優しく、強引に。
饕餮さんがお月さまで公開されている「オカマ上司の恋人 」から、泪さんとお圭ちゃんをお借りして書かせて頂きました≧▽≦
キャラをお貸しいただき、ありがとうございます!
いやー、もう、甘いっ! こんな風に溺愛されたいっ←
そして3話目で、いきなり名字が出現します、柊介くん(笑
9月11日。
饕餮さんが、このお話の泪さん視点をなろうで書いてくださいました!
是非お読み頂ければと思います≧▽≦
泪さんとお圭ちゃんが甘いです~♪
うちの子達も、可愛いですー♪
「優しく、強引に。~まだまだね、少年~」
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「あらやだ、もう、お圭ちゃんてば可愛いんだからー。すぐに赤くなるのよねー」
壁の向こうから聞こえてくるいちゃいちゃな声に、僕の心は複雑骨折。
あ、骨ねぇや。
そんな阿呆な事を考えながら、この状態をどうにかやり過ごそうとしている宮 柊介十七歳。
三話目にしてやっと出てきたよ、苗字。
風は一話目の最初っからでてたのにね。
「ねぇ、お圭ちゃん。ほらみてー、すっごく可愛いわぁ。種が目当てではあったけれど、この可愛らしいお花! お圭ちゃんにぴったりね」
「泪さん……、ここは外なんだから少し声のトーンを落として……」
「お圭ちゃんが可愛いのがイケナイのよ? アタシ、事実を言ってるだけなんだから」
壁の向こうでは、甘いあまーい会話が展開されてます。
ってか、俺初めて見たかも!
おねぇな人!
でも、相手は女の人なんだ。
へー、ふーん、ほー……虚しい。
いつも通り外回りの掃除を終えて裏に回ってきた途端、恋人と呼ばれる俺的二次元の存在なんじゃね? みたいな二人が風船葛の種を取りに来たのだ。
なんか、前もこんなことあったな。
そんな事を考えつつ、諦めてまたその場にしゃがみこむ。
一層の事、境内の敷石からここまで飛び石でも置こうかな。
これからもありそうなシチュエーションじゃね?
「ねぇ、お圭ちゃん。うちにも風船葛植えようかしら。アタシ、とても気に入ったわ」
「そうですね。夏場の目にも涼しいですし、いいのでは?」
「あら」
少し不機嫌そうな声が上がった。
微かに聞こえてくる、砂利を踏みしめる音。
そして抑えた低い声。
「アンタ、何他人事みたいに言ってるのよ?」
「え……」
それに戸惑ったような声が重なって、静かになった。
……うん、何してるの? ねぇねぇ……。
穏やかそうな柔らかなおねーさんの声と、華やかなおねぇの声……と多分その人の男声……?
うん、俺、ごっちゃになりそう。
でも、いいな……。
ふぅ、と聞こえないように小さくため息をつく。
相変わらず進まない、風との仲。
あれから同じ学校に転入した風は、明るい性格も手伝って周囲に溶け込んだ。
俺の心配なんて、どこ吹く風だ。
そんなこんなで、もう一年。
高校二年生になった俺に、まだ彼女はいない。
え? 風とどうなったかって?
だーかーらー! 俺に彼女はいないの! 察しろよ!
自分突っ込みに盛大にため息をついた。
自分で自分を傷めつけた感じ……へへっ。
「でも、勝手に種を貰っていいのかな。一応、神社の方に断りを入れた方がいいんじゃないかと思うんですけど」
女の人のその声に、俺はいじいじとのの字を書いていた指を止めて顔を上げた。
何度か種を取っていく人を見かけたけど、俺達関係者がいるという事に気づいていない場合は勝手にとっていく人が多かったのに。
「まったくもう、お圭ちゃんってばイイ子なんだから。そうねー、聞いてみましょうか」
「え?」
聞き返された声、そして風の流れと砂利の音。
「え?」
驚いて立ち上がった俺の口から、声が漏れた。
途端、掌が口を覆う。
「……」
いつの間にか目の前に、それも思い描いていた以上にカッコイイ大人が上から振ってきてた。
何が起きたかわからず、目をまん丸くして口を塞いでいる男を見上げる。
見上げるほど長身の、短髪黒髪男。
……って、え?
その男は、俺を見るとすっと目を細めて悪戯そうに笑った。
「ねぇ、貰っていいかしら? 盗み聞きさん?」
「……!!」
やっぱりこの人が、おねー言葉の人……!!!
とりあえず笑顔だけど有無を言わせないようなその雰囲気に、俺はこくこくと頭を縦に振った。
途端、
「あら、ありがと」
そう満面の笑みを零し、口から外した手で俺の頭を撫でた。
「泪さん! 一体どこから境内に入ってるんですか! 罰が当たりますよ!」
おろおろとしたような、怒ったような声が壁向こうから上がる。
「大丈夫よ。アタシには女神サマが付いてるからね」
ね、お圭ちゃん? と続けるその目も雰囲気も声も甘い。
どれだけ、相手の人を思っているのか伝わってくるくらい。
「柊ちゃん? 何してるの?」
「……!」
「あら」
声のした方を振り返れば、風が不思議そうな表情でこちらを見て立っていた。
その手には竹ぼうき。
掃除を手伝いに来てくれたらしい。
「遼さんにこっちにいるって聞いたんだけど……」
そう言いながら、俺の後ろの建つ男の人をちらちらと見ている。
……おい。
お前も顔か。顔がいいのか。顔判断か。
ふてくされそうになった俺の耳元で、空気が動いた。
「男は優しく強引に、だよ」
小さく、低く伝えられた声。
話している言葉よりも低く男らしい声に、思わず顔を上げる。
その時にはすでに風の方に歩き出していた男の人は、横目で俺を見ながら口端をあげた。
「頑張りなさい?」
「……!」
おねぇ口調に戻ったその人は、風に軽く頭を下げて近くの木戸から外へと出て行った。
その後ろ姿を横目で見ながら、風が俺の側へと歩いてくる。
「知り合い?」
「いや、その……」
そこまで行った時、後ろから華やいだ声が上がった。
「お圭ちゃん、了承は貰ってきたわよ! さぁ、アタシ達の家に植える種を貰って帰りましょう!」
「泪さんの家であって私の家では……それはその、一緒に住んでます……けど」
「あら、まだそんな事言うの? アタシの家はお圭ちゃんの家。アタシの横はお圭ちゃんの居場所。アタシ以外の男なんて、見させないわよ」
しーーーーーん
しばらくの沈黙の後、足音を残して二人は帰って行った。
「……なんか、いいなー今の人達」
「……風?」
しみじみと呟いた風に問いかけるように名前を呼ぶと、竹ぼうきを腕に抱えたまま壁の方へと視線を向けた。
「すっごい、愛され感漂ってるんだもん。羨ましいよねー、やっぱ大人の人は違うよねー。口調には少し驚いたけど」
そう言う風の目がキラキラしてて。
思い出す。
――男は優しく強引に、だよ
優しく、強引……。優しく……
俺はギュッと口を引き結ぶと、がしっと風の肩を両手でつかんだ。
そうだ、いつも気弱すぎるからいけないんだ!
少しは強引に出る方が……っっ
「風、俺……」
「ちょっ、痛い!」
俺の言葉を遮って、風が声を上げる。
その声音にびっくりして思わず手を離すと、風は竹ぼうきを俺に向けて放り投げた。
「ホント柊ちゃんってガサツだよね。少しはさっきの人見習えばいいのに!」
そして立ち去る、風の後姿。
「あれ?」
……難しいです、恋愛orz
ありがとうございました!