第4話 登場!ブラックすぎる女騎士長!
スライム討伐(※俺は木陰で見学中)が終わったあと、俺は無事に労働を回避し、城の食堂で豪華な異世界ランチにありついていた。
「……異世界、思ったより天国かも?」
そう思った瞬間だった。
ドアがバァン!と吹き飛ぶ音と共に、雷のような怒号が響く。
「貴様が新入りのヒーローか!!」
「……はい?」
目の前に立っていたのは、全身真紅の甲冑に身を包んだ美人騎士だった。
金髪ポニーテール、長い脚、スタイル抜群、剣のオーラはヤバい。
でも一番ヤバいのはその目——社畜の鬼上司特有の鋭い眼光。
「私は王国直属【騎士団長】、レオナ・ブラッディスカーレット!貴様の直属上司だ!」
「……お疲れ様です。何卒よろしくお願いします」
条件反射で社畜挨拶しちまった俺、悲しき習性。
「早速本題だ。私はこの国の軍事統括責任者だが、ヒーロー教育係も兼任している。つまり貴様の労働管理も私の管轄だ!」
「うわぁ、マジでブラック上司じゃん……」
「何か言ったか!!」
「何も言ってません!!」
俺は反射的に背筋を正した。身体が社畜モードを思い出しやがった。
⸻
レオナはズカズカと俺の前に立ち、机にドンと書類を叩きつける。
「初任務第二弾!魔王軍偵察任務に即出発!」
「ちょっと待って、俺まだレベル1だしチュートリアル終わってない!」
「チュートリアル?そんなぬるいものは存在しない!貴様にはこの【強制緊急出動令】が適用される!」
見ると、書類の右上には超怖い文字が踊っていた。
※本令はヒーローの意思を問わず無条件発動されます。逃亡時は死刑。
「……異世界、地獄だった。」
⸻
しかし俺は諦めない。
脳内には【伝説のサボり術Lv.999】が輝いている。
「わかりました、ヒーロー様は本日も元気に全力で任務に行ってまいります!」
ニッコリ笑ってそう言いながら、
次の瞬間、俺はコッソリスキルを発動した。
「サボり術・幽体離脱モード!!」
ポワン
【影分身】が敬礼して旅立ち、俺の本体は再び木陰でゴロ寝開始。
だが——
「……面白い。貴様の姑息な逃亡手口、見破ったぞ」
俺の背後からレオナの声が響いた。
「えっ」
「貴様は明日から【ブラック軍隊式鬼トレーニング】に参加だ!!」
「うわああああああああああ!!!」
こうして俺とブラック上司(美人)の地獄バトルが幕を開けたのだった。
【続く】