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一日目(中編)

第四世界線に無数に存在する人型ゾンビ。

主に三大欲求が生存本能より優先されており、食事の為なら死をもいとわない。

また、その肉体能力は肉体への負荷を考えずに振るわれるため常人よりはるかに強力。ただし筋肉線維は千切れ、肌は内出血で黒ずみ、体はボロボロである。

 目の前に居る男は、動かなくなった男子生徒の腕を口で引きちぎり、咀嚼音を立てている。あたりに血をまき散らし、口元どころか全身を血に染めたその男は、ゆっくりと僕らを見た。

「おい、どうする?」

 僕と倒れている瀬折さんの傍に剣がやってきて言う。どうするもこうするも……。

「何とかして逃げないと……。ゾンビかグールか分かんないけど、映画とかなら彼らって結構遅いと思うし、なんとか逃げよう」

 目の前のゾンビは僕らの会話を聞かずに目の前の動かない肉を貪っている。頭はやっぱりよくないのだろうか? とにかく、人を襲うような存在と同じ部屋には居たくない。教室の外がどうなってるか分からないけれど、教室の外に出るしかない。幸い、背後はすぐに廊下側の扉。しかも他の生徒が壊して行って出やすくなってる。

「よし、ゆっくり……相手が僕らを狙わないうちに行こう」

 僕は瀬折さんを抱え上げ、剣に声をかける。

「瀬折さんを置いていけない。足を持って」

「えっ! ええっ! い、いや、無理だって! そんな、触れないって!」

「今そんな事どうでもいいだろう!」

「良いわけあるか! 俺まだ瀬折さんの手に触った事すら……」



 視界の端、ゾンビがゆっくり立ち上がり、次の瞬間には教室の机を跳ね除けて剣の背後まで口を開けて迫っていた。早い!

 咄嗟に瀬折さんを投げ出して剣にタックルする。そのまま足を取る形で剣を倒す。

「は!? どああ!」

 剣はバランスを崩し、背後まで来ていたゾンビに向かって背中から倒れ込む、が、ゾンビは難なく回避する。床に固いものが落ちる音と同時に剣が痛がる声がする。

 そして、ゾンビは難なく倒れ込んだ剣に覆いかぶさろうとする。まずい!

 

 僕は咄嗟に剣を庇った。

 

 僕はゾンビが口を開けて迫るその前に、左腕を出した。


 めりめりと肉が剥げる感覚が左腕を襲う。鳥肌が首筋まで駆け上がり、骨が焼けるような気がしてくる。叫びそうになるところを歯を食いしばる。

「ヨシュア!」

 僕の左腕食いついて離さないゾンビへ、剣が蹴りを放つ。が、ビクともしない。それどころか、肩から引きちぎれそうな気がしてくる。痛みで涙が出てくる。腕が痺れる。右腕で必死に頭を離そうとするがやはり食いついて動かない。

 剣が少し離れ、教室の机を一つ持ち上げて殴りつける。ゾンビの頭が出血する。僕の腕にも当たる。が、もう僕の左腕は感覚が無くなっている。いっそ引きちぎってくれと言いたくなるほど、食らいついて離れない。

 更に剣が椅子で突くように殴る。ゾンビの血が飛び散り、眼球が衝撃で飛び出すも、それでも噛みつく様はまさにゾンビだ。だが、一瞬噛みつく力が緩まる。今の一瞬に何があったのだろう?

「口元! 剣、口元を椅子で突いて!」

「けどお前……」

「早く! 左腕はもういいから!」

 一瞬のためらいの後、剣がゾンビの口元を強く突く。椅子がゾンビの歯を砕いていく。顎を砕いて椅子が強く刺さる。僕の左腕が他人の物のようにひしゃげる様を見ながら、僕は噛みつく力が緩まる瞬間を逃さなかった。その瞬間に左腕を引き抜いた。

 だが、それに合わせてゾンビが僕にとびかかる。咄嗟に避けて右手でいなして背中を取った。そのまま体重をかけて抑え込もうとするが、まったく意味をなさない。僕はゾンビの首に右手を掛け、背中にぶら下がる形になった。背中に気を取られ、ゾンビは僕を振り回す。視界はぐるぐると回り、鼻孔には汗と垢、アンモニアの臭いが満ちてきて気持ち悪い。だが、ここで離せば、こいつは僕に、あるいは二人のどちらかに噛みつきかねない。離れるわけにいかない。


「ヨシュア! そのままつかまってろ!」

 剣はゾンビの脇腹に何かを突き刺した。ゾンビが悲鳴を上げて倒れ、のたうち回る。頭をあんなに殴られた時はそんなことが無かったのに……。僕は倒れたゾンビから離れる。ゾンビの脇腹には、最初に食われた男子生徒の腕が、腕の骨が剥き出しにされ刺さっていた。僕は落ちた際の衝撃で左腕が痛み、動くことすら難しかった。

 うめきながら僕は剣に言った。

「剣……なんて呪われそうな武器を使ってるんだ君は……」

「仕方ねぇって。他に刺せそうな物なかったし」

 どうやら、ゾンビが引きちぎっていた腕は骨が尖った形で剥き出しだったらしい。

「僕に刺さったらどうするつもりだったんだ」

「そん時はそん時だ。よし、逃げようぜ」

 剣が僕を肩に担ぐ形で起こし、瀬折さんの元へ向かう。ゾンビは変わらず、のたうち回り、刺さった腕を抜こうと転げまわっている。僕らはそれを避けて瀬折さんの元へ向かった。


 瀬折さんは寝起きのようにゆっくりと目をこすり、喘ぎに似た声を漏らす。剣の高鳴る心臓の音が伝わってきて正直気持ち悪い。ともあれ、もうじき起きるようだ。僕は呼びかけてみた。

「瀬折さん! 起きて、急いでここを出なくちゃ」

 僕らは上半身を起こして頭をさする瀬折さんの傍に腰を下ろした。大丈夫かと聞こうとした時、瀬折さんの顔が恐怖にゆがみ叫ぶ。

「後ろ!」

 振り返る僕の視界に入ったのは鼻先まで迫るゾンビの口だった。臭い息が、その湿り気が肌にかかるのを、死を感じた。


 だが次の瞬間、粉塵と共に何かトマトの潰れるような音がする。あたりに立ち込めた粉塵が晴れた時、そこには頭部が潰れたゾンビの上に立つ、人型のロボットが居た。

「な、なにが起きたんだ……?」

 剣がそうつぶやくと、ロボットはくぐもった声で話しかけてきた。

「やあ、怪我はないかい? 人類諸君。ボクは『椿矢 凌』訳有って機械の体の……君たちの味方だ」

討伐数:1 もっと頑張りましょう(酷)

いやぁ、もう少しサクサク倒せると話が進むんですけどね。

残念ながら今作の『ゾンビ』さんは強力です。某美食家並に飛んできます。

あと、武器が骨って……どう思いますか最初の犠牲者の権堂ごんどう 路出じでさん。

権堂「俺、セリフ一つしかねぇんだけど」

いえいえ、権堂さん、それまだマシだから……(黒い笑み)

権堂「え?」


さ、今回は犠牲者ゼロと……

次回はどうなるかな?



え?

エロ?

まだ先だぉw

ちょ、おい! なぜ殴る、止めて、乱暴するつもりでしょ! オヤジ狩りみたいにぎゃああああああ

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