16話 フィナーレは突然に起こるんです!!
「あんたが探してるやつは捨てたよ」
私ははっきりと言ってやった。
あいつは驚愕している。
無理もないよね。でもあいつを少し懲らしめたかった。
それだけだった。
「まああんたが大事にしなかったのが・・・・・・・・・」
パシッ!!
私は頬に衝撃を感じた。
すぐにたたかれたのを悟った。
「何を・・・・・・」
あいつ・・・いや翔太はうつむき無表情で。
「わりぃ・・・」
と、言って家を出た。
私は何かわからなかった。
私は頬の痛みを感じながら自分の部屋に戻り翔太の「大事な」箱を取り出した。
もちろん捨ててなどいなかった。捨てたくなかった。
箱を開けていた。無意識だった。
ポトッと何か落ちた。
包み紙にくるまれていたんだろう。手紙だった。
もう何がなんだか考えられなくなり手紙を開けた。
『誕生日おめでとう!!!これを読んだあと俺から重大発表!!!』
何も言えなかった。
涙しか出なかった。いや・・・出せなかった。
何分たっただろう・・・。
私は涙を拭くと急いで部屋を、家を出た。
俺は何も考えられなかった。
あんな事するとは思わなかった。
ただ殴っていた。
本気の力じゃなかった。いやもう力もなかった。
ただ街に出たかった。家にいたくなかった。
「あぁ!?おい・・・・・・」
なんか金髪が騒いでいる。
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俺は地面に倒れている金髪を見下ろしながら無表情に立っていた。
拳が血で濡れていた。
何も考えず街をさまよった。
なぜか公園に着いた。
雪が降ってきた。まあ関係ないが。
俺はベンチに座ると眠たくなった。
まあいいやこのまま死んでも・・・。
私は探していた。街を走った。今日は雪が降る日だった。大雪の。
傘を片手に走り回った。
なんか人だかりができている。
OL同士の会話が聞こえていた。
「なんか喧嘩らしいよ〜」
「うっそ〜!こわい〜」
「でも殴ってた子金髪でかっこよかったな〜」
「マジで!!」
私は考えていられなかった。
「あの!!」
OLは怪訝な顔でこっちを見た。
「何?」
「あの、その男の子・・・」
「ああその子がどうかした?」
「どこに行ったかわかりますか?」
「はあ〜?多分こっちの通りを下ってったよ」
「ありがとうございます!!!」
「その子のなんか・・・・・彼氏?」
それには答えず、走った。場所なんてわかる。
いや・・・なんとなくだけど。
・・・・・うん、寝すぎたな。ここは天国か?
雪が地面を覆っていた。
俺の体があまり濡れてない。
俺は正面を向いた。
見慣れた女の子が立っていた。
「起きた・・・・・」冬華は言った。
俺は何も言わなかった。
「あの・・・その・・・ごめん」
「何が」
「あのこと・・・」
「謝ることか?」
「だって・・・・・うぅ・・・へぐっ」
ちょちょちょ!!泣き出しちゃった!途端に俺は正気に戻った。
「まて!!泣くな!!おい!!」
「だって・・・ヒッ・・・嫌われちゃったから」
「違う違う!ちょっといらっときただけ!違う!もう怒ってない!!」
「ヒグッ・・・・・本当?」
「ああ本当!捨てちゃったもんはしょうがないって!」
「これ・・・」
冬華は箱を取り出した。包装紙が取れている箱を。
「持ってたのか・・・捨ててなかったんだな」
おれは力が抜けるような気がした。
「うん・・・・・・ごめん・・・」
「もういいよ・・・殴ってごめん・・・」
「いいよ私も悪かったし・・・」
「「・・・・・・・・・・・・・・」」沈黙が支配した。
「私の誕生日プレゼントだったんだ・・・」沈黙を打ち破ったのは冬華だった。
「ああ・・・って手紙みたのか!?」ちょ!おい!
「うん・・・・・・」
まじかよ・・・言うしかないのか・・・ないのか・・・。
「あのよふゆか・・・・「翔太!!!」遮った。
「翔太ごめん!私翔太がこんなことするなんて・・・嬉しすぎるよ・・・ヒグッ・・・」
また泣いたよ・・・・。
「私は翔太のこと・・・・」
ストップストップ!!これは俺が言わんと!
「冬華・・・聞いてくれ・・・」
俺は冬華を遮って言った。
「俺は冬華とまた出会って嬉しかった。なんだかんだ言って楽しいんだ。お前といると。俺はお前がいないと駄目なんだ。だから・・・・・・はっきり言うよ・・・」
「お前のことが好きだ・・・何が起きようと俺はお前を守るし大切にする・・・うん」
また沈黙・・・・・と、思ったが!
「うわあああああああん!翔太〜〜〜〜〜」抱きついていた。
「なななななな何なんだ!!」
「嬉しすぎるよ!!・・・待ってたんだよ・・・ずっと」
「あ・・・・・・・・」
なんかその言葉を聞いて涙が出てきた。無意識だった。
「そうだったのか・・・」無意識に呟いた。
「私も・・・・・・」
そう言うと冬華は俺に抱きつくのを止め。改めて俺を向いた。
「私。神崎冬華は工藤翔太が誰よりもだ〜〜〜い好きですっ!!!」最高の笑顔だった。
なんも考えられなかった。ただ・・・また冬華を抱きしめた。
「幸せだよね」冬華が自然と言った。
「ああ・・・・」
自然と顔が近いのを意識してしまう。
「「・・・・・・・・・・・・・・」」
目をつぶった。
2人は知っていたかのようなタイミングで唇を重ねた。
雪が2人を祝福するかのように2人を包み込んでいた。
俺はただ車を走らせた。
サイドシートのバッグから落ちそうに名刺がささっている。
『サムライコーポレーション 工藤翔太』と。
あれから十年たった。
俺はサムライコーポレーションに就職し、ゆくゆくは親父の跡を継ぐ。
車についてるTVからバラエティー番組が聞こえる。
『さあ今回のゲストは今年プロ野球でMVPを受賞した仙田選手です!!仙田選手は・・・・・』
「みんなすごいよなぁ・・・」おれは呟いた。
『仙田選手は今年裕香夫人と結婚。今ノリに乗って・・・・・・・』
「まさかあいつが牧野とはなぁ」苦笑しながら夜の高速を走らせる。
仙田は野球を続け、今はプロで押しも押されぬ大打者になっている。
下田は・・・俺はチャンネルを変えた。
『今日のニュースです。首相官邸で今日下田総理大臣が会見し・・・・・・』
一番こいつがすごいかな。またおれは苦笑した。
「さっもうちょいだ!」俺は気合を入れサイドシートの「物」を見た。
こぢんまりした箱にはおそらく2人の永遠を約束するものが入っているんだろう。
「仙田の野郎・・・先に結婚しやがって・・・」全く・・・。
俺はあるマンションについた。
ずっと変わっていない場所。
ある部屋の前で俺はノックした「305号室」を。
「はいは〜い」
いつも俺を落ち着かせる声だ。
ガチャ!ドアが開いた。
「あれ?早かったね」目の前にいる飛び切りの美人が俺に言った。
「ああ・・・まあな・・・」俺はそう言ってドアを閉めた。
いつも一緒にいるあいつに渡す「婚約指輪」をポケットに入れながら・・・・・・・・・・。
<首相官邸>
「下田首相。お疲れ様でした」
「ああお疲れ・・・・・そろそろだな」
私は窓の外の空を見ながら言った。
「いい雪だ・・・・・」
すみません約一年・・・高校入学の浮かれで忘れてしまいました・・・。
しかし完結させなければと思い一週間ぐらい考えて完結させました。本当に申し訳ありません。
やっと完結です。次回はファンタジーなんか書きたいです。今度は怠けずに・・・。
また会うかもしれません。いや会うことを楽しみにしています!
では!!
こんなヘタレ小説に付き合ってくれた皆さん。本当にありがとうございます。 真龍




