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第35.5話 浮野の戦いの謎

大田勇介マタスケ藤田吉郎ヨシローの対話コーナーの第36弾です。


今回のテーマは、浮野の戦いの謎です。


第36話の浮野の戦いについて取り上げました。


細かい話となりますので、興味がある方はご一読ください。

ナレーション

 さぁ、始まりました!親友ふたりによる、夢のひととき。今回のお題は・・・「浮野の戦いの謎」です!!では、おふたり、お願いします。


藤田吉郎ヨシロー

 今回はずいぶん細かそうな話題やな。


大田勇介マタスケ

 うん。「浮野の戦い」なんて、数ある信長の戦闘の中でもトップクラスにマイナーな一戦やしな。


ヨシロー

 どんな謎があんの?


マタスケ

 まず、『信長公記』に記述されている兵数の信憑性が怪しい。全体的に数が多すぎるように思われるんや。


ヨシロー

 兵数って言うと・・・岩倉軍の兵3千とか、討ち取られた数が1250余りとかいうところやな。


マタスケ

 そう。岩倉城の織田伊勢守家は当主の座をめぐって父子が争い、前当主の信安が追放されて嫡男の信賢が当主となったばかり。そんなゴタゴタの後で容易く3千も集められたのか。ここに疑問が残る。いつの時代も自軍の数を誇張して喧伝するのは常道やから、岩倉軍が自分で「ウチは3千おるで~」と言ってたのをそのまま太田牛一が書き留めたんやないかと。そうなると、岩倉軍の実数はもっと少ないことになる。


ヨシロー

 けど、当主になって初めての戦いやし、気合い入れて一生懸命集めてきたんちゃうん?


マタスケ

 まぁ、その可能性は考えられるな。当主の権威を確立するために最も手っ取り早いのは、戦に勝つことやから、相当無理してかき集めた可能性はある。織田伊勢守家は織田の総本家やし、3千を集めることは決して不可能ではなかったやろうな。その場合、質はあまり良くない軍隊やったろうから、百戦錬磨の信長軍に負けたのもうなずける。


ヨシロー

 戦死者が1250人以上なのは不自然なんか?


マタスケ

 あまりに多すぎるように思う。『信長公記』には信長軍の人数が記されてないから何人いたかわからんけど、今までの規模を考えると、2千を超えることはなかったはずや。となると、信長軍1人につき岩倉軍1人は倒している計算になる。


ヨシロー

 1人が相手1人を倒すって、そんな無茶な話には聞こえんけどな。


マタスケ

 それ自体は決して不可能な数字ではないけど、実際の戦闘では負けとなった段階でみんな逃げ出すから、ここまでの戦死者が出ることはまずない。あるとすれば、負けた方がすっぽり包囲されたり、退路が川などの障害物で遮られるといった理由で逃げきれんかったケースやな。実際は信長軍の数は岩倉軍と同じくらいかむしろ少なかったやろうし、浮野から岩倉城まではこれと言って障害物も見当たらない。だから、そんなに戦死者が出たというのが不思議なんや。


ヨシロー

 それやったら、信長軍の数がもっと多かったんちゃうん?


マタスケ

 それなら、あり得る話。実際、信長の従兄弟にあたる犬山城の織田信清が信長軍に加わり、ともに岩倉軍と戦ったとする説が一般的やな。信長の父・信秀の晩年、信清は守山城付近へ攻め寄せてるけど、その後は信長の姉にあたる犬山殿が信清に嫁ぎ、信長と信清は同盟関係にあったとされる。ただ、『信長公記』には信清との同盟や浮野の戦いでの犬山軍加勢の記述が一切ない。この「幻の同盟軍」を今作でも描くかどうか、筆者には少なからず葛藤があったらしい。


ヨシロー

 で、結局は犬山軍の応援はあったってしたわけやな。


マタスケ

 せやな。時系列で書くとこうなる。「信長、軍を北上させ、浮野へ布陣する。(犬山軍と合流しやすくするため)」→「岩倉城の織田信賢、3千の兵をかき集めて浮野へ出陣」→「戦闘中、犬山軍が北東からあらわれ、岩倉軍の右後方から攻撃」→「岩倉軍総崩れとなり、戦死者1250余りの大敗を喫する」


ヨシロー

 さっきマタスケが言ってた、負けた方が包囲されたケースやったってことやな。


マタスケ

 その通り。犬山軍の出現によって退路を絶たれ、道中の川など若干の障害物の影響もあって大損害を出したとした。


ヨシロー

 もし、犬山軍の参加がなかったとしたら、どういう展開になったん?


マタスケ

 その場合は、「信長、軍を北上させ、浮野へ布陣する。(岩倉城南側の防衛拠点を迂回するため)」→「岩倉城の織田信賢、3千と号する兵(実数はその半分程度)をかき集めて浮野へ出陣」→「信長軍、激戦の末に勝利」→「信長、敵を1250余り討ち取ったと喧伝する(実際ははるかに少ない)」って流れになるな。


ヨシロー

 どっちの軍も数を水増しの「誇大広告」しとったちゅーわけやな。


マタスケ

 そやね。それもまたありうる話やから、どっちにするか悩んだわけよ。


ヨシロー

 最終的に決め手になったのは何やったん?


マタスケ

 結局はストーリー展開を考えてやね。今まで犬山城の織田信清がほとんど絡んでこんかったから、絡めたいってのもあったし、犬山軍を加えることで戦いの経過もよりドラマティックになるし。あと、岩倉城の織田伊勢守家は浮野の戦い後、明らかに勢力が衰えてしまうんやけど、1千以上の戦死者を出したとなればそれも当然の結果となる。その辺も重視したわけやね。


ヨシロー

 今作は『信長公記』をベースにするけど、ストーリー展開によってはそれ以外のものも加えていくってことやな?


マタスケ

 そういうこと。今後もそんなケースがちょくちょくあるやろな。


ヨシロー

 それって「誇大広告」とかやないんか!?


マタスケ

 あくまで「演出」ってやつさ!!


ナレーション

 お後がよろしいようで。


 ……………………………………………………………


※浮野の戦いの行軍図と見取り図(2パターン)を図解しました。


☆行軍図

挿絵(By みてみん)


☆見取り図①(信長・犬山連合軍による勝利の場合)

挿絵(By みてみん)


☆見取り図②(信長軍単独による勝利の場合)

挿絵(By みてみん)

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