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4.こんにちは、中等症(悪化)

ドロー!更に汚い話!

 潰瘍性大腸炎が発覚したと同時期に、PMS(月経前症候群)の治療もしていました。

 お恥ずかしながら私は不惑を越えているので、低用量ピル等は使えないそうで。

 十全大補湯(ジュウゼンタイホトウ)なる漢方が出されていたのですが、これがめちゃめちゃ食欲旺盛になるんです。

 病後の体力回復を促し、貧血を補うという漢方薬なので、そりゃ腹も減りますでしょう。

 だがタイミングが悪過ぎた。

 敬愛するBUCK-TICKの櫻井敦司さんが亡くなったと報道された10月24日、私はこの漢方薬を飲んでいて、泣きながらご飯を食べ、おやつを食べ、間食し、最後に自分の卑しさ(食い意地のはり方)に泣きました。

 好きなアーティストの訃報だよ?

 ご飯も食べずに泣いてたいくらいなのに、食っては泣き、泣いては腹が減り、また食って……。

 イラッとしたのでその日から十全大補湯は飲んでいません。

 それでも暫く食欲増進は続き、私はラーメンや、パスタや、兎に角消化管に負担の掛かる食事を摂取し続けました。


 そして11月8日。

 再び血便。

 16日に外科の予約はあるけれど……待てない!ってなりながら、14日にいつも精神科・呼吸器内科・泌尿器科・外科でお世話になってる総合病院へ。

 内科ブロックに並んでいたら、外科の看護師さんがやってきて「あれっ、薄氷さんどうしたの?ってN先生言ってましたよ」と話しかけてきて。

 なので緊急枠で外科の診察室に入れてもらい、お腹診察。

 しかし、この時、私は前日の夜に貼ったカイロで腹を低温やけどしていて、皮膚科でブヨブヨの腹の低温やけどを写真に残されるという屈辱を味わったばかりだった。

 勿論、腹には薬を塗ったガーゼ。

 N先生に「お腹が低温やけどでこんがり上手に焼けました」と言ったらズッコケてくれた。ユーモアを理解するその心、嫌いじゃないぜ。


 そんなこんなで採血、腹部CT。

 はい、またしても虚血性腸炎?(←ここ重要)です。

 血液検査の結果、ヘモグロビンは12.1。

 あれ、増えとる?

 本当はもっと増えてて、減ってる方?

 真偽は分からないが、貧血ではない。


 ですがN先生は渋い顔。


 何故なら虚血性腸炎なのか、潰瘍性大腸炎の燃焼期(調子が悪い時)なのかで使う薬が変わるから。


 しかも12月に入ってから判明するのだが、N先生は外科(消化器)の中でも【肝臓・胆嚢】が担当の先生で、潰瘍性大腸炎は専門外だった。軽症だったのと、人手不足もあり、専門外にも関わらず診てくれていたのだった。


 結局、1度目の虚血性腸炎ほどひどくないというので、これといった薬の追加もなく、ビオフェルミン配合散と、アサコール、両方飲み続ける事になった。

 ただし、12月5日に大腸内視鏡を実施し、入り口の方辺りだけまた見るとの事だった。


 11月はお金が無かった。

 来る日も来る日も冷凍2kg1180円の鶏肉や1玉19円のうどん、500gで98円のパスタなどを食べていた。

 消化器に良いはずの鶏肉は皮を剥がさず調理していたし、大量まとめ買いして冷凍してあったニンニクみじん切りをドバーッと入れた鶏肉の照り焼きソテーなんか、3日も続いた。

 パスタは鷹の爪抜きのペペロンチーノとか、1kg1000円のチーズと餃子の皮30枚入68円でクリスピーピザなど、おやつ、間食も含めて、とにかく貧乏飯で乗り切った。

 今思えばこれは非常に腸に悪かったのだ。


 そして検査直前から血便が出たのである。


 検査前日──。

 今回は前日から素うどん、当日朝も素うどんと、軽食を食べていいのが本当に楽だった。

 が。私は若干体重が増していた。


 検査着に着替える。

 ロッカーは前回と違い、下の段。

 指輪をロッカーに仕舞おうとしゃがんだ瞬間。


 バリィッ……!


 不織布で出来た検査用パンツが。


 裂けた。


 更衣室の半身鏡で確認する。

 20cmのスリットは40cmに広がっていた。

 前も後ろも丸見えである。

 私は少し青ざめたが、慌てても仕方ないのですぐに立て直し……


 軟弱なぱんつめ。


 と思いながら【そのまま検査着の下を履いた。】

 数々の羞恥プレイを潜り抜けたババアを舐めてはいけないのである。

 この程度、恥ずかしいものか。

 いや、痩せろよ!

 痩せたら検査用パンツも裂けずに済んだだろうに。

 あ、靴仕舞い忘れた。よいしょ…


 バリッ。(追撃)



 更衣室を出たら、看護師さんに血圧を測られる。

 さっきのパンツバリバリ事件か、武者震いか、血圧は上147もあった。


 前回とは別の検査室へ案内され、フカフカの診察台の前で下を脱ぐ。

 看護師さんから「フフッ…」と笑いを噛み殺す音が聞こえた。わろてええで?

 フカフカの診察台の上に横たわると、今回は下剤の代わりに浣腸される。

 私は浣腸が嫌いである。

 まあ、一部を除いて考えても、浣腸が大好きな人は比率的には少ないと思う。

 便意がすぐに湧き上がる。

 私は「で、出そうです!」と叫ぶと、看護師さんからひったくるように検査着の下をもらって履くとトイレに走った。


 トイレは4つのうち3つが使用中だった。

 検査用パンツが破れた時より青ざめる。

 看護師さんが、空いた1つに誘導してくれて、用を足す。

 便器の中は脂肪便と真っ赤な血の海だった。

 看護師を呼んで見てもらう。

 相変わらずこの瞬間は気まずい。

 こんな汚いもの見せてごめんなさいという気分になる。

 看護師さんは気にしてなさそうだから余計辛い。

「あらー……赤いね。もう大丈夫? 検査行けそう?」

「も、もう1回お手洗い!」

 2回目は脂肪便もなく、ただの血の塊が浮く血の海だった。

「もういける?」

「はい」


 私は看護師さんに導かれ検査室に入った。

 検査着の下を脱ぐ。

 先生は私の後ろから遠慮なく「ふふふふ」と笑った。

 どうだ、2段階認証ならぬ、2段階破りパンツの威力は(投げやり)


 尻を見せつけていても仕方ないので検査台に上がる。

 検査台について詳しく書いてなかったが、検査台は大半がビニールで覆われている。

 胴体が触れる所だけ白くて素材が違う。

 素材が何かは覚えていない。

 それから検査台から、床にかけてビニールは広がっている。

 やっぱりなんか液体出るからね。

 衛生面は大事。


 検査台に横たわる。血圧を再度測られる。

 で、またゼリー→指がすっ!→アッー!

 痛い。2ヶ月ぶりの痛さ。

 だが、私は2,3ヶ月おきに大腸内視鏡をされる為、死ぬまでこの苦行に耐えなきゃならない。天寿以外で死ぬつもりは今のところ無いが。


 今回はモニターが遠い。

 それでも視界に入ったから見たら……

 私の腸は真っ赤になって、ところどころから出血していた。

「赤い…!」

「悪化してるねー……」

 先生の声も曇りがちだ。

 ぐいぐいと内視鏡を突っ込まれる。

 痛いってば。

 暫くしたら、腸がとんでもなく汚くなった。脂がこびりついてギットギトだ。

「汚いですね」

「うん、【横行結腸】まで来てるからね

 ~。終わりの方よりマシだけどそれでも荒れてるね」


 おい、私はS状結腸内視鏡検査の同意書にサインしたんだが?

 なぜ更に奥まで入れた。いや、必要だからなのは解ってるけど。

 いつも想定より遥かに深くまで検査するのならば、同意書や説明書に


 ▶ガンガンいこうぜ

 

 とでも書いといてくれよ。(何が?って絶対なる)


 検査終了。

 私の血圧は上116まで下がっていた。

 リラックスしたんちゃうで?しんどかったんや。


 そして更に羞恥プレイ。

 便を採取されて、便培養に出された。

 真っ赤なアレを。

 しかも、先生ったらそのごつい試験管持ったまま、超音波検査室受付まで行って、私の名前のラベル貼って走って提出に行った。

 私の血便が入った試験管を握りしめて

「便培養!便培養!」と叫ぶのは

 やめてぇ…………………。



 さて、着替えも終わって、休む間も無く。

 先にN先生のお話。


 N先生「薄氷さん、潰瘍性大腸炎……中等症になってる」

 私「あらららら」

 N先生「それでね、僕ね、実は肝臓や胆嚢の専門だから、中等症になるとちょっと分からないんだよね。なので、さっき検査してくれた先生が詳しいから主治医になった方がいいかなって」

 私「えっ、N先生じゃなくなるんですか?」

 N先生「あの先生、潰瘍性大腸炎専門の先生やからねー」


 そこから先はあまり覚えてない。

 私はN先生にきちんとお礼とお別れを言えたかなぁ?


 寂しいなぁ。

墓場に「前の主治医」カードを送り、「新しい主治医」カードをドロー!

ずっと病気のターン!

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