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ガタンゴトン…ガタンゴトン
電車と言ったらこの擬音と言ってもよいくらい定番の擬音。それが本当に聞こえてきた
「……ぁー」
周りの乗客に聞こえぬようため息を漏らす。まぁ周りには5人ほどしかいなかったのだが
完全に寝過ごした
ホームランの後ちょうど良い電車があった為すぐに乗ったのだか柄でもなく月なんか見てたら寝てしまったようだ。いや待てよ、月にも悪い点があったのか。
美しすぎるということはそれは人を癒してしまう、きっと月はそんな悩みを抱えているのだろう。
そう思うとなんだか月も良いような感じがしてきた
いや熟睡したからか…
「the next stop is Nanao station 」
嫌な音声が聞こえてまいりました。ここは七尾線の金沢と反対方面の終点七尾である
これでめでたく10回目の寝過ごし七尾だ
高校生時代は夜更かしでそんなに寝ていなかったのでよく寝過ごしあったが18になってからは初めてだった。窓から眺める景色は1度森のようなところを抜けるとホテルが目に入る。徐々に感じるスピードの減速に今から辿る近い未来を感じさせられ体がだるくなるのかわかる。上手く行けば直ぐに乗り換えて戻ることができるのだが残念なことにこの時間はそれではないみたいでターミナルにはひとつも電車が止まっていない
七尾と言えど所詮時間をすぎれば無人駅
少し息を吸い込み胸を張る。そして切符を持っているかのようなしらこい顔で改札を抜けるとそっと気が軽くなった。これも慣れたものだ。堂々とするのがコツと昔友達が言っていたが僕の心臓は正直に脈拍を上げていた。可愛いヤツめ
さぁ何をしようか。まぁできるとこもほぼないのだが。