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「有り得るのか……そんなことが」
話を聞いた藤宮先生は愕然として、そして額を押さえた。
「美矢ちゃんは泣きながら話してくれました。信じてください。絶対に嘘じゃありません」
「でも……双子だからって、親でも分からないなんてそんなこと……」
藤宮先生が疑問を呈する。
「それは、私も思いました。ご両親ともすごく美矢ちゃんのことを思っていましたし、美矢ちゃんと真矢ちゃんの違いが分からないなんてことあるのかなって。……でも、娘さんの死を前にしたその心情は、彼らにしか分かりません」
「……いや、違う。或いは……」
「藤宮先生?」
藤宮先生はなにやら考え込んだあと、ハッとしたように私を見た。
「もしかしたら……分からないんじゃなくて、分からなくなった、とか」
「え……?」
(分からなくなった?)
藤宮先生が顔を上げ、私を見つめた。そして、大きく息を吸って吐くと、すくっと立ち上がる。
「戻ります。音無先生は、脳外と精神科にコンサル。それから、あとで美矢さんのご両親に連絡を取ってもらえますか」
「は、はい!」
私は訳が分からずも、とりあえず返事をする。
その後、私は藤宮先生と一緒に医局に戻った。




