表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/61

2.ただごとじゃない貧血で入院編

入院編です。

 さて、救急病院に経過観察として緊急入院した訳ですが、困ったのは入院食と、入院病棟の看護師の採血と、風呂に入れない事、まだ暑いのに夜は冷房を切られる事。


 特に採血は困りました。

 私の肘の内側は長年のアトピー性皮膚炎で変色し、血管が見えない上に皮膚が固いのです。


 同じ救急病院の、毎日60~100人近くの患者さんの採血をする採血専門看護師(私は「調査兵団」と内心で呼んでる)の中でもリーダー格のおじさましか肘の内側からは血が取れません。

 その人すら寒い日なんかは私の腕の真ん中ら辺の静脈を選ぶ時があります。


 だから私は採血の際は必ず

「血が取りにくい固い皮膚なので、血管の見えている手の甲から採血して下さい。慣れているので痛くありません」と言います。


 なのに入院病棟の、妙に自分の技術を過信した看護師(若い女の子)は私の言い分をスルーして、肘の内側に針をグサリ。

 酷い時はそのまま血管を探してグリグリ針を動かしたりチクチク刺し直したり。


「……出ませんね」


 出ませんね、じゃねーよ。

 その部位から血は出ないと言っただろう。

 やっと血が出たと思ったら足りなくて、廃棄とか。

 腸炎と貧血で入院した患者の血を無駄にするんじゃない。

 患者の言い分をまるっとスルーして両肘の内側に穴を開けて血を無駄にして、結局手の甲から採血するな。


 おじいちゃん医師の所の採血担当看護師さんは救急病院の採血リーダーさんを

「あの人はベテラン中のベテランだからね……。格が違い過ぎる」

 と素直に褒めるのです。


 そして「私には薄氷さんの腕は無理だから手の甲から血を取らせてね。痛いよね、ごめんね」といつも謝ってくれます。


 経験値がある人の方が謙虚なのは何故なんですかね?

 経験値無い人の方が自信満々で、穴だらけにしてくる。

 せめて入院病棟の看護師が謝ってくれてたらここまで恨み言書いてないんだけどね。

(謝られてない)



 次に入院食です。治りかけとはいえ腸炎で血便もまだ出てたので、

「高タンパク、低残渣(ていざんさ)食」でした。消化が良く、食べカスが残りにくい食事という意味です。

 主食はお粥。白粥デビューでした!

 いや、離乳食で食べてたんだろうけど、物心ついてからは初めて!

 炊きたてのおかゆは美味しかったです。

 パートナーが差し入れてくれた半生のしゃけふりかけと相性よすぎた。

(ふりかけは食べていいと許可を得た)


 でもおかずは嫌いなものも多くて、食事は大抵ひとりで(いくさ)してました。

「生きてパートナーの元へ帰るんだ! その為なら苦手なおかずも食らう! (不味いよぅ~べしょべしょ~)」みたいな。

 あ、4日目の晩に出たサワラのムニエルは美味しかったです。また食べたい。



 さて、入院2日目の話をしましょう。

 朝5時に叩き起こされて因縁の採血。


 主治医が来て話してくれた結果、ヘモグロビンは6.6に下がっていました。

 この日、9月1日(金曜日)。


 1日に0.3ずつヘモグロビンが減っていくという事は、つまり医者の居ない土日を挟んだ月曜日には6.0を割りかねない。


 主治医のN先生は「いつかはどうにかしなきゃならないんだけど……」と、言い淀んでいましたが、多分、その「どうにか」とは輸血の事だったんだと思う。


 なので自分から輸血を主治医にお願いしました。


 主治医は「え?いいの?じゃあ説明書と同意書持ってくるね」と、語尾に音符でも付きそうな軽いノリでしたが、私は

「生きんと戦すれば死し、死なんと戦すれば生きる」

 と、覚悟してました。


 だってよ? 輸血のリスクですが命に関わる合併症もありますから。

 死んで生まれ変わるつもりで輸血に挑みました。


 手順はこんな感じ。


 まず、説明書を読んでリスクを理解。

 そして患者、もしくは患者に意識が無ければ入院時に決めた保証人が同意書にサイン。


 採血してサンプルを取り、本人の血液型と体質に合わせた輸血液が用意されます。

 勿論、細菌などはスクリーニングされます。


 私の場合は自分で同意書読んで、自分でサインして、O+型の全血4単位を4~5時間掛けて輸血されました。

 ヘモグロビンというか、血がそもそも足りなかったので、全血輸血になりました。

 成分輸血の場合や、全血と成分の両方の輸血もあるようですが、私は体験してないので、端折ります。


 2単位の全血が入ったパックが点滴スタンドに吊るされ、ポンプが接続されます。

 先に生理食塩水をシリコン?みたいな柔らかい針で点滴後、血液を凝固しにくくするお薬を流します。

 それからいよいよ輸血。

 輸血開始から15分は看護師が側でデータを取りながら見守ります。

 2本目の輸血(同じく全血2単位)の時は、少し血が固まりかけていたので、凝固しにくくするお薬を一気に流されてから、輸血。

 最後に生理食塩水を流す、のサイクルでした。

 血液凝固を和らげる薬を一気に注入された時は腕が冷たく痛みました


 私は利き手が右なので左腕で輸血されましたが、不思議な体験でした。


 左側から力が満ちてくるんですよ。

 それはまず腕から始まり、左上半身に清浄な気が満ちる気がして、そして全身に届きました。血が通うってこんな感じなんだ?


 そして翌朝(9月2日)の採血!

 ヘモグロビンの数値がなんと9.1!

 びっくりですねー!増えた!(当たり前だ)

 この時点で、月曜日の採血の結果が良好なら退院しましょう、ということになりました。


 9月3日の日曜日は治療、採血等は無く、代わりに毎日動けない私の体を拭き清めてくれた清拭せいしき担当者さんが、私の髪を洗ってくれました!

 4日ぶりです!


 今年のクソ暑い夏に4日、髪を洗えないのは苦痛でした。

 しかも私は腸が炎症を起こしていて、熱が出ていたので毎日氷枕使用。

 つまり湿気と熱と脂でベタベタ……。

 そんな髪を見ていた清拭担当さんは「退院前にどうにかしてあげたくて」と汚い髪を躊躇せずに洗ってくれました。

 天使か!? 天使なのか!?


 パートナーが買ってきてくれたシャンプー&トリートメントの試供品みたいなやつがまたいい品でした。

 マツキヨかココカラファインにしか売ってないやつ。スカルプケアに特化してて、香りも凄く良くて、惨めな位に汚れてた髪は、サラッサラになりました。


 良い事は続くもので、翌朝の採血の結果、ヘモグロビンは9.7!!

 まだ貧血の域ではありますが、ふらつきはもう全く無かったです。

 更に、病院食を5日間しっかり噛んで食べたお陰で、この日初めて固形の血の混じってないお通じが!

(入院中はずっとゲリラ下痢……いや、下痢ラでいいや。そんな感じの血便が続き、看護師にいちいち排便後、流す前にチェックされる日々。地味にキツかったです)


 そんな訳で、9月4日(月)の夕方に退院しました!

 驚いたのが、体重。

 入院前99.8kgだった体重が95.1kgまで減ってました。入院ってパネェ。


 さて、退院したからと好きなものを食べられる訳ではありません。

 いや、退院祝いで、かた焼きそば食べたけどね。

 またお腹が下るのが怖くて暫くはお粥や素麺を食べていました。

 飲み薬はフェロミア、鉄剤です。これを朝晩。更にビオフェルミン配合散も続けました。

 あとはほうれん草なんかも食べてました。

 これが功を奏したのか、2週間後に採血した際、ヘモグロビンは11.7。


 しかしここで問題が。

 腸が落ち着いたら、ということで10月17日(火)に大腸内視鏡検査を実施する事になったのです。

ちな、9月3日パートナーの元に某輸血を禁じる宗教の方々が来て、気が立っていたパートナーが

「同居人が昨日、輸血しましたが」と言ったら

「すみませんでした~」と逃げて行ったそうです。

タイムリーヒット。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ