表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
まさひこのパンケーキビルディングとその住人。打砕く者と守る者。  作者: TOYBOX_MARAUDER
海賊の秘宝と青い海、俗物共の仁義なき戦い
102/109

業火の火種

月間に成りつつある事実。恐ろしいですね! と言うか結構長い時間を空けてしまったから語りたい部分、説明したい部分に抜けが無いか心配でありますな。…気が付いたら随時書き換えるぞ!


 大理石の太く大きな柱。ガラス張りの壁。ひときわ目を引く大きさ、存在感、特別感のある、普通しないであろう独特な建築構造のミュージアム。

 それを中心に周広く整備された、街灯と木々が一定のレイアウトで置かれただだっ広い石畳の広場、芝生の公園などの他、幾つか同じような博物館らしき建物。大きな展示場としての使用も目的として作られたのであろうそれらはあった。

 波の音が聞こえ、強い潮風が運ぶ海の匂い、等間隔で並べ置かれる街灯と月明かりの中に。


 中心にある一際大きな博物館の外周の一部。遠目にではあるが、駅を正面に映すガラスの壁の向こう側には、今ミュージアム内にあるレストランで食事を終えたゴルドニアの音楽隊と、打ち上げを共にする仲間たちが博物館のエントランスホールへと戻っていく様子があった。


 「さっき海形海山魔術学園がどうとか言ってたけど、どうしてそう思ったのよ」


 「いえ、魔法と言ったら海形海山かなぁと。学園島で魔法使えてましたし」


 「あら、この世界が現実だと思ってるのね」


 「ヘッドマウントディスプレイを使った従来のゲームでは現実世界と大差ない映像を作れますけど、こっちだとそれどころか現実世界の感覚そっくり持ってこれてるんです。そんな技術の飛躍ってありますかぁ…?」


 骨と黒革とマントの装備の花子と、学生服姿のがぁちゃん。メインホールの中心へと向かいつつ話す二人の後方を歩いていたマロンがその時、足を止め――後方へと振り返った。

 博物館の外と内を繋く、横と奥に広い二階までの吹き抜け空間のクジラの物と思われる骨格標本が吊り下げられ、展示されるエントランスホールにて、その表情に悪戯心窺える笑みを、悪ノリと共に。


 「マロンちゃんはさぁ、一回恋のキューピッドになって見てーと思ってたんだよなァ」


 何の脈絡もない自分語り。告白。マロンのそれは、短くはある物の確かなメッセージを孕むもので――彼女の視線の先、なんだかげんなりした顔のリックの顔を捉えている。

 悪ノリ。冷やかし。明らかなる揶揄いの意思。ニヤ付く彼女の視線と言葉は…察し、悪ノリしたような笑みのチビとガリを。愛しむ目のゴリの目を渦中のリックに集め、マロンの前を行っていた花子に意地悪い笑みを。がぁちゃんの顔に興奮を齎し――双方の足を停止させて振り返らせる。

 その時いつも通りなのはシルバーカリスぐらい。当事者のセラアハトは視線を斜にし、バツが悪そうな顔はするものの、頬を染めてまんざらでもない様子だ。


 「ゴリさん的にはここは空気を読むべき。仲睦まじい二人を二人きりにさせてあげるべき」


 「おぉい、リックさぁん…」


 「シルバーカリスさんですか? 花子――ッケツがぁッ!」


 リックと想い合っているであろう何者かを想い、味わい深い顔をするゴリ、生暖かい笑みとともにねっとり声を掛けるガリ…そして――核心に迫ろうとするチビであったが、彼の言葉は途中で絶叫と共に途切れた。


 「名誉棄損で訴えるわよ」


 尻を蹴り上げられて飛び跳ね、その後身を捩りながら痛そうにうろつき始めたチビの向こうには、チビがどういう趣旨の問いをリックにしようとしたかを察知したのであろう、心底心外そうな顔をした花子の姿。

 片脚を間も無く下げた彼女に対し、視線は集中。注目した誰もが思う。何時の間に背後に回ったのだろうと。

 そして、その最中に――この上なく得意げな顔をしたシルバーカリスが面々の前へと出、握りしめた拳を力強く突き出し、ふんと鼻から息を吐き出す。まるで今さっきマロンが言ったことなど…なかったかのように。


 「こういうのはランダムだから楽しいんですよ」

 

 そう言うシルバーカリスの手からはみ出るのは、メモ帳の一ページを破って作られたのであろう、粗末なクジ。

 花子は己の腰に片手を当て、半目になってなんだか面白くなさそうな顔をし、マロンも同じような反応を示し…体裁がある故に本心は口に出せないセラアハトは何か言いたげに、迷ったようにチラチラとシルバーカリスを見るだけ。

 誰も異論は唱えず、静かなその時…シルバーカリスの手から出る粗末なクジの一つを、今まで見た時が無いほど真剣な表情のガリが取り、続く。同じような顔をしたゴリが。何かを察知したように。ただ、チビはまだ尻を押さえて無言でうろついている。辛そうに…だが、一抹の別の感情を宿した妙な顔つきで。


 「それもそーだな。見えてねえところで何かあってもわかんねーしな。リックとセラアハトが一緒になったら人気のない場所とか薄暗いところはあんま見てやんなよ、お前ら」


 「お前の中で俺はどういう扱いなんだよ」


 「押したら倒れそうなチョロイ奴」


 直ぐにはクジを見ず、神妙な面持ち、直立不動で待機するガリとゴリの傍らで、意味深な事を言ってリックを揶揄い、顰蹙を買うマロンがシルバーカリスの手からクジを引いた。


 「…何を言っても覆りそうにないわね」


 マロンがクジを確認する素振りを見せたところで、未だに不満げな様子な花子がクジを引き…なんだかガッカリしたようながぁちゃんが続き――リック、セラアハト。その後に尻を蹴り上げられた痛みから復活を果たしたチビが、シルバーカリスの手からクジを取った。

 その後に始まるのはクジの確認。手に持った番号が先っぽに書かれたそれを手に…各々は寄せ集まる。だだっ広いエントランスホールの一角に。


 「いや~…これは流石にないわ…マジかよ。ふざけんなよお前ら」


 「お前こそふざけんなよ! この千歳一隅のチャンスを…こんなっ、こんなぁッ…!」


 「こんなのひどいよ…あんまりだよ…!」


 「ふはっ…アッハッハッハッハ!」


 強い不満を表明するチビ。彼の肩を押した後に泣きそうになるゴリ。肩を落として顔をくしゃくしゃにし、絶望するガリ。それらに気が付き、不機嫌そうなしかめっ面を柔らかな物に。心底気分良さそうに意地悪く口角を上げ、陰険ににやつく花子と――目じりに涙を浮かべながら彼らを指差し笑うマロン。

 今回の打ち上げの参加人数は九人。たった一つだけ生まれる三人の組み合わせ。その組み合わせが出来上がったことをその光景は如実に表していた。それも、チビゴリガリが最も恐れていた形で。


 「クククッ…あー、おもしれえなぁ。ガリの落ち込み方は特に。んで…あたしはシルバーカリスとか。海の方に小さい水族館あるらしいから見に行こうぜ~」


 「いいですよ。それが終わったらプラネタリウム行きましょう」

 

 だが、決まってしまったことに対して以降誰も口は挟まない。いつもの三人組で決定してしまったチビゴリガリの事など。

 マロンもシルバーカリスも例外ではなく、決めて行く。前者は可笑しそうにクスクスと笑いながら、目じりに浮かんだ涙を親指で拭って。後者は何時も通りに。目元にこれからの予定を。回るルートを。


 「あー…なんかっ、その…よろしくお願いします」

 

 「あっあっ…こちらこそっ、よろしくお願いします…」


 彼女たちの隣ではまるっきり関わりのないリックとがぁちゃんのペアが誕生。双方とも頭をペコペコと下げ、他人行儀ない挨拶を交わす。


 「新居探しの時はシルバーカリス。宝探しの時はマロン…塩パグ学園島では私。ここにきてまた新しい女と二人っきりになるのね」


 「ほんとな。とんでもねえ野郎だよ。これだからリックは…」


 「ちょっとやめて! その路線の誤解は致命傷になっちゃう!」


 透かさず茶々を入れる花子とマロン。誤解を誘導せんとする二人の明確な悪意に。なんだか警戒したように身を引いたがぁちゃんに対応し、忙しくするリック。

 その段階で必然的に最後のペアが決まり…一生懸命誤解を解こうとするリックの様子を一頻り楽しんだ後に気持ちが静まった花子と、それを気に入らなさそうに見ていたセラアハトは互いの姿を一瞥。両者とも両腕を組み、これでもかと不満そうにして互いにそっぽを向いた。


 「さーてと、んじゃ…そうだな。22時に閉館らしいから、その20分前にここに集合な。楽しもうぜ~。なっ、チビゴリガリ」


 「言いたいことはそれだけか? 着いて行くか行かないか。その決定はこちらの気分次第であるということを重々に思い出していただきたい」


 「ふざけんなやめろ。警備員召喚すんぞ」


 チビゴリガリを揶揄うマロンと揶揄われる三人組の内の一人、チビの生暖かい脅迫。そのやり取りが終わった後、各々は決められた集まりで散っていく。

 だだっ広く人の疎らなエントランスホールから――その集まりが見たいとする展示物があるであろうエリアへと続く道へ、鏡の様に磨き抜かれた大理石の床を踏んで。




 ◆◇◆◇◆◇




 黒い大理石の壁に張りつく控えめな明るさのウォールライト。ガラスの展示ケースの向こう側には、薄暗い展示室からは良く見えるよう、ライトアップされた展示品が並ぶ。

 人は疎ら。きっとこのミュージアムの敷地に併設された他施設へと人が流れているのだろうことが肌身で感じられるその中に――二つの人影があった。


 「アンタなんでリックに惚れたのよ」


 古びた剣や豪勢な装飾が窺える鎧、どこかで見たようなデザインの円筒状の短眼鏡などの小道具。

 大凡この階層、塩パグの憤怒の原住民に似つかわしくない武骨なそれらを展示ケースのガラス越しに眺めて歩を進めつつ、花子は唐突に問いかける。エントランスホールでの別れ際、リックから受け取った小切手。報酬金額の他に、文章らしきものが隅に小さく書かれたそれを小物入れに押し込みながら――己の傍にいるであろう同行人。セラアハトへと。


 「逆に聞くが見た目が好みで、性格も好み。おまけに強く、頼りになる…そんな人と出会ったら、お前は惚れずに居られるのか?」


 「あぁ、私が嫌いなタイプの女ってアンタ見たいな感じの奴なのよね。短絡的で都合がいいって言うか。それでもって甘えたり、媚び売ってる様なだと虫唾が走るの。出会って一週間ぐらいで…チョロ過ぎない?」


 「うるさいなッ、僕はチョロくないッ」


 優位を握る花子とセラアハトが会話を交わす最中、前者は見ていた展示ケースから離れて、現在いる部屋の一番奥にある一際大きな展示ケースの方へ。

 セラアハトもその後に続き――立ち止まる。花子にも…もちろんセラアハトにも見覚えのあるウサギの頭蓋骨の海賊旗。真鍮の短眼鏡、衣類、武器、宝箱や年季の入った傷だらけの小物入れなどの物。それらを背景に置いたゴルドニア・ラビットヘッドの言い伝えが書かれた書物の写しが映った展示パネル。ガラスの仕切りで仕切られたその中に、双方とも目をやって。


 「この旗、ゴルドニアファミリアの館の中でも見たわ。天井に貼りつけてあった奴。なんなの? コレ」


 「ゴルドニア・スカルヘッド。この世界を終わらせようとした悪魔どもの旗だ」


 「あぁ…リックがなんか言ってたわね。そんな話」


 セラアハトとの会話の最中、花子は左手を腰に当て、片足に体重を掛けるような立ち方をし、その旗の前に置いてあるパネルへと焦点を映す。


 「しかし…世界を終わらせようとした怪物を選ばれた人たちが倒すって流れ…手垢が付きまくったようなありがちな話ね。でも、怪物と刺し違えて英雄が死んだり、その後の呪いで英雄の関係者が死んだり…後味悪いわ。ゴルドニアの話は」


 「呪いか…フン、薄汚いゴルドニア・ラビットヘッドらしい誤魔化し方だ」


 「なるほど。権力闘争があってゴルドニアはゴルドニアファミリアとゴルドニア・ラビットヘッドに割れた。じゃあ呪いは策略と読むのが正解かしら」


 「そうだ。だが、奴らの魔の手が迫る前に我々ゴルドニアファミリアの前身となる派閥がゴルドニアの子息を守った。そしてその血は今もなお僕達ゴルドニアファミリアにある。欺瞞に満ちたゴルドニア・ラビットヘッドの紛い物と違ってな」


 「あのムカつく褐色肌がその末裔ともなるとゴルドニア・ラビットヘッドの肩を持ちたくなるのは人情って奴かもしれないわね」


 己の故郷。組織。それを大切に思うがゆえに花子の辛辣な軽口に、セラアハトは聞き捨てならなさそうに眉を上げて彼女の横顔を睨んだが、花子に反省の色は無く、彼女はパネルに載っている書物の挿絵にへと目をやる。平然と…古びた羊皮紙に書かれた、それはそれはモダンなアニメチックな絵…ミスマッチ感満載のそれに。


 ――マロンから聞いた話じゃこいつは先祖の超常の力がどうとか言っていたらしいけど…どう考えても魔法の事よね。まぁ、どうでもいいけど。


 海から這い出る黒い人型の怪物。武器を手にそれらに対峙する人々の発する稲妻や炎。挿絵として描かれるそれを碧い瞳に映し、前にセラアハトに指輪を要求された時、彼が言っていたことを思い浮かべつつ、花子は腰にやった手を下ろし――爪先を隣の展示室に続く入口へと向けた。


 ドアのない四角く壁が切り取られた入り口の向こうには、その部屋の奥にある、展展示パネルを中に置いた展示ケースに挟まれる形の、流線型の壁に取り付けられた展示モニターとその前に置かれたボタン付きの台座のセットが置かれている。

 花子はそちらの方へと進み…気に入らなそうにしていたセラアハトも後へと続く。

 移動時の短い間で微かに熱くなった頭が冷え、冷静さを取り戻したセラアハトが認知するのは、そこの展示物。

 そこは――モグモグカンパニーとゴルドニア・ラビットヘッドの邂逅について記された文章、当時の様子を再現するかのような模型などが置かれた場だった。


 「古き祖先、ゴルドニアのボスの座の継承。決闘で指導者を決める仕来り…なんか少年漫画みたいなことやってるわね。こいつら」


 ――ボスの座を選ぶ古き仕来りについて。

 それについての記述のある文章となんだかそれっぽい、だが媒体にそぐわぬアニメチックな挿絵が描かれた古びた書物の一ページを拡大した展示パネル。

 それに花子が注目し呟く隣では、セラアハトがゴルドニア・ラビットヘッドがモグモグカンパニーの軍門に下る経緯を記したものに目を留め、信じられない物でも見るようにして目を見開いた。


 「バカな…」


 「ホントよね。強い奴が組織のトップを張る超脳筋仕様の仕来りにも驚くけど、そのリーダーを決定する行事に部外者混ぜた挙句にボスの座を簒奪されるとか…私がこいつらの子孫ならグレるか引きこもるかの二択ね」


 次に花子の注目する先には、小さな模型が一つ。彼女の言うところの仕来りとゴルドニア・ラビットヘッドがモグモグカンパニーの傘下に収められる原因となったであろう一幕を模した物。

 白い煉瓦と水路の美しい闘技場。その中心には右手に黄金のお玉。左手に黄金のフライ返しを持ち、敗者を見下し両腕を振り上げ、己の頭上で得物を交差させる花子の良く知る、コック姿の白銀の髪の勝者の姿と、その前で這い蹲り、女にしては背も高く体格も良く、胸も大きい癖毛の金髪、小麦色の肌の見慣れぬ…露出の多い着崩したスーツ姿の女。

 前者は紛れもない…この階層に初めてやってきたであろうプレイヤーの勢力。モグモグカンパニーの長、オルガ。後者はきっとゴルドニア・ラビットヘッドのボスか何かだろうということがそこからは見て取れ――どうやってモグモグカンパニーがゴルドニア島を手中に収めたのかが解る物となっていた。


 長年の宿敵。長年の敵対勢力…ゴルドニア・ラビットヘッドを打ち倒した未知の勢力…モグモグカンパニー。

 自分達の独立維持の脅威となるかもしれぬそれに、何か思うことがあったらしく、セラアハトはなんだか深刻そうな表情で展示物に目をやったまま、片手を己の顔に当て、それは難しそうな顔をしていたが…花子が展示ケースの隣、モニターの方へと片脚の爪先を向けた時、セラアハトは口を開く。


 「…花子、一つ聞きたい。このお玉とフライ返しを持っている奴が誰だか解るか?」


 「私の召使い」


 セラアハトの問いに、花子は間髪入れずに素っ気なく言って展示モニターの前に。その前にある展示ボタンに手を伸ばした時――彼女の手首は掴まれた。

 眉を顰めて煙たそうにする花子が己の手首を押さえた手の向こう側に目をやると、なんだか真剣そうな顔をしたセラアハトと目が合う。何処か切羽詰まったような雰囲気の。


 「ふざけるなッ、真面目に答えろッ」


 「嘘じゃないんだけど。と言うか知ってどうするってのよ。今日の塩パグ学園島見なかったわけじゃないでしょ?」


 眉間に深い皺を寄せ、凄むセラアハトではあるが、花子はその彼の心中を見透かしつつもため息を一つ吐いて応答。呆れたような目つきで、横目遣いにセラアハトのスカイブルーの瞳を見据える。


 「この世界の住人として、ゴルドニアファミリアの一員として…いずれはこの世界の秩序を元に――」


 「アンタもマリグリンとかあのムカつく褐色肌みたいに現実見て身の振り方考えた方がいいわよ。岩石に生卵投げつけて岩石が割れるかも…なんてありえない事考えてないで」


 「何が言いたい?」


 「ゴルドニア・ラビットヘッドと同じようにゴルドニアファミリアもプレイヤー勢力の軍門に下ることになる。それも遠くない未来に。寄生虫まみれの組織が独立なんて維持できる訳ないし、そんなものに命を張るって言うのは――」


 「言わせておけばッ」


 「――ッ!」


 忠誠を誓う組織への侮辱。一切物怖じも、遠慮も…配慮すらもない花子の返答は鉄拳制裁の十分な免罪符となったろう。

 花子が淡々と語る中でセラアハトは彼女の手首を引き寄せ、その手で胸倉を掴み、対の手に握りこぶしを作って肩の高さに振り上げる…が――それは花子へと向かって行きはしなかった。

 過るは心の底からは信用できないであろう仲間たち。疑惑のある見知った男の存在と…裏切り、居なくなったマリグリン。自分一人だけが戦っているのではと思えるほどの孤独感の中、目を背けていた現実を思い知らされる指摘があまりにも痛く、その痛みにどうしても覆い隠していた懐疑と虚しさが呼び起こされたから。


 「アンタが煮られようが焼かれようが私の知ったことじゃないんだけれど…もう少し冷静に周りを見て、自分が命を賭けようとしている物がどういう物なのか…意地張るに足る物なのか。見定めて見てもいいんじゃないかしら」


 思い遣り。肯定的に受け取れば諭しにも聞こえる内容ではあるが、花子は答えない。――問われた内容の一切を。そこから見えるのは中立で居たいという保身だが、今のセラアハトにそんな腹の内を探る様な精神的な余裕はなく、眉間に皺を寄せたまま…彼の視線は下がっていく。明らかな迷いと…懐疑、失望の色を強めて。


 そんな彼の手を内から外へと手で払った花子は掴まれた襟の部分を正した後、展示モニター前の台座にあるボタンを白革と黒革のガントレットが嵌められた左手親指で押した。

 すると何も映らず、真っ暗であった展示用モニターが光を放ち、その画面に映像を映し始める。


 『くああーッ! クッ! せあぁっ!』


 『やさいやさいやさい~ッ! ハイッハイッ!』


 『許さんッ…お前だけは絶対にッ…殺してやるぅーッ!』


 『やさいぃをー食べーるとぉ! ハイ、わっしょいッ!』


 模型にあった白い煉瓦と水路の闘技場。そこで戦うガタイの良く、背の高い短いカットラスを左右の手に持つ褐色肌の女と…黄金に輝くお玉とフライ返しを持つオルガ。

 何故か途中から再生されたと思しき映像には、感情的になり、怒り狂う前者の素早く、鋭く…だが卓越したその身のこなし、動きからの攻撃が無情にもコック服姿のオルガにいなされ、躱され、押さえられ、受け止められて…執拗に尻を黄金のお玉やフライ返しでリズミカルに叩かれる様があった。


 ――それはまさに…公開処刑。華。肩書…体裁を命よりも大切にする者に対する殺しであった。


 『からだからだからだぁ、からだがぁよくぅなるぅ! ここ連打ぁッ!』


 『ぬうああああーッ!』


 掛かっていけば尻を叩かれ、待っていても尻を叩かれ――怒り、動きが大きく成れば更に尻が滅多打たれる。怒りもあるだろう。だが、己を誇りに思う矜持が、後に付いてくる者達の目が…戦いから背を向けることを許さない呪縛の一面を確かに覗かせている。

 その有様は褐色肌の女をリーダーと考えるならば、ゴルドニア・ラビットヘッドの者共を失望のどん底に叩き込み、求心力を失わせるには十分な物であり、やり方はともあれ…この上なく効率的に思える物。

 まさにリーダー…カリスマの殺し方。それを目の前にした花子は軽く目を見開き…同じくモニターに目をやったセラアハトの頭の中身を吹っ飛ばした。


 「体裁第一の組織を殺すならこの上ない遣り方でしょうね…しかし…あいつ、なんて恐ろしいことを…」


 「…ランツァーリリィ…」


 対戦相手。いや…被害者と形容する方が正しいだろうか。引くに引けなくなった褐色肌の彼女の攻撃は掠りもせず、当たらぬ攻撃に更に怒りは増し…攻撃や身体の動きは雑に、大振りに。途中からは尻を押さえて回避と防御に比重を置いた対策が取られるが、腕を取られ、関節を固められ…場合によっては膝裏を蹴っ飛ばされて、更にオルガの攻撃を許すようになる。

 映像の中の世界がそんな有様に成る中で、花子はセラアハトの呟きに反応を示す。


 「あの打楽器の事知ってるの? 結構いい音するけど」


 「あぁ。ゴルドニア・ラビットヘッドのボスだ…。それがこんな…一方的に…」


 「まぁまぁ頑張ってるわよ。この私の使い魔相手に。今はもう首を括った後かもしれないけれど…ご先祖様に言い訳するには十分ね。相手が悪すぎたって」


 信じがたいものでも見るようにするセラアハトと…独活の大木だとか、役立たずだとか。散々辛辣な評価をしておいて、今更オルガを持て囃し、鼻高々に胸を張る花子。二人の見る先のモニターには相変わらず、一方的な様相が続いている。


 『うわああああああっ! うっくっ!』


 『やさいはぼくーらをー!』


 攻撃は止まず、激しさを増すばかり。身体の痛みは大したことなさそうではあったが、やがて心は綻び出し、攻撃は投げ槍に。怒りの雄たけびは悲鳴に。戦意の喪失が目に見える形になってくる。紛れもない…人の心の折れ、砕ける過程。瞬間がそこにはあったが――ふと、その時…オルガの猛攻が止まった。

 彼女の目は尻を押さえて己から距離を取ろうとする褐色肌の女、ランツァーリリィを一点に見据えており、間も無く、腕をクロスさせ――その姿をふっと消す。ろうそくの火が、風で吹き消されるかのように。


 『まってぇいるッ!』


 「くっ、あぁっ!」


 彼女は次にランツァーリリィの進行方向の向こう側に。背を向ける形で、歌声と共に現れる。両腕を開き、前のめりに…深く踏み込んだ態勢で。

 直後、時間を置いて声を上げ、飛び跳ねるランツァーリリィ。置き去りにされ、今、時の理の中に戻った音と衝撃を尻に感じた彼女は、とうとうその手に持った武器を落として這い蹲った。闘技場のど真ん中、白い煉瓦敷かれたそこに。悔し気に歯を食いしばりながら、今振り返らんとするオルガの方に顔を上げて。


 『フルコンボだドン!』


 『くっ…くうぅうう…! 殺せっ…私をっ…殺してくれぇッ…!』


 成るのは模型にあった構図。何かをやり遂げたような顔をし、頭上でお玉とフライ返し交差させて見せるオルガと…その彼女の前で這い蹲るランツァーリリィとでの。

 後者の艶やかで美しい褐色肌に、長めの前髪で隠れた目元に輝くのは…きっと彼女の涙であったに違いない。


 「なんか芋っぽい女が社会的に殺すとか、鏡を見せつけてやりたくなるほど臭いこと言っているのを見た時あるけれど…それを本気で実行するということがこんなに恐ろしいものだとはね。この私の目をもってしても見抜けなかったわ…」


 人の尊厳が地に落ちて地表を穿ち、星の核を貫通してその向こう側の大地。その先にある空の向こう側へと消える様。取り返しのつかないイメージと払拭しきれぬ不名誉。いくら優秀であろうと、いくら上塗ろうとも付いて回る烙印。本当の意味での"社会的な死"。花子は余りの惨さに戦慄を胸に、厳かに呟いた時――彼女の瞳は澄み渡り…煌めいた。

 彼女は振り向く。己の隣でモニターに映る映像を見、戦慄に言葉を失うセラアハトの方へ。映る。彼女の煌めく碧の瞳に…その彼の凛々しい横顔が。

 そして花子は笑う。瞳を閉じ、なんだか根負けしたかのように、フッ…と寂し気な笑みを口元に浮かべて。


 「――セラアハト、いいわ…アンタの心が今、伝わった…私は間違っていたわ…。このお玉とフライ返しを持った人の形をした悪魔の名前はね――」


 「待てッ…聞きたくないッ」


 花子の腹の内を瞬時に察したのだろう。セラアハトはハッとした後、両手を花子の方へと力強く突き出した。顔を背け、その表情を苦々しい物として。


 「それじゃ私の気が収まらないわ…。私ね、この闇黒の世界を照らす、光となり得るアンタの手助けがしたいの。アンタの心意気…それをこの悪魔に挑戦状として叩きつけるという危険な役割を――」


 「おい止せやめろッ!」


 花子の魂胆は透けて見えていた。彼女の煌めく瞳の向こう側にある光景は…今花子の方へと顔を向け、勢いよく目を開き、険しい剣幕で吼えた彼、セラアハトには。花子にとっていけ好かない自分が人の形をした悪魔に一方的にボコられ、その末に心が砕け散る音をその耳に、膝を折る姿をその目に焼き付けたいのだと。

 セラアハトが吼えた後にくるは沈黙。なんだか心底つまらなさそうに、ガラ悪く唇を歪める花子が無理に冷静さを取り繕おうとするセラアハトを見据える様子がそこに展開される。


 「よくよく考えたんだが、この女は手練れ。真っ向勝負ではなく、搦め手。戦術ではなく、戦略でなければ獲れないタマだと見た。それにゴルドニアファミリアとゴルドニア・ラビットヘッドは元をたどれば同じルーツだが、袂を分かって長い時間が――」


 「ゴルドニアの名のもとに統一してこそでしょう? 何ヌルい事言ってんのよ」


 「とはいってもお互い文化が違い過ぎる。無理な併合は返って混乱を生み――」


 「敗北主義者。はぁ…このッ…意気地なしッ!」


 額に微かに汗を浮かべて腕を下ろし、顔だけは涼し気に笑うセラアハトに対し、花子が辛辣に吐き捨てた時…花子の右手を包むガントレットの端っこに取り付けられていたブローチが一瞬だけ、ぼんやりと光った。

 直ぐにそれは二人の目に付き、口を閉じ…一瞬互いに視線を合わせ――


 「…あぁ…いやね。シルバーカリスも乗り気なのね…掘り起こさない方がいいことだってあるでしょうに…」


 「今回の事に関しては僕たちは一蓮托生。何時までも愚図るな。行くぞ」


 「うっさい。二日間観光してた奴が偉そうにするんじゃないわよ」


 顔に手を当て心底気乗りしない様子で呟く花子と仕事モードになったセラアハトが…速やかに、静かに移動を開始する。何か目的を持っているかのように…口調はいつも通りと変わらない様子ではあったが。


 間も無く二つの影が過ぎ去って、展示室の中は静かになる。

 聞こえる音は未だに映像が途切れぬ展示用モニターのスピーカーから聞こえる波の音。風の音…少しの人の声のみ。

 モニターに映っていた女、コック服姿のオルガがカメラ目線になり――フランクに笑い掛け――親指を立ててウインクしたところで映像は途切れ、それを最後に展示室内は静寂に包まれる。

 閉館の時間。その近付きを感じさせるかのような…寂しさの様な雰囲気と共に。




 ◆◇◆◇◆◇




 真っ暗な世界に散る光の粒。外で見る星々たちよりは動きはなく、暗く…だが、それらは夜空より暗い闇を光の粒子で彩っている。

 それは紛い物だった。高く、円状に広がる天井に映し出されるだけの…嘘。スピリチュアルな音楽の掛かる中にある、プラネタリウムだ。

 天井の対面にはそれを見るために設けられた天井同様の円状の部屋。恐らくドームの中なのであろう室内には、星空を作り出すプラネタリウムの本体である投影機を中心に、それを原点として円状に。放射状に座り心地の良さそうな椅子が並べられている。


 時間はそろそろ22時も半ばを過ぎるころ。本日最後のプラネタリウムの上映真っ最中。外に出れば本物が独り占めできる事もあってか…これを見に来た物好き二人組以外人影はない。

 塩パグの憤怒の夜空程青くも、月明かりの眩いわけでもない…けれど、やけに月明かりが際立って見える天井を安楽椅子にその身を横たえ、シルバーカリスは眺めていた。


 「改めて見ると…この世界は星空一つとっても拘ってますね。階層と階層…どれ一つとっても同じ星空じゃない」


 「おぉ~、天体観測が趣味で…とか言いそうな前振りだな。女受け良さそうだし、リックに教えてやれよ。健気に文化祭で張り切るアイツの出会いのきっかけになるかも知れねえ」


 シルバーカリスの呟きに軽口を返すのは、彼女の隣にいるマロン。暗闇の中でたき火でも眺めるかのような眠そうな目をし、言葉を切った後に欠伸を一つ。右手を目元にやり、親指で溢れた涙を雑に拭う。


 「つか、新しい階層に行ったときに一々星空見てんのかぁ?」


 「えぇ。お父さんに山とかで迷った時は星空で方角を確認しろと教わりまして。生憎…今のところあまり役に立たった事ありませんけど」


 その後にまた流れるゆったりした…ナレーターが星の動きを説明する声もない、名ばかりのプラネタリウムと安らかな音楽の中での時間。

 

 マロンはマロンで花子が連れてきた動物たちの面倒で。シルバーカリスは塩パグ学園島での激闘で…疲れている様子ではありはしたものの、後者の灰の瞳はまだ使命感を帯びており――黒鉄の鎧に取り付けられたスモールマント。その襟にピン止めされたブローチが薄ら青く、鈍く輝いた時――彼女の手は隣の安楽椅子に身を預けるマロンの手首に、ガントレットを嵌めた手を重ねた。


 「…なんだぁ? シルバーカリス…オメー…そんな目であたしを見て――」


 手首の上から重ねられた、女の物にしてはやや大きく細い手。その感覚にマロンは口元に締まらない笑みを浮かべつつ、軽口を叩こうとした最中。彼女のライトアイボリーの瞳が物言わぬシルバーカリスの横顔を捉えた時、その言葉は途切れた。己の置かれた状況がどういうものなのかを察しつつも…少女とは思えぬ腹の据わった様子のままに。


 「――あぁ、なるほどな。そういうことかい。あたしもふざけてる場合じゃねえな」


 「外には花ちゃん達が居るはずですが、戦うつもりはないですからね。手は見える位置に出しておいてください」


 一気に変わる空気。マロンの目はもう既に普段の物ではなくなっているが、彼女は大人しく要求通りにシルバーカリスに抑えられている対の手を、掌を開いた状態で見せ…そのままの状態を維持。視線をシルバーカリスから天井へと戻した。

 その時の潔さは白を切っても無駄である事。華からシルバーカリスが確信を持っているであろうことを理解した風であり――襲撃を予期、覚悟していたようだった。


 「いやぁ、いいね。ハードボイルドな仕事人って感じでよ。メロメロになっちまいそうだぜ。…そんで…どいつからのお遣いだ? それぐらい聞かせてくれたっていいだろ?」


 「地下遺跡に絡んだ勢力であろう黒ずくめの人たち。PT…そのどれにも当たらない、マリグリンさんを操っていた正体不明の勢力。思ってる以上にマロンちゃんの隠している秘密は外に漏れていた。僕たちは誰に雇われたわけでもなく、情報を共有し、脅威を明らかに…自己防衛したいだけです」


 少しばかり…沈黙が流れる。

 微かに混じるはマロンの迷い。彼女はシルバーカリスの方へと開いて見せていた掌を握って見せた後、その手を肘置きの上に置いた。刹那に見えるのは手の甲。指の間に挟まれたゴールドが一枚輝く様。

 爪弾いて顔にでも当てれば一瞬の隙を作り出すには十分であろうそれが示唆するのは、この状況からのシルバーカリスの打倒。その選択肢を――マロンが考えていたという事実であり、今その選択肢を捨てたという事実でもあった。


 「ゴルドニアファミリアの中にPT以外の息の掛かった寄生虫が居るって考えるのが妥当かな。お前らはリックからあたしが何隠してるか聞いた感じか?」


 「いえ。なにも。ただその秘密がどうもその在処に争いを齎しそうなもので対処を…マロンちゃんは僕たちが貴女を売ると思ってたんですか?」


 「花子だったらやりかねねえな。そうされてもあたしが失うもんはコイツだけだし」


 マロンの頭の中にその時浮かぶのは、ゴルドニアファミリアに"過去と関わりのあるもの"として渡したサンダーソニアのクリスタル。そこから情報が漏れたのではと推理しつつ…彼女は取り出す。暗いプラネタリウムの中、四角く、そこそこ厚みのある片手に収まる物体を――己の隣にいるシルバーカリスに見えるように、あてつけがましく言いながら。


 「…階層転移の本?」


 角が擦れ、革のカバーは色あせ…自分たちが持っているそれよりも遥かに古ぼけて見えるそれは、今、プラネタリウムの月の明かりにぼんやりと照らされ――マロンは視線を天井へと向けたまま、その見せられたものの意味が解らない様子で訝し気にするシルバーカリスの言葉を耳に…軽くページを捲って見せた。


 パラパラと捲られるページ。

 カバーや外装と比べてさほど劣化した風には見えぬそれらには、何やら文字…文章が書かれているようであったが、光の加減でよくは見えず――捲られゆくページが最後のページに近付いたところで、色付きの絵が見えてくる。一ページを占有して描かれる、淡い色使いの絵が…少なくとも30枚以上は。

 そしてそれらの絵は殆どが見覚えの無いものであったが――最後の一枚。30階層、塩パグの憤怒と瓜二つの絵だけは例外であり、それを目の当たりにしたシルバーカリスは思わず安楽椅子の上から上体を起こし、目を見開いた。


 シルバーカリスの視線を感じながら、パラパラ漫画の如く仕掛け絵本を捲った後、マロンはそれを小物入れへ。何処か草臥れたような笑みを口元に浮かべ、シルバーカリスを片目で見据える。


 「これが業火の火種。これがあたしが隠してた秘密であり、理由って訳さ」


 マロンは多くは語らず、鼻から息を深く吐き出す。自分自身に嫌気を感じた風に自嘲気味な笑みを口元に…視線を外側へと投げて。

 小さな背中に背負った秘密。得た勢力の地位、権力を絶対的な物にしかねないもの。扱いに困るが使いようによっては己の特になり得る物。危険ではあるが、誰もが欲しがる価値を手にしながら、葬ることも、利用しようともできなかった半端な己に対するマロンの嘲笑は、シルバーカリスにその腹の内を悟らせるには十分であった。


 暗かった部屋が明るくなり始める。それは虚偽の星空で満ちる夜の終わり。暗がりに隠れていた秘密が露わになり、秘密を守って居た者と暴いた者との邂逅を果たさせた。

 互いに見えていなかったもの。見えてくる真実。そして――これからの道筋。業火の火種を破棄したところで、それから生じた炎は消せない。今から降りられはしない…確かな戦いの気配。匂いの中で。

この後はゴルドニアの音楽隊と芸能事務所フルブロッサムの支配人であるマロンちゃんとのお話を少しと…三章の最終決戦場であるゴルドニア島に場面が移ります。ここでようやくゴルドニアファミリアのボス(二人)が出てくるわけです。

なんでマロンちゃんが今回の厄介そうな物を処分しなかったのかって? ふふ、ヤバいと解っていても価値がある…そういう物を手にした時、欲に心を引かれずに居られる人たちは少数派って事さ。この辺りももうちょい詳しく次回のお話で書くつもり。一応ひとつ前のお話でその背景が解る様な描写はしていますけれども。


そして…ランツァーリリィさんが出てきたことによって、オルガさんによる会議でのルッソさんとソニアさんの説明。それに相違がある形になりましたが…これにはですね。訳があるんですね。これは正直お話し中で説明出来る気がしないので、ランツァーリリィさんのプロフで説明するつもりです。

だが、よく考えると見えてくるはずさ。ランツァーリリィさんの心が…リーダーとして君臨し、今までのプライドや体裁がボッコボコにされた彼女の気持ちが。リーダーの座を自分から降りたくなる位普通にあり得るよなァ! …という、背景があるんですね。


次回、「双頭の兎」。楽しみに待っていてくれよな! …なるべく早く上げられるように頑張ります…。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ