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第15話 第一次世界大戦〈1〉

1906年1月28日のドイツ帝国、オーストリア=ハンガリー帝国による対フランス、ロシア宣戦布告後真っ先に戦火に包まれたのはオランダとベルギーだった。

ドイツ帝国軍の基本作戦であるシュリーフェン計画に則って行われた侵攻作戦によってこの2国が蹂躙されたのだった。

当然のごとくオランダ、ベルギー2国はこれに抵抗し、オランダは自国内の洪水線と呼ばれる防御用堤防を決壊させ、オランダ人が自慢するところの神ではなく人が作った唯一の土地を水浸しにし、ベルギーはベルギーのヴォーバンと呼ばれたアンリ-アレクシス-ブリアルモントが設計したリエージュ要塞に立てこもった。


しかし、アルフレート-フォン-シュリーフェンをはじめとするドイツ参謀本部の面々はこの状況に困惑していた。

普通に考えればありえないことだが、シュリーフェン計画には国土を踏みにじられる側のオランダ、ベルギーの抵抗が想定されていなかったからだった。なぜなら、シュリーフェン計画はあくまでもフランスとロシアを叩く事を目的として考えられた計画だったからである。

想定外の状況はまだ続いた、リエージュ要塞は従来の要塞とは違いコンクリートが使われた近代的要塞であり、耐21㎝砲を想定されていたことからドイツ軍の21㎝ Mrs99臼砲や1906年式21㎝榴弾砲で容易に陥落する事は無かった。

結局、坑道戦術によって攻め落としたもののこの時点ですでに1週間が過ぎていた。余りにも時間を掛け過ぎてしまったのだった。

こうして、シュリーフェン計画は失敗に終わり、立案者だったシュリーフェン本人は精神を病んで参謀総長の職を辞すことになる。


では、対するフランス軍の側は順調であったかといえば、そういう訳ではなかった。


元々フランス軍は第15号計画というドイツの他にもイギリス、イタリアなどとの戦争を想定した防衛的な戦争計画が立てられていたが、イギリス、イタリアの中立が確実視されたことから、対ドイツおよびオーストリア=ハンガリー戦のみを想定した攻勢作戦として修正していた。

こうしてフランス軍は開戦に伴い、この修正15号計画に基づきドイツ帝国直轄州エルザス=ロートリンゲンのメッツに対して攻勢を仕掛けたがドイツ軍の装備するMG99及びMG01機関銃によって甚大な損害を受けた。

その後はドイツ軍が今度はフランス、ムルト=エ=モゼル県ナンシーにオランダ、ベルギー攻撃の陽動として攻撃を仕掛けたがフランス軍の装備するM1897 75mm砲の射撃によってフランスの大地の肥料となったのだった。これがメッツ-ナンシー間の戦いと呼ばれる最初のフランス軍とドイツ軍の戦いだった。


両者ともに攻勢が失敗した理由としてはフランス軍はドイツ軍の機関銃陣地に、ドイツ軍はフランス軍の砲兵陣地に向かってそれぞれ白刃を煌めかせての銃剣突撃に終始したからだと言われている。

こうして、両軍は膠着状態となり、それぞれ敵弾を避けるために塹壕を構築し始めた。


当初は、互いに一時的なものだったが、やがて恒久的なものへと変化し始めた。

ドイツ、オーストリア=ハンガリーの東部地域にてロシア軍の攻勢開始によってドイツ軍が兵力を東方へと動かさざるを得なかったからだった。

フランスはベルギー及びオランダからの要請に従って両国へと兵を進めたが、攻勢へと転じる事は出来なかった。貴重な熟練兵、そして何よりも砲弾を消耗していたからだった。こうして、オランダ、ベルギー両国を分断し、仏独の国境沿いに至る長い塹壕が出現する事になる。





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