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第14話 大戦勃発

1906年1月12日 ドイツ ベルリン

ドイツ帝国皇帝ヴィルヘルム2世はドイツの誇る参謀本部の長であるアルフレート-フォン-シュリーフェン伯爵を呼びロシア帝国の総動員について意見を求めていた。シュリーフェンは昨年8月に大怪我を負っていたが、モロッコ危機以降続く緊張状態の為に辞職を許されていなかった。


「シュリーフェン、ロシアの総動員をどう見る」

「明らかにフランスと共に我が国を挟撃しようとする動きです。陛下、ここは開戦しかないように思われます。」

「参謀総長である貴官が言うならば間違いはないな。ちなみに作戦計画はどうなっている」

「動員完了後、東西国境の防衛戦力を除く戦力を持ってオランダ及びベルギ―を通過し、フランス軍を撃破しパリを占領、その後ロシアを叩きます」

「まて、シュリーフェン、それではフランス攻撃時の東部の守りはどうなる。ロシアはすでに動員を開始しているのだぞ」

「東部については一時的にオーデル川まで後退しますが、フランス軍を撃破したのちには必ずや奪還して見せます」

「うむ、そうか。ならば心配はいらんな。」


こうして、ヴィルヘルム2世は開戦を決断した。

ドイツ軍はシュリーフェンプランに基づく迅速な行動を望んだが同盟国であるオーストリア=ハンガリー帝国の動員が進んでいなかった事や同じく同盟国のイタリアの態度が不明確であった事から、宣戦布告は1月28日にまで延期される事になる。



1906年1月28日 イギリス ロンドン

「首相、ドイツ帝国とオーストリア=ハンガリー帝国がフランス共和国及びロシア帝国に宣戦を布告したようです」


イギリス首相サー-ヘンリー-キャンベル=バナマンがドイツの宣戦布告の報を聞いた時は丁度、外務大臣のエドワード-グレイと会食をしていた時だという。


「…首相、こうなった以上は私は責任を取って外務大臣の職を辞す覚悟です」

「馬鹿を言うなグレイ君、君はこれから為すべきことをすればいい」

グレイは辞職を申し出てきたが、キャンベル=バナマンは受け入れる気はなかった。このような事態を招いた責任があるとすれば就任して日が浅いグレイではなく前任者であるランズダウン候ヘンリー-チャールズ-キース-ペティ=フィッツモーリスだからだ。


「はい、首相。お見苦しい所をお見せしました。そう言えばフランスといえば昨日、ポール-カンボン駐英大使がお見えになられましてな。開戦の際の援助を求めてきました」

「…取りあえず、我が国は中立の立場を取るべきだ。今回の戦争は彼らが始めた事であって我が国が参加する必要は無い。我が国にしてやれることはドイツ向けの物資を足止めするぐらいだろう」

「よろしいのですか、フランス人が負ければドーヴァーの向こうはドイツになりますよ」

「いくらなんでもそうあっさりとは負けないだろうさ。何にせよ今はフランス、ロシア、ドイツ、オーストリアのいずれの国も熱くなっている。彼らの頭が冷えるのを待とう、その時こそ調停者としての出番だ」


1906年1月28日、人類最初の世界大戦、第一次世界大戦が勃発した。








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