剣と自己の世界を揺らがせる遺物
ぼんやりとあたりを照らすランタンの明かり。暗い闇の中をそれは照らし、かろうじて視界を確保してくれる。視界の届く範囲に見えるのは大小様々な統一感のある白い、バロック様式の建物たち。それが密集したもの。門の向こうの冷たい暗闇、そこにあるのは白い石材で作られた、それは規模の大きな地底都市だった。
たった6人では調べきれないであろうその遺跡群。その一角。ランプを持つセラアハトを先頭に、一行はただ地下都市の最奥を目指して歩いていた。耳に届く物は仲間たちの微かな息遣いと白い石畳を靴底が踏む音、そしてどこからともなく聞こえる水が流れる音。それに混ざって時折何かが軋むような音が混ざる。
「…綺麗なものだ。ゴミ一つ落ちていない」
「ゴルドニアスカルヘッドってのは悪魔だなんだって言われてるぐらいだし、他の勢力と敵対関係にあったんだろうけど…ここは戦火に巻き込まれなかったって事かね」
「かもしれない。…気がかりなのが港に泊まっていた船だ。あんなに残っているとするなら、ここの住人のほとんどは地下都市の中に残っていると見て間違いない」
「気にすることか? 相当大昔の事なんだろ? みんな死んでるだろ」
セラアハトは真剣な面持ちで前を見据え、リックは周囲を警戒しながら言葉を交わす。ただ、リックはここに居るかもしれない敵の存在に懐疑的なようだった。
「言い伝えでは最初にこの地にやってきた者たちの屍は死してなお動くと言う話だ。そして生きる者の命を狙うと」
「…今回の敵は骨か。鈍器が欲しくなるな」
敵の存在の信ぴょう性を格段に上げてくれるセラアハトの言葉。それにリックは今回の敵が動く骸骨であろうこと理解するとセラアハトの腰にある、鞘に収まった長細いカットラスへと視線を落とす。硬い物を砕くにはあまりにも向いていなさそうなそれに。
少しだけ続いた会話が途切れる。再びあたりを静寂が支配し、各々は気を尖らせ、周囲に気を配る。見える物はぼんやりとした明かりに照らされる、それは立派な建物たち。奥に進めば進むほど、それらから浮くような統一感の無い木造の建物や、ジョッキや剣の絵が描かれた吊り看板がかかった建物等も見えてくる。嘗ては露店だったのであろう、かろうじて形を残す朽ちかけたものも。何もかもが当時の生活を想わせてくれるものだ。
6人の中、その最後尾でそれらを注意深く眺めていたマロンは腰の小物入れに手を入れ、ステータス画面のパネルを開く。気になったこと。それを確認すべく。
開かれたパネル。それにある己の居場所。そこの属性。…不思議なことに都市属性と出ている。プレイヤー、もしくはNPCが開発した土地。そこに付く属性が。マロンはそれを眉一つ動かすことなく確認し終えた後、パネルを閉じて再び歩くことに専念する。まだ脳裏の中にある説。それを確信に進めるにはまだ手掛かりが足らない。そう思って。
「なぁ、リック。なんか建物作ったりするモンスターとかって存在すんのかぁ? そいつらが作った物って都市属性になると思う?」
「何種類か見たし、そいつらの住処にも足踏み入れたことあるけど…都市属性ではなかったよ。犬型獣人に食わせてもらった鹿肉のローストは涙が出るほど美味かった」
マロンの問いかけにリックは顔を横に向けてその橙色の瞳にマロンの顔を映し、ニッと口元に笑みを作り、快く答えてくれる。自分への問いかけがただの世間話の一環だと思った風に。どうでもいい思い出話を添えて。自然とその呑気な返事にマロンの口元には呆れたような笑みが浮かぶ。それを見た彼はその理由が思いつかなかったようで、少しばかり不思議そうにしていたが、すぐに顔を前へと向けてあたりに気を配り始めた。
ただ、これではっきりしたことがある。リックの知らないイレギュラーでもない限り、この場所を作ったのはプレイヤーかNPCだと。まさひこのパンケーキビルディングの謎である人間と変わらないNPCの存在。これらがなんなのか。それに少しだけ迫れた気がした。
一行がしばらく進み、開けた場所へと来たところでマリグリンが立ち止まった。それによって他5人の足も自然と止まり、彼の方へと視線が向けられる。
「――妙だと思わないか? 立てられた建物の殆どが見てこそ楽しめる緻密な彫刻や飾り付けがされているというのに…明かりなしでは見ることも敵わない…何か明かりを確保する道具があるんじゃないか?」
片手を顎に当てつつ、視線を斜にして彼は各々に問いかける。その場に居た者全てが思っていたであろうことを。ただ、セラアハトはマリグリンが言わんとする言葉の真意。それに否定的なようで表情を曇らせた。
「建物の中を調べろ…と」
セラアハトはマリグリンを見据え、その真意を確かめるように尋ねる。ただ静かに、マリグリンの目を見据えて。
「そうだ。なぜこんなに綺麗な状態で残っているかは知らないが、これだけ立派な建物が並ぶ場所だ。ランプぐらいはあるだろう」
マリグリンは頷く。真直ぐセラアハトの瞳を見返し、視線を交差させながら。
「でもでも…マリグリンッ。閉所はお互いをカバーできないよ? 危なくない?」
メルフィンはセラアハトと考えが似通っているようで、閉所を探索することを否定するような言葉を述べる。不安そうに眉尻を下げ、マリグリンの横顔を眺めている。
「俺はマリグリンの意見に賛成だな。セラアハト、アンタはこの地下都市の要所だけを調べて終わりにしたいんだろうが…そうするにしても明かりは足らないだろう?」
最後にゼルク。彼はマリグリンの意見に賛成の意を示し、セラアハトの方を見据える。多少の危険は仕方がない。そうとでも言いたげな雰囲気だ。
ゴルドニアファミリア関係者の4人が話し合い、これからの指針を決めようとするその傍。あたりを見回していたリックはランプの明かりでぼんやりと照らされる闇の向こう側、うっすらと見える、吊り看板に目を止めた。ジョッキでもない、剣でもない、鎧でもない。――そこに描かれたのは円で囲われた逆卍。現実世界では紋章術を意味するそれはリックの目を瞠らせ、その足を自然とそちらの方へと進ませる。
「リック?」
「セラアハト、ついて来てくれ。調べたいものがある」
勝手に進み始めるリックのその行動をどこか咎めるような抑揚で、彼の名を呼ぶセラアハト。だが、リックはお構いなしに進んで行き、件の吊り看板の掛かる建物の扉の前へと立つ。有無も言わさぬ物言いで言いながら。
間も無くセラアハトは己の額に手をやり、ため息を一つ吐いた後でリックの隣へと行き、他4人もセラアハトに続く。
「こいつぁ…」
リックが見つけたもの。紋章術を意味するシンボルマーク。それを目の当たりにしたマロンもリックと同じように目を見開き、言葉を漏らす。現実世界とのつながり。それを確かに感じさせてくれるそれに。ゴルドニアファミリアはリックやマロンの様子が気になったようだったが、それについて追及するような気配はない。
間も無くリックがその建物の出入り口、その扉のドアノブを回す。鍵などは掛かってはおらず、ドアノブは回り切り、押せば向こう側へと開いて行く。――扉の向こうはただただ暗く、埃っぽく。足で床を踏めば埃が舞い上がり、その様がぼんやりとしたランプの光に映し出される。その刹那、ランプの明かりが陰った。
「――チッ」
ぼんやりとしたランプの明かりに照らされる床。それに落ちる片腕を振り上げかけたあばら骨のシルエット。何かが軋むような音。瞬時に状況を理解したリックは、眉間に皺を寄せてその悪い人相を更に悪いものにし、舌打ち一つすると同時に身を低くし脇を締め、シルエットの映る方向へと深く踏み込み、懐に入り込んでその対象へと向けて右フックを放った。
バキャッと乾いた音が耳に。硬く、しかし軽い物を殴ったような感覚がガントレット越しに、拳に伝わる。そんなリックの目の前には振りぬいた拳の向こう側によろめき倒れんとする動く骸骨。手には赤錆びた片刃の剣らしきものを握っている。間も無くその髑髏は床へと倒れ、それと同時にセラアハトがそれの頭蓋骨を踵で踏み砕いた。
「…怪我はない? リック」
彼は結構用心深い性格なようで、頭を砕かれ動かなくなった骸骨の両手首を砕き、武器が握れない状態にした後でやっとリックの方へと視線を向けた。それは本当に心配したように、上目遣いで、とても近い距離まで歩み寄って。
「おぉ、この通り掠り傷一つねえよ」
「…そう。良かった」
リックはどこか得意げな顔をし、歯を見せて笑う。我ながらなかなかの反応だったと、今さっきの対応にやや陶酔したような様子で。それを見て安心したセラアハトは柔らかく微笑んだ後、部下の手前、すぐ気持ちを切り替えてその顔を冷静なものに戻し、その狭い店の中へランプを掲げてその先へと視線をやった。
ぼんやりと照らされる店内。中が見通せないほど埃の積もったショーケースが並び、会計をするためのものと思われるカウンターテーブルが右手に見える。床には動かなくなった骸骨。店内の奥の突き当りとそこから続く曲がり角。その向こう側からは骨が軋むような音が断続的に聞こえてくる。何かきっかけがあればそれはこちらに来るだろうが、少なくとも今いる部屋には危険は無い様だった。
「セラアハト、少し時間くれ。もしかしたら明かりが確保できるかも」
「…うん。期待してる」
リックはゼルクとメルフィンに目配りをするセラアハトに一言断りを入れてから腰後ろにある、二本の両刃の片手斧の内一本を右手に取ると、一番近くにあったショーケースの上を撫でて埃を払ってその中を覗きこむ。その間骨の軋む音が聞こえる店の奥をゼルクとメルフィンが警戒し、セラアハトとマリグリンが店内のカウンター席を物色し始める。そしてすぐにリックの隣にマロンがやってきた。
「花子の指輪見てーに使えりゃ役に立つんだろうけど…仮にそうだとして…リック。お前紋章術使えんのかよ?」
「任せろよ。文化祭の見世物のために必死こいて使い方だけは勉強してたんだ。気になる子に注目してもらうためにな」
「おぉ? お前そういうキャラだったのか。追っ掛け回されて引っ張りまわされる普段の姿からは考えらんねーな」
「女子全てがお前らみたいな引いたら必要以上に追っ掛けてくるハイエナみたいなやつじゃないって事だよ」
リックは暫くショーケースを調べていたが、埃をかぶっている上にカウンターテーブルの上に置かれたランプの明かりだけでは中を見通すのは難しく、じれったくなったようでショーケースの手前にくっ付いている南京錠を斧で叩いた。それによってガツンと鈍い音が鳴り、ゼルクとメルフィンの見張る先から錆びた剣を持った骸骨が緩慢な動きで歩いてくる。それは間も無くゼルクのカットラスによる一撃によって沈黙し、それを見届けたリックはショーケースを開いてその中に手を突っ込んだ。
間も無くショーケースから朽ち果てボロボロになった羊皮紙を手に持ったリックの手が現れる。それは埃を盛大に舞わせてリックの顔を顰めさせ、その朽ちかけた姿はマロンの希望を諦念に変えた。
「おいおい。ボロッボロじゃねーかよ。ふーっ。これで紋章見えるかぁ?」
埃まみれの朽ちかけた羊皮紙。頬を膨らませて吹きかけられたマロンの息によって埃は取り払われ、紋章が書かれているのかすら分からないその姿が露わになる。しかし、吹かれた埃は盛大にリックの方へと掛かってしまった。
「ッ…おい、息を吹きかけるな。埃が掛かる」
たまらずリックはそれを片手で払いながら、しかめっ面でマロンの顔を横目で見据え、控えめな抗議の声を上げた。
「へへっ、わりいわりい。で、どうなんだよ」
だが、マロンはヘラヘラするだけで気に掛けた様子もない。言葉では謝っているが、謝罪の意を感じることが難しい軽いものだ。
…リックにとってそれはいつも通りのマロン。腹は立ちはするが、諦念の様な感情に押し流されて怒りの感情はすぐに収まり、リックの視線は手にある朽ちかけた羊皮紙へと向く。それはもうボロボロでかろうじて何か模様が残っている程度にしか認識できないそれに。
「…こりゃだめだな。太陽十字かシゲルが入ってる札探してくれ」
「シゲル? 誰だよそいつ。つか太陽十字ってなんだよ。分かるように言えよな」
「あー、そうだな分かった。S字を直線的に書いたようなマークか、車輪十字…」
前者は伝わったようだが、後者。車輪十字。その言葉を聞いた瞬間にマロンは小首を傾げた。その時の顔はすっとぼけたものであるが、もっとわかりやすく説明しろと言うような圧をリックに感じさせる。それによってリックは一度渋い顔をして口を閉じ、マロンの顔を見据えると、瞳を閉じて鼻から息を吐き出してから頭の中で表現の方法を練り直す。
「…円に十字線が引かれた紋章。鉤十字でもいい。それが入った札を探してくれ」
「おうよ、任せな」
リックの探している物。それを理解したマロンはにいっと笑ってリックの元から離れ、ショーケースが並ぶ場所からカウンターテーブルの向こう側に見える木札の様なものが並ぶところへと移動していく。その近くにはカウンターテーブルの辺りを物色するセラアハトとマリグリン。ランプが近くに置いてあるお陰で視界は確保されたその場所に。
それを見届けた後、リックは開かれたショーケースの中を再び覗いて行く。埃の絡みやすいハイドアーマーの事を頭の片隅で気にしながら、埃を払い、その中にある物を指先で掴んで引っ張り出して。…だが、その手の指先に摘ままれている物もさっきのものと大して変わらない状態のものだった。
「…ショーケースに入ってるのはダメか」
肩を落として呟く彼の肩を何者かが叩く。振り返れば肩に置かれた手から突き立てられた人差し指がリックの頬に食い込み、頬肉が持ち上がる。その彼の視線の先にはしょうもない悪戯が成功したことに細やかな幸せを感じたような顔をし、にやつくマロンの顔。彼女は間も無くリックの肩から手を退けると、対の手に持った一枚の木札を差し出した。
「おらよ。太陽十字」
「随分早く見つかったな。ありがと」
木の板を彫ることによって描かれた紋章。木目を意識し、なるべく直線的な文字や絵が彫り込まれた木札。右手にある片手斧をショーケースの上に一旦置いてから、リックはマロンからそれを受け取った。薄暗い中、目を凝らして見てみれば確かにその紋章の一部分には太陽十字が刻まれていて、これが太陽、光に纏わるものであることが解る。…とはいってもリックが知っている知識は属性の見方と発動方法だけ。筆記ルールや構成、それらが理解できないので実際にこれを使った時どうなるかなど分かりはしない。
一応対の手で腰の小物入れの中の水晶を触れて木札を調べてみたが、ただの木片。建築素材の一部としての説明が出るだけで魔法や紋章術に関する情報等は出ない。それを見て、少しだけリックは落ち込む。使えないかもしれないと。
「あっ…発動させんのに術者の血が要るとか聞いたような…。やっぱ無理じゃね? このゲーム血出ないし」
「血が最も効力が出るって言われてるけど…術者の体液なら何でもいい。血使ってやらなきゃいけない気合入った紋章術は召喚魔法ぐらいだよ」
マロンの言葉に応答しつつ、リックは木札を口元に持っていく。そして一瞬だけ何かを躊躇したような顔を窺わせた後、紋章が描かれた木札に舌を這わせた。その様子にマロンはその表情を引き攣らせ、口元を歪める。
「…舐めるか? 普通。唾垂らせばよかったんじゃね」
「唾吐いたり垂らしたりってなんか汚く思えて嫌なんだよ。ほら、今から使ってみっから静かにしてろ」
マロンが言わんとしていること。リックはそれを理解しながらも唇を尖らせ反論し、追撃されることを恐れてマロンがそうしずらくなるであろうことを適当に言うと、リックは己の目の前に札を持ってきて瞳を閉じ、手の中にある札に集中。木札を通じ、心の中に思い浮かぶ絵をなぞる様に思い描けば、手の上にあった木の板の質量。それが空気に晒された化石のように崩れ、砂状へと変わっていく様な感覚を感じた。
――紋章術は発動した。そう確信したリックが閉じていた目を開けてみれば、手の中にあった木札はぼんやりと発光する真っ白い砂になっていて、掌から零れ落ちたそれは床へと潜り、光源を持たない白い光を放つ円影とでも形容できそうな姿となって、表れて肥大化していきながら床や壁を這いまわり、窓の外や出入り口の扉から外へと散っていった。
そして間もなく、窓の外が月明かりが眩しく感じる程度の夜と同等の明るさになり、窓の外と開け放たれた扉からその光が差し込んでくる。リックは手の上に乗った白い砂を全て払い、床へと落としたのちになんだか得意げな顔をしてショーケースの上に置いた片手斧を右手に取った。――光を操る超常の力。リックのその技はゴルドニアファミリアの関係者たちの瞳にはそう映る。
「魔法に続いて紋章術かぁ。あたしは魔法や飛び道具のない、剣と自己の世界っつー謳い文句でこのゲーム買ったつもりだったんだけどなぁ」
明るくなった外の様子。窓際に歩み寄り、それを眺めるマロン。彼女はこの状況に何か引っかかった物を感じたように呟く。何がとは言わないが、違和感を感じた風に。リックも同様な心持ではあったが、証明する術も、材料も足りないので追及はしなかった。一つの謎として一旦心の中にしまっておくことにして、固まったままのゴルドニアファミリアの関係者たちの方へと視線を向けた。
「探索しやすくなったろ?」
ニッと歯を見せ笑うリック。声を掛けられた各々はそれによってハッと我を取り戻したような顔をし、その後でゼルク、メルフィンが何か言おうと口を開きかけたところ、それを制すようにセラアハトが手を肩の高さに上げて黙らせた。
「――リック。ここを調べ終わった後…話がしたい」
セラアハトはリックの橙色の瞳に真剣な眼差しを向けながら静かに言う。拒否することは許さない。そういった確かな強い意志を感じる瞳を携えて。丁度リックも聞きたかった事、確かめたかったことがこの地底遺跡に訪れたことによって出来たため、首を縦に振った。
その会話の直後に遠くから聞こえる火薬が爆ぜる音。静けさを切り裂く一発の銃声が微かに聞こえた。それを皮切りに次々と発砲音が響く。それは確かに自分たちが歩いてきた方向から。仲間を待たせていた方向から。それらは仲間たちの危機を今居る6人に確かに伝えた。
浮足立った様子でおろおろするメルフィン。指示を仰ぐようにセラアハトをただ見据えるゼルク。カウンターテーブルから見つかった物を緊張した面持ちで荷物の中に押し込むマリグリンと目つきを鋭くし、口を一文字に閉じてこれからの行動を考えた風にする凛々しいセラアハト。その傍には使えそうな木札が無いか物色しだすリック。そして、窓の外に伺える、明るくなった外へと続々と出てくる骸骨剣士たちをそのライトアイボリーの瞳に映し、静かだが好戦的な笑みを口元に浮かべるマロン。…もう銃声は聞こえてはこない。
不穏な空気と忍び寄る影。地下遺跡をただ巡るだけのロマンある物に、戦いの気配と言うスパイスが混ざる。港の方から聞こえた発砲音は敵はこの地下都市の住人達だけではない事を教えてくれた。そのことを理解したセラアハトは各々に目配りをした後で動き出す。敵を見定めやすい場所。それを求めて紋章術の光が照らす、開け放たれた扉の向こうへと。
ルーン文字とかいう魔法の設定作るのに便利な代物。でも属性のレパートリー考えると八卦の方が良さげと言う。しかし悲しいかな…ルーン文字のがかっこよく見えちまう。