第15.5話 何で切腹ってあったん?
大田勇介と藤田吉郎の対話コーナーの第16弾です。
今回のテーマは、何で切腹ってあったん?です。
切腹という独特な死について簡単に書いています。
お知りになりたい方は、ご一読ください。
ナレーション
さぁ、始まりました!親友ふたりによる、夢のひととき。今回のお題は・・・「何で切腹ってあったん?」です!!では、おふたり、お願いします。
藤田吉郎
平手の爺ちゃん、死んでしもたな。
大田勇介
死んでしもたな・・・。理由はハッキリせんけど、自殺するって、よっぽどのことやな。
ヨシロー
それにしても、切腹なんやな。同じ死ぬにしても、何でそんな痛そうなやり方するんや?首吊る方がまだ痛みは少ないんちゃうん!?
マタスケ
しんどさの面からみたら、そうやな。けど、当時は切腹というのは名誉の死やった。名誉な死に方やったからこそ、色んな場面で出てくる。自殺をさせるときなんか、基本は切腹させるからな。
ヨシロー
ふうん。じゃあ、不名誉な死に方ってどんなん?
マタスケ
首吊りも名誉の死とは言えんけど、一番不名誉なのは斬首やな。これはよっぽどの重罪人の場合や。
ヨシロー
何で不名誉なん?
マタスケ
切腹は非公開の場での死やけど、斬首は公開処刑やったから、市場とか河原とか大勢が見ている前で死ぬことになる。自分の死が見せ物にされるって考えたら、わかりやすいかな。
ヨシロー
なるほどな。第16話で切腹の様子が描かれてたけど、やり方って決まってたん?
マタスケ
うん。名誉とされたからこそ、作法があった。まず、切腹する者は白装束という白一色の死装束を身につけていた。刀は短刀が用いられ、三方と呼ばれる台に載せて出された。
ヨシロー
格好まで決まってるって、儀式みたいな感じやな。
マタスケ
まさしく死の儀式やな。切腹する者は、衣服の前をくつろげて、腹を露出する。短刀を腹に突き立てると、左から右、みぞおちからヘソまで十文字に切り回し、なお息があれば、喉や胸を突いた。
ヨシロー
・・・聞くだけでも恐ろしい死に方やな。
マタスケ
あまりに苦痛が大きいこともあって、江戸時代になると介錯人という人がついて、腹に短刀を当てた瞬間に首を落とす方法が一般的になった。なかには短刀すら使わず、短刀に見立てた扇を手にした瞬間、介錯するやり方まで出てきた。
ヨシロー
やっぱあんまり痛い思いはしたくないもんな。
マタスケ
まぁ、作法が忘れられていったって面もあるみたいやな。ただ、幕末でもえげつない切腹してる人々もいたし、人それぞれなとこはあるかもな。
ヨシロー
それってどんな話?
マタスケ
例えば、慶応4年(1868年)に起こった、土佐藩兵の集団切腹やな。大坂へ勝手に上陸してきたフランス兵と武力衝突した結果、フランス兵に死傷者が出たのがきっかけ。フランス側が抗議して、土佐藩兵のうち20人が責任をとらされ、フランス側立会のもとで切腹が行われることになった。
ヨシロー
それで?
マタスケ
結論から言うと、11人目が終わったところでフランス側の立会人が耐えられず、中止になった。残りの9名は助命された。何しろ、切腹というものがフランス人の予期せぬえげつなさやった。なかには○(自主規制)をつかんでフランス人に投げつけようとした人もいたらしい。初めて見るフランス人からしたら、トラウマものやったろうな。
ヨシロー
ひぇっ・・・!
マタスケ
つい150年ほど前の出来事ってのも衝撃やけど、内容は戦国時代にも通じるところがあるかもね。○(自主規制)をつかんで投げ捨てたって話はチラホラ書き残されてるから。
ヨシロー
そこまでして、いったい何で死ななアカンだんや!?
マタスケ
何かを守るためってのが大きいな。それは自分の名誉やったり、主君や主家のためであったり、自分の家のためだったり。
ヨシロー
やっぱ、この時代は家が大事なんやな。
マタスケ
そうやな。家を守るために腹を切る場合、たいがいは子供に後を継がせるのが確定してたりするしな。この場合、「家>個人」やな。
ヨシロー
平手の爺ちゃんは主君のためかね?
マタスケ
たぶんそうやったんやろうなぁ。『信長公記』には信長の素行が悪いことや、信長と平手の長男の折り合いが悪かったことを嘆いて切腹したと書いてあるけど、さすがにそれだけでは死なんやろう、と。今作では外交政策の対立が主な原因やったとしてる。
ヨシロー
何か、切ない話やな。別に死に急がんでもええやろうに。俺からしたら、他の方法あるやろって思うわ。
マタスケ
まぁ、当時と現代では価値観も違うし、俺らにはわからん美学なんかもあったんかもな。
ヨシロー
「男は黙って切腹!」みたいな感じか?
マタスケ
うーん・・・何かカッコいいようで、恐ろしい・・・。
ヨシロー
言うてはみたけど、そんな美学、俺は耐えられんわ。考えるだけで、「胃がキリキリ」してきそうや・・・!
マタスケ
「ハラキリ」だけにな!
ナレーション
お後がよろしいようで。
独特で凄惨な死に方である切腹ですが、武士にとって名誉な死とされたからこそ、数えきれぬほど多くの人物が切腹による死を遂げました。
主君を守るため、自分の名誉を守るため、家を守るため、様々な理由で彼らは散っていきました。




