6話 勉学は人の心を作り上げてくものだ
ふぅうう〜。
もう7月かぁ〜。あっついなぁ〜。
俺は隣にいる冬華に顔を向けた。
「翔太〜あっついよぅ〜」
冬華は夏服(まぁ当然だろう)になり。とろんとした顔をこっちに向けてきた。
まったくこいつは自分の顔というのをわかっていない。
「しゃーないだろ、そんなこと俺に言うなよ、俺だってあっついんだよ!」
「別に怒んなくてもいいでしょ」
「全く・・・・・」
こんな暑い日は集中力はなくなる!と思いながら、俺は学校までの地獄への道を歩いていた。途中ジュースでも買おうかとした。しかし冬華に何を言われるかわからない。俺は冬華に聞いた。
「ジュースでも飲むか?おごってやるよ」
「え、いいの?」
「ああ・・・・・・・
というときにタイミング悪い奴がいる。そう「仙田」だ。
「おっはよ〜さ〜ん!何?ジュース?俺もおごってもらおうかなぁ〜?」
こいつは・・・・・・。俺は拳を握り締めて涙を流しそうになった。
結局400円ぐらい使った・・・・・。
そうこうしているうちに学校に到着。つくやいなや空気が重い。何これ?教室に着いても。重い。半端なく重い。仙田がそれを読み取った。そういう頭の回転は速い。
「あ、そうかぁ〜!テストだ」
ああ!と俺は手をぽんとたたいた。
「そっか〜もうテストの時期なんだねっ」冬華が言った。
この学校ではテストはなんと中間テストがない。おき楽だよなぁ〜。まぁベスト10は掲示板に発表される。
「翔太はどうなの〜?」
「バカ!俺の評判知らないのか?」
俺は自慢じゃないが頭がいい。もちろん学年トップは1年の1学期から。まぁ俺にもとりえってもんがある。
「そのとうり、ヤツは天才IQ180かな」突然後ろから声がした。
「「「うわっ!」」」
「なんだぁ〜下田かよ」
「わりいわりい」下田はすまなそうに手を合わした。
「えーっと??????」あぁ春華は面識ないか、そんなに。
「下田京です。以後お見知りおきを、お嬢さん」
「あ・・・・・どうも」
「全くいつも変なとこから話しかけてくるよなぁ〜」仙田が言った。
下田は俺と仙田と仲がいい。「3バカトリオ」といわれる。(ちなみにこの中で本当にバカなのは仙田、下田は学年3位。たまに幸先が入り「バカルテット」といわれる)
「いやぁーすまんすまん、まぁ仙田が言ったとうりこれから1週間テスト準備期間だ。空気が重いのは当然だろ」
キ〜ンコ〜ンカ〜ンコ〜ン、チャイムが鳴った。
「さっ席につこうではないか」下田が言った。こいつ変なしゃべり方するよなぁ。
席に着くと冬華が話しかけてきた。
「翔太、バトルしない?」
「はぁ?何で?」
「テストだよう♪点数多いほうが勝ち」あのなぁ〜。
「ふぅーん怖いんだ」
カチン。俺の頭に何かが起きた。
「ほうそういうこと言うんだないいだろう、ただし・・・・・・」
「ただし?」
「お互いの大切なものを賭けるってのはどうだぁ!」
「えええええええええええええ!」冬華が叫んだ。
「こら!神崎!」数学教師の野田が注意した。
「すみません」
「俺が勝ったらそのペンダントをもらおう」
「え・・・・・・・・・・・・・・これは・・・・・・」
ふふん♪困ると思った。こんな無理難題出されたら・・・・・・。
「いいよ!」へ・・・・・・・?
「その代わり・・・・・・・」
「その代わり・・・・・・?」
「あんたのPS3もらうからねっ!」
「Noooooooooooooooo!」
「工藤おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
野田の絶叫が響いた。
それから1週間俺と冬華は猛勉強していた。
そしてテスト1日前。俺はゆっくりと風呂に入り、冬華の部屋の前を通った。すると声が聞こえた・・・・・。
「そう、あのペンダント取られるとやばいんだ」
何がやばいんだと思いつつ盗み聞きすると。
「あれお母さんの形見だから・・・・・・」
俺は言葉を失った。それと同時に冬華が部屋から出てきた。
「なにー!部屋盗み聞きしてたの!サイテー!」
「なぁやっぱり勝負止めようか」
「そんなの関係ないよっ」冬華が大きい声で叫んだ。
「え・・・でも・・・・」
「何〜翔太負けるからって怖くなったの?」
カッチーン。
「全然。わかった勝負してやろうじゃないの」あぁ言っちまった。
「その調子よ」冬華は俺の背中をバンバンたたいていった。
〜そしてテスト当日〜
「でははじめっ!」
試験管の声のもと、俺は着々と問題を解いていった。
そして・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
「ふぅ〜終わった」冬華がすべて投げ出したように言った。
「すべては明日のベスト10発表だ」
「うん負けないからね」
そりゃ俺だって。PS3は手放したくない・・・・。
〜そして当日〜
ベスト10
1位 工藤翔太 498点
2位 神崎冬華 496点
勝った・・・・。俺は喜びで体が震えた。
「うそ・・・。」冬華が横でつぶやいている。
「へっへ〜んどうだ・・・・・・」
冬華の目から1筋の涙が流れ落ちていた。冬華がその涙をぬぐうと。おもむろにペンダントを差し出した。
「はい、あんたの勝ちだから。どうぞ?」
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俺はおもむろに答案を出すと3点の問題を消しゴムで削った。
「何してんのぉ!」冬華が叫んだ。俺は消した後白々しく言った。
「あーこれ書いてないのに丸ついてる!先生に言わないと」といって俺は職員室に駆けていった。
後ろで。
「バカ・・・・・・」と声が聞こえた。
その後の数学の授業で冬華が聞いてきた。
「ごめんね、涙なんか流しちゃって」
「いいって事よ、お前の大事なペンダントなんかとるわけにはいかないからよ、それに・・・」
「それに・・・」冬華がいぶかしそうに聞いた。
「お前の泣いてる顔なんてみたくねぇじゃん」
冬華は顔を真っ赤にし、仙田は「ふふん」と鼻を鳴らしていた。
なんか変なこといったかぁ?俺。
「でもまぁこれ私のものだよね?」冬華が言った。
「何が?」
「P・S・3♪」はっと思い出したのと同時に俺は叫んでいた。
「しまったあああああああああああああああああああああああああああああ!」
野田の声が聞こえた。
「く〜ど〜おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
その放課後、俺は30分間説教を食らったのは言うまでもない・・・・・・・・・・。
ふう、つかれた・・・・・・・・・・・・・・・。
結構テストってのも疲れるもんです。
さて次回はいよいよ夏休み到来。
冬華は小学校時代の翔太に戻そうとするが。
次回「人ってなんなんだろ」です。