第2.5話 史官ってなんだ?
大田勇介と藤田吉郎の対話コーナーの第三弾です。
今回は、史官についてです。
物語の作風にも関わってきますので、第3話を見る前にぜひご一読ください。
ナレーション
さぁ、始まりました!親友ふたりによる、夢のひととき。今回のお題は・・・「史官ってなんだ?」です!!では、おふたり、お願いします。
藤田吉郎
第3話で出てくる「史官」って、作品タイトルにも入ってるよな!?これって重要キーワードってやつちゃうん?
大田勇介
そうやねん。主人公がこの世界でどう生きていきたいのかってとこに関わる、キーワードやな。
ヨシロー
ふむ・・・これは、直接本人に聞こやないか!
マタスケ
「史官」というのは歴史を記録する役人のことなんやけど、この作品ではただ書くだけではなく、書くことに信念を持った存在という意味を込めてる。その信念が何かについて話すには、まず「崔杼弑君」という話から始めなアカンかな。
ヨシロー
さいちょしいくん!?なんじゃそれ?
マタスケ
簡単に言えば、崔杼という人が主君を殺してしまったお話やな。
ヨシロー
殺した理由はなんや?
マタスケ
主君が崔杼の妻を寝取ったのが原因とされてる。
ヨシロー
そりゃ、証拠押さえて慰謝料請求やろ。早速、離婚に強い弁護士に相談や!
マタスケ
いやいや、2500年以上前の中国のお話やし。つーか、何で独身やのにそんなこと知ってんねん!
ヨシロー
冗談やがな。で、続きは?
マタスケ
崔杼は殺した主君の死を悲しむ者はまとめて殺すと宣言した。
ヨシロー
かなり乱暴なやつやな。
マタスケ
当然、ほとんどの者はおとなしくする。ただ、後に名宰相と言われた晏嬰という人だけが、崔杼の前で悲しんで見せた。
ヨシロー
たいしたやつやな!んで、殺されたんか?
マタスケ
いや、大物すぎて殺せんかった。人気者の晏嬰を殺したら、崔杼がつくった政権がつぶれるかもしれん。
ヨシロー
意外と腰くだけやんか。結局誰も殺せんかったんか?
マタスケ
いや、歴史を書き記す役人やった「太史」という史官が殺された。
ヨシロー
ようやく史官が出てきたな。何で殺されたんや?
マタスケ
太史は堂々と記録に「崔杼弑君」、つまり崔杼が自分の君主を殺したと書いて発表したから。崔杼にしてみたら、放っておいたら、ずっと自分は悪人として名前が残る。当然、太史を説得して書き直しを求めたけど、まったく言うことを聞かん。しゃーないから殺してしまった。
ヨシロー
太史は勇気ある男やってんな。
マタスケ
話にはまだ続きがある。太史には3人の弟がいた。上の弟たちは兄が殺されると後を継ぎ、兄と同じように記録に「崔杼弑君」と書いた。で、同じように殺された。
ヨシロー
弟2人も殺されたんか。
マタスケ
今度は末の弟が後を継ぎ、また「崔杼弑君」と書いた。
ヨシロー
こうなってくると、怖いもんやな。
マタスケ
崔杼もそう思ったんやろな。ついに末の弟を殺すことを諦めた。自分の悪名が後の時代に残ることを、渋々認めたんや。
ヨシロー
太史の兄弟の執念はすごいな!
マタスケ
実は、まだ続きがある。別の史官である南史氏という人も、太史の兄弟が全滅したら、次は自分の番やと決めていた。で、「崔杼弑君」と書きに行った。でも、末の弟が無事と知って引き返した。
ヨシロー
つまり、昔の史官って言うのは、みんな正しい歴史を書くことに命をかけてたんやな。
マタスケ
そう。みんな偉い人にペコペコせず、信念を持って歴史の記録をした。だから、権力者が隠したい悪事なんかも、ちゃんと後の時代に残ったりしたんや。
ヨシロー
マタスケは、そういう史官になりたいってことなんやな。よくわかったわ。
マタスケ
うん。太史たちのように、正しく歴史を紡いでいきたいって思ってる。
ヨシロー
なるほど。マタスケよ、大志を抱け、やな。
ナレーション
お後がよろしいようで。
主人公は「正しく歴史を紡ぐ者」を目指して戦国の世を奮闘していきます!
どんな展開が待っているのか、ご期待ください!!