PeaceKeeper
満点の星空の下、布張りのキャラバンタイプの荷馬車が走っている。周囲にはどこまでも広がる田畑。土っぽい香りと共に肥料のものと思われる匂いが微かに鼻を突く。
夜の街の喧噪も届かぬ農業地帯。長く感じた今日の朝方、自分達が確かにいたその場所を、僅かに外の様子が伺える、キャラバンタイプの馬車の中から、揺られながら花子は眺めていた。
「なぁ、お前ら。誰なんだ? 梅酒愛好会?」
キャラバンタイプの馬車の中にはローブにその身を包み、馬車のサイドに備え付けられた段差に腰かけたまま俯く襲撃者たちの姿。彼らは馬車に乗り込んでからというもの、一切口を利かないし、それはおろかまともに動きもしない。今の状況に慣れてきて退屈そうにしているマロンは馴れ馴れしく、自分の隣に居る襲撃者の顔を覗き込むようにして話しかけている。しかし、彼は全く反応しない。
「ちぇっ、つまんねーの。女子に話しかけられた思春期の男子かよ」
マロンは口を尖らせ、姿勢を元に戻すと腕を組んだ。そしてその退屈そうなライトアイボリーの瞳がなんだか遠い目をして外を眺める花子の横顔を映す。
「花子ぉ、こいつらなんだと思う? 暇つぶしに推理しようぜ」
花子はその言葉に反応し、顔を前へと向けてマロンの方へ視線を合わせる。あれだけの組織力、そしてクロスボウ、無線機。装備だけ見ても答えは出ていた。
「どうせモグモグカンパニーの人たちでしょ。攻略勢でもこんなの居ないわよ」
盾を右手に持ったまま、両腕の肘を抱えるようにして腕を腹の前で組み、脚を組む。ベウセットと過ごしているうちに身に付いた花子の癖だ。
「やっぱそう思う? 早々に答え出ちまって暇つぶしにもなんねーな」
腕を解き、後頭部に両手をやり、マロンはその背を馬車の縁に預ける。
「柘榴が心配して相談しに行っちまったのかなぁ。つかライブどうなんだろ。もう明後日に本番だっつーのに一日丸々潰したとか…向こうの社長さんもやべーって思ってそう」
普段の人に対する対応、普段の姿勢は結構いい加減なものではあるが、一応アイドルとしての矜持や提供するサービスに対しては真面目なようで、なんだか殊勝なことを言っているマロン。モグモグカンパニーのトップであるオルガを良く知る花子はそれが杞憂であることを理解しているがために、そのことについては一切考えない。大体一週間で何かやれと言うぐらいだ。披露されるもののクオリティ、宣伝効果などどうでもよくて、自分が何かやる様が見られればオルガ的には満足なのだ。その他の客からしてみればそうではないので、今まで真面目に頑張ってきたのだが。
「柴犬チャームになんて思われるかしらね」
「あ~、それもやべえな。じゃあこいつらの素性知らねえほうが都合いいわ。中立で居たい。でも立場表明しておくぞ。芸能事務所フルブロッサムと鋼血騎士団は商談のためにあの場に居た。忘れちゃだめだぜ?」
馬車の中に居る8人はその言葉にも一切反応を示さない。マロンはそれに口元から歯を覗かせて、片眉吊り上げて笑う。言葉が交わせないからこそ都合がいい。そう思った風に。
そしてしばらくすると馬車が止まった。キャラバンタイプの馬車の外を見てみると良く見知った白い石畳が敷かれ、整えられた街路樹、街灯が並ぶ高級住宅街の一角が見える。護衛するために一緒に居てくれたのだろうか? そこから彼らの中では鋼血騎士団に捕られた要人救出という前提で任務に当たっていたことがなんとなくわかる。しかし、ピエール吉田を目標にした風ではなかったが、それはなぜだろう? 花子は疑問に思いつつ、馬車から降りていくローブに身を包んだ襲撃者たちの背を追い、一緒に馬車から降りる。
「ライブ、楽しみにしています」
8人の鉄仮面の男たちは馬車から降り、整列するとそのうちの一人がその仮面の中から籠った声を発し、それを合図に気を付けの姿勢を取ると、降りてきた花子とマロンに向かって敬礼した。丸いガラスが嵌められた鉄仮面が一斉に向く。見ていてほれぼれするような洗練された動きで。
「おおよ、任せとけ」
マロンはそれに軽く手を振り、返事を返してみんなが待つ家のある方へと歩き始め、花子はそのあとに続く。彼がモグモグカンパニーの関係者とするならば、その一言は予定は変えないということを示唆していたのかもしれない。花子とマロンが少し離れたところで彼らは再び馬車の中に乗り込み、それは進んでいき、立ち並ぶ屋敷に遮られて見えなくなった。本を使って移動しないということは人目に付く場所に姿を現したくない、あの姿を人に見られたくない人々なのだろう。まあそう推測できたところで何の意味もないし、花子はすぐに考えるのを止めて、家路を行く。今日は疲れた。ゆっくり身体を休めたい。そう思って。しかしマロンはまだ心の中に蟠りを抱えた風だった。
「あたしらの取引は終わってた。ということは柴犬チャームから見てあたしらは敵じゃねえ。ゲストだ。それを自分のホームから攫われた時点で面目丸つぶれだよな」
「その線で考えるとあの襲撃は敵対勢力に階層データを売ったプレイヤーに対しての御仕置き…ってな感じかしら。それにしては準備が周到すぎるとか、もっと人気のないところで出来るとか考えるとかなり無理筋よね」
「切り口が多すぎるな。柴犬のおっさんが襲撃者とあたしらがグルって考える可能性も0じゃねえ。ただ早いうちに会えればバカもやらねえはず」
そこでマロンが足を止め、後ろをついて来ていた花子へと振り返り、それはもう面倒そうな顔をした。そしてその手に階層転移用の本が握られ、対の手が花子の肩へと置かれる。
「花子ぉ、付き合ってくれよぉ」
草臥れたような笑顔をその顔に浮かべ、マロンは縋りつくように言う。花子は瞳を閉じて一度鼻から大きく息を吸い込み、吐き出すと同じく草臥れたような、そして今の自分たちの状況を可笑しく思ったような微笑を口元に浮かべ、肩を竦めた。
「もう、しょうがないわね」
それにマロンはクスクスと可笑しそうに声を立てて笑い、片手で本を開いて第一階層の絵が描かれたページを開く。
「そういってくれるって信じてたぜ。心の友よ。んじゃ行くか。これ以上面倒ごとになんねえようにな」
花子の肩に手を置いたまま、マロンは一頻り笑うと親指を動かし、その絵に触れた。確かに面倒ではあるが、その状況を楽しんだ風にしたその二人は光となり、その高級住宅街から姿を消した。
*
続々と人が集まりつつある街の広場。明後日のライブのために用意された中央に置かれたステージにはモグモグカンパニーの人間と思われるつなぎ姿の作業員がうろつき、広場に面した建物等にも足場が作られて何やら作業している者たちが目に付く。建物の作成等は素材があれば瞬間的に作れるが、何かチェックするべきものがあるのだろうかと考えながら花子は人込みの中からその様子を眺めていた。その左手はマロンに捕まれ、広場から見える時計塔の短針は、すでに8を指している。
一日の終わり、その疲れを癒すために続々と広場に現れるプレイヤーたち。ライブの設備がスペースを取っているお陰でいつも以上に人が込み合っているそこを、花子はマロンに手を引かれながら進んでいく。手を離してしまえばはぐれてしまう。それがわかっているから花子もマロンの手を握り返す。
そしてしばらく人込みの中を進むとやっと広場から出られた。まだ人がごった返す地区でありはするものの、もうお互い手を繋いでいなくてもはぐれない程度のものだ。花子とマロンはそこに行き着いたところで手を離し、二人横並びになって進み始める。二人には急いだ様子はなく、腹ごしらえを考えたように並ぶ店を眺めている。柴犬チャームがバカをやるとしてもまだ時間の猶予がある。二人はそう考えていた。
「はーなこ。何食いたい?」
「なんでもいいわ」
「おいおい気を付けろよ。付き合ってる奴にその返事は悪手だ。フラれちゃうぜ?」
前を向いたまま会話をしていたマロンの瞳が花子の方へと寄る。その口元には揶揄ったような薄ら笑いが浮かんでいる。
「アンタに決めさせてあげるって言ってんのよ。金欠」
花子の反応は現実を即したドライな物で、先ほどの言葉の真意を説明させるなとでも言いたげな不愛想な視線を横目でマロンに送る。言葉尻に余計な言葉一つ付け加えて。
「なめんじゃねー、あたしの今の手持ちは2億ゴールドだ」
マロンは口を尖らせつつ、花子の方に顔を向けると小物入れから小切手を取り出すとそれを花子に見せつけるかのようにして突き付ける。その顔に威張り散らしたような子供っぽい笑みを浮かべて。そのまま引っ手繰られでもしたらどうするのかと思いつつ、花子は呆れ、ため息を一つつくとマロンの額に左手を持っていき、その額を爪弾いた。
「いでっ…あにすんだよぉ」
それによりマロンは目を強く瞑り、その後に咎め立てるような目で花子を見る。弾かれた額を小切手を持った手で摩りながら。
「引っ手繰られでもしたらどうするの。しまっておきなさいよ。バカ。とりあえず換金しちゃいましょ。それから夕飯は考えるわよ」
とりあえず今からの指針を決めた花子は、マロンと共にNPCの商店が並ぶ場へと進路を取る。
嘗てはプレイヤーたちでにぎわっていたそこは遅れた武器に防具、高くサービスの悪い宿泊施設等がその当時のまま残っていた。モンスターの死体をバラシて素材にしてくれる素材屋には人が結構いたが、周囲に見える他の施設は閑古鳥が鳴いている。そんな一角にある厳めしい石造りの、灰色の背の高い建物。まさひこのパンケーキビルディングにおける銀行役割を果たすそれの中に花子とマロンは足を踏み入れた。
外観は灰色一色であるが、中は暖色のシャンデリアで照らされた広い空間で、床には真っ赤な絨毯が敷かれ、赤く艶めく木製の銀行カウンターが出口に向かい合う形でその広い空間を二分している。マロンはそのカウンターの前に行き、その向こう側に居る赤いフォーマルな服を着たNPCに小切手を渡し、話し始めた。芸能事務所フルブロッサムとして取引したので、2億ゴールドすべてがマロンのものになるわけではないわけだが、彼女はどれ位を自分の取り分にするのだろう。換金を薦めておいて今更ではあるが、大体ピエール吉田の了解なしでその金に手を付けてもいいのだろうかと、真面目な花子は気を揉みながらそのやり取りを眺める。
なんか書類を書いたりした後でマロンはNPCから差し出された袋をその手に取ると踵を返し、腕を組み柱に寄りかかって待っていた花子へと手を振る。袋の大きさはそんな大きなものではない。精々100ゴールドぐらいだろうか。自分の取り分を先取りした、と考えるのであればまあ問題なさそうな額ではある。独断でそうしていいのかは知らないが。
「おっしゃ、金入ったし行こーぜ」
マロンはニッと爽やかな、少年のような笑みを浮かべて花子に呼びかける。ただその発言自体は金使いの荒いダメな人間の言葉にも思えなくない。花子は建物の柱から背を離し、マロンと並んで外へと向かい歩き出した。
「フルブロッサムのお金でしょ? 勝手に手付けていいの?」
「バカやろ。今フルブロッサムとそれに所属する連中とで分ける手続きしてきたんだよ。で、分けた結果スッカラカンだったあたしの口座にも金が来た、というわけよ」
花子の言葉にマロンは目を細め、ぶすっとした顔で花子を見やり、心外そうに言う。そういえばピエール吉田は金に興味がないとか言っていた。フルブロッサムの財布のひもはマロンが握っているのだろうか。もしかしたらピエール吉田は営業だけやって、本職は酒造りなのでは? 花子の頭の中にそんな考えが過る。芸能事務所フルブロッサム。複雑怪奇な組織だ。
「それで今さっき考えたんだけどよ、鋼血騎士団がやってる店で飯食おう。そうすりゃあっちもあたしたち探す手間省けて一石二鳥。な? 名案だろ?」
銀行から外へ。その建物の前の開けた場所を行きながら、マロンが笑いかける。本当に良く笑う。その無邪気な笑みは自然と花子の不愛想な顔にも、口角を上げさせる程度に笑みをもたらす。見ている人間を明るく、温かくする力。これがマロンの魅力。ピエール吉田が彼女に見出した物がこれなのかもしれない。
「おい、聞いてんのか? …はは~ん、もしかしてマロンちゃんの名案に驚いて声も出ねえんだな?」
マロンの話を半分聞き流して彼女のことをぼんやりと考えていた花子の目の前で、マロンは不機嫌そうな顔になり、そのあとで悪戯っぽい笑みを浮かべた。花子は自分の顔を覗き込むようにしてくるマロンの顔を流し目で見ると口を開く。
「アンタ鋼血騎士団がやってる店知ってるの?」
「いや、知らねえ。でもいろんな産業に手ぇ出してるしあんだろ。飲食店ぐらい」
今でも雨後の筍のように雑居ビルが建設され、いまだに広がる一階層の街。まだ一か月しか経っていないこともあって、マロンの反応は意外なものでもなかった。まあ期待していなかったと言えば嘘になる。お腹も減っているし、鋼血騎士団がやっている名前も知らない店を探し回るのも嫌だった花子は瞳を閉じて、ふぅ、と息をつくと瞼を開け、視線を前に向けた。
「猫耳メイド学園よ」
カチコミの時に聞いたその名。店の名前。花子が知り得る鋼血騎士団が事業としてやっている店。花子の爪先は今の一階層で最も盛り上がっているプレイヤーの店が立ち並ぶ、歓楽街の方へと向く。ピエール吉田に出会ったその場所。あそこにメイド喫茶のようなものがいくらかあった。タバコカルテルとして財を成す鋼血騎士団は結構規模の大きなギルドだし、立地の良い場所に店を持っているはず。それが花子の考えだった。その横では何か深読みして勘違いしたようににやつくマロンがいて、花子の顔を眺めている。
「へへっ、なんだよお前。不愛想な顔しやがって…あたしら応援してくれる奴らと同じ穴の狢だったんだな。あたしがサービスしてやろっか? んーまっ」
見当違いも甚だしい決めつけをしつつ、悪戯っぽく笑いながらウインクをして投げキッスしてくるマロン。けれどもそれは本気で言っているようなものでもなく、気心の知れた仲間に対する冗談の一種…とは思えない。なんか妙な確信を持ったものだ。私はそんな風に見えるのか、と花子はやや呆れた顔をしながら前を向いたまま道を行く。
「攻略勢の私がそんなところ通ってるわけないでしょ。今日追いかけまわされてる時そこで働けってうるさかったのよ。鋼血騎士団の連中が」
「へぇ、苦労したんだな」
「どこかの誰かさんに付き合ったお陰でね。反省しているといいのだけど」
「そりゃヒデー奴もいたもんだ。同情するぜ」
避難がましい目で隣を歩くマロンを眺めながらあてつけがましく言う花子と、小憎たらしい笑みを浮かべ、涼しい顔をしてすっ呆けるマロン。二人はプレイヤーたちの店が立ち並ぶ繁華街に差し掛かる。ここもなかなか人が多く、背の低いマロンを十分に見失えるだけの下地がある。はぐれると面倒なので花子はマロンの手を左手で掴み、周囲の店を見回しながら人の波の中の一部となる。
「クッソ、これだから繁華街はヤなんだよな。人が居過ぎてまともに物も見えやしねえ」
花子に手を引かれながら、マロンは人の切れ目から周囲を見回し、目標の店を探しつつぼやく。その時のマロンはやや背が高く見え、背伸びしながらなんとか視界を確保しようとしていることがわかる。それを見て花子は小ばかにしたような笑みを口元に浮かべ、マロンの横顔を流し目で見た。
「おんぶしてあげましょうか? マロンちゃん」
表情、言葉遣い。何処か子ども扱いしたような声の抑揚。花子のそれらは十分に彼女の心の中を物語っており、当然、マロンにその意図は伝わり、彼女の顔をやや怒気の混ざったものとする。
「てんめっ、あたしより少し背高いぐらいでよくんなこと言えんな」
やや眉尻が吊り上がった、怒ったような顔でマロンは言う。さっきまで小憎たらしくしていたその彼女を見て、マウントが取れたと確信した花子は勝ち誇ったような笑みを浮かべた。それはとても機嫌が良さそうに。
猫耳メイド学園が見つかったところで席は空いているだろうか。ゆっくりゆっくりと前に進む人の波の中、どうにかしてし返してやれないだろうかと自分を見るマロンの手を引きつつ花子は考える。そしてしばらくすると大きな、ドギツイピンク色の電光看板が花子の視界に飛び込んできた。屋根が黒く、その他が真っ白な作り物間満載なチープなゴシック様式のそこそこ大きな建物。それの入り口の上方にその大きな電光看板はあった。そしてそれには確かに猫耳メイド学園とある。もう少し歩き回って探す羽目になると思っていたが案外早く見つかったことに気を良くしつつ、花子は人込みを掻き分け、その店の方へと向かう。
店の前はそれほど人が居るわけでもないので、そこまでマロンを連れてくると花子は手を離した。花子とマロンは横に並び、そのチープな佇まいの建物を見上げる。こういう店に入ることが初めてな花子は、理由のわからぬ妙な緊張感を感じつつ、先へ行き、付いてこないその花子を気にして振り返るマロンの顔を見た後、やっと店の入り口へと進み始める。
「なんだぁ? ビビってんのか? おてて握っててやろっか? はーなこちゃん」
先ほどの仕返しと言わんばかりにマウントを取ろうとしてくるにやけ面のマロン。こういうところは歳相応だ。それを見て緊張を和らげた花子はその様子を鼻で笑い、店の入り口である白い扉を押した。それにマロンはムッとした顔をする。
扉の内側上方に取り付けられたドアベルが鳴り、メイド姿の女性たちが入ってきた客を歓迎しようと集まってくる。その服装は花子が知るメイドのそれではなく、ミニスカート風にアレンジされたもの。猫耳カチューシャと付け尻尾も付けている。学園要素は行方不明だ。出迎えてくれたほとんどがNPC。年上の女性プレイヤーにご機嫌を取られながら夕飯を食べる羽目にはならないことをそれから確信し、花子は少し安堵する。その後ろに居るマロンは口元をにやけさせ、楽しむ気満々の様子だが。
「お帰りなさいませ、お嬢様!」
人生初のメイド喫茶体験。それは自分たちを出迎える声と共に幕を開けた。立地の割には人があまり入っていない店の中を案内され、花子とマロンはカウンターテーブルの前の丸椅子に腰かけ、適当に料理を注文して。鋼血騎士団はきっと自分たちの存在に気が付いて接触してくるであろう。もう少し長引きそうな今日という日の空気を感じながら、花子とマロンは肩を並べ、束の間の平和に肩の力を抜く。まだ今日という日を振り返るにはまだ早い。そう己に言い聞かせながら。
日常物を書ける人たちは本当にすごいと思う。(小並感)