく地面に投げ出される。

 ミクトラさんが言う。


「こいつが飛び込んじまってな……。ゾンビは『蒼炎』の濃度が濃すぎる。結果、この植物は中毒死しちまったのさ」

「ちなみに、今朝出したのはストックしてあったものなんで安心してください」

「兎に角、このままここに残ってたら、俺らは間違いなく餓死だな」


 そう言っておどけるミクトラさんに剣が噛みつく。


「その前にあんたに食われないって保証は?」


 椿矢さんとミクトラさんはお互いに見合ってから、椿矢さんが口を開いた。


「そうはなりません。ドクターには『蒼炎』の原石を埋め込んであります」

「そうそれだ。『蒼炎』ってなんなんだ? 説明してくれるんだろ?」


 椿矢さんは頷き、深い呼吸をしながらまた蒼い粒子を背中から排出する。そしてその粒子は彼の手元で小さな小刀になる。彼はそれを自身の脇腹に突き刺し、固い金属音をさせながら脇を切っていく。


「な、何してるんですか?」

「いえ、痛覚とか無いんで安心してください。直接見せた方が早いと思いまして……」


 そして、彼の胸部前面がとれ、その中から青色の微光を放つ石を中心に複雑な機械たちが、彼の胸の中身の構造を形成している。やはり、彼は機械だ。僕は改めてそう思った。


「これが『蒼炎』と呼ばれる、地球に飛来した隕石の欠片です。そしてこの欠片はボクの動力源でもあります。この『蒼炎』が呼吸と反応して生み出す物質は『生き物の想像力で物体を創造する能力』が有るんです。それこそ『蒼炎』の力が強ければ、また使いこなすことができれば、先の『布津御霊乃剣』の様なマジックアイテムみたいなのも作れます」


 僕たちの目を見て少し間をおいてから、椿矢さんは続ける。


「そんな物質が空気中に少量散布され、生きとし生けるものは少量ずつ吸収しながら生きて来ました。それ故に生態系は乱れ、あなたたちが居た時代よりはるかに生態系は変わってしまいした。植物は自立歩行し動物を襲い、動物は人間のごとき知恵を得ました。彼らの『進化に対する想像』が彼らの『進化を創造』したんです」


 僕らはその話をただ聞いていた。


「そして、進化するのは生物だけではありませんでした。『蒼炎』もまた、生き物のイメージから『進化を想像』したんです。この石は生き物です。『蒼炎』の進化は『人間との交渉ツール』を造り、人とコミュニケーションをとる事でした。人型の姿をし、人と同じように思考する、人と外見上変わらない『蒼炎』、ボクらは『蒼炎進化体』と呼んでいます。その『蒼炎進化体』は更に自分たちが進化するため『更なる想像力が欲しかった』んだと思います。しかし、彼らも想像していなかった事態が起きます」


 椿矢さんは、憶測ですが、と付け加えて言う。


「複数居たと思われる『蒼炎進化体』の一体が人間に恋をしてしまったのではと、言われています」

「は? ……え? でも、石ですよね?」


 僕の疑問に椿矢さんたちが何か言うより先に剣が僕に答える。


「いや、人と同じ心を持ってたんだろ? で、人と同じ外見をしてた。じゃあ、人間に恋ぐらいする。……なんだよ」

「あ、いや……剣がそういう考えを持つんだな、と」

「うるせ。メルヘンが似合わなくて悪かったな」


 椿矢さんは僕らが静まるまで待ってから続ける。


「問題は、その恋が悲恋に終わった事なんです。その結果『蒼炎進化体』は他の進化体を巻き込んで暴走。この『箱庭』のあらゆる生き物を……いえ、下手をすれば『箱庭』の外も同じような状態かもしれません。兎に角、あらゆる生き物が、生きたまま精神を引き抜かれてしまったんです」

「生きたまま精神を……? それってどういう……?」


 思わず口にした僕へ、ミクトラさんが言う。


「つまり、本能に忠実な『ゾンビ』になるってことだ」


 更に椿矢さんが言う。


「人手が必要になったのもあり『ゾンビ』に悩まされていたこともありました。そこで実験的ではありましたが『ゾンビ』化した方に『蒼炎』を埋め込み、精神を今一度肉体に戻せないか試してみたんです」

「その成功例が俺というわけだ」


 そう言いながらミクトラさんは酒を呷りながら言う。


「失敗したら『蒼炎』を抱えた『ゾンビ』なんて危険な物が出来上がるのに……お前さんにその提案した奴は間違いなく狂っていやがる」

「あはは、そうですね。ボクもそう思います」


 そして、椿矢さんは、自分の胸部を元の位置に押し付けながら僕らに提案してくる。


「他に行く当てもないですし、その人物の元へ行こうと思います。色々問題は有りますが、夜中にデッカいのに会うのだけは避けたいですし……」


 僕らに選択肢は無く、その提案を飲む以外道は無かった。











――ガタン!



 唐突にホールの方から物音がする。

 椿矢さんが僕らに残るように言い、一人ホールを見に行く……









5分たったろうか? 10分たったようにも1時間か10時間かに感じた。実際はほんの数分だろうが、帰りが遅い気がする。

僕らは心配になり、ミクトラさんの制止を振り切り様子を覗くことにした。ミクトラさんは「勝手にしろ」と言ってくれた。


入り口はずいぶんと静かだ。

 いや、椿矢さんが居る。誰かと話しているようだ。あれは……

 僕の背後から剣が飛び出して言う。


「瀬折さん!」



 そして僕らの、終わりへと向かう物語が始まる。




――――――――――――――――――――――――

合流


瀬折せおり かおり

岩岡いわおか 平治へいじ

佐才ささい 蕪時ぶじ

既樹すでき 空汰くうた

本出ほんで 妹子いもこ


以上5名、


幸徳井こうとくい ヨシュア

相沢あいざわ けん


の二名

および


ドクター:ミクトラ・テ・クートリ

蒼炎の使者:椿矢つばきや りょう


と合流……

――――――――――――――――――――――――

相沢「瀬折さん!」


相沢、走って瀬折の傍へ行き


作者「ん?」


すさまじい勢いでその隣の作者へドロップキックをかます


作者「ぶべらぽぺげはぁぁぁあ!」


作者、錐もみ回転で地面に顔から突っ込む。


相沢「こんのド阿呆! 一度の登場人物増やしてどうすんだよ! 扱いきれんのかよ!」

作者「へ?」

相沢「は?」


作者、一瞬の阿呆面


作者「……ああ、そっか。考えてなかっ」


作者の納得の声を中断する形でその他オマケたちが踏みつける


その他「うるせぇ!」

オマケ「オマケってなんだよ!」

たち「俺なんて名前ですらねぇじゃねぇか!」


そんな中、いじめられっ子、本出妹子は思った。


本出「え!? あ、はい」


このままでは作中で私のセリフが有るより前に作者がボコられてまた一狩り出てしまう。そこで私はその他オマケたちに一言言うことにした。


本出「えぇ!? ……」


作者、ボスケテお願いの目


本出「う、うぅ……うわあああああん」


本出、走り出して無茶振りした作者を殴る行動に参戦




相沢「俺思うんだけど……」

幸徳井「なんだい?」

相沢「おまけ話に力入れすぎになってきてる気がするんだ」





瀬折「私のセリフ……」

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