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二日目(前編)

『幸徳井 ヨシュア』vol.1

ヒスパニック系アメリカ人を母に持つハーフ。

正義感が強く冷静で達観しているが、自身の弱さを認識しており、そんな自身を嫌悪している。

多少は格闘技の心得があるようだが、今の彼は隻腕である。

そして彼の心もまた……

―――――――――――――――

――視点変更――

幸徳井 ヨシュア → 相沢 剣

―――――――――――――――




 この場所に来てからもう一日が過ぎようとしてる。俺たち『私立禊高校』2年E組の25人……いや24人はずっとこのドーム状の建物に閉じ込められている。

 今俺たちが居るこの建物、大きさは学校の体育館より二回り大きく、全員が自由にくつろげるスペースがある。しかし窓は無く、日差しは差し込まず風も入ってこない。天井は三角帽子の内側の様になっていて、遥か高い天井の上方から微かに灯りが差し込んでいるが、あとは壁についている微かな豆電球以外灯りは無い。

 みんな、疲れ切った顔をしている。

 それも仕方ないと思う。外には人の姿をしていながら人を食らう……あれはなんだ? みんななんの抵抗も無く『ゾンビ』と称してるが、あんな素早く動いて、しかも場合によっては痛覚で悶える。あれって『ゾンビ』なのか? 確かに噛みついてる時は殴られようと目玉が飛び出ようが怯みもしなかった。明らかに異常であることは理解できる。


 俺はドームの脇から伸びている通路を見た。暗いドームの中で更に深い暗闇に包まれているあの場所に、今俺の親友は呑まれていった。

 あいつは、俺が『ゾンビ』に噛まれるかもしれない時、咄嗟に自分の左腕を突き出し代わりに噛ませた。映画とかのゾンビだと感染するかもしれないが、俺たちを助けたロボット『椿矢 凌』曰く「感染はしません。そもそも病原菌やウィルスでなるモノではありませんから」とのことだった。

 もっとも、『ゾンビ』化しないだけで、その顎の力であいつの左腕の骨は砕かれ、大量出血もあって切断するしかないとのことだった。手術自体は問題なく終わったらしい。らしい、というのは、俺はあいつがどうなったか確認してないからだ。

 どういうわけか、椿矢はあの通路に人を入れたがらない。何やら危険な物もあるからとのことだが、ならなんでそんな場所に隣接した場所に俺たちを置いている。俺はあいつが信用ならない。決してすさまじくイケメンだから嫉妬してる、とかじゃない。決して違う。……すこし違う。

 でも俺にはなんとなく分かる。あいつは怪しい。何か隠してる。何を隠しているのか分からないが、完全に信用するべきじゃない。……とはいえ、もし『ゾンビ』に襲われた場合、俺たちじゃどうしようもない。実質、この状態は仕方ないのかもしれない。けど、好ましくもない。


 あいつが手術を受けに行った黒い通路とは別の通路から椿矢が出てくる。電車の車内販売ワゴンみたいなのを押しながら一人一人の元へ向かい、一人一人と軽い会話をして飯を配る。飯、と言えばそうなんだが、配られているのは、かなり固い赤黒いチップスだ。干し肉、というには形が成形された跡がある。元は何の肉だか分からないから食べたくないが、他に食べる物もない。一部の生徒は口にしているようで、味はビーフジャーキーそっくりだそうだ。水も少量配られているが、わずかに黄色く色づいているのが何とも嫌な気分になる。ほんのりと甘い香りがするが、いったい何の水なのか。聞いても「過去に貯蔵していた物」としか答えない。

 まさかとは思うけど、こんなのがいつまで続くか分からないんじゃないだろうな……


「はい、相沢さん。ご飯ですよ」

 椿矢が笑顔で話しかけてくる。鉄のボールに入れられたわずかなチップスと別の鉄の水筒に入れられた水が、座っている俺の手が届く位置に置かれる。

 俺はそのまま椿矢を見ないで話しかけた。色々聞いてやる。


「なぁ、いくつか質問いいか?」

「はい。答えられることなら答えましょう。あ、ちなみに幸徳井くんは今はまだ麻酔が効いてます。起きるのは明日でしょうね」

「……それも気になってたが、どうして近くに行ったらいけないんだ?」


 椿矢はすこし黙ってから口を開いた。

「あの通路は危険です。目的地まで問題なく付けた場合問題は有りませんが……」

「あんたは通ってるだろ? そもそも何が危険なんだ?」

「んーと……そもそも危険な生き物が、ですね」

「そんな場所にあいつは一人で今寝かされてんのか?」

「いえ、そうじゃありません。その生き物は光が苦手なんです。だから灯りをつけている場所には来ません。本当は通路にも光を付けたいんですが、電灯とか結構貴重でして……」

「そんな答えで満足すると思ってんのか?」


 椿矢はまた押し黙ったあと、一息を吐いてから話し始めた。


「……しなくても仕方ないと思います。でも、この場所に来てまだ二日目です。知らないことしかないと思います。そして、知らないということが非常に危険な世界なんです。ここは」

「じゃあ教えてくれ。どうすべきなのか。……何を隠してるんだ?」

「えーっと……ん? あれは……何を……!?」


 目線が泳いだ椿矢の顔がこわばる。その目線を俺も追う。すると、男子生徒が一人、出入り口のところで何かしているのが見える。椿矢が立ち上がり、その男子生徒に声をかけながら走り始める。


「待って! 何をしてるんですか! やめろ!」


 椿矢が男子生徒を押しのけて止めに入るより先に、出入り口が重い可動音で開いていく。男子生徒が立っていた場所は出入り口のすぐ脇、操作パネルの場所だ。操作パネルは配線が剥き出しになっていて、それに触ろうとした椿矢を火花で拒絶する。

 椿矢に押しのけられた男子生徒『飯野いいの 弥伊都やいと』はパニックに陥っている様子だった。飯野が言う。


「こんな得体のしれない場所で、得体のしれない物を口にさせられ、得体のしれない連中に囲まれていられるか! 僕は知ってるぞ! あの通路の先、何が居るか知ってるぞ!」


 そういってヨシュアが居るだろう黒い例の通路を指さす。そして、飯野は呆然とする椿矢を押し飛ばし、少しだけ開いた扉をくぐり出ていく。それを数人の生徒が止めようとし、多くの生徒は現状を確認しようとあたふたしていた。


「おいどういうことだ!」


 安西 獅子が食って掛かる。俺も立ちあがり、椿矢の元へ向かおうとする。が……





 徐々に開いていく扉。その向うで上がる悲鳴。


「ああああああああああああ! たずげて! たすげて! 食われてる!

 食っでる! 食べないで! 僕を食べるなぁぁぁああああああああ!!」



 なおも開こうという扉。その先に見えたのは、象ほどの大きさを持つ巨大な蛙のような生き物が、口に人間の腕を咥えている様子だった。

相沢「おい作者」


はいなんだい?


相沢「クリーチャー出すのはもっと後の予定じゃなかったか?」


……ん?


相沢「ん? じゃねぇよ! おま、どうすんだよ。椿矢がここから動けなくなるだろうが!」


いやぁ

ついつい出したくって……テヘペロ


椿矢「まずこっちからヤリマショウ」

相沢「おう意見があるな」


ちょ、君ら意気投合するの早いよ、まだでしょう? どうすんのこれから!


相沢・椿矢「うるせぇ! あとがきだからいいんだよ!」



身も蓋も無ぇー!(断末魔

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